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リケンスタップス、PKに持ち込む

2014 JUN 22 23:23:32 pm by 東 賢太郎

Wカップで数少ないシュートを外したO選手が「もったいないです、情けないです」「次は頑張ります」と答えていた。悪いがもったいなくも情けなくもない。世の中、「そこ」で決められるかどうかだけだ。決められなかった人にどんな事情があろうと、歴史は冷徹にその人を普通の人と判定する。歴史は決めた人にだけ「一流」の称号を与えるが、説明はもとめない。

政府が保有するクラブチームであるリケンスタップスは主将でエースストライカーのO選手がPK狙いと思われる派手なシミュレーションでレッドカードをもらってしまった。あまりにひどいというので監督も退場、チームも解散の瀬戸際にある。ところが女子サッカー振興に熱心な大会委員長が出てきて、キミ、それはそれとしてだね、O君はアメリカ帰りの大事な選手なんだろ?ロスタイムを追加してPKを蹴らせてみたらどうだというサッカー界を震撼させる異例の事態になっている。

O選手には「そこ」がやってきている。チャンスだ。

人生、ピッチではもう2度と願えない「そこ」だろう。今こそだ。ここではずしたら普通の人だ。世間では彼女の蹴るPKは誰も見た者はないがすごいらしい、一度見てみたいという声も多い。無回転シュートかはたまた魔球か。昔、野球界には大リーグボールというのがあった。土煙を巻き上げて視界から消えたりする。こっちはハーバードボールだ。タマが視界から消えるばかりか冷蔵庫から出てきたりもするという噂もある。

なんであれ、O選手が衆人環視の中でPKを決められれば勝ちだ。歴史は決めた人にだけ「一流」の称号を与えるが、説明はもとめない。しかし、「もったいないです、情けないです」「次は頑張ります」という事態はもう永遠に訪れることはない。それは大会委員長が決めることではなく、歴史が決めることだからだ。

 

 

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