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世紀の対決「イチロー対クレメンス」

2019 MAR 22 22:22:17 pm by 東 賢太郎

昨日、彼の最後の打席を目に焼きつけました。そしてとうとうその時が来る。いったんついたライトの守備から呼び戻され、三塁ベンチの前で総出のハグが出迎える。球場みなが泣いていたのではないでしょうか。

彼を見たのはただ一度だけ、18年前、ヤンキースタジアムの三塁ベンチのすぐ上の席でした。そう、そのときも、彼は昨日の最後のようにライトから軽やかに小走りで戻ってきましたっけ。27才のイチローでした。

ロジャー・クレメンス

2001年、彼が渡米してまだ1か月の頃、開幕間もない4月24日のことでした。あの試合、イチローは僕の頭のなかでは1割ぐらい、関心の9割は1試合20奪三振を2回をやったロジャー・クレメンスにあったのです。その年の最終成績は20勝3敗、自身6度目のサイ・ヤング賞を受賞した伝説の大投手であり、今でも、彼を見られたことは野球の神様に感謝です。

クレメンスに対しイチローはショートゴロ、浅いレフトフライ、セカンドゴロ。打てる気配なし。前に飛ばすのがやっとに見え、体格でもはるかに見劣りするわけですから、「あっ、こりゃぜんぜん話にならないや、1年で終わりだな」と僕は隣の同僚につぶやいたのです。穴があったら入りたい。世紀のおおはずれでありました。

いまになってみて思うことがあります。あのクレメンスの高めのボールは、かつて見た中でも恐怖を覚えるほどの剛球でした。それを見てビビらない、打って手が痺れたに違いないが、どうしてここに来てしまったかなんて心が折れたりしない。それが彼だったのかなあと。いろんなことで何度もぽっきり折れてきた自分は、ああはなれないと思い知りました。

彼は天才だレジェンドだとポジティブな面ばかりが語られますが、ニューヨークでもフロリダでも、いつクビになるかと思ってプレーし、去年からは1年間、マリナーズで試合には出られない契約をして、それでも出る準備だけは怠らなかった。それはそれは孤独で辛かったろうと思います。でも折れない。好きだからできると言ってしまえば簡単ですが、午前零時から1時間半のインタビューを聞いてみて彼も人間なんだとほっとしましたけれど、でもそういうことが淡々とできる人なんだということに強い感銘も受けました。

それから解放されてみて、初めてできること、ひょっとして意外なことが出てくる人でしょう。本当に楽しみですね、それが何かということが。

 

イチローさん、1時間で帰っちゃいますね

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Categories:野球

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