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カテゴリー: ______グローバル経済

理系の増員なくして日本は滅ぶ

2017 MAY 23 18:18:33 pm by 東 賢太郎

大航海時代まで世界の覇権はスペインにありました。海を支配し、新大陸を含む植民地、銀の産出という当時として絶対の利権を握り神聖ローマ帝国のハプスブルク家と姻戚を結んだというのは宗教的にも世俗的にも並ぶ者のない権力を持った、陸海を制しまさに日が沈むことがなかったということで、今の米国よりずっと優位だったのです。

これを島国の英国がひっくり返した。一気の戦争によるKO勝ちではないが、市民革命の時代までには判定ポイントで優勢となり産業革命に至って恒久的勝利が確定した。野球なら5回までに10点取られてノーヒットだったチームが勝ってしまった感じでしょう。世界史で空前の大逆転といえば僕はこれを挙げます。

スペインの敗因は複数ありますが、膨大な利権に甘んじてフロンティア、辺境で競り負けアメリカを取られたのが逆転満塁ホームランになったという見立ては衆目の一致する所。当時のフロンティア開拓はイコール海軍力であり、もともと海賊の英国は生命線としてその得意技に徹したのに対し、スペインは陸地の経営でも楽に食えてしまった。これがまずかったと思うのです。

つまり持てる者である大株主、地主となった。配当、家賃というキャッシュフローは安泰だから「攻め」の必要なし。防御型の人生観が支配的になります。かたや持たざる者はフロンティアで攻撃型にならなくては生きられません。そのどちらが強いか。自然界でいうなら無限に生える草(=キャッシュフロー)を消化できる草食獣は多産で個体数が確保できる限り牙も爪も必要なく、攻撃力は進化してません。三百年ほどで徐々に防御型となり草食化したスペインを、航海で牙と爪を研いだ攻撃型肉食獣の英国が食った、僕にはそういう光景と映ります。

現代において国力のフロンティアと目されているのはIT、AIの技術力です。軍事、情報、金融、生活関連産業すべての興隆がこれからそれに大きく依存するからです。70余年前、我が国は石油供給を止められて開戦に至りましたが、今や石油がないどころか国民が餓死していてもIT技術を磨いて核ミサイルを持てば攻撃はされない時代になったことがその証拠です。

IT技術のフロンティアで我が国がどこにいるか。これが不安です。日本は欧米が基礎研究した技術を民生用に汎用化するアプリケーションテクノロジーで筆頭の勝ち組でした。高度経済成長による国力興隆の背景はそれであり、その仕上げがいよいよIT技術に及んでIBM-日立事件が起きた80年代はそのピークだった。

80年代はバブル時代だとネガテイブに語る人もいるが、自虐史観の洗脳ここに至れりであって、日本人が我が世の春を謳歌し欧米を震え上がらせて何が悪いのだろうか。あれは敗戦で焦土と化し地にまみれた屈辱からフロンティアを攻めまくって勝ち取った大戦果なのです。

ところが今やそのIBMすら影は薄く、投資の神であるウォーレン・バフェットが「唯一の失敗はIBMを買ってアマゾンを買わなかったことだ」と認めるほどITの時代も急転回しています。我が世の春だった日本がITのアプリケーションにおいて "スペインの轍" をふみ、フロンティアを中国、台湾、韓国に猛攻撃されて主要な要塞はすでに陥落してしまったと感じるのは僕だけではないでしょう。

日経の記事によると米国シリコンバレーには三百万の住民がいますがうち40%が外国人で、インド、中国、韓国に比べ4万4千人の邦人は存在感が低い。世界のIT基本ソフト、ブラウザー、クラウドで二大巨頭であるマイクロソフトとグーグルのCEOはどちらも40才台のインド人であり、ペンタゴンが恐れるハッカー集団は中国人です。

フランスのマクロン新大統領は「経済成長と起業は不可分」とし、創業期の負担を減らす政策を強調しています。16年までの20年間、米国の成長が年平均2%に対しフランスは1%であるのは、起業家の成人人口に対する割合(TEA)が米国の12%に対しフランスは5%であることが原因であると危惧している、それは皆さんもう忘れたでしょうが、あのピケティという学者の講義を思い起こせば納得のいくことです。そして、これもご想像に難くないでしょうが、わが日本国も同じく5%であり、中国、韓国の半分以下であるのです。

(出所:野村総合研究所、平成28年3月)

日本人の特性として元来そうかどうかは議論がありますが、少なくとも徳川時代以降は「農耕民的防御型」で「キャッシュフロー安泰志向型」が国民の多数を占め、「フロンティア攻撃型」は少数派といえるでしょう。防御型=地主型=草食系がフロンティア攻撃型=肉食系に食われるのはすでに見た通り歴史に実例は枚挙がなく、かつて高度成長の牽引車であったエレクトロニクス産業が韓国、台湾に食い荒らされれている真因はここにある、すなわち防御型優勢でなくフロンティ攻撃型の起業家を増やさなくては国力に関わると考えるのはマクロン大統領だけではありません。

城の本丸が落ちようとしている危機に頼るよすがは優秀な頭脳と教育であり、大学こそが防御型に生まれついた人材を導いて世界のフロンティア攻撃型人材との戦い方を教えねばなりません。その人個人のためでもあるが、優秀な一握りの個人は国の助けなどいらず日本の大学を捨てて米国へ出ていく(頭脳流出)道がある。米国どころかヘタすると数年でシンガポール大学、香港大学、北京大学のほうが東大より起業に有利という時代になるのは、そこに関わる金融、証券の実務をしていると肌で感じることです。

だからこれは何より日本国の経済成長と雇用の継続のための問題であります。我が国の学校における起業家教育は世界最低レベルという事実があるからです。日本という「農耕民的防御型」で「キャッシュフロー安泰志向型」の土壌にはそういう教育概念すら存在せず、教えられる教師は実業界にしかいないという事情が背景にあります。

(同上)

はっきり言うが、日本の大学の経済学部は草食獣の学生に100年前の教科書を教えることが唯一の仕事である草食獣の先生の職場である。ここからは100年たってもノーベル経済学賞受賞者は出ないことは賭けてもいいでしょう。そんなものはもうフロンティアではなく、学問であれ実業であれそこでの戦争には無用だからです。もしそれを学んで卒業した学生が世の中で成功したとしたら、それはその人がもともと優秀だったというまぎれもない証左としては高い価値があるだろう。

本丸が落ちたS社とT社において、研究員、技術者、職工が無能であったと考える日本人は少ないはずです。だからこそ台湾のH社はSを買ったし、Tの半導体事業に海外からビッドが入るわけです。失敗の本質は100年前の教科書しか知らない先生に学び、高度成長期の国家的浮力に助けられた成功体験のみで育った、肉食獣の本能と生態系を良く知らない草食系経営陣(その多くは経済学部など文系)のまいた種によるのは衆目の合致するところです。

そしてそれを見た新聞の社説に「外資の傘下に入るのは決して悪いことではない」などと、これまた100年前の教科書の草食獣である論説委員が書く。ばかとしか思えない。マイクロソフトとグーグルのCEOはインド人でもガバナンスは米国にある。本社が日本にあって日本人が雇用されれば経営者は台湾人でもいいというのは奴隷国家の考え方だ。経済学部の先生は彼らにガバナンスと株式支配の意味を教えていないのだろう。

安倍内閣は大学まで授業料無償化というが、まったくの無駄です。高等教育は国家戦略であり、幼稚園の「みんな仲良く」の世界など存在しないのです。自身がそれが何の役に立っているか自覚できない(早い話がどうでもいい)文系学科卒である政治家の発想だろう。100%の子が大卒になれるならそんな教育はそもそも大学教育ではないから中学までで履修できるはずなのです。言ってることが自己矛盾だ。そんな金を使うなら東大、京大、国立理系大学(東工大、電通大)等の収容人員と実験等教育予算を倍増したほうがよほどいい。優秀な才能に国家の計で教育をする。留学生の頭脳も集める。シリコンバレーもすべてのIT産業も牽引車は最先端理系教育を受けた技術者なのであり、100年前の経済理論や帳簿の管理術やお金集めやセールスマンなど国家が教育しなくても商人道だから誰でもできるし、そこを台湾に譲っても日本は失うものはなしです。

文系はいらんという御仁もいますし僕も結果的にはそれに近くなります。近年の中国共産党中央政治局常務委員の指導者の学歴を調べると習近平(清華大学化学工程学部)、胡錦濤(清華大学水利エンジニア学部)、温家宝(中国地質大学)、朱鎔基(清華大学電機製造学科)、江沢民(上海交通大学電気機械学部)、賈慶林(河北工学院電力学部)、李長春(ハルビン工業大学電機学部)、曽慶紅(北京工業学院自動制御系)、羅幹(北京鉄鋼工業学院圧力加工学部)、周永康(北京石油学院)、賀国強(北京化学工業学院無機化学工業学部)、呉邦国(清華大学無線電子学科真空トランジスタ学部)と驚くべき理系王国であり、文系は北京大学法学部卒の李克強ぐらいです。

問題はこの中国共産党がどういう思考回路を持っているかということです。我が国の政治家の平均的プロフィールとは良くも悪くもかけ離れていることは間違いなく、どちらがいいということではないものの、文系頭では想像もつかない戦略を練ってくる不気味さを感じるのです。彼らはもちろん孫氏の兵法、三国志に通暁しており自己の生存のためには恩人も殺す曹操のようなことを平気でやるだろう。そのトップにある連中がサイエンス、エンジニアリングを自分で理解して国家戦略を練ってくる。数学・物理音痴の文系が理系を従える日本の行政と産業の支配構造は、楽譜も読めない指揮者が振っているオーケストラみたいなものです。中国共産党幹部は若い才能の発掘と教育に国運をかけるだろう。フロンティアでの攻撃型競争が才能を開花させることを当然の如く知っているだろう。

我が国が明治時代なみの理系文系なる無意味な区分のまま大学教育を改革せず、だから学生の知能指数で30位ということはまずない東大が大学世界ランキングで35位にしかなれない現実に目をつぶり、実社会で何の役にも立たないから留学生が来ない100年前の学問を先生の権威のために温存していけば、50年後には科学技術はもちろんITの関わるすべての産業でアメリカと対等のパートナーとなる中国に確実にぼこぼこにされるだろう。それしか優位性のない我が国は、したがって実質的に滅びるのです。新聞の論説委員おすすめの奴隷国家になるのです。そんなはずはない、モノづくり、匠の技は凌駕などできない。そう思う方はスペインと英国の覇権の歴史をもう一度勉強されるといいと思います。

そうならないための絶対の妙案はありませんし、もう遅いかもしれないと半分は思っていますが、私案として、全大学の学部を是々非々で要不要を検討し、予算総額は限りがあるので国家の百年の大計に添ったお金と教師と生徒数の再配分を決めるというのが最も合理的でしょう。この趣旨を説けば、高額所得者増税には反対の超富裕層は名誉と引き換えに大学に多額の寄付をしてくれるだろう。文科省天下りがいかんというのも一概にそうはせず、大学教員は派閥や各界余剰経営者の受け皿というサプライサイドの考えをまず一掃し、国に必要な学生を育てる能力があれば天下りでも外人でも何でもよしというディマンドサイドのポリシーから合目的的に改革をすればいいと思料いたします。

 

(ご参考)

脳内アルゴリズムを盗め

小保方氏に見るリケジョとAO入試

クラシック徒然草《フルトヴェングラーと数学美》

 

 

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将軍様はカネの臭いがわかる男である

2017 MAR 3 12:12:36 pm by 東 賢太郎

きのう12才下の後輩が来て、新しいことに手を出しちゃだめだという話になった。証券出身はつぶしが効いて全33業種を相応に知っている。しかしそれは耳学問で丁稚(でっち)からしてはいない。30代で小売業で起業して十余年、ちゃんと成功している彼にしてそういう言葉が出る。

彼も高校球児でホームランを何本か打ってる。でも最近始めた草野球でストライクが入らないとか2塁牽制はどっち回りでしたっけとかきいてくるのは内野手だったからだ。同じ野球でも丁稚からやっていないポジションだとそんなものなのだ。

運動なら丁稚はせいぜい15才までだろう。ハタチは遅い。わりと似ているといってゴルフも無理だ。「だったらまた野球やれよ、こっち7で本業3ぐらいで人にやらせてさ」という結論に至った。野球とは証券ビジネスのことだ。「なるほどですね」。体でわかってる人に説明はいらない。

かたや政治となると33業種ですらなく、何もわからない。友人が出馬したので09年に民主党を応援してしまった。衆議院議員さまとなったので教わって元大臣と食事までしたがやはりよくわからない。野党の田舎のプロレスは愉快な出し物だが、国会自体がプロレスの側面もあるだろう。お仕事の実況中継は与野党全員の晴れ舞台だ。特権階級共同体で役を演じている。

英国の議員さまのプレイはもう少し品よく、ドルリー・レーン劇場のお芝居であって、観客に階級があるから役柄がより見えやすい。かたや米国はそれがない建前だがロビイングがおおっぴらで族議員だらけ。見え見えの嘘の羅列で真意はとても見えないが国民性は単純だから落としどころはけっこう見えたりする。

そういうものだから政治家の言葉というのはエスペラント語みたいに意味不明なのだ。そしてその意味不明にうまいこと隠れて食ってる人間がたくさんいる図式は万国共通である。そこに運悪く出現してしまったのがトランプ大将軍さまだ。ツイッター直撃ミサイルの炸裂で、そういう連中のスポークスマンであるマスコミの嘘っぱちがばれてしまった。

大将軍は誰でもわかる言葉を吐く人類初の政治家である。あれを馬鹿だわからないと平気で言ってしまう日本のマスコミほど米国のマスコミは馬鹿ではない。徹底毀誉褒貶戦略で陥落できないとなると逆にすり寄るだろう。そうなったとき他国の将軍さまの品格がどうのとか、ヒマつぶし未満に完璧にどうでもいい発言で尻馬に乗っている連中は実は自分が失業の危機なのだ。

丁稚からやってる政治家が政治を語るなら嘘半分でもまだ聞くが、選手と焼き肉を食っただけのスポーツ新聞の記者がプロ野球の解説者という恥ずかしい図式はいい加減にご勘弁願いたい。まして英語もできないのがメジャーリーグの解説だ。それじゃ嘘がばれるので「専門家」なる者を連れてくるとソフトボールの選手だったりする。

歯に衣着せる必要のないネット民はましだが彼らの情報は国内に限った話で米国のことなど誰もわからない。僕もわからない。ニューヨークの友人に電話できいたって、じゃあ彼が僕に安倍政権の今後をきいて日本がわかるかってことだ。意味ない。つまり、その彼が米国通だろうと専門家だろうと個人の意見などウチの隣のボブがこう言ってました程度の話にすぎない。そんなものを信じてはいけないのである。

我ながら言ってる意味が不明になるが、しかしながら僕はトランプ将軍の言ってることだけは痛快なほどよくわかる。オバマやヒラリーの裏ありげで空虚なエスペラント語や嘘っぱちのマスコミの10倍ぐらい。彼が我々証券マンと同じほどカネの流れを基軸にものを考えてるなら説明がつく。自身の丁稚時代からの経験値がそうさせるのかゴールドマンが入れ知恵してるか。「ビジネスマンだから」と人はいうがビジネスマンは資金移動表など見ないことを彼らは知らない。

こういうことは投資判断に関わるのでソナー・アドバイザーズのブログにしか書かないが(トランプの噂も七十五日 )、自分の頭がその時点のベストな情報でどう反応したか復習するのは自分のリスク管理に大事で、さかのぼって自分の書いたものを時々読んでみるが、去年の6月、大統領選の5か月前に書いたこれが気になるソナー・ファイル No38(これから世界で起きること)

ここにいみじくもこう書いている。

根本的に世界をおかしくするのはヒト、モノ、カネの velocity の低下だ。私見ではこれが最大のリスクである。それを忌避するなら EU に参加料を払う意味がないし、脱退が続くし、EU の存在意義も消える。それはグローバリズムの配当がないということであり、世界は保護主義により狭隘化する。関税で貿易量が減り企業収益は低下して金融収益は減りマネーの需要は低下し、ひいては税収も減る。velocity の低下は国家も殺す。このことは米国でトランプの出現で示唆、予言されていたが、Brexit で確認されてしまった。

将軍さまはこの世界経済の危機を救ったスーパーマンであることを米国の民もマスコミも気づいてはいないだろう。とりあえずだけのことになる危険はまだあるが。将軍さまは知っている。経済のうえにのみ政治は成り立っている。彼なしで米国もEUももたないし、中国もロシアも破滅することだって。

突如として1兆ドルのインフラ投資なんかがでてくる。議会もマスコミも面食らってわけがわからない。日本のセンセイがたなどもうお手上げでダンマリである。それがなぜ唐突に出てきたか?僕がどう読んでいるかは上記の抜粋部分からおわかりだろうか。将軍は America First! を吠えながら世界の資金移動表を見ている。彼が「カネの臭いをかぎ分ける能力のある男」であることはほぼ確実である。なぜなら丁稚からやっていないポジションのことは野球部にいてもわからないからだ。

 
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僕が聴いた名演奏家たち(ニコライ・ゲッダ)

2017 FEB 11 0:00:13 am by 東 賢太郎

ついこの前にジョルジュ・プレートルが亡くなって、歴史的名盤であるカラスとのカルメンのことを書いたばかりでした。そうしたらドン・ホセのニコライ・ゲッダも亡くなってしまったそうです。伸びのある高音の美しい正統派ベルカント唱法のテノールとして理想のホセ、ロドルフォ、タミーノ、フェルランドでありました。

このカルメン、聞きようによってカラスは年増の姐御(あねご)風情であってやや特別でもある。ゲッダの純情な好青年ぶりでそういうユニークなカップルという引き立ちかたがあるようでもあります。この素晴らしいミカエラ(アンドレア・ギオー)との二重唱「母の便りは」! 何度これを聴いたことだろう。

5099996677957もうひとつ忘れられないレコードが、若鮎のようにみずみずしいトーマス・シッパース/ローマ歌劇場管弦楽団とのラ・ボエームです。ゲッダの声の若々しいこと。しかも20世紀を代表するミミであるミレラ・フレー二がこれまた若いときている。この青春オペラにこれ以上なにを望みますか?僕の長年の愛聴盤の一つであり永遠に価値のある名盤であります。

次に、ここに書きましたが(クラシック徒然草-クレンペラーとモーツァルトのオペラ-)これまた歴史的名盤であるクレンペラーの「魔笛」のタミーノがゲッダなのであります。この役でもスイトナー盤のペーター・シュライヤーと双璧の美声を聞かせますが、ホセと同じく純情気味なのがなんともいいですね。夜の女王にころっとだまされる感じが出ています。

61yQk9l7zoL._SX355_20世紀を代表する叙情派テノールであったゲッダが総督を歌ったのがレナード・バーンスタインがロンドン交響楽団を指揮したヴォルテールの原作による自作の「キャンディード」であります。1989年12月12日、ロンドンのシティに近いバービカン・センターでのライブ録音です。ゲッダとクリスタ・ルートヴィッヒとは凄いキャスティングでありました。

公表されてませんがこのコンサートは野村ロンドンが主催で、ビデオに写っている聴衆はお客様そして我々だったのです。34才の僕もきっと右の方に映ってるでしょう。この17日後、12月29日 に日経平均株価は史上最高値 38,957.44円を記録し、時価総額で日本株が米国株をぬくという驚愕の、2度とないだろう歴史的事件がおきます。

この翌年、野村ロンドンはモニュメントからセント・マーティンズ・ル・グラン(旧郵便局)という歴史的建造物に本社を移転しますが、その祝賀スピーチを首相のマーガレット・サッチャーさんに依頼したのです。すると首相からは前日に丁重な詫び状があり、明日は代理として腹心のジョン・メージャー財務大臣を送るとありました。そして翌日、祝賀会の時間にはすでにメージャー氏の首相就任が発表されていたのです。そのころ東京に帰任していた僕は社内テレビに出て女子アナとそれを実況中継で全店に解説したという懐かしい思い出もあります。

candide史上最高値は何兆円という巨額の「外人買い」によって達成されたのはご記憶の方もおられると思います。その「外人」のほとんどはビデオの客席にご夫妻で座っておられる紳士たちであり、彼らを担当し日々運用のアドバイスをしていたのが僕が所属したロンドン株式営業部でした。SMCメンバーの安岡氏、吉田氏もその主力メンバーとして大活躍された戦友です。

バブルといわれようが何だろうが「株式時価総額」という数値は問答無用、有無を言わさぬ経済の実力指標であって、日本経済が米国を凌駕した衝撃の証拠を米国人に突きつけてホワイトハウス、ウォールストリートを震撼させたのは真実です。だから米国は90年代にゴールドマン・サックス会長のロバート・ルービンを1993年にクリントンがホワイトハウス入りさせ、1995年には第70代財務長官に就任させて徹底的な「日本の金融界潰し作戦」を仕掛けてきたのです。僕はその戦争の当事者として内情をみな知っている。

当然政府を通じて大蔵省(当時)にも圧力はあったと思われ、我が国は実に情けない損失補てん事件の発覚という経緯を経て野村を筆頭とする証券界を証券局もろとも葬ってしまうのです。ルービンはエール大学法学部の秀才ではあるがアービトレージ(鞘抜き)王としてウォール街で四半世紀生きたいわば株屋であって、同じ株屋のドンがかたや財務長官、かたや失脚。政治家、役人のインテリジェンスの差である。あれは「バブル崩壊」などというお気楽なものでなく日本の致命的な敗戦であったのですが、その引き金となったのがこのコンサートにいた投資家の方々の日本経済への厚い信認であった。ビデオを見て感無量としか申し上げられません。

終演後に野村ホストのパーティーがあり、最後の方にひと仕事終えて悠然と現れたバーンスタインと話をしたのはこの時でした。彼ばかりでゲッダ、ルートヴィッヒと話す時間がなくなったのはなんとも痛恨でした。

 

 

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ビゼー 歌劇「カルメン」(Bizet: Carmen)

クラシック徒然草-僕が聴いた名演奏家たち-

 

 

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常識人はカモ

2017 JAN 27 18:18:12 pm by 東 賢太郎

ショーペンハウエルの「本を読むと馬鹿になる」というのは自分の頭で考えなくなるという意味です。まったくその通りであって、現代はさらに「テレビを見ると馬鹿になる」と付け加えるべきでしょう。

トランプ関連のTV報道だけは面白いので見てますが、まず就任演説の直後にこう思いました。

そして自動車発言はこう思った。

このおっさんに100億円ぐらい株買わせてみたいなとわくわくしますね。彼は民営化した国営企業の手練れの雇われ社長で国営時代のやり方、お行儀良さや品格や儀式典礼なんてくそ喰らえなんです。それに欠けるという路線の品評は「猫がお手しない、大丈夫か」と言うぐらいばかばかしい。キミ、世の中カネだけパワーだけってもんじゃないだろう?でも一兆円稼いで世界の操縦桿にぎった男にそれ言っても虚しいですね。

メキシコに壁?選挙用のホラだろ?ブラフはホラでもいいんです。唯一の違いは怒らせたら本当にやることです。できないし怒りもしないのはホラです。日本の民主党政権マニフェストは歴史に残る恥ずかしいホラでした。ホラがバレたら二度とブラフが効きません。ビジネスなんてカッコいいもんじゃなくって、これ、ケンカの常識ですね。

壁作るぜ、払えよ、さもなくば関税20%だ。首脳会談、いらねえよそんなの。来た来た。海外ビジネスでケンカしてきた人ならおわかりです。TVのコメンテーターは体張った勝負の経験ゼロのインテリなんで、銀行員が株屋のコメント品評するみたいなのばっかり、僕などデジャブというか懐かしくてほっこりしますね。ビジネスの掟は成功した者が問答無用で勝ち、口だけの評論家は無価値、それだけ。ああいう番組見てたら本当に馬鹿になるだけです。

この、体を張ってない人、ケンカしたことない人の解説が僕らの感覚でどう聞こえるかをご説明しましょう。

ショーペンハウエルほどの頭脳があれば別ですが彼らにあるわけないし、我々だってそうもいかないんで「普通の頭の人が本を読んで勉強しすぎると常識人になってしまう」ぐらいに言い換えたらいいですね。「常識」というのは本や教科書に書いてあるし、家や学校で教わるし、ないといじめられるし、あれば世渡りに支障ない便利なものです。しかも自分の頭で考えてあみだす苦労なんか皆無です。しかし、資産運用の世界でいうなら、常識だけで生きている人、つまり常識人はカモの代名詞なんです。

なぜかお分かりですか?常識人は「常に多数派」なんです。教科書通りの方々だから当然ですね。しかし投資で多数派が勝ち続けることは絶対にありません。常識人はいつもほぼ同じメンツで、10人のゼロサムゲームでいつも8人が勝って非常識派の2人が負け金をはらい続けるなら反対側にベットする負け組不在になります。相場というのは反対側にベットする人、つまり売りなら買いがないと値がつきませんが、値が必ずついているということはその仮定がおかしい。即ち、常識人が勝ち続けることはありません。

非常識派、少数派についても同じことは言えますが、多数派の裏をかけば1回のベットに対するリターンがめちゃくちゃでかいわけですね、だからそれを狙い撃ちすることに命をかける天才ハンターは知恵を絞って集結します。ロボット運用などとわけのわかってない人にいわれるAIによるアルゴリズム取引はその典型です。常識人は何に対しても命なんてかけない普通の人だからこそ常識人なんであって、ワザやら情報力やら以前の問題ですね、そもそもモチベーションでかないません。長くやればほぼ撃たれて負けます。

では自分は素人だから投資信託やファンドラップを買おうとなりますね、常識的には。成長株ファンド、高配当株ファンド、バリュー株ファンド等々いくらでもあります。一応「プロが運用します」「だから儲かります」という表看板になってる。しかしそんなにプロならそのファンドマネージャーは自分で独立して運用するんです。仮に他人の資金を集めても、自分も自分の運用するファンドを買いますよ、だって自信あるんだから。もちろん僕も自分の作ったファンドに自分で投資してます。あまりに当たり前ですが。

日本で「資金運用者求む。ファンドが損しても貴方は一銭も損しませんが、ファンドが儲かっても貴方の給料は変わりません、自分が投資する必要はありません」という求人に応募してくる人に海外で運用者として通用するプロは一人もいません。それは「サラリーマン契約」ですからね、そこから資産1500億円のマイケル・ジョーダンや年収70億円のロジャー・フェデラーなんか出るはずないんです。

面白いですよ、そういう求人をしますとね、安定志向でプレゼン上手の公務員・大学教授タイプが7割、博打打ちが2割、詐欺師が1割というところが相場になります。日本の運用業界のファンドマネージャーはほぼサラリーマン契約ばかりだから、必然的にその7割のタイプばっかりになるのです。その人たちはTVで専門家、学識経験者といってる人たちと同じ人種ですね、このタイプこそ高学歴の常識人なのです。

前述のとおり常識人はカモなのだから、サラリーマンが運用してる投信はほとんどがクズです。だからラックだけでしか儲からない。そこでやめればいいのに業者の口車で分散投資ですよとあれもこれも買ってしまう個人投資家はカモのカモなんです。色んな投信を買えば買うほど個性が薄まってそれはインデックスに近づいていき、全部買えばほとんどTOPIXや日経225と同じものになります。それならETFを買えば手数料はほぼタダなのに、高い運用管理報酬をふんだくられてなんのこっちゃになるのです。

高い本代や授業料を払って多大な時間を犠牲にして立派な常識人に育つ。投資信託をたくさん買いそろえてインデックス投資してる人とおんなじですね。TVは政治にせよ経済にせよ非常識な発言は排除するからきわめて没個性的で、それを装ってオピニオンを誘導もする。そんなのを毎日見ていれば確実に立派な馬鹿になります。

若者のTV離れは「面白くない」、「興味ない」が多いそうですが、「大人は嘘をいう」もけっこうあるそうです。子供は鋭いのですね、まだ常識に染まってないからでしょうね。彼らに大人気の動画、「はじめしゃちょー」はホンネで小学生にも受けているらしく、現にこれを僕に教えてくれたのは社員の小学生の娘さんです。読者の年代は誰もご存じないでしょうが試しにご覧ください。

くだらないと思われますよね、でもこれはTVではできないでしょう。この人はyoutube閲覧数第1位で、この動画1本の閲覧数が370万なんです。僕が4年書いたブログが全部で66万です、大谷の打撃を見た中田みたいなもんで書くのがあほらしくなります。この人はユーチューバーとして食っていて広告料で年収1億円以上ときいてます。どうして?別に驚きません、フォロワーの子供たちは10年後に自社製品の消費者になるからです。

ちなみに、テニスのフェデラーの年収70億円はスポーツ界の世界4位ですが、そのうち賞金は8億円だけで残りは広告料収入なんです。プロを称する高学歴インテリサラリーマンの評論家やファンドマネージャーと、はじめしゃちょーと、どっちがフェデラーに近いですか?

常識人はカモ、ご記憶ください。

 

(ご参考、本稿の実例です。これは大統領選挙の直後に書いたブログですが、今でもほとんど修正は不要です。当時、常識人、マスコミがこんなことを言っていましたか?)

トランプは何をするか

 
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トランプと習近平が証明したこと

2017 JAN 18 23:23:21 pm by 東 賢太郎

いよいよ習近平がダボス会議に現れて「保護主義は利益にならない」と主張しました。その昔黒船を送って開国を迫ったアメリカが「国を閉じます」と言って、嫌がっていた中国が「開け」と言っている。天地逆転であり、いかに歴史的大転換の時代に我々は生きているかお気づきでしょうか。

僕の香港駐在による経験的持論である「中国ビッグバン仮説」が、実は仮説ではなかったことをトランプと習近平が証明しています。オバマはTPPでグローバリズムの延長線上に安直な勝機を見ていたが、トランプはもはやビッグバンを引き起こしたそのゲームのルールのままでは勝ち目はない、そんな悠長な事態ではないと言っている。彼はおそらく正しいのです。

正しいというのは「社会の変化によって追認されてあとからそういう流れが底流にあったのかと気づくような根拠のある」、という意味で言っています。それは白人のヘゲモニーの終焉かもしれず、自分が決めたのにルールが悪いと批判してみたり、中国が非道だと責任転嫁をしてみたり、はたまたインテリになればもう資本主義は役目が終わったんだという議論まで出てくる。

しかし、トランプが僅差ではあれ選ばれたという「社会の変化による追認」は、それがどんなに気に食わないことであっても事実であって、そこに至る底流は中国が「グローバル大貧民ゲーム」で独り勝ちした以外に整合的な根拠を見出すことは困難である。だからトランプは「閉じる」であり、習近平は「開け」なのです。失業はしない学者は気づかないが白人キリスト教徒の労働者階級は気づき、移民排斥という別な形でも不満は噴出しています。

トランプは中国も批判するが、メキシコという身近なシンボルを攻撃して同じことを労働者にわかりやすく訴え、当選した。かたや「資本主義は終わりです」、「みんなで貧乏になれば平等でしょ」と主張する政党がリベラルであり、ユートピア国家を目指しましょうという左翼学者が大学で教えている我が国。自分だけは大貧民になりたくない人の方がずっと多かった米国はわかりやすい資本主義国です。しかし仮に今世紀中にヘゲモニーが中国に移転したとしても、中国ほど資本主義が好きな国はないからそれが終わることなどないのです。

「中国ビッグバン仮説」は机上の空論ではありません。大貧民ゲームは麻雀と同じく「点棒(=お金)を争うゲーム」と認識しているからです。この現象は政治学、経済学、歴史学という分断された視点からの分析ではわからない、例えれば、現代医学が臓器ごとに専門分化しているため胃を全摘して治ったはずの癌が他臓器に転移するリスクを排除できないのと似ています。癌の根源を断つのが合理的で、「お金」を横軸として観察するヘゲモニー分析はそれに相当し、その結論が我が説なのです。

米国だけでなく欧州の反EUの様々なムーヴメントも同じです。2001年の中国のWTO加盟の瞬間(=ビッグバン)からこの日に至るのは宇宙の膨張のごとき「不可避的結末」だったのであって、米国といえど原理には逆らっても無駄なのです。白人が有色人種国を「辺境」として搾取し、贅沢でプライドある生活にあぐらをかくというインバランスはこれから音をたてて崩壊します。僕は中国共産党を支持する者ではまったくないですが、そのインバランスをアジアで独り壊そうと試みた結果あの戦争に突入してしまった我が国として、「アジア人」がヘゲモニーの一翼でも担えるようになることは別に悪いことではないでしょう。

我々が米国と同盟国であり続ける形で世界平和に貢献することが今後も重要であることは変わらないでしょう。しかし米中の軍事バランスもいずれは拮抗するだろう。そこで我が国の未来のためにどんな均衡点があるのかはまだ誰もわかりません。朝鮮半島が一つになればそれは核保有国だ。とすれば核保有がその唯一の解になることも視野に入るでしょう。エスニックで人を見る白人社会が終焉したわけでない以上、それに対峙してアジア人のプレゼンスが増すことは大いに歓迎したいというのが海外で16年を送った僕の持論ですが、今度はインバランスが転移してアジアに癌を作らないことが重要です。

(ご参考)

中国ビッグバン仮説 (追記あり)
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トランプは何をするか

2016 NOV 12 0:00:36 am by 東 賢太郎

まずは我が事から。急に出てきたディールがあって、険しかった山をやっと一つ越えて帰国しました。この数日が大詰めで悪いことに大統領選による株の暴落が重なって血の気が引きましたが、株価もさることながら一番苦労したのはセトルメント(決済)。証券会社が長くてもセトルは自分でやったことない。法律も実務的なことはよく知らない。銀行、弁護士に助けてもらいましたがアドミ部門は生命線ということがよくわかりました。今年はもうこれで終わりでいいかな、心身ともに疲れてしまいました。メールをたくさんいただいていて一つも返事を書けなくてすみませんでした。

トランプ勝利確定のニュースは某国にて移動中の車中で聞きました。べつにこれを予測していたわけではありません、あれだけヒラリー有利の報道がありましたからね、そう思ってました。これはやっちまったなという感じかな。彼はウォートンスクールだから先輩なんですが、ビジネスマンとしてあそこまで財を成す(米国で成功はそういうこと)のは大変にしたたかなはずです。放言癖のバカなわけない。マスコミ、政官界のインテリはビジネスの修羅場知らないからわかんないだろうね、そういう種族を馬鹿にしてるしね。だから彼らお得意の常識論でヒラリー有利という直前の予測が出たんだろうと思う。

ウォールストリートのワルから見れば株式市場なんて何も知らなくてカネには目がない弁護士あがりのヒラリーのほうがチョロいんです。ゴールドマン・サックスなんてプライドくすぐって公演させて何千万円やって利用しまくってましたからね。中国の江沢民マネーもそこにつけこんだね。甘いということです、だからFBIに急所を突かれた。トランプはそうはいかないですね、彼はくだらんカネで使われる不利益を知ってるし手金ありますしね、彼と交渉したらとてつもなくタフな感じがします。

当たったとかはずれたとか、勝利の背景は何かとかどうしてヒラリーは負けたとか、そんなのは災害の後講釈であってどうでもいいんですね、それを知ったって生きてく知恵にはなりません。台風や地震が予知できなきゃニュースや解説者や専門家の後講釈なんて意味ないでしょう。僕の関心事は「どうしてインテリを納得させる常識論の予測がこんなに外れるようになったんだろう」ということに尽きます。天気予報だって毎回外れれば何か天変地異が起きてるかもしれない。世界の政治シーンでそういうことが起きてるに違いない。

それは何度も書きましたが、WTOに加盟した中国のビッグバンで何億人の貧民が一気に富豪になって世界中で爆買いしてる。そういうことです。欧米の白人が貧民にならないと、ゼロサムゲームですからね、そういうことは起きないんです。あまりに当たり前のことでしょう。そういう白人がトランプの隠れ支持者になったし、移民は出てけ!でBrexitしちゃった英国の田舎の白人もそう。ギリシャ危機はいうまでもなし。全部おんなじ現象であります。インテリはそこの感度が低い、だから外れるんでしょう。

20世紀の先進国が大貧民ゲームで負けて、しわ寄せは各国の下層に行きますからどこの国でもどんどん二極化が進んで「一揆」が起きてる。トランプは世界最大の一揆をうまく扇動したんです。しかし富豪の彼は下層よりの政策、どっかの国の子供手当みたいなことはメキシコの壁作りぐらいやらないだろう。ビジネス感覚でなんの意味もないですからね。だからEU、ロシア、中国、日本と「ディール」に入るだろう。国を富ませてやがて下層まで潤うという方法で。強いアメリカを作る、そういってるのは本当でしょう。

口だけの政治家はいらん!と言ってるのは「やる」ということ。やらんビジネスマンは無能ですからね。オバマはほんとうに口だけだったしやったことはろくでもない、ダメな方向のチェンジだけでした。8年もやってるうちに大貧民ゲームで負け組に入りだした。ではここからトランプが何をやるのか?誰もまだ知らないわけですが、勝ち組に回る策を練るでしょう。彼が吹いていた荒唐無稽な策は、その眼で見れば一貫してます。どういうゲームなのか、彼がわかっているとすれば面白い。確実に何も変えなかったはずのヒラリーよりよっぽどいいですね。最大のリスクはそれが凶と出ることでしょう。でも彼はリスクのあるディールはやらないような気がする。それをやる者はあそこまで経済的成功者になれないからです。それは法則です。もう少し先が見えてきたらまた書きます。

(ソナー・アドバイザイーズのブログ)

これから起きること
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長い一日でした(Brexitでおきること)

2016 JUN 25 1:01:36 am by 東 賢太郎

英国の国民投票は世界の金融市場を丁半博打の鉄火場と化しましたが、「丁と出るか半と出るか?」で大方が大外れ。ちょっと待ってよ!という声が世界中から轟いたという意味ではリーマンショックというよりも1987年のブラックマンデーに近い印象です。

ということで午後は全日程キャンセル。読響の定期演奏会もディナーで見送り。

ブックメーカーのオッズが前日で残留が1.2倍、離脱が4.3倍とだいぶ開いていて騙された向きも多いようです。この数字は残留が圧倒的有利に見えますが、これは金額であり頭数でない。BBCはじめマスコミの予想も結果的に残留に楽観すぎでした。国民投票は読めないという教訓が残りました。政治家は頭で考えるが、国民は腹で考えるということです。

いろんな方と話した当面の結論は、

  1. 国家の問題<ディバイドの問題(移民、テロが引き金)
  2. グローバルより自国利益の保護(内向き社会)
  3. 自国利益より我が身の生活(家向き社会)
  4. ヒトが動かない=モノ、カネも動かなくなる(非流動化)
  5. 経済のモビリティ停滞による成長率鈍化(新たな不安)
  6. 税収減で傾く国家が(国家破たん、戦争の危機)
  7. 金融政策の無力化(世界デフレの序奏、これ生き地獄!)

です。この兆候はすでにありましたが、決定打になったのは、英語圏の大国でそのダメ押しが確認されてしまったことです。アラブの春は英語圏でなく、英語メディアがオブラートに包んで発信できた。しかし英語の本丸では情報は世界に筒抜けなのです。それが各国でどう解釈され、どう使われてしまうか、誰もコントロールできないし予測すらつかない。離脱に2年あるという話ではない。

EUやブリティッシュ・コモンウエルスの存立は経済ではなく政治であり、リーマンショックは経済が経済を振り回したものでしたが、今回は政治が経済を振り回す。すると第2ラウンドで経済が経済を振り回すという2次災害の可能性がある、それが怖いのです。

(こちらへどうぞ)

ソナー・ファイル No38(これから世界で起きること)

 
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中国発の株暴落について(追記あり)

2015 AUG 25 18:18:12 pm by 東 賢太郎

相場というのは過去の経験則があてはまる場合とそうでない場合があります。現在の下げは後者の感じです。中国という震源地が世界をこれほど揺るがすという経験がないからです。

米国株も日本株も特に安いレベルではなく、理屈で十分に納得できないけど強いから買うという、やや気持のよくない領域にありました。中国株が不安定なのは数か月前からで、特に今になってと言う理由は見当たりません。FRBの金利上げへの不安という米国の要因とシンクロして、売りを仕掛けやすいタイミングだった背景があると思われます。

不景気になると戦争という悪しきパターンがありましたが、今は戦争でなく世界同時株安がそれにとってかわる。しかし中国株は空売り規制が入る管理市場だから外人が売り崩すのは難しく、自由度の高い日米欧がどすんと下がってそれを見て経験の浅い中国人がびっくりして売るというパターン。その環境が熟したということでしょう。びっくりで売っているのが素人だから先が読めないのです。

中国のGDPのうち23%は不動産関連(ムーディーズ)で、無計画な開発を受け、空き室率は15-23%です。それだけでも経済成長率に疑問符がついている上、不透明な金融による貸付の信用リスクは膨大と思われ、この火薬庫に引火するとこわいというのは衆目の一致するところ。空売り筋は他市場のショートポジションが中国人に不安を生み出して大爆発を誘発し、上海総合指数が2000なんてことになると大儲けになる。

資金量さえあればそういう比較的リスクの低い仕掛けができるのだから、やるでしょうね誰かが。ただやった人間も、ことが内部事情や統計値に信用のおけない中国だけにその先に何が起こるのかが読めないだろうし、何か想定外のことで反転が起きて大損する可能性も否定できない。僕はそういう認識です。だからポジションの巻き戻しが早晩に起こりたぶん大惨事にはいたらないでしょう。17400以下は買いと思います。ただそれも経験則だから火薬庫引火だとはずれます。NYが止まるかどうか、つまり金利をどうするかがカギになりそうです。

(追記・8月26日12:43)

中国の金融緩和はプラスです。しかし元安誘導しないといけないとは本当にへたっているということで、中国が世界の牽引車という僕のビッグバンシナリオはもはや歴史にすぎなくなったことが確定しました。ポイントは米国です。経済指標はなんら変調なし。だから戻ります。FRBが何か出せば、それによって一時的な振れはあっても。ボラが上がったというだけのことで(だからvixも上がっていて)、それは上記の「やや気持のよくない領域」の滓を落すためのものです。そこは買いでしょうね。

(2016年1月17日)

中国株は「中国ビッグバン現象がもはや終結し新しいフェイズに入っている」という認識に立脚して考えないと間違える。大貧民ゲームというアーブはほぼ終わったのである。西欧がそれ以外から富を吸い上げてきた過程でその蓄積速度を計測する概念であった「経済成長率」なる数値で中国経済を語っても、もう有意な示唆は得られない。

(次はこうなる)

株の乱高下こそウエルカム

 

 

 
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中国人の爆買いが教えること

2015 JUL 9 1:01:29 am by 東 賢太郎

西室兄がこのブログでいい指摘をしていて

そこにコメントとして書いたことが重要と思っている。「日本のプレゼンスが上がる気がする」、これは同感だが、待っていればそうなるわけではない。

先日、鳥取県の境港に4700人乗りの客船が突然やってきて停泊した。「クォンタム・オブ・ザ・シー」という名のクイーン・エリザベスⅡより大きい豪華客船で、乗ってたのはほとんど中国人観光客である。なぜかというと上海、博多、釜山というルートの予定だったクルーズがMERS騒動のため釜山寄港が取り止めとなり、代わりの港を探したところ境港が受け入れたということだ。乗客の目的は買い物だ。港に近いイオンモールが電化製品、クスリ、化粧品、お菓子などを積み上げ、その村の3400人の人口をゆうに上回る4700人の中国人が大型バス10台で押し寄せて爆買いとなった。ひとり10万程度としても5億円の売上になる。

春秋航空によると上海発関空行きのエアバス320(189人乗り)の平均乗客率は95%で、一人平均40万円の買い物をする。1機飛んでくると7200万円ばらまいてくれることになる。こうした行動の背景には商品のクオリティだけではなく、それを管理、製造、流通、保管、値づけなどする日本のシステムへのトータルな信用がある。輸入すればいいじゃないか?誰でも思うことだ。違う。間に中国人が介在しないことが大事なのだ。

待ってれば来るじゃないか!日本のプレゼンスは上がってるぞ!

そうだろうか?よく考えてほしい。その5億円や7200万円はどこから来たんだろう?中国人は火星から札束をかかえて飛んできたのか?

そんなはずはない。そのお金は誰かが中国人に支払ったものだ。中国からモノやサービスを買った人だ。それは誰?中国人ではない。なぜなら2000年まではこういうことは起きていない。外国人だ。どうして?中国が2001年からWTOに入ってグローバル・ルールで貿易(モノ・サービスと貨幣の交換)を大々的に始めたからだ。鎖国を解いたといえばわかりやすい。

僕の先祖は貿易商で、江戸幕府が日米修好通商条約に調印して横浜を開港すると即座に生糸を外人に大量に売って大儲けした。私財を寄付してそれで横浜市や熱海市が水道やガス灯を作ったほど儲けた。それと同じことがこの10年、中国の沿岸部の都市で起きた。鎖国を解くとそういうことが起きるのだ。ざっくりいうなら沿岸部の4-5億人が、つまり日本国4,5個分のひとが、日本人なみか一部はそれより格段に金持ちになったのである。そうしてより豊かな生活を求め、日本に来て爆買いをしているのである。

もう一度問おう、そのおかねはどこから来たの?

外国だ。おかねは無限ではない。輪転機を回す?おかねは増やせるが価値が落ちるから買えるものは一定だ。それを購買力という。中国人が巨大な購買力を持ったということは、すなわち、誰かが巨大にそれを失ったということだ。

それが誰かは特定できない。中国から何かを買っておかねを渡す国々すべてだ。直接買うかどうかはともかく、素材や部品を入れれば世界にメード・イン・チャイナ製品が入ってない国は皆無であるからアフリカに至るまで全員が買っている。なぜ?安いからだ。なぜ安い?賃金が安いからだ。つまりアフリカで最終製品が売れればアフリカがお金を中国に支払い、中国の工場で月給7千円ではたらく女工さんがアフリカで雇われたのと同じことになる。

つまり、中国人は世界中で「間接的に」雇用され、当地の労働者はその分の職を失ったという厳然たる事実がある。これは日本でも起きたことだが、実は、貨幣経済という目には見えないグローバルのチェーン(鎖)によってつながり、地球の裏側でも同時に起きている。仕事をした者におかねが手渡され、その者が働いた分に見合うモノを買えなければその鎖は切れる。だからそうならないように為替レートというものが変動して、中国の工員さんは10年にわたってお金をもらい、購買力を高めることができたのである(その為替レートを購買力平価という)。

もう明白だろう。中国人の爆買い購買力は先進国から移転してきたのである。

そのツケが回った先進国では、そのしわ寄せが最も弱い国に回る。これも自明だろう。弱い、何が?経済力だ。経済力ってなに?いいものを安く作って高く売る力だ。日本はその力が充分にあったが、購買力平価をかけ離れた円高によって安く作れなかったから負け組だった。こういう経済原理を知らない政党と浮世離れの左派経済学者と日銀総裁が経済力をめちゃくちゃにしかけたが、お鉢がまわった自民党によってからくも一命をとりとめた。日本は去年は世界で一番上がった株式市場になったがあたりまえだ。

安くも作れないし高くも売れないし、そもそもいいものを作る能力もなければ努力もない国は失業が増え、経済力が失墜し、税収が減って国家が破たんする。これもあたりまえだ。だからピンポイントに終点同士を点と線で結べば、ギリシャのような先進国の末端にいた国が大負けして、中国人に爆買い資金を供給しているのである。まさかそんなこととは知らないギリシャの人々は自国政府やEUをこきおろす。そのどっちが好きですか?が先日の国民投票なのであって、どっちが好きになっても実はなんの解決にもならないのだ。

日本は爆買いで漁夫の利をえたぐらいで安心してはいけない。ギリシャがコケるとこれまた貨幣経済というグローバルな鎖をつたって地球の裏側でも何か良くないことが起きる。日本の評価がいろんな方面であがっているのは円安で安いから行ってみよう、買ってみようという力のドライブがあり五輪の期待もある。その反面でエネルギーや食品や武器を日本人は高く買わされるという負の面がでてくる。本来通貨は強い方がトータルに得なのであって、弱いからお得なんていうものの理にかなってない利益が国家の長期繁栄を約束することはない。

日本に追い風は吹いてるから形成は有利だが、敵がレッドカードで10人になったにすぎない。攻め込めば勝てる確率は高まったが、オウンゴールを待っても勝利は永遠にやってこない。

 
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IOTはネコを救うかもしれない

2015 JUN 27 2:02:44 am by 東 賢太郎

昨日は世界のCPUシェアの3割を持つ英国のI社N副社長とパーティーでだいぶ長いこと話しました。話題はIOT(モノのインターネット、Internet of Things )です。

IOTとはパソコン類以外のモノをインターネットに接続することですね。スマホは既にそれだしテレビ、デジカメ、DVDプレーヤなどデジタル情報家電はもちろん、家具や自動車など身の回りのあらゆるモノに埋め込まれたセンサーがインターネットに繋がり、相互で通信が可能になる技術や仕組み、状態のことです。

noi30

先日、家内はゴルフで不在。僕が出勤して家は留守になりました。電車に乗ってからです。まずい、居間のドアを閉め忘れた!居間にはノイが寝てましたが、起きて廊下に出るとセコムが・・・。時すでに遅しです。ネコの背丈なら大丈夫ではと思ったが甘く、ガンガン鳴ってしまったようで、かけつけていただいたセコムのかたにご迷惑をかけてしまいました。「原因はネコちゃんでした」とやさしく報告書を書き置いてくれて救われました。しかしかわいそうにそのネコちゃんは警報に驚いたうえに知らない人が入ってきてまた驚き、すっかりびびってしまいました。

こういう時、IOTは便利でしょう。経産省もこれに注目しているそうで、日本は一大市場になるだろうとのこと、副社長は毎月英国から来日しているそうです。良いことばかりでなく、ハッキングによる個人情報流出の危険がありますからセキュリティ対応が肝要とのことでした

ネット社会化で我々の日常はどんどん進化しています。自動車の正確な位置情報と自動操縦プログラムで人間による車の運転はいらなくなるでしょう。車は走る「スマート・コネクティッド・プロダクツ」となり2025年には500億個の世界のモノとクラウドでつながります。企業が売るのはハードではなくソフトとサービスになりますが、その先駆けがスマホ業界と思えばわかりやすいでしょう。

これは生活を変え、人間も変えます。定型的なソフトは「コンテンツ」という名で呼ばれ、聞こえはいいが、企業から見れば売れればなんでもいい十把一絡げの商品になります。バナナのたたき売りです。バナナ(コンテンツ)をまじめに丹念に作る費用対効果は低減しますから、文化は劣化するのではと危惧されています。

電子書籍と紙の本、中身に違いはないですが製造コストは電子化でほぼゼロだから単価は下がります。版権が切れればただで読めてしまう。ユーザーには福音といえますが、「ただ=客寄せ効果」によって広告料収入を得るというビジネスモデルは文化を犠牲にする危険があると僕は思うのです。書店数は毎年着実に減っており、よく行った渋谷の2大店は両方消えました。

人間にも家ネコにも便利な世になるのでしょうが、やがて来るIOT時代に生まれた子供はどんな大人に育つんでしょうか。

 
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