Sonar Members Club No.1

カテゴリー: ______日々のこと

新興蒸留所のウイスキー試飲会

2023 APR 1 9:09:30 am by 東 賢太郎

先日にたまたま知り合ったNさんの紹介でスコッチ・ウイスキーの試飲会に行った。彼との出会いは巨人の角投手のお店だ。「ボウモア入れてますが、飲み方はどうされますか?」ときかれたので「ボウモアはどうもこうもないでしょ」と言ったら、即、こんど面白い試飲会あるから行きましょう!という流れになったのだ。

場所は三宿のRUDDERというお店である。バーではなく試飲ができるセレクトショップであり、棚には魅力的なヴィンテージやレア物がずらりと並ぶ。この会は紹介者のみのメンバー制で、ただの酒飲みは入れないらしい。僕は酒飲みでないがそんなに知ってるわけでもない。息子を入れてカウンターに7人が座った。中年男ばかりと思いきや若い男性がおられ、3名は女性で想像よりずっと華やかである。

この日は市販してない酒が5種類グラスで並んでおり、一品ずつ店主の松永さんの解説を聞きながら口に含んではああだこうだと品評する。皆さんスコッチは詳しいだろうがこの5品は新興蒸留所の品で誰も知らないから好みが出る。ラフロイグ好きな当方も同じだが、皆さんくさい派なことがわかってじわじわ親近感がわいてくる。「味を何かに喩えてください」というので、女性から、5番は若いねとか、赤ちゃんくさいわねときた。もう出来上がっていた僕は、これはブラームス、こっちはモーツァルト、こいつはストラヴィンスキーだねと訳の分からない品評をしたが、火の鳥ですかと声が飛び浮いた感じはなかった。

気に入った2番と4番を買って店を出た。お互いが誰だかわからない場なのにけっこう盛り上がるものだねというとNさんが、皆さん常連で経営者のかた、国連のかた、女子アナのかた云々と教えてくれた。皆さんは知り合いだったわけだがこっちは名刺交換もしなかったし素性を明かすと出てくるめんどうな話なんかはまるでなく、話題は酒だけの一種のマスカレードであった。うまいまずいにトシも男女もない。仕事に関わるにおいが一切ない方々と、別に人生を左右するわけでもない酒の味を2時間もあれこれするなんてのは最高に贅沢な時間と思った。

これも後で知ったがお会いした主催者エピキュリアンの米澤多恵さんは雑誌「GOETHE(ゲーテ)」の副編集長をした方である。検索すると「自分が楽しめるものを、周りを気にせず自分の気持ちに素直に体験することが、人としての成熟であり、人生の多様性だと私は思います。そんな成熟した大人が増えることが、その国の文化を成熟させるのだと信じています」といいことが書いてある。僕は成熟した大人なんて立派なものではなく、毎日面白ければ万事オッケーという子供がそのまんま大人になっているだけだ。この日は面白かった。Nさんに感謝だ。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

役員を自分で2度やめた男

2023 MAR 25 11:11:35 am by 東 賢太郎

朝食の席で家内が「もしあなたが某大に行ってたらどんな人生だったかしらね」というので、なんだか意味がよくわからず、「少なくともここにはいないだろうね」と当たり前の答えをした。

何かというと合格校を辞退して浪人したことだ。先日に神山先生の講演が御茶ノ水であって、出席者の方と駿台の名物教師の話でひとしきり盛り上がった。あれが正解だったかどうか考えたことはあるが、選ばなかった道の先はわからない。「あした」なんてものは星の数ほどあったから気まぐれでしたことだった。

人生何度も苦杯をなめさせられた。でも、その一つでも欠けたらイマはない。良い負けがあるなんてクサい話ではない。どうでもよかった、悩まなくてもよかった、それだけだ。人生の最後に「よかった」と思えればいい。そうすればぜんぶの負の遺産がオセロみたいにひっくり返ってオッケーになるからだ。

思えば最近はブログが人生記になってきていてPVがもうじき900万になる。青汁に乳酸菌が100億個入ってます以上に僕にはつかみどころがないが、1分読んでくれたとして約17年も多くの人様の貴重な時間を頂戴した計算になる。どなたかは存じないが、それだけ一緒に生きて下さったことには感謝しかない。

何度も述べたが、僕は広告料や売名めあてのブロガーやユーチューバーとは違う。PVを増やそうという記事など一本もないし身勝手なトピック、身勝手な中身しか書かない。WBCのビデオを千年後の子孫が見てこう反応した先祖の子孫だと知ってもらいたいからで、PVは世間様も反応されたということだろうか。

だから本来であれば、僕は野球や音楽でなく、プロフェッショナルである投資について反応を書いて残すべきなのだがそれでは商売にならない。書かなければ僕とともに消える。だから家族はもちろん、リアルタイムで一緒に生きて下さっているお客様、社員、協力会社様との会話やあれこれの記録はとても重要だ。

ちなみに昨日はお客様と電話で1時間半話した。「東証1部上場企業の役員を自分から2度辞めました」「まるでドラマですね」から始まって、この業界酸いも甘いもという裏話からああだこうだの質疑応答に至ってそうなった。投資コンサルは哲学が必要である。助言をさせてただくのは理解して下さる方だけだ。

ブログの読者の方々も、きっと電話すれば1時間半になるような、おそらくそういうインテリジェンスがあって熱心な方々なのだろうと想像する。SMC西室にご連絡いただければお会いもするし、お取引はともかくすでに何度か来社された方もおられる。昨今は以下のようなケースもでてきた。

まず僕のブログを読んでアメリカから神山先生を訪ねてこられた方がおられたことを伺った。また、先日は東京芸大の楽理科の先生から「プリンストン大学音楽科のサイモン・モリソン教授が東さんのプロコフィエフ論のブログをレクチャーで引用したいそうなので許可いただけますか」というご連絡が西室にあった。

教授がそう思われたことに関心があり、レクチャーはあさって母校の成城学園でのようなので出席しようと思うが、「どのような経緯でモリソン先生が東さんのブログに行きついたのかわかりません。どうやらほかのピアニストの方が引用されているのをご覧になったようです」とあった。

こういうのを見て家内から質問がきたのかと思ったら、「そっちの大学なら文筆業になったかもしれないね」ということだった。「いや、才能ないよ。行った方の大学でも弁護士にならなかったしね。役員を2度やめた男のほうがずっと俺らしい」。こればかりは揺るぎない。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

徒然なる正月の日々

2023 JAN 4 18:18:42 pm by 東 賢太郎

家事は何もしない。とくに正月は家族に申しわけないと思うが、できないからいても邪魔なだけ。指揮者は家内だ。お節は心斎橋「鶴林 よしだ」である。もう10年以上になるかな、毎年おんなじ品が並ぶが飽きようがない。酒屋の親父に「今年は辛口」といって出てきた「うまから まんさく」も合う。元旦は快晴。富士山もいい肴だ。完全に酔っ払い、おかげで憂さが吹っ飛んで年が明けた。

初詣は毎度の浄真寺と宇佐神社。何年前だったか猫もお祓いしたことがあるが、今は4匹になってるので人だけ。僕はこう見えてけっこう信心深い。良くなかった去年とは行くルートを変えて臨んだ。浄真寺は長蛇の列。今日4日は会社で恒例の日枝神社に。どっちも参拝までに30分以上も並んでコロナはもう風邪なのかなと思う。

駅伝は中央と競った駒大が勝った。中央も強くなった。昨年史上最高タイムを叩き出した青学は5区の人が体調不良で総合3位に終わったがよく追い上げた。皆さん正月からご苦労さんである。お~、ヴィンセントのゴボウ抜き凄い、山の妖精がんばれ、あ~襷がとぎれたかわいそうに。「お茶の間」はただの野次馬だ。火事と喧嘩は江戸の華なんてお気楽なポジション。これが僕には最高だ。

年賀をいただくと悠々自適ですという人が増えた。いいなあと思う。そういう境地に入れることが本当にうらやましい。僕は競走馬みたいに走りどおしできて、まだ止まれない。いいトシこいて「まだ頑張ってます」なんて実にみっともないと思ってる。だからブログにはジジイは引退しろと書いてる。その自分ができてないというのは最高にカッコ悪いことなのだ。

今日も秘書たちとイタ飯してだんだん仕事モードに戻ってきたが、これが僕にとっては安心モードなんだと思うことにした。残念ながら悠々自適は当分できそうにない。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

地球上に邪気が満ちていたような年でした

2022 DEC 31 23:23:09 pm by 東 賢太郎

今年は父が他界し、辛い年でした。何事も結果が思ったように出ず耐えるしかなかったです。世情も悪いです。著名な方々がなくなり、昔からセットの疫病と戦争とインフレが世界をかき乱し、今年は地球上に邪気が満ちていたような気がします。

ロバート・チャールズ・ウィルスンの「時間封鎖」。ある夜、突然星々と月が空から消え、翌朝に現れた太陽も贋物であったというこのSF小説を僕は思い出しています。地球が一瞬にして暗黒の界面に包まれ、界面を作った存在を人類は仮定体(仮定上の知性体)と名づけたが、不気味なことに正体は知れないのです。安倍さんの事件。何が起きたんだと日本中が震撼しましたが、ふと気がつくとそれはあらぬ宗教騒動に置き換わっていて、誰もがその変わり身の不思議さに気づかないように淡々と粛々とふるまっている不思議に僕はさらに震撼を覚え、贋物の太陽を仰ぎ見ているのです。

健康には自信があってここまで来ました。でも数値を見ると糖尿予備軍だし、目は疲れると二重に見えるし、耳鳴りはもう10年、鼻はスプレーしないとつまるし、歯はちょっとだけ歯周病、肩はばりばり、おしっこは出にくいし、パニックが怖い。こうなると、かかっている医師は5人で薬はわんさか出てます。そういえばお袋がこうだったなあと嘆くと、もういいトシなんだからと笑いとばしてくれる家内の言葉が一番の薬だったりします。

2022年もあと1時間をきりました。5月に親父が逝ってから書いたブログは5月ゼロ、6月1本で、万事ここに現れてます。疫病と戦争とインフレの第1次大戦を、いま生きてる人類は経験してません。僕は両親が天に昇ってしまった自分というものも、経験がありません。まあ、それもあと少しでおしまい。くる年はきっと変わると期待しましょう。

皆様よいお年をお迎えください。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

世界のうまいもの(15)《日本橋そばよし》

2022 SEP 1 18:18:20 pm by 東 賢太郎

人間ドックで血糖値が高い。いつも高めなのだが「運動してくださいね」で終わっていて、真面目に考えたことはなかった。それが今年はその指導が消え、「近所の医師にクスリもらいましょう」に変わった。運動なんてどうせやらないなと匙を投げられたらしい。

そこで近所の医院に行く。女医さんだ。数値をご覧になって「このぐらいはお相撲なら序の口です、私は薬はなるべく使わないので」とひと口上があり、まずは食事のアドバイスを受けることになった。家内といっしょに血糖値のスパイク(一気に上がること)を避ける食べ方を教わり、よし頑張ろうという気になったが、「早喰いは控えるように。ゆっくりとよく噛むように」という指示も出た。

そのつもりはないが早喰いかもしれない。証券マンの習性だ。それらしい生活をしたのは支店にいた2年程度しかないが、そこでイロハを叩きこまれたから「昼飯は15分」が体内時計にインプットされている。大阪はさすが商売の街だった。注文すると1,2分で出てくる飯屋があって、先輩方とそこで10分で済ませて5分のコーヒータイムを残すという技が身についた。東京にそういう処はなさそうでそのペースでいけるファストフードはマックか立ち食いソバになろう。

先日のこと、所用でひとり日本橋へ行った。もう5,6年はご無沙汰だろうか。当の橋のたもとは再開発で様変わりして首都高の高架も消えるらしい。野村の「軍艦ビル」周辺は三方ぐるりと更地の工事現場でびっくりだ。たしかこのビルは文化財か史跡だったかでそのまま残すとは聞いたが、野村も当面は移転して中はもぬけの殻だ。思い出深いビルでありどこか寂しい。

昼すぎだ。さてどうしよう。この辺から神田、人形町、浅草あたりとくると無性に食べたくなるのが蕎麦だ。江戸っ子だ、目がない。蕎麦は国民食だが、百万都市江戸では屋台が出る人気だった。当初は一杯が6文、後に16文になるが、今のお金で凡そ100~250円というところ。各藩から武士が単身赴任し、気の短い気質ができたこともあったから茹で上がりが早いのも良く、これと江戸前の寿司屋は世界初のファストフード店だったんじゃないだろうか。

さてこのあたりでとなると僕は「やぶ久」ってことになるが、あそこへ行くといつもカレー南蛮の誘惑に負けてしまう。ちょっと今は暑苦しい。立ち食いソバがいい。それと蕎麦屋は別物であるが、日本橋の空気を吸ううちに「あの日に帰りたい」のモードになっていたこともある。

向かったのは三越本店に近い「そばよし」。鰹節問屋直営で長い行列ができる店だがランチタイムは過ぎていて2,3分待ちで入れた。ここは暖かい天玉そばと相場が決まっている。値段を見ると500円である。ちょっと値上げしたかなと思うが光熱費も原材料費も上がっている昨今はやむない所だろう。

座席について周囲を見回すと、コロナ何するものぞでぎゅー詰めである。3,40代がほとんどで、白髪の老人が2,3人、皆さんこの辺のお勤めで遅めの昼飯というところだろうか。ご機嫌でソバをすすっているとすっかり溶けこんでもうこの界隈の住人だ。大手町組だったので軍艦ビルに通ったのは1,2年だが、日本橋は心の故郷だったということをこの日は逆に知った。

日本食というものはやはり江戸時代からあるものがうまい。そばつゆは昆布と鰹節が出汁であり、動物性油分を使わず醤油だけでシンプルにして深みのあるこの味はさすがの中国にもない。江戸町民の舌が3百年かけて産んだ独創であって、私見においては世界有数の美味であり、ゴッホやドビッシーまで魅了した浮世絵の洗練すら思わせると考えている。

500円の食事で済ます人間をグルメ(gourmet)と呼ばないのはフランス人の怠慢であると言いたいが、これはワンコインの方がおかしい、円の価値の問題なんだろうかと思わないでもない。しかし海外にない食はマックのパリティが使えない。畢竟、和食でグルメするには円は強く、資源や小麦を買うには弱いという結論になる。

半分ほど食してふと気がついた。席は狭い、ほんとうに。隣と肩がくっつくぐらいで、ざっとみるに我がテーブルの専有面積はタテ30cm、横40cmというところである。G7国の首都でこんな閉所で食ってるのは日本だけだろう。労働生産性はいわれるほど悪くないんじゃないかという考えもよぎるとだんだん我にかえってきた。

こりゃ三密だ。長居はいけないぞ、油断は大敵である。こういう時なのだ、時間はスマホ頼みで腕時計というものをしなくなり、何かのついでに反射的に時刻が目に入ることがなくなったことを気づくのは。体内時計は40年たっても正確さを保って作動しているようで、店を出てスマホを確認すると所要時間は15分であった。「早喰い」はなおりそうもない。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

信じることこそが人間関係の最強の絆である

2022 AUG 7 13:13:36 pm by 東 賢太郎

富士霊園にて納骨式をとり行い、両親は並んで深い安らかな眠りについた。親族は遠路フランスから戻った者もおり、墓前で花を添える段になると朝から長らくぱらついていた小雨が良い塩梅に止んだ。前日の東京は明け方まで雷鳴が轟き仏前での眠りが浅かったが、この日の御殿場は山肌に薄く霞がかかって連日の猛暑が噓のように引いてしまい、何もかもが済んだ安堵のように至極穏やかだった。

箱根の温泉宿に一泊して自宅に戻ると得もいえぬ虚無感に襲われる。生まれてこのかた初めての境遇なのだからと我が身に説いて納得させるが、親がいないとは実にこんなによすがのないものであり、知らぬまに自分が一族の支柱なのだという覚悟を問われ始めている。もう3,40年この方、ちっとも父に頼って生きてきた積もりはないのだが、なくなるとかように重たい蓋だったのだ。

両親とも兄弟が多い。物心ついて以来こうした一族の集まりの長はいつも伯父であり、最年少のほうだった僕は端っこでちょろちょろしておればよかった。それがいまや祭祀の長だ。あちら側へ行けばまた楽だろうが、暫くはこうだ。そう生まれついてないので重く、嫌なのだ。この景色は次はそろそろお前だよと見えるが、早くお袋の所へ行きたいが口癖だった父の気持ちもこうだったのだろうか。

そう生まれついてないことは年の一番近い従妹がよく知っていた。それを宿の夕餉で他人事みたいにきいた。指揮者になりたいとか言ってたあのケンちゃんがどこでどうして証券マンなんてなったのかと。それが自分でも不可解なことは文章にしたし、なってからの景色はその何倍かそうだった。野球やったからだ。そう思って答えたが、いま思うと、知らない浮力に乗ったというほうがよほど近い。

以前に、横浜の桜木町駅の先を歩くと引き寄せられるような「気」を感じたことを書いた。あれはまだ起業前のことで、幸運の女神が微笑むか否か誰が知ろうという時分だったが、先祖ゆかりの地で俺はいけると確信をもらって帰ったのだ。”自分は守られている”、この安堵感こそ謎だ。結局、ほんとうに要所で吉と出て今に至るわけだが、いまもってあれが何だったかは凡そ説明がつかない。

かように世の中は合理で解せるものは実は5割にも満たない。迷って魔がさして理にすがると碌なことはない。自他ともに認める合理主義者だが、自分の守護神は信じる。そこに両親が加わったのだ。誰に会っても、ここまで8割は運でしたと話すのは謙遜でも何でもない、すべてあっけらかんと実話なのだから信じるしかない。それは死ぬまで続くと思うだけで生きるのに燃料は何もいらない。

これも以前書いたが、信じることこそが人間関係の最強の絆だ。僕が万人を信じることは多分ないが僕を四の五の言わず信じる人を信じることはできる。現世享楽的な贅沢に興味なく、我欲は満ちているから他利第一でよく、その誰かが喜ぶのが喜びである。僕を信じてくれた者、問答無用にまず妻、それから家族、親族、顧客、社員、友人、知己、猫にまで及ぶ方々ファーストの余生こそ欲しい。

ずいぶん大勢の人と出会い、ふれあい、そしてほんの少しだけ残った。義理人情でも相性でもない、良いも悪いもない、お互いの運だ。そう生まれついていないので政治家やその辺の経営者みたいなまねは一切しない。してもうまくいかない。うまくいくことだけやれば皆にとって八方良し、それが長の役目だ。それも運ということがやがてわかる。運は信じる者しか来ていることに気がつかない。

こう書いてきて、信じる信じないは宗教のようだ。何の抵抗もない。僕は宗教家でも何教の敬虔な信者でもない。葬儀は真言宗大谷派でしたが教義は知らない。何度も書いてきたが、信奉するのは合理と科学のみであり、だからこそ、その末に見えるのは神のようなものなのだ。それが誰であるかは問題でない。でもおられるから、世の中は合理で解せるものは実は5割にも満たないことを知るのだ。

中世までの合理は神学だった。その真理が5割もないことを啓蒙家が説きフランス革命がおき近代の幕が開いた。科学は神学の子分でしかなく、それを信奉する21世紀人の我々もそういう所にいるということだ。結末は22世紀にしか見えないから僕は関係ない。地球に巨大な小惑星でも衝突しない限りそれはやって来るが、読み解いてどうよく生きるかは子孫の皆さんにおまかせだ。

 

 

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

昨日パレスホテルで「しなかった」スピーチ

2022 APR 9 14:14:49 pm by 東 賢太郎

きのうは会長をさせていただいている某社のパーティがパレスホテルでありました。オープニング・スピーチを仰せつかっていたのでお話ししようと思っていたテーマがあり、壇上に立ってマイクの前でさあ始めようと思ったその時です。照明の具合もあったのかもしれませんが、その場にいる皆さんの顔がぱっと輝いて見え、「ここにいる人たちは運があるな」と思ったのです。そこで急遽そのテーマはとりやめ、感じた通りのことをお話ししました。

だいたい僕の直感は当たるのです。だったらそれを喋った方が皆さんにとっていいわけですね。これを読まれている社員もおられるでしょう、「喋らなかった方」もここに書いておくので昨日の話といっしょに覚えておいてください。「通貨と暗号資産の価値」のことです。暗号資産はこれまで仮想通貨と呼ばれてきたように「仮想」のものでフェイクで実体価値がないと指摘されますね。それは債券や株式と比べればたしかに事実かもしれませんが、それを言うなら法定通貨だってただの紙なんですね。戦争や財政破綻でデフォルトしかねない国家の保証よりも、ブロックチェーンで数学的に価値を証明されたものの方が実は安全かもしれず、そう考える人が増えれば増えるほど、安全性も増していくんです。今回のウクライナ危機でルーブルが乱高下したことで世界が痛感したことです。

世界の資産家の間ではそういうことはすでに常識になっています。ですから暗号資産はこれから世界の金融資産の一部を構成するようになっていきます。誰かが頑張ってそうなるのではなく自然な流れとしてです。残念ながら、日本はそうした金融知識の面では「超低開発国」なのですね、だからそう説明されても理解して実行できる人は日本ではものすごく少数派なんです。それは誰が悪いわけでもなく、ものの考え方という文化ですから仕方ありません。40年もその業界にいてそれでは日本人の幸福にはならない、変えなくちゃいけないと痛感しながら何もできていません。しかも日本人の貯蓄はほぼ「円建て」なんですね、日銀にはあからさまなテーパリングはやりにくい事情がありますから円が弱くなっていく傾向は当面は続くでしょう。良い円安、悪い円安などとよく言われますが、日本人の購買力も投資余力も衰えますから良い円安なんてものはありません。

でも安くなってるのは円だけじゃない、これがポイントです。「ビットコインが上がっている」というのは「暗号資産に対してドルが下がっている」という意味です。「暗号資産が世界の金融資産の一部になって行く」と書きましたが、それはイーロン・マスク氏のようにドルを売ってコインを買う人が現実にたくさんいるからそうなるわけです。貯蓄だけではありません、物を買ったときの支払い(決済)目的でもそれはこれから大きな規模で起こります。銀行を飛ばして決済できるので一面でマネロン手段になるデメリットはありますが、それさえきっちり管理されれば手間、時間、コストどれをとっても多大なユーザーメリットになります。ビットコインの価値を保証する国家は世界のどこにもありませんが、それは弱点ではないのですね、必要ないのです。なぜなら、ハッシュ関数を世界の有志が競って高速コンピューターをつないで解いた存在証明は「数学」ですからごまかしようがなく、それがあれば万人がビットコインの価値を信用するでしょう。スイスのツーク州のようにコインで納税を認めるケースも現れました。あとは時間の問題です。信用される資産は世界のどこでも通用し、流通します。

だから、インチキな「草コイン」に騙されてはいけませんが、グローバルなインフラがしっかりした発行体によるコイン、それもステーブル・コインといって通貨やゴールドに兌換性のあるものは購入して資産の一部に組み入れたほうが資産は “トータルに安全” になります。その価格が上昇した時の機会損失を防げるからです。つまり、コインを投機として「上がるから買う」のではなく「安全にするために買う」のです。世界の富裕層の関心事は資産防衛ですから勝手に潮流がそうなっていきます。すると、現象面だけ眺めている一般の人の目には「そのコインの値段が上がってる」というふうに映るわけで、多くのマスコミもそう騒ぎますが、投機でそうなったわけではなく「マクロの経済現象」ですからついて行った方がいいのですね。代表格のビットコイン、イーサリアムも結構ですし、これから3番手に育っていくようなコインもその目的には効果的でしょう。

僕は会長としてかようなことを世の中に広めていく立場にあると考えています。国民が老後を年金だけに頼らず幸せに暮らしていくために知っておくべき金融知識と信じるからです。もちろんブログにも書きますしタレントさんにもお手伝いを願いたいと思っていますが、40年金融ビジネスに携わってきた自分の言葉でなるべく分かりやすくお伝えしたい、そう考えてます。金融屋は自分の金儲け第一というのが世間の相場でありましょう。僕も例外ではなかったわけですが、おカネを商品とするプロの金融マンはそこでケンカに強くないと生きていけないからという理由もあります。他人様の心配までしてケンカには勝てませんので。ちなみに、テレビや著書で為替や株式を論じる人は実は投資ではなく出演料や印税で食っているアマチュアで、僕のように資産を99%ドルにするようなプレーヤーはいません。そういう人は自説を他人に教えたりしないから当然ですね。

もうそういうことは卒業のつもりですから大事なのは他利(do for others)と考えてます。そういうスタンスに徹すれば、社内外で頼ってくださる方がいるかなとも感じております。普通は第一線から身を引くトシですからね、頼られるのはとてもありがたいし、やりがいを感じることです。でも、自分で言うのもおこがましいですが、僕は自分で正しいと信じたことを国内外でやって実証してきましたからひとりでお墓に持っていくのはもったいないとも思うのです。ブログにしたものもありますが、やっぱりリアルで生で話した方が伝わりますね。役職員の皆さんはそういう機会が出てきますし、いずれ公開されますから外部の方でもセミナー等でそういうことができるかと思います。

 

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-04-15/RAB88RT0AFB501

 

 

 

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

ゾロ目への愛着を哲学する

2022 MAR 7 19:19:58 pm by 東 賢太郎

“それ” がやって来るなと数日前に目星がついた。いよいよ昨日、それは明日のことだろうとおおよその予想が立った。そして昨晩、床に入る前には「早朝に違いない。もう二度とないから記念写真を撮るぞ」と、予想は確信に至っていた。

あと300

夜中にブログを読んでくれるのはほぼ外国の人だけだ。ページビューはそんなにない。あと300あるし大丈夫だと高をくくって寝た。こういうことはよくある。目覚まし時計だけでは危ないので僕は必ず家内に起こしてもらう。そして、昨日はそうしなかったのである。それはちゃんと来た。そして、予想通りに僕は寝過ごしていた。

7,777,777はラッキー7が7つという大魚中の大魚だった。次は7千7百7拾7万7千7百7拾7?うん、あの世でやろう。

ちなみに2022年は「同じ数字が3つある年号」だ。直近は1999、2000年であり1999年以前に生まれて生きてる人は今年が「人生3回目」になる。次は2111年、次の次は2122年になるから今年生まれの赤ちゃんは100才で「3回目」、来年生まれだと199才。3回目はけっこう大変なのだ。

ゾロ目への愛着。無一文のころラスベガスのカジノでスロットにハマったせいもあるが、多分に性格である。わかったことが2つある。ひとつ、ゾロ目嗜好はコレクター性格と同一である(しょうもないものを集める癖)。ふたつ、人間がいかに非合理的にものを決め、後付けで理屈をつけ、自己満足しているかである。

 

シェーンベルク 「月に憑かれたピエロ」

 

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

コロナは年3回流行る風邪になる

2022 JAN 30 8:08:51 am by 東 賢太郎

アルファだデルタだオミクロンだ、マンボウだ緊急事態だ、ワクチン1回目だ2回目だ3回目だってのは置いといて、大雑把にみればコロナってのは、

1~2月、4~5月、7~8月

の年3回だけ流行る病だったんじゃないだろうか? 根拠はこの2年はそうだったというだけで直感に過ぎないが。

であれば来る時は来るので、ジタバタしても無駄であり、今は最悪期の真っ只中だ。いずれこいつがただの風邪になるまでは台風と思って年3回は耐えるしかない。これも何の根拠もないのだが、僕は遅くても来年には風邪になると思っている。だから前倒しに風邪と思っていい時期が年末にはくる。ニューヨークに聞くと「もうこっちでは風邪ですよ」とあっけない。オミクロン台風の被害がまだ未知数なのでそこまで言う自信はないがもう少しの辛抱だ。

当初、僕はこいつをエイリアンだと思って心底恐れていた。無症状感染者がうつす死病であって、宇宙船のどこに潜んでるかわからず、運悪く出くわすと食われてしまうあの映画の怪物を連想したのだ。先日CS放送でこの映画を40年ぶりに見たが変わらず怖かった(SFホラーの元祖的傑作だ)。現に周囲で5人が感染して一部は重症になった(全員生還したのは幸いだった)。しかしそれはアルファ株の話であって、オミクロンはもう別物ではないかと感じる。

それでも政治家はマンボウ、緊急事態宣言を出す。出しても出さなくても批判されるリスクは等しくある。ならば選挙用に「やってる感」見せよう。テレビにも映りたい。だから出てしまう。東京五輪前に菅総理があれだけ長々と出しても、結局はデルタ、オミクロンがこの大暴れに至っているのである。何の意味もないのが明々白々だ。詰まる所、飲食、旅行、イベント業界にとっては政治家がエイリアンであったのだ。気の毒でならないので僕は構わず行くことにしている。

その手のことはよくある。地球温暖化もそうだ。太陽活動はシクリカルである。質量が33万分の1しかないゴミみたいな地球で人間が何をしようが太陽には微塵も関係ない。6千年前の地球の平均気温は現在より2度高く海面の高さも4~6m高かったことがわかっている。太陽がそこに戻る過程にあることもわかっている。地球のCO2が減ればそれが止まると信じるなら天動説でも地球平面説でも難なく信じられるだろう。そうではない。それで騒げば儲かったり政治的に都合が良い人達が世界中にいるのだ。よく考えていただきたい。

同じことである。上場している営利企業の製薬会社ファイザー、モデルナは株主の手前、ワクチン効きませんでしたってわけには死んでもいかない。思いっきり推進した政治家も同じ穴のムジナだから接種しろしろとプッシュし続けるしかない。ワイドショーでどうでもいいことをしゃべってる専門家もまたテレビ局に呼ばれたいから変異株のリスクを言い続ける。マスコミは視聴率が取れるいいネタだから「そうですよね~」と乗っかる。だから、要は関係者各位の既得権益とご都合だけのために、ブースター接種は4回目も5回目もあるだろう(だって4~5月、7~8月にまた台風は来る)。

ワクチンが重症化をおさえるのはたぶん事実だろう。しかし、ここからは皆様のリスクへの考え方次第であるが、その為に打つならばファイザーの飲み薬が処方されれば同じことだから中期リスクがまったく不明のメッセンジャーRNA型を重ね打ちしてリスクを倍加しなくてもいいのではないかと僕なら思う。台風は家にこもってやり過ごすしかない。やるべきことは何があろうと不変だ。うがい、手洗い、三密回避である。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

今年の漢字は「力」

2021 DEC 31 20:20:20 pm by 東 賢太郎

今年は何とも言えない割り切れない感じのまま終わってしまった。清水寺のお坊さまが書く漢字は何かと思ったら「金」だ。おおそうか、金か、そのとおりだ、そういえば今年はオリンピックがあったんだっけなあ、想定よりずいぶんたくさんだったもんなあ、予算が。

カネと読んでいた。なんだ、つまらんヨイショだったのか。五輪イヤーで過去に3回もキンはあったらしい。芸がねえな。それなら「忖」の方が良かった。忖度(そんたく)のソン。訓読みは「おしはかる」である。「他人の気持ちを推しはかる」という意味だ、大事じゃないか人間として。そこに「私利私欲のために」が加わったのが昨今の特徴だ。しかも「大きな力」をお持ちのパワフルな方々がおしはかっちゃうものだから国民的関心が盛り上がった。

でもこの字は誰も読めないな、ということでいうなら今年の漢字は「力」だ。同じことだから。しかも、大きな力だから、お坊さまには例年よりでっかい紙に特筆大書してもらいたい。

まず1月のバイデン大統領就任だ。民主党のなりふり構わぬトランプ言論封殺には心底驚いた。米国大統領を抹殺するのだから世界最大の力だ。「そこまでやるか」を超え、「それをやっちゃあお終いよ」もあっさり超えてしまった。米国がまだ民主国家というならそれは皮だけで、ばりばり裂けるとゾンビが出てくる。

去年発生したコロナは大きな力を持ったエイリアンだ。菅内閣は果敢に立ち向かったがやられた。死に際に放ったワクチンの矢は妖怪に刺さったやに見えるが、なぜ日本の矢だけが効いたのかは一向にわからず、依然正体不明だ。世界の叡智もAIも、まだまだ太刀打ちできない力があることを思い知らされた。

五輪を力で押し切った菅内閣はあっぱれだ。安心安全は問答無用を意味する呪文として見事にワークしたし、閣僚の忖度は演技力の粋を見せ、米国とは違った言論封殺の方法論が確立したと言えよう。内親王様とK室氏の大きな力も令和の新機軸だ。財務省事件の傍系といってわかる人はほとんどいないだろうが。

GHQ製だろうが何だろうが憲法は憲法。『総議員の三分の二以上、国民の過半数』の賛成で改正でき、天皇である根拠はその憲法の第1条にしかない。皇室、特に天皇陛下たるものの大切さは西室の言うとおりだが、法的にそれをお守りするのは国民の総意しかない。総意に添わない大きな力の行使ではない。

今年はほんの数えるぐらいしか外に出なかった。演奏会ゼロは50年ぶり。それだけ自宅で膨大な量の音楽を聴いた。時間をかけないとわからないことがわかった。神通力がある曲とない曲がはっきりと存在する。ない曲を千万回も大きな力が宣伝しても、いずれお里が知れる。宇宙はそう作られていることを理解した。

なんだか世の中みんな小ぶりになって力の差がなくなってきた。鼻の差勝負で小技と小ズルさが横行、嘘でも経歴詐称でもやったもん勝ち、バレたらひっそり消して「なかったことに」なるのを待つ。何事も大きな力がモノを言える世になってしまう。大谷翔平、藤井聡太、松山英樹。これぞほんとうの「力」だった。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

ライフLife Documentary_banner
加地卓
金巻芳俊