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「陰謀論だ!」という陰謀論について

2023 FEB 26 22:22:35 pm by 東 賢太郎

陰謀論というのは陰謀のことではない。何らかの事件が発生し、「その裏には陰謀があったに違いない」と疑義を唱える企み、行為のことをいう。

そこで、陰謀を練った方を「陰謀側」、「陰謀があったに違いない」と疑義を唱える方を「懐疑側」、どちらでもない者を「中立者」と呼ぶことにする。

「陰謀側」は世論操作によって多数派を占め、少数派の「懐疑側」を貶め、侮蔑する含みを持って否定するのが一般的だ。

ところが、「懐疑側」が挙げる証拠に信憑性のある場合は、だんだん多数派の数が減っていき、やがて、「陰謀論だ」と批判する「陰謀側」の行為の方がむしろ陰謀論に見えてきてしまうという逆転現象がおこることがある。

特に、「懐疑側」の証拠の信憑性が科学的である場合、反論を試みれば試みるほど「中立者」に非科学的な印象を与えて不利である。よって「陰謀側」はあらゆる手段で懐疑を無視し、封じ込め、脅し、抹殺することに全力を傾注する。

ところが、それが全力であればあるほど陰謀の露呈を恐れていると「中立者」には見え、陰謀の存在がより強く推察されてしまう。このジレンマを避けるため「陰謀側」は行為後にすみやかに科学的証拠を隠滅することに全力を尽くす

万一、証拠が残ってしまった場合は、論争の途中で意表をついて、自らの陣営が「懐疑側」に組して見せることで、「中立者」の目に、あたかも別の「陰謀側」がいたかのようにふるまう “分身の術” を弄することがある

分身を演じる者がうまく立ち回って「中立者」の支持を得た場合、そちらに合一してしまうことで「フェイクの懐疑側」となり、「陰謀側」に疑義を呈して裁くふりをすることで虚偽の真犯人をでっちあげることができるからである。

分身を演じる者は必ず「陰謀側」の一味であるから陰謀の全貌を絶対に明かすことはない。単なる「おとり」であり、「中立者」をミスリードする「レッドへリング」にすぎない。従って、支持はせずに無視しておけばやがて自ら消える

分身の演技に疑義が持たれる危険性がある場合、「陰謀側」は「第三者委員会」という名称の分身を組成して演技を続行する。第三者性の不在証明は致命傷になるため徹底管理される。この場合は「中立者」の眼力が問われる。

科学に疎い「中立者」が大多数である場合、宗教、憎悪、憐憫など情緒的根拠を針小棒大に報道することで科学的論理性を糊塗する戦略は有効である。論理は経年劣化しないが情緒はするので、「なかったことに」で封印できるからだ。

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