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日本の財政事情と若者の未来について

2012 DEC 4 16:16:03 pm by 東 賢太郎

日本の財政事情は、政府債務残高/名目GDPが205.7%となり、1944年の太平洋戦争後の204.0%を越えた。

震撼すべき事実である。日本に再び「高度成長期」がやってくるのを望むのは、太平洋戦争で神風が吹くと信じたのに等しい。

日本人の総所得はバブル期にピークを打ち、人口がドラスティックに減らない限り一人当たりの数値がピークを更新することはもうないだろうと僕は、残念ながら、確信する。日本人はほぼ全員が今よりも貧乏になっていくだろう。悲観する必要はまったくない。それでも全員が一等国の国民として誇りを持ち、楽しく豊かな人生を送ることができるよう国の設計図を変えていく必要があるだけだ。

民間はこれを体感しているが、全く分かっていないのが政府、公共セクターである。バブル期に日本は世界の一等国だった。そのことは、それが「バブル一等国」かもしれないという脆弱な印象だったことも含めて、その時期に海外でビジネスの最前線にいた僕らが一番よく知っている。一等国になれたのは政治家や役人が優秀だったからでもなんでもない。民間が優秀だったのである。

「バブル一等国」の予算を勘違いして組み続け、ふと足元を見たら歳入不足でしたというのは田んぼに豪華なオペラハウスを建てればメットが来てくれるだろうという地公体の能天気な政治と何ら変わらない。なぜ一度だけメットが来てくれたのか、つまり民間がどうやってグローバルに事業を成功させ、あんなに税金をたくさん払ってくれたのかという根本原理がわかっていない政府の「経済政策」とはいったい何なんだろうか。

原発反対はいいが原発ゼロになれば確実に電気代は上がる。いくら上がるのか示しもせずにこれが踏絵ですという党が忽然と現れる。10年後をメドにと言うが半年後に忽然と消えているかもしれない党に誰がそんなことを託すのだろう。言い出しっぺの自分が事業仕分けされた党は2番狙いが似合っている。立ち上がらずに立ち消えた党。ぜんぶぜーんぶ反対、それで雇用は守りますという精神状態を疑うしかない党。

歳入が減れば公共事業費だけでなく、こんな低レベルの国会議員や公務員の数も給与も減って当たり前である。公共セクターだけが日銀の庇護のもとでデフレの恩恵を享受し、ぬくぬくと生きのびていけるほど世界は牧歌的に出来てはいない。今、この政府、公共セクターというものにメスを入れ、根底から考え方を改変しないと、将来の日本人はますます貧乏になり、国際社会での発言力などほぼゼロになる。その悲哀は僕らの世代ではなく、現在30才代未満の世代にふりかかることを、その世代の方は肝に銘じておいたほうがいい。それを変えるのは投票という行動か、皆さんが起業家か政治家になるしかないということも。

今の日本には、お年寄りでも病気でもないのに他人の努力に胡坐をかいて「タダ飯」を食う連中が多すぎる。僕はそれなりに多い税金を払っている分だけ声高に言う。そんな者を養う余力も国力もない。高度成長期というのはタナボタでやって来たのではない。民間はもちろんのこと、政府、公共セクターも一つになって、よい国、よい生活を夢見て国民全員が汗を流して働いた結果だ。僕の世代はこの良き時代の生き証人であり、次の世代に歴史として伝える重大な使命があると思う。

 

米国放浪記あとがき-若者に贈る僕の三原則-

Categories:______国内経済, 経済, 若者に教えたいこと

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