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2023年の総括(終わり良ければすべてよし)

2023 DEC 31 13:13:21 pm by 東 賢太郎

今年の当社のビジネスは前半に苦戦した。リアルで動けなかったツケで乗りかけの案件を2つ断念し、ひとつ8月に仕上げはしたが規模的には満足な展開ではなかった。8~9月に7年ぶりにゴルフをやったり関西、静岡に出張もして気分転換を図った。ところがコロナの霧が晴れたようになると9月から景色が変わりはじめ、10月から年末にかけては思いがけぬ好転という想定外の慌ただしい年末になった。この怒涛の上げ潮は息子に近い年ごろである東大工学部の後輩T君がもたらしてくれたもので商売のネタが3カ月で5つもでき感謝に堪えない。ゴールドマン・サックス、メリル・リンチにいた20代の彼をスナイパーと見こんでの20年に渡るつき合いだがここまで大物になってくれるとは!

昨日がその5つ目だ。ウォートンの後輩Sさんの紹介でT君と前防衛副大臣、外務副大臣のN氏に会ったわけだが、食事そっちのけでイスラエルにつき熱弁をふるってくれ、非常にエキサイティングな3時間となった。戦争と米国大統領選の帰趨にはよるが、N氏が関わるテルアビブ大学ベンチャー等の投資機会は面白い。イスラエルといえばディープ・テック(常識破壊の最先端技術)である。人口比でノーベル賞受賞率1位、ユニコーン起業家輩出率1位、科学者・エンジニア比率1位、VC投資金額1位。NASDAQ上場企業数は米中に次いで3位だが、イスラエルの人口は960万人と東京23区と同等であり、米国の30分の1、中国の140分の1なのだから如何に恐るべしかお分かりだろう。この企業化、上場というのが大事なのだ。知性の図抜けた人はアスリート界で図抜けた大谷翔平選手のように相応の資産を作れる、資本主義社会なのだから当たり前ではないか。そこが下手くそなのか、そもそもやったことがその程度なのか、閉鎖的なアカデミズムと叙勲の栄誉だけという日本の学界はさびしい。それでは世界の図抜けた知性は来ないし、頭脳は流出するに決まってるではないか。

ユダヤ系というとロンドン時代に物凄い頭脳を持つお客様たちと6年つきあい親近感がある。仕事もあるがクラシック音楽に馬鹿詳しい僕に興味をもってくれたのもある。メンデルスゾーン、オッフェンバック、マーラー、ガーシュイン、コープランド、バーンスタイン、シェーンベルク、ミヨー、ツェンムリンスキー、モントゥー、セル、ライナー、クレンペラー、オーマンディ、ショルティ、ワルター、ラインスドルフ、ゼルキン、シュナーベル、アシュケナージ、アルゲリッチ、バレンボイム、ワイセンベルク、ホロヴィッツ、ルービンシュタイン、ヨアヒム、シゲティ、オイストラフ、シェリング、コーガン、ハイフェッツ、ミルシテイン、メニューイン、スターン、ロストロポーヴィチ、シュタルケル・・・クラシック界におけるユダヤ系の比重はディープ・テック同様に絶大であり、数学と音楽が最も遺伝要因が強いという統計は合点がいく。他人の気がしないのが正直な所である。

これからの世は中途半端はだめ、とんがって出る釘にならないと栄達は難しい。政策でなく派閥で固まってパワーを行使する日本の政治は明らかに時代の潮流に逆行している。企業もでかいことはコストでもあり標的になるリスクでもある。とんがることに必須なのはdeep tech intelligenceだが日本企業のR&D比には悲観しかない。エッジのないデカい企業はどんな名門でも平気で潰れ、外資に食われる。食う側になるのが最善の経済安全保障なのだがそんな声はどこからも出ない。White Houseがしているようにネタニヤフ政権とイスラエルを分けて考え、後者のインテリジェンスを日本企業が工業化して輸出することで両者win-winにならないか(TSMCによる台湾の戦略)。N氏には大変に興味深い論考をご提示いただいた。正月にじっくり考えてみたい。

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Categories:ソナーの仕事について, 若者に教えたいこと

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