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常識人はカモ

ショーペンハウエルの「本を読むと馬鹿になる」というのは自分の頭で考えなくなるという意味です。まったくその通りであって、現代はさらに「テレビを見ると馬鹿になる」と付け加えるべきでしょう。

トランプ関連のTV報道だけは面白いので見てますが、まず就任演説の直後にこう思いました。

そして自動車発言はこう思った。

このおっさんに100億円ぐらい株買わせてみたいなとわくわくしますね。彼は民営化した国営企業の手練れの雇われ社長で国営時代のやり方、お行儀良さや品格や儀式典礼なんてくそ喰らえなんです。それに欠けるという路線の品評は「猫がお手しない、大丈夫か」と言うぐらいばかばかしい。キミ、世の中カネだけパワーだけってもんじゃないだろう?でも一兆円稼いで世界の操縦桿にぎった男にそれ言っても虚しいですね。

メキシコに壁?選挙用のホラだろ?ブラフはホラでもいいんです。唯一の違いは怒らせたら本当にやることです。できないし怒りもしないのはホラです。日本の民主党政権マニフェストは歴史に残る恥ずかしいホラでした。ホラがバレたら二度とブラフが効きません。ビジネスなんてカッコいいもんじゃなくって、これ、ケンカの常識ですね。

壁作るぜ、払えよ、さもなくば関税20%だ。首脳会談、いらねえよそんなの。来た来た。海外ビジネスでケンカしてきた人ならおわかりです。TVのコメンテーターは体張った勝負の経験ゼロのインテリなんで、銀行員が株屋のコメント品評するみたいなのばっかり、僕などデジャブというか懐かしくてほっこりしますね。ビジネスの掟は成功した者が問答無用で勝ち、口だけの評論家は無価値、それだけ。ああいう番組見てたら本当に馬鹿になるだけです。

この、体を張ってない人、ケンカしたことない人の解説が僕らの感覚でどう聞こえるかをご説明しましょう。

ショーペンハウエルほどの頭脳があれば別ですが彼らにあるわけないし、我々だってそうもいかないんで「普通の頭の人が本を読んで勉強しすぎると常識人になってしまう」ぐらいに言い換えたらいいですね。「常識」というのは本や教科書に書いてあるし、家や学校で教わるし、ないといじめられるし、あれば世渡りに支障ない便利なものです。しかも自分の頭で考えてあみだす苦労なんか皆無です。しかし、資産運用の世界でいうなら、常識だけで生きている人、つまり常識人はカモの代名詞なんです。

なぜかお分かりですか?常識人は「常に多数派」なんです。教科書通りの方々だから当然ですね。しかし投資で多数派が勝ち続けることは絶対にありません。常識人はいつもほぼ同じメンツで、10人のゼロサムゲームでいつも8人が勝って非常識派の2人が負け金をはらい続けるなら反対側にベットする負け組不在になります。相場というのは反対側にベットする人、つまり売りなら買いがないと値がつきませんが、値が必ずついているということはその仮定がおかしい。即ち、常識人が勝ち続けることはありません。

非常識派、少数派についても同じことは言えますが、多数派の裏をかけば1回のベットに対するリターンがめちゃくちゃでかいわけですね、だからそれを狙い撃ちすることに命をかける天才ハンターは知恵を絞って集結します。ロボット運用などとわけのわかってない人にいわれるAIによるアルゴリズム取引はその典型です。常識人は何に対しても命なんてかけない普通の人だからこそ常識人なんであって、ワザやら情報力やら以前の問題ですね、そもそもモチベーションでかないません。長くやればほぼ撃たれて負けます。

では自分は素人だから投資信託やファンドラップを買おうとなりますね、常識的には。成長株ファンド、高配当株ファンド、バリュー株ファンド等々いくらでもあります。一応「プロが運用します」「だから儲かります」という表看板になってる。しかしそんなにプロならそのファンドマネージャーは自分で独立して運用するんです。仮に他人の資金を集めても、自分も自分の運用するファンドを買いますよ、だって自信あるんだから。もちろん僕も自分の作ったファンドに自分で投資してます。あまりに当たり前ですが。

日本で「資金運用者求む。ファンドが損しても貴方は一銭も損しませんが、ファンドが儲かっても貴方の給料は変わりません、自分が投資する必要はありません」という求人に応募してくる人に海外で運用者として通用するプロは一人もいません。それは「サラリーマン契約」ですからね、そこから資産1500億円のマイケル・ジョーダンや年収70億円のロジャー・フェデラーなんか出るはずないんです。

面白いですよ、そういう求人をしますとね、安定志向でプレゼン上手の公務員・大学教授タイプが7割、博打打ちが2割、詐欺師が1割というところが相場になります。日本の運用業界のファンドマネージャーはほぼサラリーマン契約ばかりだから、必然的にその7割のタイプばっかりになるのです。その人たちはTVで専門家、学識経験者といってる人たちと同じ人種ですね、このタイプこそ高学歴の常識人なのです。

前述のとおり常識人はカモなのだから、サラリーマンが運用してる投信はほとんどがクズです。だからラックだけでしか儲からない。そこでやめればいいのに業者の口車で分散投資ですよとあれもこれも買ってしまう個人投資家はカモのカモなんです。色んな投信を買えば買うほど個性が薄まってそれはインデックスに近づいていき、全部買えばほとんどTOPIXや日経225と同じものになります。それならETFを買えば手数料はほぼタダなのに、高い運用管理報酬をふんだくられてなんのこっちゃになるのです。

高い本代や授業料を払って多大な時間を犠牲にして立派な常識人に育つ。投資信託をたくさん買いそろえてインデックス投資してる人とおんなじですね。TVは政治にせよ経済にせよ非常識な発言は排除するからきわめて没個性的で、それを装ってオピニオンを誘導もする。そんなのを毎日見ていれば確実に立派な馬鹿になります。

若者のTV離れは「面白くない」、「興味ない」が多いそうですが、「大人は嘘をいう」もけっこうあるそうです。子供は鋭いのですね、まだ常識に染まってないからでしょうね。彼らに大人気の動画、「はじめしゃちょー」はホンネで小学生にも受けているらしく、現にこれを僕に教えてくれたのは社員の小学生の娘さんです。読者の年代は誰もご存じないでしょうが試しにご覧ください。

くだらないと思われますよね、でもこれはTVではできないでしょう。この人はyoutube閲覧数第1位で、この動画1本の閲覧数が370万なんです。僕が4年書いたブログが全部で66万です、大谷の打撃を見た中田みたいなもんで書くのがあほらしくなります。この人はユーチューバーとして食っていて広告料で年収1億円以上ときいてます。どうして?別に驚きません、フォロワーの子供たちは10年後に自社製品の消費者になるからです。

ちなみに、テニスのフェデラーの年収70億円はスポーツ界の世界4位ですが、そのうち賞金は8億円だけで残りは広告料収入なんです。プロを称する高学歴インテリサラリーマンの評論家やファンドマネージャーと、はじめしゃちょーと、どっちがフェデラーに近いですか?

常識人はカモ、ご記憶ください。

 

(ご参考、本稿の実例です。これは大統領選挙の直後に書いたブログですが、今でもほとんど修正は不要です。当時、常識人、マスコミがこんなことを言っていましたか?)

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    4 comments already | Leave your own comment

  1. 1/28/2017 | 4:28 AM Permalink

    これは私の持論なのですが、購入すべき投資商品は
    「プレーン・バニラ」であるべきです。
    いかに「手数料を抑え」て「分散投資」をすべき。

    日本のアクティブ・ファンドの殆どがTOPIXなどの
    指数よりも低いリターンであるという事実。
    現在では日経平均やTOPIXとほぼ同じ値動きをする
    格安商品があるのだから、なにも手数料だけ高くて
    「市場に勝てない」投資信託を買う必要はない。

    また週刊誌の「〇✖銘柄を買え」などという記事も
    百害あって一利なしです。
    どんな優良銘柄でも市場の流れには逆らえない。
    それはリーマン・ショックが証明しています。

    本当に考えるのは、個別銘柄の物色などではなく
    株式なら外国と日本、株式と債券、という大きな
    区分での分散投資こそが重要です。

    日本人の多くが金融機関の「カモ」にされています。
    それはなぜか?
    新聞をはじめとするマスコミは企業の広告収入で
    成り立っているからです。

    私は無理して「市場に勝つ」などとは考えず
    (素人の私が勝てるわけがない)
    いかに安い手数料(と税金)でポートフォリオ全体
    のパフォーマンスを上げるかを考えております。

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  2. 東 賢太郎

    1/28/2017 | 1:49 PM Permalink

    有難うございます。運用は勉強ができて情報通の人にまかせれば大丈夫というものではないというご主旨であれば賛成ですがインデックスに近似したものを持つべきか否かは投資家のリスクリターン性向次第と思います。僕自身はといえば、インデックス投資は関心がございません。日本株に関してはアルファ(インデックス超過収益)が存在すると確信する立場でそれを実現もしてきております。

    投資信託は悪い物でも不要なのでもなく、国民の金融資産形成に不可欠のツールと思います。年金がかような危機的事態にある時代の頼みの綱にならなくてはいけないサービスです。それが現状の投資家の低い選別能力を前提に年金と大差ない運用スキル水準で業界構造が均衡してしまっているのは国家的損失だというのが昔からの持論です(業界にいたときからです)。

    学校で教わらないことは業界の宣伝文句が「常識」となりやすく、それが業界寄りに設定されるのは如何なる業界でも防げません。業界は自社株主のROEを高める義務があるからで、それを批判しても何も起きないのだからそう思う人は証券会社の株を買えばいいのです。

    しかし変える方法が一つだけあって、それはカモになる方に事の根源がある構造を広く投資家に知らしめることなのです。お客の舌が肥えればシェフの腕も上がりレストランも繁盛します。だめな店は淘汰されカモになる人も減るでしょう。両者にとって長期にプラスになるのだという本質を業界リーダーの経営者たちは理解するだろうと僕は信じています。

    それには投資家教育などというきれいごとでは全然だめで、あなたはカモですよと業界にいた者がズバリ言うべきだろうというのが本稿です。

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    • 1/28/2017 | 4:32 PM Permalink

      ご返信ありがとうございます。
      おっしゃる通り「あなたはカモですよ」とズバリ言う
      ことの必然を教わりました。
      また自分がカモにならないための不断の努力も必要です。
      大変勉強になりました。
      今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

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  3. 東 賢太郎

    1/29/2017 | 4:28 PM Permalink

    影の王子さまのお立場を存じませんがもし個人投資家であられるなら市場との勝ち負けは関係ないのでは?絶対リターン(儲け)がないなら市場に勝っても何の意味もありません。その理屈は市場がマイナスリターンで損した年に機関投資家がクライアントに言い訳しやすいよう業界がつるんであみだした「おためごかし」です。儲からなくていいなら株は投資されない方が賢明です。

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