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ストラヴィンスキー「春の祭典」の聴き比べ(その1)

2018 MAY 27 22:22:14 pm by 東 賢太郎

ハンス・スワロフスキー / 南ドイツフィルハーモニー

所有しているのはイタリア盤で1981年とあるが録音データは不明。Süddeutsche PhilharmonieはPiltzレーベルを作ったAlfred Scholzなるドイツ人が東西統合後に東独放送局の未発表音源を買い集めて売るときの幽霊オケのようである。これが本当にスワロフスキーの指揮か確信はないが、では誰なんだろう。そう思うほど指揮もオケの技術も破綻がない。第1部序奏の最初のホルンががファゴットにズレなく合ってしまっているが、指揮は縦を揃えることに執心し強靭なリズムでソリッドにまとめた演奏。録音に加工がなければ60年代あたりの水準か。それでこれは相当なレベル、現代のコンサートホールで十分に通用する。

アンドレス・カルデネス  / カーネギーメロン・フィルハーモニック

米国アイビーリーグの名門校、カーネギーメロン大学の音楽学部管弦楽団の演奏である。細部はいろいろあるがすばらしい、ぜひお聴きいただきたい。オケの楽器を何かというなら僕は断然これのティンパニを叩きたい。ティンパノ・ピッコロを叩く第2(女性の方)もやりたい。

ティンパニ・パート

中国の貴陽交響楽団 Guiyang Symphony Orchestraのティンパニストがyoutebeにupしたもの。面白い。

オトマール・スイトナー / ドレスデン・シュターツカペレ

おそらく最も「音楽的」な春の祭典である。DSKが予想外に健闘しておりまったく破綻はない。スイトナーはオケの美質をそのまま生かし衝撃音に至るまで木質の素材の良さがわかる。金管が威嚇的にならず和音が美しい。ホール(ルカ教会か)の残響を意識した間のとり方、マイクが打楽器に近接しティンパニの音程が明確なことなども古典音楽の下敷きを感じさせ興味が尽きない。いけにえの踊りはテンポが遅いわけでなくリズムも明確だが興奮を伴わない。不思議な表現だ。

ボーダン・ヴォディチコ / ポーランド放送交響楽団

広い世界にはこの曲のマニアがたくさんいて珍しい演奏を探している。youtubeは宝庫だが著作権者のクレームが来るので商業用録音をupするのはなかなか難しく有名な録音が意外に聴けない方に属する曲だ。無視していくつか貼ったところ課金していないからか無視?されているのかなにも来ないがいつ消されるかはわからない。Bohdan Wodiczkoという指揮者は全く知らない。オケもほぼ記憶になく、それが旧東欧圏で1967年にこれを録音したのは画期的だ。オーボエ、ホルン、ティンパニのミスなどが修正されずピッチが高いが、傷が生々しいのが僕などはかえって愛おしく、出品者が言うほどひどい演奏ではない。第1部序奏のイングリッシュホルンの音色はそそる。E♭クラリネットの奇矯なスタッカートとアクセント!奇怪な鳥が鳴くアマゾンの原生林にいる風情が大変に素晴らしい。Rareであることは納得、座布団10枚クラスだ。

 

ストラヴィンスキー「春の祭典」の聴き比べ(その2)

ストラヴィンスキー バレエ音楽 「春の祭典」

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Categories:______ストラヴィンスキー

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