Sonar Members Club No.1

カテゴリー: ソナーの仕事について

ソナーは「プロが利用するクラブ」である

2019 AUG 29 0:00:03 am by 東 賢太郎

インターネット、IT技術が労働を変えた。それはあらゆる分野での事務作業の効率化に始まり、ワークシェアリング、テレワークによる就業時間短縮という「地味な便利さ」の顔をして知らず知らずのうちに労働環境に浸透してきたわけだ。市民革命のように華々しくも血を流すこともないが、同じほどのマグニチュードをもたらしたという点ではまさに「革命」と呼ぶに値するし、経済統計としては目に見えにくいが確実に労働生産性を上げる寄与をしたはずだ。そしてそれがAIというインテリジェンスを備えた存在になると、いったんは便益を得た労働者はだんだん失業して被害者になるかもしれないという点で両刃の剣なのである。

このことは若い皆さんが21世紀にどう社会に貢献し、労働し、認められ、大切な人生をどう実現し、一生の生計をたてていくかという諸問題の根本に深く関わっている。そして皆さんと同様に、まだ若い会社であるソナーがこれからどうなっていくかを予測するという難しいクエスチョンに僕も真剣に向き合っているのだ。それを解くためには、IT革命がもたらした果実とリスクがタスクフォースに参加する社内外のメンバーにどうプラスかマイナスかを考え、彼らが良い仕事を見つけて実績をあげ、喜びを感じ、さらに能力を高められるようなプラットホームを作ってあげることにヒントがあるだろう。

ソナーの仕事はプロだけのタスクフォースでこなすのが最も生産性が高いと僕は確信している。メンバーはぎりぎり最小の人数であるべきだ。そのほうが一人当たりのリターンが大きく、メンバーのモチベーションがさらに向上するからだ。個々人が何のプロかは案件によるから今の案件メンバー10人と次の10人が一人も重ならないことがあり得る。弁護士、会計士、税理士など専門職に加えて、他の会社の社員が混じっても構わない。守秘性はNDAに一任するのではなく、それ以前の僕の基本思想として、どんなに優秀でも人間として信用する人しか入れないことでより担保される。その招集、組成がうまくできれば、仕事は半分終わったに等しい。ということは、経営者に絶対不可欠なのはプラットフォームの形成ではなくて、案件獲得、執行に過不足ないタスクフォースをつくる能力であると断言してもいいことになる。

しかるに、経営会議、取締役会などという “賢人会議” のような固定メンバーが常に意思決定に加わって、内実を経験的に知得してもいない案件の是非の判断をするなど究極のナンセンセンスである。そのお歴々がいかなる案件においてもタスクフォース・メンバーになり得るレベルのインテリジェンスを有することは皆既日食と皆既月食が同じ年におきるより稀だろう。経営はみんなで橋を渡れば安全というものでも免責というものでもなく、まして会社は民主主義で経営せよなどという法律もない。だから意思決定と結果に責任を負う社長(CEO)がいるのであり、ソナーにおける僕の仕事はそれであり、コンプライアンスについてだけプロのチェッカーが内外のどこかにいれば必要十分である。

ITの恩恵によって「会社」というものは、リアルであれバーチャルであれ、「複数のプロが一緒になって何かを生み出す場」を意味するようになっている。対面であることが必要なら集まってもいいが、テレワークで構わない。10人の国籍の違うプロが10か国にひとりずついて、お天道様の出ている場所で24時間営業する会社に残業という概念はない。クリエイティブなプロの仕事に時間管理や勤務態度や服装という概念も無用だ。コミュニケーションはマルチ言語翻訳機が85か国語も対応してくれる。やることさえやればワイキキのビーチで寝っ転がって業務してもらってもOKだ。ソナー本社は東京の紀尾井町で何をするか?ドキュメンテーション、コンプライアンス、そしてメンバー10人のフェアな貢献度評価と報酬の銀行振込、そんなものだ。本社も5人ほどでまかなえてしまう。つまり、うまくいけば100億円の案件をたった15人でやってしまうことが可能だから世界最高レベルの人材が集まるだろう。これがやがて時流になる。

逆に、巨大なビルに何万人もの一般社員をかかえる企業は、とうの昔に終っているスタイルの仕事をなかなか脱却できないだろう。なぜなら、それを時流に合わせるなら膨大な人員とスペースの余剰が「発生」したことになってしまい、そういう認識になってしまうと余剰な部分がさらにパフォーマンスが下がるからだ。みずほフィナンシャルグループが「今後10年間で国内外の従業員約1万9000人分の業務削減を検討する」と発表したが、要するに社長が6万人の従業員の3分の1はいらないと宣言しているわけだ。しかし、それをするには希望退職を募るなど「とうの昔に終っている方法」しか打つ手はないだろう。つまり昔からできたのにやれなかったことをなぜ今できるのかという問題に回帰するはずだ。

非効率という十字架を背負う大企業を自主的に退社する人が増えている。それが残留した3分の2の社員の下の方かというと違う。その勇気があるのはプロとして独立しても生きていける「上澄み」の人なのだ。むしろ大組織のしがらみから機をみて抜け出したかった人たちであり、フリーになった方が実は活躍できるチャンスのある人たちでもあり、彼らには自由とフレキシビリティがエネルギーの原動力に必ずなる。現に僕自身がそれをして起業した先輩なのだから気持ちまで手に取るようにわかる。僕はこの層の人たちと、リアルであれバーチャルであれ繋がりたいと考えている。社員になってもらう必要は必ずしもない。ソナーがタスクフォースを組成するときにファースト・コールする社外メンバーになってもらえばいい。それがソナーの価値を高めるからさらに良質の案件ソーシングができるし、それによってメンバーになった人もwin-winの恩恵を受ける。

僕の考える会社像がだんだん明確になったと思う。会社は仕事をさせられる場でもなければ、9時から5時までいればお金をくれる場でもない。社内外の何かのプロである皆さんが「自分のために利用するクラブ」に他ならない。大企業を離れたみなさんの部活や同好会の感覚、雑談や情報交換の場であってもけっこう。出会いは確実にあるし、競争し研鑽しあって腕を磨くことができ、能力に相応の報酬を得られるかもしれず、起業希望者の研修所にもなり、ひいては人生の目標を達成する、社会に貢献する場でもあるというのがソナーの理想の姿だ。ひとつだけアドバイスするなら、本稿を読んで関心を持った人はどんどんソナーの門をたたいてほしいということである。自信があろうがなかろうが、世の中は行動したもの勝ちだし、僕も新人時代は大阪で一日100枚の名刺を飛び込み外交で半年間集めていたのだ。虎の穴に入って伸びる人が圧倒的に成長が速い。

 

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金持ちの「三種の神器」

2019 AUG 20 18:18:01 pm by 東 賢太郎

ピンときたらすぐ自分のカネで札入れします。そうしないといい物件は絶対に取れません。

不動産はそういうものかと知ったのは最近のことだ。大阪のオフィスにH氏を訪ね、物件を見せてもらった。

最上階のオンリーワンです。3億5千万で仕入れましたが今なら4億つきます。

H氏の目利き力が尋常じゃないのは初めてお会いした日から感じていた。僕はこういう物件の値段はピンとこないが、人の能力にはくるようだ。

昨晩、氏のご相伴にあずかった北新地は東京なら銀座である。新人時代には通り抜けるのも敷居が高かった。こんな所のビルは誰が持ってるのかと思っていたが、3本は氏のものだった。僕より一回り以上お若いが見上げたもので、数台所有される高級車は1台5千万円だ。

こう書くと眉をひそめる方がおられようし、僕もそういうことで氏に関心があるのではない。不動産業は目利き力がすべてだからである。そういう商売であり、だから優良なお客さんがつく。世の中の原理原則として誰だって能力はまず自分のために使う権利がある。経営者本人が貧しいのにいい物件ありますなんてどこの誰が信じようか。功なり名を上げた経営者は自分が富豪になっているが、自叙伝に「他利が大事」と書く傾向がある。ウソとはいわないが、その黄金の権利を放棄しても競争を勝ち抜けるずば抜けた能力とインセンティブがあるなら読者ははじめからそんな自叙伝を読む必要がない。

野村スイスの社長をしていたころ、仕事上多くのプライベートバンクの経営者とプライベートにおつきあいをした。ご自身が富豪でない方は一人もいない。自宅に呼ばれるとそれがリゾートホテルであったり、庭の敷地に18ホールのゴルフ場があったりする。そういう世界の人にはそういう世界の人が寄ってきてサロンを形成し、その中で共有される話題や情報がある(ちなみにモーツァルトやショパンはこういう所でピアノを弾いていたのだ)。

プライベートバンクというスイス起源の業態はグローバル市場での合法性において現在では優位性がなくなっているが、サロンは有形無形に存在するし、そこでの人、金、インテリジェンスという富裕層の「三種の神器」の集積分布図のあり方というものは古今東西何も変わっていない。なぜなら、それが「三種の神器」の固有の性質であり、いわば「物理特性」であって、放っておいてもそうなってしまうからだ。その力学を見抜くのが商売というものの本質に他ならない。シリコンバレーの起業家仲間も米国西海岸流のサロンである。日本企業が社員を現地に何人駐在させようと自分の金がない者が入れるはずもない。

日本人はサロンというものをぜんぜんわかっていない。「三種の神器」は守秘性が命なのだ。日本の大企業の社員であることに価値、信用などかけらもない。サラリーマンは上司に報告義務があるからいい話ほどあっという間に社で共有されてしまう。つまりそんな人間に話せばネットで情報公開するに等しいわけだ。日本でブランド外資のフランチャイズとして掲げたプライベートバンクという看板がことごとく失敗に終わった。コンプライアンス問題を起こしたせいが大きいが、まず何より日本人経営者が何もわかっていないからだ。満員電車で通う普通のサラリーマンがサロンのメンバーでありバンカーであるなどそもそもお門違いの定義矛盾でしかない。この世界、マックやコカ・コーラとは違うのである。

日本には日本流のサロンがあるが、物件や証券は債券化、上場をすればサロン性は完全に消える。ローンや未公開株式である段階にしかそれは存在しない。有価証券は倒産リスクから100%自由ということはないが、不動産物件は価値がゼロになることはない上にサロンディールがあり得るという点で興味深い。だから大坂に行ったのである。サロンがどこにどういう形であるかということは三種の神器の守秘性からブログに書くわけにはいかないが、当社はH氏の会社とパートナーとなるから宅建業者にはならないが同じショパンのピアノ演奏を聴くメンバーにはなるだろう。ソナー探知機の能力がさらに増すということだ。

大坂は面白い。本質追求型だ。帰りの新幹線の駅弁にしてもそうだ。僕はこれが好みだが、本来あまり食べない煮物が実にうまい。それも醤油味でなくほんのりした出汁味で具ごとに微妙なバラエティがある。いたずらな高級感ではなく、なんというか、細部まで気が利いている上質感だ。最初はこの薄味でご飯が余るかなと思うが、高野豆腐、昆布巻きは絶品だしちょっとした漬物、豆類にしても「遊び球」が一切なく、全部が全力投球であり、そんなことはない。

 

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見栄え以上の成果を出す方法

2019 AUG 3 13:13:38 pm by 東 賢太郎

創業してから休んだことがないので一週間休もうと思ったができなかった。国際情勢もビジネス環境も変転している。新しい話が次々持ち込まれ新しい人に会い、結構なことだが、逆にひとつのことに集中できない。そういう時にうまくいったためしがない。

広島の試合をドームで観ていたら巨人に劣勢だ。初戦を落とし2つ目は粘って勝った。3つ目は打てる気配なくずっと押され気味だったが、気がついたらスコアも安打数も見栄え以上の圧勝だ。誰が活躍してということもなく、隙がなく、打つ手も当たって盤石の四つ相撲だった。

その「見栄え以上」というのが素晴らしかった。なぜか知らないけども負けるという相手が強い。どうしたら自社をそうできるか。わからない。気がついたらそうなったというものかもしれない。日々重いものが頭にあって何をしていても抜けることがないが、その雲が晴れたら境地が変わるかもしれない。

思い通りにならないから世の中は面白い。誰かがたしかそう言った。そうかもしれないが、ならないと疲れるのでこう思うことにした。世のなかに負けを決めたルールはない。決めるのは自分。負けと思わなければ勝ち。目論見や見栄えはどうでもいい。

ということは実は勝ちということもない。頑張って勝ちました、疲れました、次はそれで負けました。何の意味もない。つまりこういうことだ。

負け=勝ち < 生存

勝とうと思うと負けもある。等価なのだと思えばいい。そのどっちに帰属するかで命を削るのは生存という生物の遺伝子本来の目的に反している。命は削らない、むしろ楽しみだと思ってきたが、実はそう教育されただけで、やっぱり削っていたかもしれないと思う今日この頃だ。

若い人は勘違いしてはいけない。勝たないと「能力の貯金」ができない。やがてそれを資本にレバレッジをかける。元の大小で大差がつく。全力投球でなくスナップの効いた球を投げること。すると疲れないし、むしろ、速くはないが伸びのいい球になって打たれない。これが「見栄え以上」の成果が出る状態だ。

カープは3つ目の試合でバスター・エンドランを仕掛けて成功し、巨人には決定的なダメージになった。打者が3-0でバント失敗して次も絶対バントと思い込ませた場面でまんまと決めたプロの技。痺れた。一般には奇襲の部類だが、カープはまったく頑張らないでできてしまう。そこだ。強いなあと思った。

勝たなくていい企業経営なんて聞いたことがないが、プロの技は目だたない。仕掛けようと狙っていたわけではない、TPOで自然に出て勝ってしまう。肩に力が入るとむしろ出ない。強い横綱もそう見える。そうなりたいが、これも、そう頑張るとできなくなるのだ。休むしかない。

 

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指揮者は何をしているか(野村とみずほの視点から)

2019 JUN 16 0:00:34 am by 東 賢太郎

オーケストラの指揮者がポディウムで棒を振って何をしているか、やったことないので想像もつかないが、証券会社の集団を指揮することは30年やってきた。野村からみずほに移籍させていただいた時はそのキャリアの途中であり、120名の集団をいきなり指揮しろということだった。すでに500人を指揮していたから人数はどうということもない、問題は、みずほ証券は証券会社ではあるが部下になる人ほぼ全員が銀行出身者であることだった。よそ者の指揮棒についてきてくれるとは一概に信じ難いという不安があった。

当時のみずほ証券はというと、株式営業部門だけは野村出身者の集団だった。そのため僕は巷ではそこへ行くと思われていたらしく、全然違うのだがそれが平穏だからあえて黙っていた。話はそういう風に静かに進んでおり、移籍が発表されるまでその部門は役員まで誰も知らなかったはずだ。資本市場グループというプライマリー部門に証券出身者を外から連れてこようとなると興銀、富士、第一勧銀3行の本丸の力学に関わるから色々あり、ご判断はコーポレート銀行頭取と横尾現ソナー会長(当時、みずほ証券常務)が下したと後日うかがった。

周囲の銀行員というと親父しかいなかった僕にとってもこの決断は度胸が要った。当時の心境はニューヨークからコロラドに電話がかかってきていきなりピッチャーをやれというこれと同じようなものだったが(野村證券・外村副社長からの電話)、この時は人生の岐路に立ったわけで体調が変になってしまい、神山先生にお世話になるのはそれがきっかけだった。満を持していざ着任してみると、ポツンと一人で座ってまるで学期中に他県からやってきた転校生みたいであり、空気になじめないことは我ながら滑稽ですらあった。一対一でも会議でも意図がうまく伝わらず、移籍は失敗と思うしかなかった。

それでも結果的になんとかなった理由は2つある。ひとつは “コンサートマスター” が優秀だったこと。彼は横尾さんの指示で僕にぴったりついて変に浮かないように調整してくれ、会議で意味不明の指揮棒を振ってもちゃんとコンマスがフォローの指示を出してくれた。もうひとつは銀行組織に特有の、証券会社にはあまりない「微細な感性」とでもいうものだ。これは何とも文字にならない。彼らには当たり前のようだが新鮮だった。上司になるとこちらの一挙手一投足が彼らのスタンダードにおいて観察、吟味される。何か月かすると、証券語は相変わらず通じないのに、彼らは僕の意図が見事にわかるようになった。これがいわゆるソンタクだろう。

この体験は痛烈で忘れられない。そういうマネジメント・ポストでの異動経験というと拠点長としてフランクフルト、チューリヒ、香港の異動はあった。しかしそれは同じ会社の中でのことだから行った先の部下はそれなりに僕がどういう人物かは既によく知っていた。別な会社となると話はまったく異なる。しかも銀行の人たちは証券業という新しい世界へ移動や転籍でやってきていて、そこにその世界のプロというふれこみで落下傘でやってきた僕への視線は厳しくもあり、お手並み拝見という冷ややかなものでもあった。

スザンナ・マルッキというフィンランドの女性指揮者のインタビューを見ていたら興味深い言葉があった。ニューヨーク・フィルハーモニーに客演して振ってみて、彼女はオーケストラに musical intelligence があるというのだ(9分13秒)。

想像でしかないが、みずほ証券という ”オーケストラ” を指揮して感じたものに似ているかもしれないと聞きながらふと思った。僕は部下に細かな指示をすることなくヒントやサジェスチョンだけを事前に与える。すると彼らはあるべきものを察して準備し、当日の顧客へのプレゼンでそれをもとに僕がインプロヴィゼーション(即興演奏)をするという相乗効果あるパターンがうまく回ってマンデートがとれるようになった。オーケストラの musical intelligence と彼女が表現したのはそういうものではないか。ただマルッキさんのケースと違って僕の場合は力不足で本領を発揮できてないから皆が銀行組織のインテリジェンスで支えてくれていたという形でそれがワークしていた。いま振り返ればやっぱり「客演の指揮」だった。

そう思っていたら先週、志あって他社に移籍したり起業をされている野村証券出身の元気な若手4名が訪ねてこられた。20~30代。話しているうちに懐かしくなってきて独演会となり結局2時間もお引止めすることになってしまった。別に後輩だからいつもそうなるわけではない、今回の皆さんは自分で新たな道を行く決断をされ退路を断っていて、その理由をひとりづつ伺ってなるほどと思った。いまどきの若者に転職、転社は普通なのだろうが、彼らは僕らのころだったら一番やめないタイプの人たちである。だから面白くなってしまったのだ。僕もおんなじで50まで大好きな野村にいた。会社が嫌いでやめたわけではない。25か50かはともかく思いは共通だったということだ。そういえば・・・こういうオーケストラを僕は20年も指揮していたのだ。

野村もみずほも、経営は一筋縄で行かない時代になっている。預金もローンも証券も投信も、同じものが大量に売れて会社が存続できることはもうなくなるだろう。情報はネットで取得でき、執行も安価だからだ。月並みな商品やどこでもあるインフラ使用に高い代金を払う人は確実に減っていくのは「ことの本質」であり、value for moneyを消費者が吟味する時代になってきているのだ。だから僕は販売、執行、情報提供はビジネスとして興味がないしやる気もまったくない。金融で生き残るのは intelligence を売るアドバイザーである。その能力のある人は「本物主義」であるのは当然のことであり、これが何を言っているのか分からない人はAIに淘汰される前に失業する。そして、そういう社員しかいない会社も、どんなに大きくても消滅するだろう。

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ますます大事な「ひとりで強い人」

2019 JUN 11 1:01:03 am by 東 賢太郎

今日は3つの重要なミーティングがあり、どれもが大きな案件であって有難い。ビジネスとしてというよりも、まずエキサイティングであることがだ。近年あまり興奮するということがないからであるが、そういうものを持ち込んでくれる人こそがエキサイティングなのだ。

最初のは中村修二先生の会社のアメリカ人幹部たちだ。じっと聞いていると面白い。何が?数字じゃない、とにかく前向きなことがである。見通しが良いのは知ってるがそこまでバラ色かといぶかしく「でも中国ビジネスはリスクだろ?」と茶々を入れてもへのかっぱ。素晴らしい。こうじゃなきゃあの国では商売なんてできない。でもきっと家でも女房にあの調子でアメリカンな明るい未来を語ってなきゃいけないんだろう、毎日のI love youは当然で。ご苦労様だねまあ俺には無理だ。

2つ目はサムライアートの島口さんらと打ち合わせ。3つ目は不動産ファンド関連でパートナーとなる人との打ち合わせと会食。とにかく熱い人ばかりである。何ができるかわからないがやらないと何も起きないのは確実だからやるしかないよね、というのを「チャレンジ精神」なんてクソみたいな名称で呼ぶ人たちにそういうことは逆立ちしてもできないだろう。僕らはそれをチャレンジなんて思ってない、何も起きない人生なんてまっぴらごめんで、長年そうやって生きているから呼吸するぐらいに当たり前のことだ。

こういう方々が来てくれるから僕も熱く生きられて日々楽しい。次々アイデアも出てくる。それがビジネスには何よりで、収益動機に走るとだめである。これは経験則だ。収益は結果であってそれを目指していると疲弊してしまう。面白く生きてるから続くのだ。来てくれるのは何かを期待してくれるからで、それに応えようという気になるし、今度はこっちが期待して相手がモチベーションを持ってくれる。このキャッチボールはお互いを予期せぬ高みに至らせてくれるのだ。

これからは限られた時間だし、そういう人々と深くつきあうことになるだろう。年齢、国籍、性別、学歴、職歴は関係なし。ひとことでいえば合う人。何時間話していてもあきないかどうか。これはまぎれもなくキャッチボールなのだ、うまい人からいいタマが返ってくると何球でも続く。比喩でなく実際に。前に何かで女子と話が合ったり意気投合した経験は皆無と書いたことがあるが近年僕も少し丸くなった。むしろビジネスに女性視点は不可欠とも思う。

つまり、英語はイランと書きながら英語を使わせてもらうが、energizeしてくれるなら僕にはすべからく大事な人なのだということがだんだんとわかってきた。それは「ひとりで強い人」、ショーペンハウエルがくだらない社交は時間の無駄、本は馬鹿になるから読むなと書いたように自信をもって生きられる人で、そこに年齢、国籍、性別、学歴、職歴など関係あろうはずもない。

 

キャッチボールと挨拶

 

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横尾会長ご就任について

2019 MAY 29 10:10:58 am by 東 賢太郎

ソナー・アドバイザーズ取締役に就任された横尾敬介会長とは15年のお付き合いとなります。お会いしたのは49才の時でした。齢50の節目を前に社外の多くの方の話を聞いてみようと思い、人の紹介で当時みずほ証券の常務だった会長に時間をいただく機会ができたのです。いろいろな思いがあってお会いしたのは事実ですがお世話になった野村證券を去る気があったわけではなく、僕のようなキャリアの人間を世間がどう評価をしているか知りたかったのです。

3社から熱心なお話をいただいたことはまったくの予想外でした。詳細は書けませんが、こと横尾会長のご提案に対しては「ありがたいことですが自信がありません」と正直にお答えしたのです。普通であればそこで終わった話ですが、会長から即座に返ってきた言葉は「関係ない。僕は君のことを良く知ってるんだよ」だったのです。士は己を知る者の為に死すではありませんが、その時の心境にこれほど深く刺さるものはなく、家内に決心を伝えました。

思い返すと、その時の野村證券の対応には感謝あるのみです。本社の部長が同業に移籍するのは尋常なことではありませんし、通常は許されないでしょうし、恐れていたことでしたが公になってアンチな記事が経済誌に出たのには後悔の念が強く浮かびました。覆水盆に返らずでどうすることもできませんでしたが、しかし野村はそんなことでびくともする会社ではありませんでした。その懐の深いカルチャーで育てていただいたことにさらなる誇りをいただきましたし、微力ながらも頑張ってきてよかったという敬意と共に去ることができたのです。

迎え入れて下さったみずほ証券にも同等の恩義があることは言うまでもありません。優秀な部下の皆さんに支えていただき、思っていた以上の重い仕事をいただき、キャリアのうちでも思い出に残るディールを力を合わせて達成できたのはエキサイティングな時間でした。書きながら夢の中の話のような気すらしていますが、それもこれも、そして念願叶ってソナーを起業できた自分も、あの時に横尾会長と会ってなければ無かったことです。ご縁は大事だと何度も書いてきましたが、これほど人生を左右したものはありません。

15年の時がたって、今度は僕が「横尾さんのことは良く知っています」と腹を割って申し上げる番になりました。三顧の礼を尽くしたとはいえ大みずほ証券の社長に僭越至極なことなのですが、そう思わせないお人柄がそうなった理由でもあり、何より、相性というものが誰がどんな理由があろうと割って入ることのできない肝心かなめの太い幹であることは初めてお会いしたあの時から感じたことでした。縁と運だけで来た人間ですからご一緒に会社の未来を切り開ける機会をいただき心強く、楽しみでもあります。

 

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ソナー・アドバイザーズHPの刷新について

2019 MAY 22 15:15:36 pm by 東 賢太郎

お知らせ

ソナー・アドバイザーズ株式会社は現行のホームページ(HP)を廃止し、新たなHPを公開致します。公開日は2019年5月25日(予定)です。業務に変更はありませんが、本年5月7日の横尾敬介会長の就任に伴う業容の拡大に添うためです。ブログおよびアクセス欄はこれをもって廃止します。ご理解を賜われますよう、よろしくお願い申し上げます。

東賢太郎

ソナー取締役会長に横尾敬介氏が就任

2019 MAY 7 22:22:06 pm by 東 賢太郎

 

お知らせ

ソナー・アドバイザーズ株式会社(東京都千代田区紀尾井町4-1)は、令和元年5月7日、取締役会長として横尾敬介氏(元みずほ証券株式会社 取締役社長)を迎えましたことをお知らせいたします。

代表取締役社長 東賢太郎

 

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やさしいおじさんになったつもり

2019 JAN 10 0:00:06 am by 東 賢太郎

さいきん毎日いろいろな方とお会いする機会がありもろもろの話をするが、気がついたことがある。若い人は僕がだんだん自説に熱が入ってくると威圧感を感じるらしいのだ。こっちはそんな気はなくても怖いといわれたこともある。サラリーマン時代ならわかる。でもいまはすごくやさしいおじさんになったつもりだったので、けっこうショックなのである。

香港時代、毎日きわめて機嫌が悪かったらしく、「笑っていてちょうどいいぐらいですよ」といわれて、それはそれでこたえた。飲みニュケーションの場になって初めて「笑われることもあるんですね」なんて女子社員に驚かれるのはずっと若いころからだし、顔が怖いのは仕方ないとあきらめていたわけだが、僕は集中力で仕事するタイプなので「はいってしまう」とどう見えようが周りのことは気にしない。

しかも、集中すると2倍速くやらないと気がすまず2倍短気だ。いまは1.1倍になっているが、それでもソナー案件を何度も助けてくれた税理士のN先生や弁護士のM先生、A先生、会計士のA先生、アナリストのM君など「アズマ経験値」(飲むと酒の肴)が高く、もちろん能力も高く、即座に臨戦態勢に入ってくれるおかげでなんとかもっている。N先生など、あっ、また始まったと楽しんでおられる風情すらある。

とにかく思いついたらすぐやるので、この先生方は外国から携帯に直で「あれを明朝までにやってくれ」、(会議中なのに)「この条文をすぐ直してくれ」なんてのを見舞われておられる。「遅い!ビジネスがわかってない!」なんて叱咤もしてしまった(無礼な話だ)。しかしそんなのは礼儀正しいほうで、昔の部下は例外なく机をぶったたいて怒鳴られている。それでもついてきてくれるなんて、誰でもできることでないのは僕が一番わかってる(僕なら無理だし)。それに最大の敬意を払っているからこそ、長いお付き合いになっているわけである。

僕は徹底した問題解決型人間である。ゴールに最短で達する方法以外になんら興味はない。それを僕以上の速度でできる人は世界にあまりいないと思ってる(野球のピッチャーと同じ、そうでもないとこの仕事はできない)。だから余計なことをしたりくだらない茶々が入ったりされるのが決定的にだめである。そんなの相手にする暇はない。こうやれば解ける、最短の解法はこれだ、という確信なしに僕が動くことはあり得ないし、それを瞬時に共有して持ち場持ち場で必要なことを判断してさっとやってほしい。やれば結局は僕が最後はやるのだから勝率は高く、その人は利益を手にするし成功体験も積める。

いろいろお付き合いが増えてきたし、本稿を読まれる方もおられるだろう。僕以上に上記のことができて収益があげられる方がおられれば、経歴、年齢、性別、国籍すべて不問で、ソナー・アドバイザーズの社長をいつでもおまかせしたい。ことし64になるので、65までには後継者を作らないといけない。なんでこんなに頑張ってきたか?2億円も借金しちまったからだ。返せないから必死に働いた。なまけものなのでケツに火がつかないと本気でやらないが、気がついたらそれもなくなった。相続は終わって無一文だし、事業の引継ぎをすれば断捨離も完了、背負うものがなくなる。

僕は50で野村をやめて55でサラリーマンをやめた。65というのは何ものかではあるだろう。そもそも税金で勉強させてもらって社費で留学させてもらって社会人としては自己都合で何回も「FA宣言」させていただいた。同世代でこんなにわがまました人間も珍しいだろうが、いま30代以下の人たちは、入った会社が終身雇用をキープしてくれるかどうか心配する以前に会社が消えているリスクを考えなくてはいけない。そんなの普通でしょという時代を生きていかなくてはならないから僕のやったことはいいシミュレーションだ。ポイントは、FA宣言は採ってくれるところがあるからできるということだ。つまり労働市場での自分のバリューをあげておかないといけない。

簡単だ。僕が社長をやってもらいたいと懇願するような人物になれば、はっきり書くが、いつFA宣言してもぜんぜんOK。経験者が言うのだから間違いない。「どうすればそうなれますか」と質問するような人は、かわいそうだがなれないからあきらめた方がいい。修行がいるのだ。その場はどこでもいい、与えられた仕事(嫌な仕事、難題であればあるほど良い)とがっぷり四つの真剣勝負をして最後まで完璧にやり遂げる。自分なりに解決する。責任を持つ。それを積み重ねる以外に手はない。解決しないまま何百年やっても、そんな経験は無意味。僕はそういう人は、とりあえず一回は叱る。それで気がつけば脈はあるし、それで治らなければもう二度と叱らない。なぜなら叱ると怖いといわれるし、できればやさしいおじさんでいたいからだ。

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