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ハードボイルドで説く「陰謀論」の是非

2022 OCT 7 0:00:27 am by 東 賢太郎

「コロナを気にしなくなったね」「欧米といっしょになってきたね」「でも11月あたりにまた来るよ、もう第何波か忘れたけど」「去年も来たから来るね」「うん、また変異したのが」「そうか、次のワクチン、何回目だっけ?」・・・

先日、会食でこんな会話がありました。これ、冷静に見ると、『アフター・コロナ期はこうなる!』なんてみんなが半年ぐらい前まで喧々諤々やってたけど、今やその話題も旬を過ぎてしまって語ってたことも忘れてる。ひょっとして、そのアフターにもう入ってるんじゃないだろうかとさえ思いますね。

「今度のワクチン、もう打たれましたか?」「いえ、ちょっと言いにくいんですけど、ウチ、実はやめたんです、19回目で」「そうですか、ウチは37回です、きのう保健所から皆勤賞もらいましてね」「ほう、ずいぶん頑張りましたね」「ええ、効くっていうもんですから、おかげで娘は7回かかったけど元気だし」

世の中の変化ってのはデジタル的には起きません。ジュラ紀に地球を支配した恐竜が「明日から白亜紀か、気をつけよう」なんて思うことはないわけです。そういう意味で、昨今よく議論されてるのが「グレートリセット」ですね。ダボス会議(世界経済フォーラム)の議題になったせいでしょうか、流行ってますね。

https://ideasforgood.jp/glossary/the-great-reset/

しかしこのリセットも何月何日におきるわけではありません。おきるかどうかもわかりませんが、おきたとしても、日々、グラデーションのように変わっていくものでしょう。ユカタン半島に隕石がおちて、気がついたら気候変動で大変なことになっていて、恐竜はあえなく絶滅しました。人間だって気象兵器が使われていつそうなるかわからないってことならば理解します。

こういう話をするとすぐ「陰謀論だ」という人がいます。このところ、なんだかとみに増えてますね。世界最高の権力者がどこかにいて、その陰謀で弱者は気づかないように支配、搾取されているというものの見方です。権力は法で行使するのが現代のルールですから、米中を凌ぐ超大国が現れて世界制覇でもするか、みんなで合議する国連みたいな超国家的機関が最大の軍事力を持って世界法でも作らないとそんなことはできないのです、でもその言葉が好きな人たちはそういうことは考えないんですね。

しかし、「お金」を求めるのが人間のサガだよねと認めあってしまう世の中では、「こうすればお金が増えるよ」という道がもし目の前にあれば、法律にそれはだめだと書いてなければ皆がそっちに行ってしまいます。だから、その道を敷いた者があたかも支配者であるかのようにふるまえる場面はいくらでもあり得るし、現にそれはおきています。お金は軍事力がなくたって世界法の代わりになるんです。政治家はそれを禁じる贈収賄罪があってできないことになってますが、昨今話題の「裏金」ってものがありましてね、日本はそのために顔認証が導入されないんですが、情報だってお金に変わるんでハニートラップなんて手もありましてね、実はお金のサガは人間のサガにあらがい難く裏打ちされているのです。僕は三国志ファンなんでそれは人類普遍の絶対原理であって、時代も人種も宗教も、どんなパラダイムであっても人間のサガを縛りつけることは不可能で、一時はうまくいっても、必ずお金の絡む局面であぶり出しの文字みたいに露呈してしまう、そう信じています。

清濁併せ飲んでそういう世の中を認めようというのが「現実的な資本主義」と言ってもいいと思います。共産主義政権だって舞台裏では人間のサガ全開だったのが歴史ですからね。だから「お金の塊り」をマルクスが「資本(Das Kapital)」と呼んで、人間に関係なくそいつには「サガ」があって増殖し、それを野放しにすれば労働者は不幸になるが、アホな人間がどうあがこうと究極は革命によってユートピアになる。これはヘーゲル哲学でもあって、唯物論的な思想に共感がある僕にはなかなか美しい説なんです。

そのKapitalが名前になった資本主義は、マルクス主義の出来損ないのデリバティブという位置づけで手厳しい。「お金のサガは人間のサガに裏打ちされている」と言ってしまうともう根底から資本論のアンチであって、「濁」はおおいに美しくないんですが、僕は経験主義論者でもあるんで40年も世界の金融ビジネスですったもんだやって世の中の汚い現実の裏も表も見ましてね、「現実的な」の形容詞をつければ資本主義しか人類が共存して生きていく道はないと考えるに至ってます。それが正しいとか正義だとか思想というものではなく、民主主義もそうなんですが、いちばん最後に残った better という意味です。

お金を増やす道を作れるのが資本家です。資本がなくても株式ファイナンスで作れるから誰でもそれになれますよ。本稿のコンテンツはぜんぶ僕自身がサラリーマンを辞めて資本家になって、”プレーヤー” として体験して感じたことで、他人の受け売りや理論や理屈では一切ありません。だからいつの日か起業したい若者には参考になるんじゃないかと思って書いてます。ちなみにhard-boiledってのはどうでもいいんですが僕のミステリーにおけるタッチの趣味なんで、エモーションとか気遣いとか人間的温かみとか修辞とか、論旨を進めるのに関係ない物は添加しないということなんです。だからtoo straightかもしれませんがご容赦お願いします。

資本の支配力は1+1が2以上になるので、資本家と資本家は敵対するか同盟するかを選びます。ケンカに勝てば1が2になるが、負けると0です。同盟すれば3になって両者が1.5になる。ケンカはコストも時間もかかる上に期待値1なので、よほど腕力でも強くない限り明らかに後者が得です。こうやって資本家は同盟して支配力を増していき、やがて消費者に不利益を及ぼします。これがカルテルやトラストというものです。だからそれを阻止する独占禁止法ができたのです。資本論からすればこんな策はバンドエイドですが、全部くっついて世界最大資本一つの地球になるとジョージ・オーウェルの『1984年』、いわゆるディストピア到来ですね。これは共産革命と逆の意味でヤバいです。

資本家が多国籍になると、同盟の仕方も複雑、巧妙になります。これを包括的にこうだと示すことは僕も知識がないのでできませんが、現実として、どの国の独禁法もかいくぐって、どの国にも税金をあまり払わないなんてことがあり得ています。そう正面切ってではありませんが、米国のビジネススクールではタックス・マネジメントといって国際税務の効率的な対処法のメインロードを講義してるし、国際的な会計事務所はその合法的ストラクチャリングのコンサル(TMC)は重要な業務です。もちろん、表街道は教えるから裏道は自分でねってことですが、それをクリアできるレベルの知性を持った資本家同盟は、効率的で強大な支配力を築きます。

「お金を増やす」が幸せの合言葉だから国籍も宗教も問わない連合が可能で、特に法律がそれに適した設計になっているケイマン諸島のような国で「ファンド」という透明な形にしてしまえば、資本家のひとりが国家である(SWF)なんてことまで起こります。国家、事業会社、貴族、財閥、金融機関、宗教団体、学校、年金、労働組合がみんな同盟してますなんてこともあり得ます。ファンドは開示義務がないので構成は表からは見えません。でも、裏では、「お金を増やす」を合言葉に共同作業が行われているわけです。これを取り締まる法律も組織もありませんし、脱税やマネロンをしない限り合法的です。ファンドでコールと言いますが「指示があったら振り込め」という契約だけで繋がっているので資産規模は外部からは合算して把握できません。おそらく兆円単位で、小国の国家予算より大きかったりします。「権力者」になることが第一の目的ではありませんが、お金にひれ伏す人はいくらでもいますから、この同盟が世界に隠然たる影響力を持つことは難なく可能でしょう。

それを許してしまう資本主義がいいのかどうか見直そう、資本家だけでなくステークホールダーの利益を考え、売り手よし、買い手よし、世間よし(三方よし)に修正していくべきではないかというのが「グレートリセット」の表向きの議論なんですね。それの契機になったのが、不測の厄災だったコロナへの国際的な協調対応で、同時に気候変動への対応、格差・不平等を是正する雇用への目配りもしないと資本主義はサステナブルな発展が難しい、だから皆さんリセットを賢明にしてアフター・コロナをうまく築き上げ、世界の恒久的な平和と発展に貢献しましょうという趣旨になったと思われます。

大変ごもっともなんですが、ダボス会議に来ている人はみな前述したような同盟をしてお金を増やそうという側の人間なんですね。クロスボーダーの協調のほうが一国でやるよりいろいろ便利なので、彼らはいわゆるグローバリストであり、世界政府志向であり、非民族主義的であり、もちろん資本主義の最たる受益者です。どこの国の王族、貴族でもなく、攻撃される危険をはらむことになる階級を作る意識もありませんが、資本主義はもともとは18世紀の先進国だった欧州が植民地や辺境を支配・搾取して利益を分配する仕組みを是とする思想ですからね、それがダボスでは社会主義寄りの主張をし、その方向に「リセット」しようと言ってるわけです。おかしなことですね。

しかし、アジェンダをよく読めばわかります。百姓は生かさず殺さずです。いなくなってしまえば年貢が減るので自分たちも死ぬ。サステナビリティってのは地球のため社会のためと表ではいってますが、本当は自分が安泰に生き残るための基礎条件という意味なんです。だからそこに世界が設備投資して欲しいし、リターンがないとそうならないから、それに賛成しない企業の株式には投資しない、インデックスからはずすなんてポリコレ操作をします。すると投資資金は否応なく集まって株価パフォーマンスはプラスになるので、設備に関わる企業は資金を安くファイナンスできるようになるんです。「合法的ぼったくりシステム」だった資本主義を修正してマイルドにしよう、競合する資本家の全員がそれに同意すれば、期待値1の不毛なケンカは避けられるから誰も損はしないだろということです。で、その修正の中にちゃんと再生可能エネルギーへの移行やら、自分たちに都合のよい税制や規制、財政政策の改善を各国政府に働きかける方針などを埋め込んでます。ゴールポストを自分に都合よい位置に動かせば、損する確率は減りますね。

この会議に出ている人全員がそうだというわけではありませんが、世界経済フォーラムですから世界の経済を動かしている人、すなわち大金持ち(資本家)とその代理人であって、会場で知り合いになって意気投合して組もうということもざらにあります。参加費は高額だからその目的で来ている人も多い。国家、事業会社、財閥、貴族、金融機関、宗教団体、学校、年金、労働組合が同盟して投資するようなテーマは何なのか知る意味もあります。巨額の投資だから相場の方向性に影響があります。国家元首やオーナーが必ずしも参加はしなくても、この場を見れば、誰と誰が共同ファンドを組成しても不思議でない実態はわかります。世界はこうやって「お金を増やす」を合言葉とした同盟が動かしてるんだなあということをです。

彼らが「百姓は生かさず殺さず」路線に舵を切った、そうせざるを得ない世界情勢になった、ということは表面的には「社会主義化」と見えてくるようになります。例えば米国では民主党左派のサンダースなんかが言ってることは社会主義そのものですよね。欧州もドイツ、フランス、英国は一時は左傾化しましたね。でも社会主義イコール共産主義ではありません。社会主義独裁政権がありえるし、それに近いものをグローバリストが目指しており、「1984年」型でAI・ビッグデータ管理と結びついた超監視社会かもしれません。それに対する巨大なアンチ・テーゼとなったのがトランプ大統領の出現でした。それに呼応したのが英国のBrexitだし、プーチンの言い分も米国民主党の傀儡であるNATOとの戦争です。広義の民族主義ですね。ナチスのようなその皮をかぶった独裁制の復活ではなく、少なくとも米国は民主主義を堅持してそれを成し遂げようとしたんです。それがバイデン陣営のなりふり構わぬ不正投票とメディアの抱き込みなどの非民主的な方法でねじ曲げられたから世界は危惧しました。いや、違いました、メディアは抱き込まれたのではなく、世界連合共同ファンドのサブ・メンバーぐらいのものです。ちなみに日本の既存メディアはぜんぶその下請けです。

もとより各国中央銀行は低金利政策をとっていましたから市中にお金はじゃぶじゃぶあふれてます。持った人は「運用」をしないと、限られた実物経済への投資機会だけでは期待するほど増やすことができません。だから、例えば、本来は実物経済のプレーヤーだった総合商社は部門ごとの専門分野に投資するファンド事業が本業のようになっているのです。そこに襲いかかったコロナは各国の国家債務を膨大に増やしました。だから市中にマネーが供給されてコロナ不況なのに株高になっているのです。そこに資源、食料、物流コストの高騰が加わって供給サイドから想定外のインフレが進みます。それを抑えるために米国政策金利は異例の速度で上昇し、海外からドル投資が増え、外貨投資に逃げていたドル資金が還流し、為替市場では米ドルの独歩高という異常現象が起きていることは前回書きましたね。

異常なことは必ず予定調和的な解決を見ます。それがいつ、どこになるか。それを知るには、「調和」とは何であるか、そこにどんな利害関係者がいて、どのぐらいの資金量があって、彼らが究極は何を望んでいるかということを見抜く必要があるんです。彼らとは誰か。まずは国家です。もちろん米国、そして中国。これはもろに政治的意図がからみます。左傾化した米国民主党と中国共産党は同床同夢になれますね。ウォール・ストリートもメディアも利害は一致しますね。そしてそれに資金力で加担する財閥、財団、金融機関、産油国、GAFAなどIT企業etc.。これらがケース・バイ・ケースで自由かつ任意の組み合わせで同盟(アライアンス)を組成して国家にロビーイングを行い、資本投下をし、人的介入までもするのです。みなさんこの現実を陰謀と揶揄して済ますことができますか?

そういうミクロの動きを日本から望遠鏡でのぞけば、異星の出来事のように、あたかもその同盟が最高権力者としてふるまっているように見え、「すわっ、陰謀だ」となっていくわけですね。海外事情に疎ければ初めはそれでも仕方ありませんが、お金事情なら誰でも想像ぐらいはつくはずなんですね、そういう事情を持ってる主体があらゆる国籍・人種・思想・宗教の資本家で、動機は個人の欲望に裏打ちされた資本のサガであり、そこに国家まで加わってはいるがどの国家もメジャープレーヤーではない、ということを学んで冷静に日々のニュースを観察すれば、陰謀論という言葉でそういうものをひとくくりに片づけて思考停止してしまうと、その末に何のインテリジェンスも構築されないということに気づかれるでしょう。当然です。その思考は正しくないからです。

陰謀論という言葉を振り回す人は高学歴者、インテリにもいます。大体が左翼で、当たっているので都合の悪い思考を一撃で沈没させたい、その為の攻撃タグとして意図的に巧妙に使うのですね。しかし大体からして、当たっているという判断自体が怪しく、多くは間違っていて、なぜなら左の人は「資本のサガ」というものを資本論を読んで悪と思いこんでいるだけで、その裏にある「人間のサガ」までは生々しい実態をご存じないからです。理屈を知っていてもわかりません。人間のサガが蠢く現場に日本人が関与できるかというと、チャンスがあったのは1990年前後だけです、あとにも先にも。彼らにとって日本はコールかけて金をふんだくるだけの存在で、完璧なミツグ君ですね、貢献できるインテリジェンスも英語力もないですからね、入れても邪魔なだけで何の意味もないから今後もまず無理です。僕はたまたま昭和のバブル絶頂期に五千億円の収益をあげていた野村證券の英国の株式部門ヘッドだったので、彼らを顧客として関与、観察できたのです。

見ていると左翼の方々は無知な人の前でしか「陰謀論だ」という攻撃は使わないですね。陰謀論という言葉が好きな人たちが言っている「陰謀」が現実にあるわけではないことぐらいは悟っておられて、つまり「幽霊の正体見たり枯れ尾花」なんでね、それをいうと、実は私も初めは幽霊と思ってたんですってニュアンスになってかえってみっともないことをわかってるからでしょう。だから、もし彼らにそれをいわれたら、あなたは馬鹿だと思われているんですね。マルクスの言う通りにはならず、どこも共産主義は失敗でいつまでも資本主義が地球から消えてなくならないのは、彼とて「資本のサガ」を捉え切れていなかったからです。労働価値説で商品の価値が供給サイドのみで決まっているとすることは、理論構築の前提条件としては結構ですが、現実はあきらかにそうでないですね。これは経済学の理論的研究上「経済人」が必要なのとおんなじです、そんな人間はいないんで、理論はきれいだけど予測は当たらないねということになるんです。

当たらない理論を研究する人が学者と呼ばれて尊敬される先進国は日本しかありません。そういう意味不明の尊敬というのは高学歴の人はふつう持たないんですがどうもそうでもない、驚くべきことです。これはなぜかというと、日本の高学歴というのはそもそもがそんなもんなのです。例えばくだらない本が東大ナントカというタイトルだと売れてしまう。つまり東大というのは**教総本山みたいな宗教的権威なんですね。東大にも馬鹿はたくさんいますが、ありがたい神主さんだから権威を感じる、何を研究していてもです。中身は見ないんです神事だから。特異なのは高学歴の人でも半分ぐらいはそうであるという点です。それが日本の高学歴の正体なんですね。だから世間において、なにせ神事ですから、そういう連中が密室や秘密クラブでこっそり何かやってるという妄想が働きやすいんです。陰謀論が流行るのは、無理もないんです。

本当の高学歴の皆さんは、物事の本質をザッハリヒ(sachlich)に見る訓練をしなくてはいけません。だから僕は唯物論的なものの見方に行き着いたんです。で、その僕が唯物論的分析で、「唯物論で株価が決まるわけはない」と言ってるわけです。商品とおカネの交換価値(要は値段ですね)は、人間の欲望というサガ、すなわち需要サイドで決まる要素が多いのです。需要は唯物論でなく人間が決めるんです。それを左右できる人たちの考えることが「陰謀」に見えようが「お化け」に見えようが、合法的多国籍資本家同盟は、案件ごとにカルテル化して世界の世論を誘導し、政策に圧をかけ、戦争でも何でもして売りたい商品を売り、売りたくない商品は潰すんです。開示されないので証拠をあげることは誰もできませんが、そういう同盟が日々くっついたり離れたりしながら活動していることは、自信をもって、「事実である」と申し上げます。

そうではなくて、資本論も読んでなくて「陰謀があるなんて嘘だ」と頭から信じこんでいて、それを幽霊だと信じてるお前は馬鹿だというニュアンスの局面でそれが言いたいだけでその言葉を使う人達は、社会をご覧になれば実にたくさんいますが、間違いなく全員が本当の馬鹿です。瞬時にそう判断されて結構ですし、逆に、我々のような人間にそう判断されるわけですから、なるべくならお使いにならない方が賢明でしょう。面白いんですね、そういう人は、それこそ本格的な陰謀にはひとたまりもなく騙されるんです。だから下等な詐欺師はオレオレをしますが、高等な詐欺師はそういう人達を狙ってカモにする傾向がありますね。

英語でやってる国際金融の世界はそういう連中の巣窟なんで、そこで40年生きてきた僕もその術は居眠りしてても使えます。そうでないとディールで騙されて大損しますんでね、相手がプロならこっちが仕掛けることだって当然のようにあります、もちろん詐欺はしませんが(笑)。そう書いた以上は念のため申し上げておきますが、金融以外は知りませんが、プロ同士に詐欺って概念はないんです。麻雀で捨て牌に迷彩を施して、ひっかかって振りこんだら騙された方が馬鹿ですね、野球のピッチャーがフォークの握りをちらっと見せて速球で三振取ったら、それはむしろ称賛されるんですね、詐欺でなく。そういうことです。

契約社会だから大丈夫だろうってのが危ないんでね、契約書が読める程度のセミプロは素人より危ないんです。ディールは契約前のディベートで8割ぐらいがざっくり決まるんですね、そこは法律は関係なくて商品価値の説得や力関係や貸し借りなんかの世界で、そこで嫌なら反故にします。そこからタームシートを作って細部を詰めていって、最後の1割ほどを双方の弁護士が依頼人が有利なように盛るんですがもうテクニカルな部分です。契約書に調印して銀行の窓口でセトルする寸前になって、やっぱり手数料まけてくれなんてすごい人もいますんでね、そもそも、契約書ってのは相手が詐欺師か嘘つきだろうという前提で書くものなんです。結婚前に離婚のことを考えて婚前契約書を作るのが普通であるアメリカ人って、なかなかですよね。

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Categories:______グローバル経済, 若者に教えたいこと

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