Sonar Members Club No.1

since September 2012

法要と究極のリラックス(箱根翡翠にて)

2023 MAY 15 7:07:45 am by 東 賢太郎

箱根は何度行ったろう。子供時分から数えるとずいぶんだ。父がとても富士山好きであり、富士五湖めぐりや浅間神社にお参りなどしてから伊豆に下って天城高原ロッジに泊まったり下田の民宿で海水浴をするなんてのが夏休みの定番だった。だから自然と僕も箱根・伊豆が好きになり、家族旅行というとだいたいこっち方面になるし、いっとき箱根神社の上の方に芦ノ湖を望む土地1600坪を持っていた。老後に住んでもいいかなと思ったからだが金がなくなり売ってしまった。

父はずっと前から自分が入る墓を富士山がまじかに望める処にしようと決めていたようだ。相談を受けたかどうか覚えがないが、そんなことを言っていた気もするわけだ。先祖代々の今戸の墓がもういっぱいであり、次男でもあるからそっちは兄にまかす、それもありなんだと。そのころ僕はまだ海外にいたしそんな先のことまで頭も回っておらず、どうせ気まぐれだろうと、ああそれでいいんじゃないのぐらいの生返事をしていたと思う。

連れてこられたのは2015年の暮れだった。強羅の桐谷旅館に泊まって大好きな白濁湯を堪能し、箱根美術館の絶美の日本庭園なんかのほうに興味をそそられていたのだが、とにかくこの墓地を見てくれと二人して車でやって来たのだ。その日は霧がかかっていて、墓石の前で父が後ろを振り返り「あの辺に富士山が良く見えるんだよ」と指さしたが何も見えなかった。あれが実は気まぐれでなく、そんな先のことでもなかった今となってみると、父とのその日のあれこれは感無量でしかない。

過日、父の一周忌、母の七回忌の法要をその富士霊園の墓前で親族と執り行った。昨年納骨式をした時も小雨で富士山は影も形もなかったが、今回こそは快晴で眼前にくっきりと雄大である。なるほどこれだったんだなと父の選択に合点がいった。敷地はゴルフ場になるほど広く、桜の三大名所でもあるようで、写真のレセプションのあたりはリゾートさながらだ。

毎年5月にここへ来るとなると、泊りは箱根、熱海、伊豆あたりになろう。温泉もゴルフ場もあるし、健康にも精神衛生にも好適なことはうけあいだ。父がそこまで考えたかどうか、自身が10年も施設に居て広々した土地に出たかったのもあろうが、きっと子孫のそれも慮ってくれたにちがいない。従妹の両親もここに眠っており、今回の宿は従妹夫妻がハーベストの「箱根翡翠」をとってくれていた。去年もそこだったが、気に入ったので今回はせっかくだから二泊しようということになったのだ。

おりしも僕はディールの真っ最中だ。寝ても覚めてもああでもないこうでもないと考え、計算してる。この作業は入り口から出口まで一気通貫の情報を経験という方程式にぶち込んで解くようなものである。入りと出と両方の経験を持った人はまずいないから自分ひとりで決めるしかなく、いま頭のCTスキャンをとったらきっと数字が写っているにちがいない。身体のほうも肩から足の先まで凝りまくってる。翡翠の温泉は強羅の白濁湯でサービスも和食のクオリティも箱根でトップクラス、とても有難い。

部屋から

二日目は車で早雲山へ行ってみる。大涌谷に至るロープウエイは何度も乗っているがここで下車したことはない。駅舎が新しくなっており、白人観光客がそこかしこにいる。遠く海までのぞむ山肌に濃淡あるグラデーションを施す新緑のうねりが美しい。頬をさらさらなでる渇いたそよ風が心地良いなあと思い、都会生活だとそう出会えるものでないなと悟った。昼食は湯元まで降りてみようとなり、早川沿いの商店街をぶらぶら散策して蕎麦屋を探す。そんな何でもない時間もまた贅沢だ。宿に戻って湯につかること2時間。38度ぐらいだろうか、白濁のぬる湯が最高である。うつらうつらしていたらしく時計を見たら記憶が飛んでいた。

夜はなかなかとれないらしい ITOH DINING by NOB(下)を予約してくれていてステーキを堪能。しこたま飲んだのをものともせず、帰ってまた2時間湯につかる。竜宮城か何か極楽にいるような究極のリラックス、デトックスだ。貸し切り状態であり、またぬる湯で寝て命の洗濯をした。これでまたすっきりと気分よく仕事モードに戻れるだろう。何もかもアレンジしてくれた夫妻に深謝だ。

(母の日に)

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

Categories:______日々のこと, ______箱根

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

ライフLife Documentary_banner
加地卓
金巻芳俊