幸せな日曜日はこうして過ぎる
2021 DEC 13 14:14:43 pm by 東 賢太郎

5,6年前から近場のマッサージに通っている。月2回ぐらい担当のHさんにおまかせだ。前回をしっかり覚えていて、比べて悪化している箇所を治してくれる人はなかなかいない。きのうは腕が凝っていたらしく「それはたぶんピアノだな」と言うと、「私は二胡を始めたんです」という話になった。
「そう、あれは何の皮かね」ときくとニシキヘビだ。「そうか、弦が羊、弓が馬で胴体が蛇か、作ったのは北方の遊牧民かな、それがルーツだろうね。動物を楽器にしちまうのも凄いけど、あんなに哀愁のある音を出すレベルまで行くってのもね」「ええ、音が耳に残るんですね」。まあこんな会話をしているうち寝てしまい、気がつくと2時間たってすっきりしている。
ぶらぶら歩いてくると、九品仏の浄真寺にたどりついた。
黒柳徹子さんがたしかこのあたりで育って、大きな池があったと著書に書かれていたが今はない。初詣ぐらいしか来ないが、紅葉でけっこうな人が出ているので境内に入ってみた。
この土地は元は吉良氏の奥沢城で、土塁が残っている。都内とは信じられないほど広いのはそのためだろう。
皆さん盛大にシャッターを切るので撮ってみたが、実は赤に疎い僕の目に紅葉はたいしたイベントではない。ところがこれを見て足が止まってしまった。
これだ。大学に駒場祭というのがあって、銀杏並木を見上げるとこうだった。学外からたくさん人が来てにぎやかだ。そういえば仲間で喫茶店やったっけなんて昨日の晩ご飯すら忘れるのに40年も前のことは思い出す。あの日に帰りたいとはこのことだ。
九体の仏さまにお参りしてすっかり落ち着いてしまった。ずっといてもいい気分だったが寒いので駅へ向かうと、小さな八百屋さんがある。すると、何の縁だか店頭にこれがあるではないか。
ご主人が「茶封筒に8つぶ入れて、口を三つ折りして下さい。500ワットで40秒チンすればOKです」というので4袋買うと奥さんがどうぞと茶封筒を3つくれる。うまそうに見えた青森産の長芋を1本とアボガド1個もいただいて楽しみが増えた。
スーパーもコンビニも便利は便利だが会話がない。そのうち買い物ロボットが出てくるか、ネット発注すると10分でドローンが配達なんてことになるだろう。それも味気ない。ドイツの新首相オラフ・ショルツ氏は寡黙であだ名が「ロボット」、別名「閉じたカキ」らしい。お店が閉じたカキというのも寂しい。リモートの時代だし機能性より人間味が恋しい。商店街は大事にしなくちゃ。
そういえば酒が切れてる。すると、いいところに酒屋がある。試飲させてくれというと旦那が1本開けてくれ、申しわけないので気に入ったこれ2本と別なのを1升もらった。
家では新参のこいつが待っている。あれほどシャーシャーいってたのに昨今は僕になついていて、それも犬のようにヒエラルキーを見てという打算の風情ではなく、猫遊びのプロと見抜いて寄ってきていると思われる。
気は優しいが運動神経は抜群である。玩具を持つとこちらも緊張を強いられる。ちなみに100匹の猫で著名な愛媛の青島では僕は用意した玩具「トンボ」3本で半日なんとか戦ったが、最後の1本を名人級の白猫に破壊されて玉砕した。「チビとノイは3段、お前は我が家かつて最高位の5段だ」と段位を授与したが、若いので将来が嘱望されよう。
ぎんなんに長芋にアボガドにしぼりたて原酒。
「こりゃあ幸せだ。ドイツの白アスパラとフェーダーバイザーに匹敵するな」
「そうね、でも猫いなかったでしょ」
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