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男の子のカン違いの効用 (2)

2014 NOV 11 0:00:46 am by 東 賢太郎

この人は絶対に俺の球を打てないという天下無敵なカン違いの効用。そのおかげで証券界という魑魅魍魎の世界でともあれクビにはならずに生きてきました。

ところが僕のその術は弱みがあります。女性に通用しないのです。

なぜといって、相手は野球をしませんからどうしようもない。これは思い出すことがあって、一部のおじさんしかわからないでしょうが、横山光輝のマンガ「伊賀の影丸」に左近丸という忍者が出てきます。幻心入道という敵の強豪の忍者が得意の幻術をかけますが左近丸は盲目でそれに気づかず、術がききません。幻心入道は為すすべもなくたおされてしまう。まさに女性とは左近丸なのです。

そう思ったのはドイツでのこと。現地法人の社長になるため銀行監督局でドイツ語の口頭試問があったときです。ただでさえ一夜漬けのいいかげんなドイツ語、それが運悪く試験官は厳しそうな高級官僚の女性だったのです。出てきて目が合った瞬間もう気おくれして冷や汗がにじみ、びしびし質問されてしどろもどろになってしまいました。丸暗記していた文を同じところからくり返して失笑をかう始末。落第寸前でした。相手が男だったらこういう事はなかったと思います。

男の子というのは小学生ぐらいまでは母親の支配下にあるのが普通でしょう。しかし僕の場合は野球はもちろんのことですが、ザリガニを釣って池に落ちたりガケに水を流して滑り降りる遊びで髪の毛まで泥まみれになって帰っても何も文句はいわれず「はなし飼い」状態でした。今も遊ぶことへの意欲と創意工夫は並々ならぬものがあるのはそのおかげです。勉強しなさいと母にいわれたことは一度もありません。

小学校のころ帰りに駅前の駄菓子屋でよく買い食いをしてました。もちろん学校にも親にも隠れてです。ある日、5円玉しかもってなかったのですがそれでも店のやさしいおばあちゃんがいいよと炭酸煎餅と水あめでウサギを作ってくれました。「ボク、こんどは10円はもっておいでね」といわれたので、そうか最低は10円なのか、悪かったなと思い、こんどはお小遣いをためて意気揚々と50円もっていきました。

これがまずかった。おばあちゃんはいっぱいお菓子をくれます。定番である梅シロップで赤い目のウサギ、お米の粒の入った安っぽくていかがわしいチョコレートなど子供心をくすぐるのがいろいろ出てきます。しかも普段はクッピーラムネという小粒なのしかおいてないのが、最後にでっかいオレンジのラムネを「おみやげね」とくれました。

さすがに50円は威力があるなと嬉しくなり、これを思いっきりほおばりながら帰りました。みつからないように玄関の前で呑み込む作戦でしたが、運悪くお袋が玄関から出てきたところでばったり。「あんた、何食べてるの!」とすごい剣幕で口をこじ開けられ吐き出させられます。どんな悪さをしでかしても叱らなかったお袋にあんなに怒られたことはありません。

別にラムネ食っても死なないじゃないかと思ったのですが、理屈はなし。問答無用で駄菓子はだめなのです。この事件いらいおばあちゃんの店には出入り厳禁。なついていたおばあちゃんがきっと良かれと思ってくれたものがお袋は頑としてNOであり、なんとなく女の戦いというか何を信じていいのかよくわからないということになりました。遊びは放し飼いでも食べ物に関する母親の支配は絶対王政に近いものがあったのです。

 

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男の子のカン違いの効用 (3)

 

 

 

 

 

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