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ダ・ヴィンチは誰に微笑む

2023 JUL 11 7:07:48 am by 東 賢太郎

次女からラインがあった。「これお父さん好きだと思う。私のアカウントだと明日まで無料で見られるよ。リビングのfire tvで入ってみて。入れなかったら電話して」。タイトルは「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」だ。やっぱり入れなかったので長女がやってくれた。

良い見立てだった。ストーリーはアマゾンにこうある。

ダ・ヴィンチには“消えた絵”があり、それには救世主が描かれているという説がある。名も無き競売会社のカタログに掲載された絵を見て、もしかしたらと閃いたNYの美術商が13万円で落札したのだ。彼らはロンドンのナショナル・ギャラリーに接触、専門家の鑑定を得たギャラリーは、ダ・ヴィンチの作品として展示する。お墨付きをもらったこの絵に、あらゆる魑魅魍魎が群がった!意外な身元を明かすコレクター、手数料を騙し取る仲介者、利用されたL・ディカプリオ、巧妙なプレゼンでオークションを操作するマーケティングマン、国際政治での暗躍が噂されるある国の王子―。一方で、「ダ・ヴィンチの弟子による作品だ」と断言する権威も現れる。そして遂に、510憶円の出所が明かされるが、それはルーブル美術館を巻き込んだ、新たな謎の始まりだった―。

「面白かった、ありがと」

「国の特徴が出るよね、価値ってほんと後付け」

「価値はマーケティングが付ける」

次女はマーケティング専攻でMBAもとったから頑張れよという僕なりのエールだ。この映画の楽しさは13万円が510億円(約40万倍!)になったのが実話だということにあるだろう。ここまで浮世離れすればそれだけでもう娯楽だ。複数の証言(インタビュー)をつないだクロスカットの手法がドキュメンタリー風のリアリティと心地良いテンポになって映画っぽくないのもいい。絵画の世界では代理人が思いっきり「中抜き」して犯罪にもならない。だからシロウトは手を出すなよという警鐘も鳴らしている。

株式も似たものがある。さすがに40万倍はない。しかし投資家を保護する法整備があって魑魅魍魎は住めない。だから2021年のアート売買市場は推計9兆円、株式市場は600兆円という数字になってる。お金は臆病でリスクの少ない所に密集する性質がある。リスクとリターンは裏腹だからリスクが減ればリターンも下がる。それでもアート市場の60倍のお金が集まるのは、十分なリターンが得られるからだ。

上場日のアップル株1株の価値はきのう時点で1583倍になってる。100万円買っていたら15億8300万円だ。テスラ株を上場日に100万円買っていたとすると1億2630万円。銘柄を選ぶ目利きになれば、売り買いなどせずじっと持っているだけでお金は勝手に増える。僕はもう少し欲張って、上場前の株を売ってもらう交渉をその会社とする。うまくいけば上場株価より安く買えるからリターンはさらに増える。これをするにはその会社の経営に貢献しないと交渉の余地などあるはずがない。普通のコンサルはそれでフィーをもらうがそんな金額はたいしたことない。僕は株でもらう。それを客さんにもお分けする。

ポイントは「目利き」になることだ。才能はいらない。誰でもできる。要はやるかやらないかだ。日本人は「株をやる」という。おかしな言葉だ。これを使う人は間違いなく投資をわかっておらず、99%の日本人がそれだ。やるのはテニスだったり酒だったり、しょっちゅうやるニュアンスがある。投資でやるのは銘柄選びだけで売ったり買ったりなんかしない。それはトレーディングというぜんぜん別物だ。僕はトレーディングなど一切興味ない。そんなものは儲かったためしがない。安いうちに買って、じっくり持って、高くなったら売る。数年持っていて5倍になればオッケー、10倍なら祝杯。それだけ。実にシンプルだ。

できるようになるには考え方が重要だ。なぜなら、なにがしかは未来を予見する必要があるからだ。知識は誰でも自習できる(アナリスト試験など)が考え方は習った方が圧倒的に早いだろう。セミナーみたいなものをやればいいがあいにく僕にはやるインセンティブがない。その分ブログは書いてきた。物事の考え方はジャンルに関わらずすべてのブログに反映しているので汲み取ってもらえばいい。このブログが2438本目になる。だんだん疲れてもきておりいずれやめるが息子が本にして保存してくれるらしい。

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Categories:______株式道場, 映画, 若者に教えたいこと

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