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カテゴリー: ______プロ野球

令和3年10月18日、阪神・広島戦の大誤審

2021 OCT 19 15:15:27 pm by 東 賢太郎

これは100%ヒットである

「球がグラブに入る前」か「いったん入った後」かが判定できないが、前者ならワンバウンド捕球、後者なら落球である。この2つ以外にこの写真が示す状態が発生することはあり得ない。従って、板山選手は直接捕球しておらず、アウト判定は100%誤審である。

しかしビデオでは100%とまでは言い切れない。ここが問題だった。

TVで流れた別角度の映像でも判定は微妙だった。リクエストの検証で審判団が確認したのも同じ画像であり、だから僕はこの誤審は仕方ないと思う。しかし、そう思わない人もたくさんいるだろうし、現にこうして証拠写真がネットばらまかれて誤審が証明されてしまうとプロのジャッジとして権威がなくなる。審判員の方々も大変だと思うがIT化は世の流れなのだから前向きに対処していくしかないのである。

問題はそこではない。アウトのコールを至近にいた2塁または3塁の塁審が即座にしたか否かである。コールがあれば1塁走者はゲッツーだから即座に帰塁する。ところが走者はそうしておらず、阪神の野手も確信をもって1塁に返球してはいない。ビデオには映っていないがアウトコールがはっきりせず、もしくは出たのが遅かった可能性が非常に高い

佐々岡監督はまさにその点(塁審の判定の遅さ)について球審に抗議したが、その是非の検討はなくそのまま試合が再開した。問題はこちらの方である。「塁審のコールは必要なく、走者は自分のリスクで走塁せよ」ということならば結構だ。そう説明してこの事例を「判例」にすべきである。すると紛らわしいコールは不要だから現場は「しないでくれ」「しても見るな」となるだろう。

本件でいうなら、まず板山の捕球コールの是非、かつ、帰塁をアウトとした1塁塁審のコールの是非の2つを必然的に同時にビデオ判定することになるのである。

つまり、審判の権威はのっけから奪われ、若い世代の目からすれば、「なぜ目の悪いおじさんが決めてるの?」「そんなもんで私たちが一喜一憂しなきゃいけないの?」「審判はいらん、ロボットにしろ」となってITの浸食が進むのである。それを望まないのであれば、塁審が板山の捕球のアウト判定を「即座に」しなくてはならないのは自明だ。

したがって、本件において、「塁審の判定の遅さ」につき、捕球のアウトセーフとは全く別な問題として抗議があったにもかかわらず、「その是非の検討はなくそのまま試合が再開した」ことが大誤審なのである。佐々岡がNPBへ意見書を提出するよう球団に要望した行為はまったく正しいものとして擁護する。

 

 

 

 

番狂わせだったヤクルトとオリックス

2021 OCT 4 17:17:34 pm by 東 賢太郎

ことし3月27日の僕のセ・パ順位予想である(中島さんの記事にコメント)

①阪神②巨人③広島④中日⑤ヤクルト⑥DeNA

①ソフトバンク②楽天③ロッテ④西武⑤オリックス⑥日本ハム

現実はこうだ(10月4日現在)

①ヤクルト②阪神③巨人④中日⑤広島⑥DeNA

①オリックス②ロッテ③楽天④ソフトバンク⑤西武⑥日ハム

どっちも5位予想だったチームが首位、大・番狂わせだ。個人的にはロッテに勝って欲しいのだが、先日のオリックスとの直接対決の3連敗が痛い。特に2つ負けて落とせない3戦目、2点勝ち越してほっとした9回二死から守護神・益田直也が打たれたT-岡田の逆転3ランには降参だ。オリックスの強さは伊達じゃないのである。ソフトバンクの低迷も想定外だし楽天も戦力の割にぱっとしない。パリーグはあんまりわからないが中島さん、西室兄に聞きたい。

セ・リーグは昨年最下位ヤクルトの大躍進につきる。まずオスナ、サンタナだ。コロナで4月末に合流したが、オスナはもう初戦から嫌なのが出てきたなと思った。次いで塩見である。だいぶ前から僕は恐れていて、なんで巨人は廣岡をとったのか不思議だったが、やっぱり開花してしまった。センターで打率3割で本塁打12本で長打率4割で20盗塁してOPSは8割台、こんなのが1番にいて2番青木、3番山田、4番村上、5番オスナ。この打線の「圧」は半端じゃない。

先発投手は小川(8勝)、スアレス(5勝)、石川・高梨・サイスニード(各4勝)、原樹理(2勝)はいいとして、高卒4年目の高橋奎二(3勝)が出てきて7枚目。巨人のローテ投手・田口は中継ぎに降格である。ところがこれで終わりでない。今年初勝利をあげた高卒2年目の奥川が8勝していきなりエース格になり先発は8枚、さらに驚くのは19年に楽天をクビになった今野が中継ぎで何と7勝もしており、しかも、8回の男には昨年の最優秀中継ぎ投手・清水がいる。後半でいかに勝ち切ってきたかを物語ってる。

クローザーにマクガフ、石川と奪三振率10が2人、中継ぎも清水、今野、梅野が9~10と、投げるボールが大変強力で打てそうに見えない。三振を取ればいいというわけでないのは先発の話で、前に飛ばさせないということだから1点を争う後半の投手は取れるに越したことはない。奪三振率9とは1試合完投して平均して9奪三振という意味だが、9以上がこんなにいるのはヤクルトとソフトバンクしかない。名クローザーで飯を食った高津監督の手腕であること疑いないだろう。

カープは阪神に3連勝していい感じで戻った広島でヤクルトに3連敗。阪神ファンにお詫びしないといけない。問題は7,8回の中継ぎ投手だった。ケムナ、島内、コルニエル、いずれも150キロ出る才能は認めるが、そろって制球がだめである。極めて甘い。しかも、毎度毎度、高めに抜けた変化球を痛打されてるのにぜんぜん学習しない。矢崎もそうだ。どうしてカープはこういう1軍半ばかりになってしまったんだろう。本人もそうだが捕手もコーチも学習しないのか考え方の問題なのか。まあ、こっちも番狂わせだったカープのことは別稿にしよう。

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中日ドラゴンズ・木下雄介投手のこと

2021 AUG 8 14:14:09 pm by 東 賢太郎

外出はまったくしないことにしているが、先月にひとつだけ禁を破って某著名企業の新社長T氏と会食する運びになった。氏が慶応のラガーマンであることは周知である。ひとしきりその話になったはずみで「東さんは?」「野球しかやったことないです」となり、しばし間があって、眼をじっと見ながら「ガチですか?」とくる。さすがだ。ガチの人しかそういうことは聞かないから。「ガチです」。眼を見て答える。ラグビーも野球もない、それだけであの “キツくて理不尽な体育会の世界” をくぐりぬけた同志という感じになる。

中日ドラゴンズの木下雄介投手のことを書きたい。彼は駒大で肘(ひじ)を故障して1年で中退、大阪でアルバイト生活を送り、フィットネスジムのトレーナー、不動産会社で営業の仕事を経て徳島インディゴソックスで復活、育成選手枠1位で中日に入団した速球投手だ。僕は肘を故障した自分とどことなく重なるものを感じ、やった者だけが知る ”あの” 苦しみから不死鳥のように蘇った彼をずっと応援していた。

人生最大のトラウマだ。あれでメンタルが強くなったなんて負け惜しみを言ってる自分がみじめでしかない。あれだけは消えてしまってほしい・・・いまでも夢に出るシーンがある。投げてるのに痛くない。目が覚める。寝ぼけまなこで「ほんとうならいいな」としばらく願っている自分がいる。しかし、肘を伸ばしたまま左右にひねってみると、やっぱりその箇所がかすかに痛く、肩は怖くて寝返りを打てないポジションがある。

肘をやった当初は投げられないし、バットも振れない。ショックで何とかならないかと母に相談し、整形外科へ通い、電気治療もしたし鍼灸師にハリを打ってもらったりもしたがだめだった。高2の夏の前だ。チームの空気は暗転し東京大会は初戦で負けた。3年生には土下座して謝りたい、本当に申し訳なかった。背番号は1番から2桁に降格になり明けても暮れても走るだけの悶々とした日々を送ったが、秋には少し良くなって、球速は落ちたが投げられるようにはなった。ところが、肘をかばって無理に投げたせいか、秋になって今度は肩をやってしまった。直観的にこれは致命傷だと感じ、運命を呪った。

木下は今年一軍に定着が期待され、3月21日に日ハムとのオープン戦の8回に登板した。そこで、試合で肩をやったらしいということを記事で知った。肘、肩の順番が僕と同じであり心配だったが、そのシーンは怖くて画像を見ないまま今に至っていた。そして昨日のことだ、それをyoutubeでとうとう見ることになった。言葉にならない衝撃を受けた。(ここに貼るのは控えます)

僕が肩をやったのも試合中だった。投球の寸前に肩甲骨に異常を感じ、肩にビリッと激痛が走り、投じたボールは右打者の頭の1メートル上あたりを通過してバックネットにぶつかった。とっさに驚いて逃げた打者の姿をはっきり覚えている。監督が飛んできて交代を告げられ、1塁側ベンチで後輩の投球をボーっと眺めていた。やっちまった、どうしよう。悔しい。そんな思いがぐるぐる渦巻いていたのは覚えている。そして、そこからは、何も覚えていない。相手がどこだったかも。球場は南武線の矢野口にある九段高校の尽誠園だった。そこのマウンドで野球人生は終わった、記憶はそれだけだ。

問題のyoutubeで木下投手が平沼選手を三球三振に取った2球目、3球目を見てほしい。ため息が出るほど素晴らしいストレートだ。僕の大好きな球、憧れの球、何度見返しても元気をくれる球だ。藤川球児が自分のようになれるとエールを送っていたのはこれだったのだ。そして次の浅間選手の4球目に突然 “それ” は起きる。そして僕はトラウマが蘇り、しばし固まって動けなくなった。なんとかビデオを止め、やがて涙がぽろぽろ出てきた。これはもう厳しいのだろうか、でも彼の野球は職業だ、奥さんも2人の小さいお子さんもいる・・・・

ピッチャーというのは天国と地獄が隣り合わせのポジションだ。こんなにハイリスクなんだけど、やった者しかわからないウルトラ・ハイリターンがあるからやめられないのである。木下投手は僕なんかの千倍もそれを味わう才能と実力があったし、恐らく人知れない凄まじい努力をしたのだろう、その結果、地獄から這い上がってそれをついに掴み取った。それだけでもまぎれもなく超一流の男である。そして、もっともっと凄いことだが、彼は体がぼろぼろになるまでガチでそれをやり遂げたということなのだ。

このビデオを見ることになったのは、27才の木下投手の訃報にびっくりしたからだ。とうとう勇気を出して見ずにはいられなくなった。これ以上言葉もないのでここで本稿は閉じる。再々復活に向けて勇躍してランニングを始めた姿が中日ドラゴンズ球団のビデオにはある。怪我した者の星として応援したかった。多くの野球ファンに勇気と希望を与えて下さった。心からご冥福をお祈りします。

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浜口投手の悔し涙は一服の清涼剤

2021 APR 3 0:00:16 am by 東 賢太郎

横浜DeNAベイスターズが広島カープに敗れて球団ワーストの開幕7戦勝ちなしとなった。先発の浜口は開幕投手だったが巨人に3回6失点でKOされ、今日は2度目の先発だったが2-0でリードされた6回で代打を送られた。左足に張りがあったせいだが、それでも踏んばって堂林から三振を奪っていた。

驚いたのは浜口投手がベンチで泣いていたことだ。6回で2-0など、まだ全然敗けてるわけでない。そうではないのだ、投手出身の三浦新監督の信頼にこたえられなかったからだろう。昨日のヤクルト戦は4回までに11点取りながら中継ぎが打たれて引き分け。エースとして期するものがあったに違いない。

思えば最近は甲子園で負けても泣かないチームがある。笑顔の子すらいる。別に泣けというのではない、ラグビー精神でノーサイド?美しいね、でも野球だよねと思うのだ。甲子園の土は持って帰るが、なんとメルカリで売っていたりする。おい、そーじゃねえだろう。そう嘆いてしまう僕は古いんだろうか?

浜口を見て解説者が「良く投げましたよ、クオリティスタートですし」なんていう。おい、そーじゃねえだろう。相手はゼロに抑えてるんだ、なにがクオリティだよそんなもん、日本語で言ってみろよ、浜口に無礼だろう。だから「今日は自分の仕事ができました」なんて奴が出てくるんだ。

思えば最近は乱闘もない。かねヤンみたいにぶん殴ったりスパイクで蹴ったりしたら今どきは傷害罪で告訴されかねない。ケンカしろとは言わないが塁上で走者と野手と談笑するなど応援してる客に背信行為だろう。なんだよ仲良しクラブの野球大会かよ、そんなんで金取るなよ、八百長ねえのかよと思ってしまうのだ。

野球は格闘技じゃなくなったのだ。そりゃそうだ。巨人を見たらわかる。投手(井納、野上、大竹、高梨)、捕手(炭谷)、一塁(石川)、二塁(中島)、三塁(ウィーラー)、遊撃(廣岡)、左翼(陽岱鋼)、中堅(丸)、右翼(梶谷)と他球団からの引っこぬき組でそこそこの一軍チームができちまう。

これで塁で話すなといっても無理だ。引っこ抜かれたのは広島、ヤクルト、DeNA、楽天、日ハム、オリックス、西武、ソフトバンク、ロッテの9球団だ。セリーグの3つは金欠トリオ。分が悪いと主力(丸、梶谷、井納、昔のラミレス、ペタジーニ)を抜くWパンチ戦略の餌食になってみな翌年凋落している。

巨人が球界の盟主だ、横綱だと「常勝巨人」を作る裏工作丸出し。フェイクの横綱であっても勝つと気持ちいい。そういうコアな巨人ファンは確かにいるが、もう多数派ではない。今年の開幕戦「巨人×DeNA」の視聴率は史上最低の8.8%だったらしいが、要は、もう8.8%しかいないということである。

そこで対応策のつもりなのか解説席に芸人を入れたりしてると聞く(僕はそんなものは1000%見ない)。コアな野球ファンが芸人の解説など聞きたいはずがないだろう。つまり、そんなことをすれば、野球観戦にリピーターとして金を払ってくれる一番信頼できる客は、断言するが、確実に逃げていくのである。

マスコミの質、それこそクオリティの問題以外の何物でもないが、ひいてはプロ野球界の問題になっていくのだから野球を心から愛する人間として看過し難い。浜口投手の悔し涙は一服の清涼剤であった。浜口くん、すばらしい、そういう男は伸びるぜ、これからも応援するぞ。

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球春到来2 《阪神は優勝候補である》

2021 MAR 6 22:22:07 pm by 東 賢太郎

黒田が戻って来て広島カープは3連覇の底力を得たが、もうひとつその威力を増幅する素地があった。それは菊池涼介というスーパープレーヤーの存在だと僕は思っている。菊池の守備は敵を驚かせ、意気消沈させる。野球はひとりじゃないというが、あそこまで図抜けると充分ひとり。黒田、菊池とその「図抜け」が2人もいた。

おととい阪神がソフトバンクに4-0で勝った。まだオープン戦だよ、しかも始まったばかりだ。そうも思ったが、内容はなんだこれは何がおきたんだ?というものがあった。西、藤浪、馬場、小野で完封。14点取って中日を粉砕したSB打線は5安打で外野にまともに飛んでない。

まず、藤浪が4回無失点である。内容はいろいろあったが、もうトラウマから完全復活したことは顔つきを見ていて確信した。甲子園を春夏連覇し、決勝戦は2安打完封した男だ、生き返ったらマー君に匹敵する。一人目の図抜けた男になる。

もうひとりいる、3番に座って石川からあっさりホームランを打った新人の佐藤だ。これはすごい、ホームラン20本ぐらい打つんじゃないか。おっさん顔でもう4,5年目の風格すら漂っているじゃないか!2年前、最下位予想が多かった阪神が3位と大健闘したのは近本がセ・リーグ新人安打記録、盗塁王を獲得していきなりブレークしたことが大きいが、佐藤のインパクトはもっと上になる気配がある。

そしたら今日も3対1で勝った。SBを2試合で1点に抑えた投手陣は侮れない。しかも新人ドラ2の伊藤が好投だった、左だしこれは使える。去年は先発がいまいちだったが、そこに藤浪とチェン・ウェインが加わる。とすると、西勇輝、秋山、髙橋遥人、青柳で6枚そろってしまう。去年は抑えにセーブ王のスアレスがいて救援防御率はたしかセリーグ1位だ。これは掛け値なしに12球団でもトップクラスの投手陣である。打撃はホームラン王を争った4番大山がいる。

唯一の問題は守備だ、去年は要所要所でポロポロやってとってもヘタクソだった。しかし本塁の挟殺などSB相手に位負け感がなかった。これも不気味である。梅野は見ていて甲斐より存在感があった。キャッチャーは強いチームに不可欠だ。センター近本は合格。あとは糸原、木浪の二遊間だけ。それさえ締まれば巨人を倒す力はある。パリーグがSBなら日本シリーズは巨人より勝つ見込みもある。

阪神以外には巨人は楽勝であり、田口を苦手左の練習相手にヤクルトにくれてやる余裕すらある。DeNAは主力二人を抜かれてまんまと弱体化された。丸を抜いて広島を潰した姑息な手だ。阪神がんばってくれ。

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野球は何といってもキャッチャーで決まる

2020 DEC 4 0:00:55 am by 東 賢太郎

日本シリーズを見ていて、甲斐は嫌だなあと思った。それは大昔に試合をして、ああいうタイプのキャッチャーが後ろにいる時のことを思い出したからだ。ウルトラ勝ち気のオーラをバリバリ出してペースに巻き込もうとする。基本的に嫌な奴で運動神経抜群で野球IQが高く、肩が良くてリードが攻撃的で、たとえば俊足巧打の日ハム・西川が言ってたが、打席に立つと甲斐は「お前には絶対に打たせんからな」なんて威圧もしてくるようなタイプだ。完封されて、ピッチャーよりもキャッチャーを覚えてる試合すらある。

見ていて劇的にそうだと膝を打ったゲームが、ヤディア・モリーナ捕手ひとりにかき回されてプエルトリコにやられた2013年のWBCだ。例の内川が刺された試合だ。ピッチャーなんか全然記憶にないが、モリーナは名前まで焼きついた。監督が試合に出てるようなもので、あんな奴がいたら盗塁はおろか打席でもややこしいだろう。NPBだとまず野村さんなんだろうが全盛期は知らないので、やっぱり古田か。でも性格も含めてスッポンみたいに嫌らしいなという感じは谷繁だと思う。その3人がいたころの南海もヤクルトも横浜も中日も優勝している。野球はキャッチャーが決めるのである。

キャッチャーは面とプロテクターとレガースを装着するからまるで剣道だ。くそ暑い夏はユニフォームだけでも気絶するほど暑くて地獄だろうが、1球ごとに屈伸し、内野ゴロは1塁まで全力疾走する。それだけでも2倍は疲れそうなのに、ベンチのサインを確認して、全球ピッチャーにサインを送り、盗塁を阻止するためピッチャー並みの速球とコントロールを要求され、本塁をブロックし、急所直撃の激痛に耐え、内外野への指示やサインプレーを一手に行う。そのうえでバッターを幻惑までしにくるんだから、スッポンというか、8本足のタコみたいなイメージすら僕は持っている。他のポジションと決定的に違うのは、アホでは絶対にできないことだ。

シリーズで甲斐は巨人をがっくりさせるホームランを放ち、これであいつますますノルなという無言の圧を相手ベンチに与えた。野球は流れがあるとよくいうが、キャッチャーがそれを作るとプレッシャーが倍加すると思う。巨人の打者の弱みを半端でなく見抜いていて、千賀、石川、ムーアの快投を引き出したなんて月並みなレベルじゃない。岡本など初日にバットをへし折られて4試合金縛りになってしまったし、坂本は強いといわれるインサイドを逆に責めまくって外角のスライダーを腰砕けにさせた。丸もほぼ同じ手でひねった。栗原、中村の与えた衝撃も大きかったが、やはりシリーズ通してグラウンドを支配したのは甲斐だ。彼は賞をもらえなかったが、個人的には堂々たるMVPだったと思う。

僕のへぼ野球の話で恐縮だが、なんだかんだ入れると10人ぐらいのキャッチャーと組んだ。アメリカで受けてもらったドン(ドナルド)はデカくて、カーブを彼の顔めがけて放ると外角低めに具合よく決まって楽だった。いい奴なのでいくら首を振ってもOK、あの大会はそこそこ自分で考えて投げて楽しかった。何といっても凄かったのは天下の広商の吉原さんだ。社内大会だったが野村証券は甲子園経験者もいてレベルが高かった。ぐいぐいリードしてくれ、サイン通り投げて何も考えることがなかった。しがない二流投手の球を使ってあれよあれよで1安打完封し、以来野球はキャッチャーだと確信してる。

パリーグで日ハム、オリックスが下位なのはキャッチャーがいま一つのせいだ。いい例は西武で、森が不調だから今期はだめだったのである。楽天が浅村まで取って勝てなかったのもそれだ。ロッテは田村の打力向上を期待したいが、新人の佐藤も期待できる。セリーグもヤクルト、DeNAが判で押したようにだめで、阪神は梅野の肩と勝負強さ、中日は木下の台頭で救われた。巨人は阿部の穴が埋まらず大城のリードは素直で嫌味がまったくない。それでも優勝したのは他が弱すぎただけだ。さて肝心の広島だが、石原が引退し、曾澤が安定し坂倉が伸びてきたので5,6年は安泰だ。それでなんぼなんでも5位はないだろう、いかに投手陣が勤続疲労で瓦解したか物語る。

こうしてみると、あと3年ぐらいは甲斐がダントツであり、ということはソフトバンクがもう3連覇はするだろう。球界の盟主はもう巨人ではない。

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交流戦やめるなら日本シリーズもやめろ

2020 NOV 23 23:23:43 pm by 東 賢太郎

(1)野球ファンとしての怒り

僕はカープ、マリーンズのファンですが、それ以前に、野球ファンです。だから最高レベルの野球がみたい。スポーツは万人がやって楽しむものですが、それでも年に何回かは、自分たちでは想像もできないハイレベルの人たちのプレーを見て楽しみたいものです。プロ・スポーツというのは、我々民衆のそんな願いをかなえるところで成り立っていると思います。

だから本当は、日本のプロ野球(NPB)の外人枠をなくしてほしい。全員アメリカ人でもOKです、野球がうまければ。しかしそうならないのは、日本の野球少年の夢舞台という役割もあるからで、甲子園大会には外国の高校も外国人もいれませんが、その国民的(国粋的)という部分と連続性がなくなるからでしょう。だからNPBは「ニッポンの最高峰の選手に少しのガイジンを加えた野球リーグ」であって結構と思います。

ところが、去年の8月に東京ドームでロッテ・日ハム戦をみて、こういう感想を持ったのです。セリーグは「ニッポンの最高峰の一翼」なんだろうか、ドラフトで機会均等なのになぜセ・パでレベルに格差が出てくるんだろう、それだと国際的に日本の野球は永遠に「最高峰」になれないのでは?ということです。

NPBの謎「パリーグの方が圧倒的にレベルが高い」 | Sonar Members Club No.1 (sonarmc.com)

パリーグの公式戦というと5年前にペイペイドームでみたのとこれと、10年で2つだけです。そこで、びっくりして書いたわけです。

ところが、すっかり忘れてましたが、2015年にこれがありました。考えるまでもなくびっくりの原因はここに全部書いてありました。

なぜ交流戦は毎年パリーグが圧勝なのか? (sonarmc.com)

さらに、そこのコメント欄に故・中村順一がいいことを書いてます。

まったくおっしゃるとおりで、セは全球団、巨人、阪神におんぶしているんですよ。ハングリー精神が出るわけがないのです。反骨精神を中日、広島あたりに期待したいが、全然だめですね。そもそも交流戦についてもセは大反対しているんですよ。訳が分からん。再来年には交流戦廃止という話すらあるのです。12球団の所属リーグの入れ替えをやるべき時に来ている気がする。そもそも巨人中心にすべてが回りすぎ、腹が立ちます。

僕と全く同じ視点で憤慨しておるのです。中村は阪急ブレーブス以来のオリックスファンでしたが野球を愛してもいた。何度か一緒に球場へ足をはこびましたがそう思いました。

 

(3)「花相撲」と「村の掟」

プロの野球がどういうものかは知りませんが、毎日体を張ってるのだからガチンコだと心身ともに疲れるしケガの危険も大きいでしょう。大相撲もそういうなれ合いの中で八百長が出たといわれます。あらゆるスポーツで八百長は絶対に許されませんが、ここで論じたいのは「花相撲」という概念なのです。若い人には耳慣れない言葉でしょう。こういう意味です。

花相撲とは大相撲における勝敗が番付や給金に反映されない興行のことであり、巡業、トーナメント相撲、親善相撲、奉納相撲、引退相撲などのことを言う。取り組みのほか初切、相撲甚句、横綱の綱締め、歌謡ショーなどのアトラクションが開催される。また、これから転じて他競技の類似のもの(プロ野球のオールスター戦など)を、通常の公式戦などより真剣度が薄い・優勝争いに関係しないという意味で花相撲ということもある。(wikipediaより)

勝敗が番付や給金に反映されない興行なのに相手をケガさせてでも勝つ気迫でガチンコ相撲を取る力士は少ないという意味では、花相撲は「手加減」ある取組です。しかし、そこはプロだからプライドがあるし、そう見えないぎりぎりで会場を沸かすことはできると思うのです。NPBのオールスター戦でも江夏の9連続三振など真剣勝負があったわけですから、花相撲はかならずしも「手抜き」とはいえず、もちろん八百長でもない。でも、断じてガチンコではないのです。その中間にあるふわふわしたゾーンで、プロの技術が無くてはできないが、それがあればたぶんできる、プレーヤーの暗黙のグレードダウンの了解です。

たとえばメジャーでも「大差がついたら盗塁しない」という暗黙の了解ゾーンがあり、何点差なら「大差」かは不明ですが、走っても記録員が盗塁にカウントしないから球界のルールでもあります。ふわふわしてるのです。一見すると「大人げないことするなよ」という紳士協定ですが、「投手にぶつけられたらぶつけかえしていい」という報復ルールもあって、そういうものぜんぶが「プレーヤーの暗黙のグレードダウンの了解」になっている。つまり、選手が了解して怪我せずに安心して食っていくための「村の掟(おきて)」のようなものです。

破ったら死球という「私刑」が認められ法律にもルールにもなりようがないから、やむを得ない場合はコミッショナーが「成文化」する。その例が「コリジョン・ルール」です。あれは危険だ、選手生命を脅かす、捕手がそう思って自分はブロックを辞めても相手がやれば試合に負けます。ビーンボールもそうで、内角をえぐらないと強打者は抑えられないが死球は凶器にもなる。お互いに使いたくはないが相手をびびらせる「抑止力」になるというのは、まさに、第2次大戦後の軍事力均衡における「核の抑止力」とそっくりです。

セ・パの問題で考えると、セリーグはどちらかというと核廃絶国で、パリーグは抑止力としての保有国という感じがします。もっと簡単にいえば、巨人戦利権で労せず食っていけるセリーグは「金持ち喧嘩せずの老舗企業」、それがない裸一貫からのパリーグは「上昇志向むき出しのベンチャー企業」というところです。「喧嘩せず」路線を行けば、勝負へのこだわりやアスリートとしてのモチベーションは鈍ります。だから本質は喧嘩である野球は弱くなります。選手は機会均等のドラフトで選ばれれるのだからセリーグに入った選手の資質の問題ではなく、リーグや球団経営者の考え方、文化、教育姿勢の問題のはずです。

 

(4)セリーグの「村の掟」

僕の結論です。2015年に書いた以下のことは、セリーグの「村の掟」なのではないかと思います。セリーグが花相撲をやっているとまでは申しませんが、交流戦でどんなにパリーグに負けようが何も実力をキャッチアップしてない現状を踏まえると、あくまで選手のマインドの中のことではありますが「番付や給金に反映されない興行」に近い精神で試合が行われる場合があるのではないかと勘ぐらざるを得ない。去年あんなにソフトバンクにボロ負けしても、「でも、俺達ジャイアンツだもんね」で終わってるのではないかと思わざるを得ないのです。

長距離砲は当たりはずれがあって育てにくいそうです。そういうリスクをとるなら堅実なアベレージヒッターをドラフトで取っておいて、大きいのは外人にまかそうとなる。

セリーグは打者も全力で振り回す人はあまりなくて、形を作ってきれいに打つタイプが多いです。ソフトバンクの柳田や日ハムの中田、西武の中村のような殺気、豪気を感じる若い人がいない。

セリーグの投手は外角の出し入れ主体、かわしの投球にすぐれているように見えます。パはずばずば本気で内角を突いてくる。打者が踏み込んでパワフルに振ってくるからそうしないと打たれるのです。だから「ケンカ」になってる。セリーグは内角は見せ球で勝負は外角、きれいに打ちとる感じです。

これ、ジャイアンツ人気で食っていける球団にはリスク回避的で合理的な戦略です。プレーヤーは、常に全力投球、マン振りのガチンコ・プレーより「形を作って」とか「かわしの投球」とかの方が楽だし、テレビを見ている素人にはプロっぽく見えるし、ケガのリスクが少なく選手寿命も延びそうだ。そういうことじゃないか?

つまり、掟は球団と選手の合意でできているから変わりようがないし、変えたくもないのです。そんなことをやっていれば素人は騙せても野球の神様はごまかせず、ガチンコをやってるパリーグとやればボロ負けするのは当然なのです。それでは経営も選手も困るので、

交流戦についてセは大反対している

という不可解なことが起きるのです。ファンは交流戦を楽しみにしている人の方が多いと聞きます。でも、セリーグの経営者はからくりがバレで批判されるのはまずい。そもそも、サラリーマンの球団社長に終戦直後からの長年の文化を変える勇気もないでしょう。

経営からすれば若手やスター選手は広告主や年間予約席オーナーへの営業マンとしても戦力ですから、北新地でこういうことになるのです。

「タニマチからの食事のお誘いや、OB会の接待など、阪神の選手は球場の外でも忙しい」(野村克也氏)

すると選手も他チームもこうなっていきます。

ちやほやされる若手は大なり小なり勘違いするそうです。こういう若手は才能があっても大して伸びないでしょう。ハングリーでないわけだから。するとその阪神と競って負けなければいい他チームだって、同じレベルの球団になっていくのです。

 

(5)セリーグに下る野球の神様の鉄槌

ここで今年の日本シリーズ、巨人対ソフトバンクの話になります。まだ2試合しか終わってませんがもう十分です。それほど、唖然とするほどひどいからです。

去年の10月、4連敗でシリーズを終えたあまりに不甲斐ない巨人に怒り心頭に発し、その怒りはセリーグにも及び、ここにぶちまけたのです。この2つはかなり読まれてますから、同じ意見の方が多いのではないかと想像します。

巨人弱すぎ、かんべんしてくれ | Sonar Members Club No.1 (sonarmc.com)

セリーグ弱すぎ、かんべんしてくれ | Sonar Members Club No.1 (sonarmc.com)

それが1年たって少しは解消したかと巨人に期待してました。ソフトバンクもケガや新旧交代で苦労しており、ロッテに並ばれてあわやうっちゃられる所まで行ったからです。

ところが、ふたをあけると差はもっと開いていた。第2戦の13対2です。こんなのがNPBの頂点を決める決戦といえるのか?

点差だけの話じゃありません。それはあくまで結果なんで。そうじゃなく、中身のプレーの話です。勝負事だから形勢というものがあります、その事です。

ずっとTVでみてましたが、いくつか、えっという場面があったのです。まず柳田のセンターライナーへの丸の反応です。距離も方向も大外れで無様に頭を越され、明らかにあんな打球は想定してない。そりゃセリーグの打球ならそうだね。

後半に守備固めで出てきた牧原の引っ張ったファウル。これが2つ目です。役回りは巨人なら吉川尚輝、田中俊太というところですが振りが完全に別物。牧原は(甲斐もですが)柳田なみに振ってます。体は吉川、田中のがでっかいのに。

3つ目。巨人の4番手、鍵谷投手です。唯一パリーグ並みの球威があり少しは抑えるかと思いました。しかし牧原に簡単にはじき返されると柳田に四球。上位打線の圧に負けて満塁となり、デスパイネに軽々と一発食らってしまったのです。

つまり、先発の今村があまりに球が遅く、タイミングでかわす投球はセリーグでは通用してたんですがなにせ全力のストレートが143㎞ですからね、そのあとだから鍵谷が速く見えた。でもパリーグではあっけなく「打ちごろ」なのでした。

試合は鍵谷が出た7回表で7対2です。巨人に5点差をはね返す気配は皆無。そこで出た満塁ホームラン。ボクシングならカウンターが入ってふらついた追い打ちにもう一発アッパーカットが決まったみたいで気の毒でさえありました。

高校野球では7回終了で7点差以上は実力差から逆転不能と認定しコールドゲームです。巨人は9点差の7回コールド負けだったのです。僕は高1の初先発で国学院久我山に9-0の7回コールドを食らいましたが、あの屈辱は一生ものです。

しかし、僕ら庶民レベルのことが野球界の頂点、日本シリーズであっていいのか?いいわけないでしょう。おそらく、みなその昔は高校球児だった選手、OBがいちばんわかってます、そんなの口が裂けても言えないってね。

あえて原監督の肩を持つとすると、今年の優勝は二流の戦力を使い回した監督力の賜物でした。同じマネジメントをする身として敬意を表します。しかしシリーズ1,2戦は何もできなかった。やる前に選手のボロが出ちゃったんでね。

 

6)交流戦やめるなら日本シリーズもやめろ

こんな試合を日本シリーズと称してやるだけで羊頭狗肉(羊の頭を看板にかけて犬の肉を売る)なわけです。交流戦は犬の肉がバレるからやめたい。それなら、国民的に注視される日本シリーズはもっとやめたいはずです。ということは1リーグ制です。弱い方であるセリーグはパリーグの二軍になるという結論しかありません。あるいは、セリーグで2年連続最下位のチームは潰して5球団とし、選手は現役ドラフトで5球団に移籍します。では6球団目はどうするか?もちろん、ソフトバンクの二軍を入れるのです。すぐAクラスになるでしょう。

花相撲でぬくぬく食えるという文化。巨人戦の視聴率の凋落で、地上波がなくなって久しい。もはや現実はそうではないのです。それでも遺産で食えてるうちはそれを改めようとしないのが大組織です。証券界もそうです。野村證券を出て16年になり現役はもう誰も知りませんが、それでも30才前後の若手に会うと野村だなと匂いでわかるのです。良くも悪くもいまだに文化は変わってないという証拠です。セリーグも、監督、コーチ、選手を入れ替えることはやる気にさえなればいくらでもできますが、球団に深く根付いている文化は当分変わらないでしょう。

セリーグの選手の皆さんは気の毒です。巨人がみじめに負ければもっと弱い球団というレッテルを張られるのだから。そこで二軍なんて全然尊敬されないし、現に巨人の二軍はプロ・アマ戦で中央大学に20点取られて歴史的大敗してる。そんなの悪いけどプロではないのです。であれば、球団の文化など無視して、ソフトバンクの育成選手並みに命がけで練習するしかないでしょう。女の子と遊んでる暇などないのですよ。それが嫌なら、若いうちにプロ野球選手は見限ってサラリーマンになることをお薦めします。いくらでも遊べるし65才まで働けるし、戦力外通告にびくびくすることもありません。年俸1億円はたぶんもらえないけど生活は安定しますよ。

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埋まってない巨人・ソフトバンクの実力差

2020 NOV 22 11:11:28 am by 東 賢太郎

甲子園に出たチームと対戦して感じたこと。はやい、でかい、うまい、だ。つまり、①投手も野手も球が速く②打者がでかくてスイングが速くて打球が飛び③守備は「わたし失敗しないので」でどこへ打っても捕られる感じがする。それ以外もいろいろあるが、その3つが「ヘビににらまれたカエル」になる3拍子であった。びびると相手は見透かしてきてのびのびモードになるからますます3拍子の差がついてきて、こっちはさらに押されて後半に四球とエラーが出てコールド負けになる。だいたいこんなパターンだった。

プロ同士でそんな差があるはずないが、ソフトバンク(SB)は①出てくるピッチャーみなパワーみなぎる150キロごえ②全員が危険水域のフルスイングで、3つの内の2つはもう満たしている。巨人は①タマふつう②ホームランの心配ない打者が複数いる、で既に威圧されている。これでのびのびモードに入られ、押された巨人にエラーやミスが出たりすると、3拍子が揃ってしまうわけである。そうなれば去年と同じことで、へたすると4-0のボロ負けコースだろう。

第1戦にもうその兆候を見てしまった。なにせ唯一頼みのエース菅野がCS無安打の栗原に2回早々の被弾でショック。さらに2本追い打ちのツーベースを打たれ2度のショック。岡本がバットをへし折られショック。丸が好機にごっつぁんのゲッツーでショック。中島が悲しい振り遅れ三振でショック。千賀を知ってるウィラーが速球にピクりとも動けぬ三球三振でショック。坂本がモイネロの奇怪なカーブに唖然の三振でショック。四球の周東が左腕高橋をコケにしたスタートで楽勝の2盗でショック、それを中村晃が技ありヒットで簡単に返してショック。

以上思い出しただけで10のショックだ。SBでつけこめそうなのはクローザー森のコントロールぐらいだが(ロッテ戦からそうだった)、ベンチにもショックが蔓延していたのだろう、最後の代打田中俊太は初球を当てただけで力ないピッチャーゴロ。ヘビ・カエルのこんなのはもうショックにすらならない。SBならレギュラーどころか二軍だろうというので戦っているということだ。菅野をおろした時点でベンチはショックをそれ以上受けさせないモードに切り替えた。戦線撤退だ。

なにせ4安打しか打てなかったのだからどうしようもない。まともに外野に飛んですらいない。悲しい力負けでまさしく①が焼きついたろう。省エネのセリーグにそんなピッチャーはいないし対策は当然練ったろうが、本番で千賀ー甲斐のバッテリーが予測を覆した。ロッテ戦を見ていて思ったがSBの強さは柳田のホームランではない、何より、数も質も圧倒的な投手力なのであり、8,9回はまず点が取れない。先発を6回までに崩して最低3点取るか、7回のセットアッパーを打つかしか勝つ道はない。それでも打線を3点に抑えないといけないが巨人に菅野以外でそれが期待できる先発はいない。その菅野が6回で4失点というのはもうシリーズ終わった感が満載である。

SBはバレンティンがかけらも通用せず内川が2軍だ。今宮も長谷川も上林も明石もスタメンから消えた。去年まで誰も打てねえと思ってたバンデンハーク、武田、甲斐野も消えた。それでこれだ。巨人は投手力のハンディを打線で挽回するしかない。今日の石川を崩せるかどうかがすべて。昨日のようにやられて2-0となれば3戦から3つは福岡だから電車道の4-0もある。丸は打っても相手を威圧する選手ではない、どうしても岡本、坂本が図抜けたことをやって威圧し返さないと嫌なムードが変わらない。

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藤川球児の「ウソのないストレート」

2020 NOV 14 2:02:57 am by 東 賢太郎

藤川球児の引退試合を見ていたら、阪神OBの掛布が「ウソのないストレートですね」と評していた。いいこというなあと思っていたらスクリーンに清原が出てきて「あの事件は球児は悪くないんです、サインを出したのは矢野監督だから」と笑いを取った。事件とは彼が巨人時代に藤川と真剣勝負の対戦となり、フォークで三振にとられたのを「男らしくない」と批判したらアウトはアウトだろと非難ごうごうとなったものだ。僕はこの非難を強く批判する者である。一流の打者である清原は二流の投手にそんな要求はしない。「ストレートを振っても当たらんかった」と評価した藤川だからこそである。

変化球はべつに「ウソ」ではない。誰だってなしにはマウンドで生きていけない。ただ昨今の風潮として野球は非格闘技の方向に向かっていて、コリジョンルールができて肉体の激突は消えたし乱闘もあまりない。投手は分業になって先発が6回を3点で抑えれば「いい仕事しましたね」なんてほめられる。これが気にくわない。仕事?なんだよそれ?「投手は完投」世代であり14回を完投したことある僕はアホかいなと思うのだ。「アウトはアウトだろ」は非格闘技時代の産物であるうえに、無駄なことはしないという合理主義のにおいがする。

村山対長嶋、江夏対王、清原対野茂、清原対伊良部、江川対山本浩、イチロー対松坂など思い出の名勝負はたくさんあるが、どれも格闘技だった。ピッチャーの本能としてはゴロやフライのアウトなど、そんなものは「邪道」であって、みな、ほんとうは三振に切って取って完膚なきまでに勝ちたい。なぜなら、野球少年はみんな速い球を投げたい。速いのでマウンドに立たせてもらった子はなおさらそう思い、でもできないのだ。

ところが、問題はここからなのである。

三振ならいいってもんじゃない。フォークやスライダーでも三振は気持ちいいが、そこで満足するかどうか2つに分かれる。変化球で取った三振はまだ「邪道」のうちで、ストレートで三振を取らないと王道でないと考えるかどうかだ。そこに何の合理性もないが、そもそも三振アウトを狙うことに合理性がないのだから、逆にそこで満足することに僕はもっと合理性を見出さない。王道でない三振を何個取ろうが、そういうピッチャーは中途半端なプライドで生きてるのであって全然評価しない。ケンカに勝ちたい男のプライドに合理性なんてものは微塵も存在しないのである。

藤川はトップのトップしか狙わないピッチャーだった。トップじゃないのである。えらい。偉大である。これがわからない人は「なんで2位じゃだめなんですか?」の蓮舫を批判するな。これを知ってるから清原はフォークに怒ったのである。残念な問題を起こしたが、いい男ぶりだ。こういう男が日本国から減った。野球だけでなく、世の中的に。

引退試合の1イニングは感無量だった。巨人の坂本勇人は最高の技術で軌道すれすれの下を強振して技ありの三振をした。条件反射で当てる本能を抑えてあれができるから2千本安打なのだ。四球になりそうだった中島裕之は顔の高さの球があたかも浮き上がって驚いたかのようなとっさの対応で豪快に空振り三振した。野球をやった者しかわからないかもしれないが、間違いなくそうだ。ちょっと安心した。まだ野球界にはこういう男はいたんだ。

彼らのスイングには「ウソのないストレート」で生きた藤川への「ウソのない敬意」がぎっしりと詰まっており、「いい奴らだなあ」と涙が出た。藤川投手、ピッチャーの中のピッチャーだ。たくさんのすばらしい三振をありがとう。

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今年のプロ野球、選手にも球団にもNPBにも深謝

2020 NOV 7 12:12:43 pm by 東 賢太郎

今年は開催すらどうなるかと思ったプロ野球。いよいよ大詰めですが、客も満足に入らないのによくぞここまでやってくれました。選手にも球団にもNPBにも深謝です。贔屓の勝ち負けもありますが、僕にとってはプロの野球を観られる喜びだけでも代えがたく、たくさん力をもらいました。

昨日は西武と楽天の試合です。まず岸投手のストレート。あれは誰だったかな、顔の高さを空振りさせたあの直球、一見美しいけれど、完全に崩れて無残に振らされた打者の姿ですさまじい威力があったとわかるあれを投げられる人がこの世に何人いるか。変な話ですが、150キロも出てないからこそいいんです。出てたらつまらない、僕は全然興味ない。これは美学の問題です。ぞくぞくします。その直球で押しまくって5回で9奪三振、CSがかかって気合十分の西武打線をねじ伏せてしまう(同じ立場にあるロッテも手も足も出なかった)。いなせで格好いいですねえ。

これはなかなか伝えにくいのですが、まあ眠狂四郎の円月殺法というところでしょう。チャンバラは勝てばいいじゃ面白くない。同じ1対1の勝負でも西部劇ならズドンでおしまいでしょ、あれアメリカですね、わかりやすいですね、でも日本人は円月なんてどうでもいいお作法を求めて感動する。美しく勝たないとだめなんでね。野球で円月殺法的に完全に自分のペースで「美しく」の余地があるのはピッチャーだけです。他はぜんぶ受動の瞬間芸で無理なんで、あえて野手がやったのは長嶋茂雄の送球の腕の見せ方だけですね、美しいというより珍しいから彼のトレードマークになりましたが。

美しく勝たないとなんてのはメジャーにない。岸みたいな投手はいないんです。なぜならいても馬鹿力で打たれるから不経済です。よってみんな100マイル出すか球を動かしたほうがいいとなる。従って、岸のような投手は打者との力関係であれが通用するぎりぎりの狭いゾーンにだけ生存します、つまり、あれで飯が食える「ハビタブルゾーン」はNPBにだけ存在します。これが僕の結論。だから、メジャーの方がレベルが高いのはわかってますが、そういう投手がいないのだからNPBしか見ないのです。ところが昨今はNPBでも賞味の対象が米国化していて、アマでも150キロ出たのフォークがお化けだと技とスペックを競う世界に変容。まるで体操かフィギュアスケートだ。僕はストレートが美しくないとピッチャーじゃないと思ってるんで難しい時代になってきました。

次に、引退試合となった楽天の渡辺直人。この人、どのプレーというのはないですが名前が強烈に焼きついてます。なぜかって、いい所で打つわ守備はうまいわ足は速いわクレバーだわで嫌だなあということで。野球がうまい人ってのはいるんです。プロだからもちろんうまいわけですが、彼は三拍子そろって全面的に格別にうまい。そういうものは記録には現れないし見た目にも地味なんですが、性格的なものも含めてショートにいるだけで安心だろうなという感じ。見送るナインの表情に現れてました。尊敬の念しかございません。CSがかかってる西武は手加減なしでそれで4打数2安打。今季初安打だったレフト線2塁打、あの見事な振りはなんだ!カープに来てやってくれとお願いしたい。

そして中日の吉見投手も引退試合。そうか・・とにかくカープは彼にやられましたね、谷繁とつるんで。とにかく嫌なところを絶妙に突かれてタナキクマルが手玉に取られてましたっけ。横で見ていてそう速さはないが打席で何もさせてもらえない投手。吉見はそれの全国最高峰、偏差値80の人という感じでしょうか。プロのように同じ人と何度も対戦という世界は想像がつきませんが、こういう投手にひねられて味をしめられると何度やってもヘビとカエルでやられる気がします。それを打って飯を食うって、投げる方も打つ方も実に凄い事であります。生まれつきの才能としか見えないコントロールとクレバーさで頂上レベルというと、僕の中では桑田と吉見ですね。

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