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世にはゴルフという魔物が棲む(1)

2013 FEB 21 1:01:40 am by 東 賢太郎

 

ゴルフは自分にあっていたかもしれないと思います。

 

僕は欧州時代に4人の仲間に恵まれました。1年先輩2人、同期が2人。社内ではあいつらはキチガイと名指しされてました。当然スクラッチ、ノータッチ。厳格なルール適用。プレー中は無言。「ナイッショッ!」とかおべっかゼロ。1~2泊し4ラウンドほどを、完全にプロのトーナメントの緊張感そのもので戦っていました。このグループでない人が他の社内コンペなんかで不幸にしてこの組に入るとビビって火だるまになり、2度と一緒にやってくれないというキチガイぶりでした。

全員が違う国の勤務だったので、例えば僕がホストの場合はチューリヒのホームコースとホテル、19番ホール以降を全部アレンジし、仲間は飛行機で金曜遅くのフライトで参集。土日に2ラウンドずつの死闘をくりひろげて日曜遅くに帰国、というパターンです。3連休で5ラウンドの方が多かったかな。これを3年ちょっとで20回ぐらいやったでしょうか。

何を血迷ってと思われて当然です。ゲームは少額を事前に拠出してウイナー・テークス・オール(優勝者総取り)とし、終了後に敗者が好きな食事をたかって結局優勝者には何も残らないという清貧なルールでした。仕事に忙殺される中、高い飛行機代、ホテル代まで払って来ているのですから賭けていたのは名誉、負けん気のみです。負けると1週間は悔しくて寝覚めが悪い。江戸の仇は長崎・・・ではないですが、チューリヒの仇はパリで、みたいになっていました。

優勝スコア(1R換算)は80前半~90前半で天候等で変わりますが、ゴルフ部出身者もいたのでそこそこの水準だったでしょう。しかし面白かったのはスコアメークではなく、プロ並みにぎらぎらした優勝争いです。全員息をひそめてじっと見守る極度の緊張状態のなか、4ラウンド目の最終ホール、「このパットを入れれば優勝!」という痺れる瞬間を体験できるなんて、なんて幸せだったでしょう。

最後の9ホールで6打差を逆転して優勝したことがあります。うれしくて眠れません。負けた方はガックリ。しかしそれも明日は我が身ですからひたすら練習するしかない。ゴルフはこうやってうまくなるんだというサンプルのようなものでした。この負けてチクショーというのがなければ、誰が穴に球を入れるだけのゲームなんかに熱中するでしょうか。負けてナンボなんです。敗者にこそ、ゴルフの魔物はささやきかけるのです。

(次はこちらへ)

世にはゴルフという魔物が棲む(2)

 

 

 

Categories:ゴルフ, 徒然に

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