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田園調布駅を出るとこんなものが

2021 DEC 11 15:15:51 pm by 東 賢太郎

「医者の不養生」や「紺屋の白袴」はあっても金融屋が借金だらけでカネがありませんなんてのはシャレにもならない。そこの社員だって「人生おカネじゃないですよね」なんてポリコレ発言して慎ましく見せようなんて奴は勘違いか詐欺師か負け犬のどれかであって、そういう相手にフトコロ事情を明かしてお金の相談をしてみようなんて人はまずいない。「私はそこそこいただいてます」と堂々としている方がお客さんも頼りにしてくれるのだ。

昔から金融はそもそも世間体が良くて平均年収が高いということになっているから学生に人気の業界であって、つまり面接で綺麗ごとは並べるが概ね見栄とカネが就職の主たる動機である。ガリ勉、口だけ達者という技で薄っぺらいプライドを死守し、教養はほぼなくて計算高くてズルくてチャラい。見栄だけなら霞が関へ行った方がいいが国家、公益にこだわりもない。ということは必然として「最後はカネだよね」が本音になる人間が主たる業界なのである。

そういった輩は学校のクラスで最も疎遠な部類であるが、どういうわけか小中高大ともあまりいなかった。だから社会に出て金融村に入ってしまい、とんでもない所に来たと思った。そこで仕方なく「最後はカネだよね」で生きてきたが、思えばそれはゲームだったようだ。雀卓を囲んで「人生点棒だけじゃない」なんてのはない、それだけ。参加はしてきたが、今やつきあいはおろか住人と見られたくもない。極めて少数だが、そういう僕の本質を知ってるよと言って下さる方がおり、最高の賛辞だとありがたく思う。行く末は誰も知らない田舎か外国に移住して、何をしてたのかわからない人になってしまいたい。

そうこうしていたら1,2か月前ぐらいだったか、某社から会長をやってくれという話を頂いた。「知識がない業界なのでお役に立たないだろう」とはっきり申し上げてきたが、どうしてもということである。そこで考えた。その仕事も金融だが、真逆の「人生おカネじゃない」でいってみようか。子供の頃「嫌なほう」を選んで行けと親父に言われてここまで来たし、若者と仕事する機会はそうはない。学ぶことがあるだろうし僕から学んで成功してくれてもうれしい。そうした喜びをいただく代わりに会社を儲かるようにしてお金は彼らにぜんぶあげよう。そう決心した。

そこで「条件」をひとつだけ飲んでもらって会長職の契約書にサインした。それは「無給で」ということだ。

感覚は勤労奉仕だ。しかし、事業会社だから責任はある。NPOの理事長のお話をいただいた時のことも思い出した。立派な公益法人であり勤められている方々には頭が下がるしかなかったが、それはお断りした。理由は「向いてないから」だ。そんなことはない、公益法人だってお金がいる、だから民間企業の経営者にと買っていただけたのは光栄だが、自分の性格は自分が知っている。どんないい給料が出たとしても事業とはゲームの種類が違うのでモチベーションがもたないだろうとわかっている。そうなるとご迷惑をかける。そこは本当に「おカネではない」。事業をされたことのない側の人にはわかりにくいことと思う。

つまり、「公益を掲げる仕事」と「事業」は違うのだ。たとえば雇用調整助成金を石原伸晃氏の事務所がもらっていたと話題になっているが、このお金はコロナで困窮した事業者のためものだ。もらっても合法的だというなら「政治も事業である」という初耳の事態という意味になる。それでも公益のために良い政治をしてくれれば僕は結構だ。政治家の評価は選挙しかないが、彼は比例代表ですら引っかからない程度の評価だ。それが事業でもあるというなら、我々事業家はそういう目で冷徹に評価するよということになるだろう。

するとどうか。事業をナメてもらっちゃあ困る。たかが60万円でこの騒ぎになるリスクを取るなど世界に類を見ないへっぽこ経営者であり、パンツを税金で買って失職するぐらいみっともない。もし金融なら間違いなく、すでに即死していた人と断言せざるを得ない。したがって、そんな腕前で生き残ろうとするなら「大きな力」に頼るしかない。「政治も事業」なんて言い出すのが彼だけならこれで終わりだが、もし今後の趨勢なんてことになるなら同じ二世三世の超無能な小物がますます裏口入学みたいなことに精を出してファミリーで生き残ろうともがき、やがて日本は世界基準で猛烈に馬鹿な五世、十世の支配する国になろう。

きのう初めての会長面談ということで、社員全員、二日かけてひとりひとりとお話をして東横線で帰ってきた。田園調布駅を出ると、こんなものが。

長嶋さん、おめでとうございます。ご自分の腕一本で勝ち取られた勲章、本当に素晴らしいです。あちらこちらでクソみたいな奴が跋扈して腐臭ただよう話題を撒き散らす今日このごろ、とてもすがすがしく思います。

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Categories:______日々のこと, 政治に思うこと, 若者に教えたいこと

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