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新興蒸留所のウイスキー試飲会

2023 APR 1 9:09:30 am by 東 賢太郎

先日にたまたま知り合ったNさんの紹介でスコッチ・ウイスキーの試飲会に行った。彼との出会いは巨人の角投手のお店だ。「ボウモア入れてますが、飲み方はどうされますか?」ときかれたので「ボウモアはどうもこうもないでしょ」と言ったら、即、こんど面白い試飲会あるから行きましょう!という流れになったのだ。

場所は三宿のRUDDERというお店である。バーではなく試飲ができるセレクトショップであり、棚には魅力的なヴィンテージやレア物がずらりと並ぶ。この会は紹介者のみのメンバー制で、ただの酒飲みは入れないらしい。僕は酒飲みでないがそんなに知ってるわけでもない。息子を入れてカウンターに7人が座った。中年男ばかりと思いきや若い男性がおられ、3名は女性で想像よりずっと華やかである。

この日は市販してない酒が5種類グラスで並んでおり、一品ずつ店主の松永さんの解説を聞きながら口に含んではああだこうだと品評する。皆さんスコッチは詳しいだろうがこの5品は新興蒸留所の品で誰も知らないから好みが出る。ラフロイグ好きな当方も同じだが、皆さんくさい派なことがわかってじわじわ親近感がわいてくる。「味を何かに喩えてください」というので、女性から、5番は若いねとか、赤ちゃんくさいわねときた。もう出来上がっていた僕は、これはブラームス、こっちはモーツァルト、こいつはストラヴィンスキーだねと訳の分からない品評をしたが、火の鳥ですかと声が飛び浮いた感じはなかった。

気に入った2番と4番を買って店を出た。お互いが誰だかわからない場なのにけっこう盛り上がるものだねというとNさんが、皆さん常連で経営者のかた、国連のかた、女子アナのかた云々と教えてくれた。皆さんは知り合いだったわけだがこっちは名刺交換もしなかったし素性を明かすと出てくるめんどうな話なんかはまるでなく、話題は酒だけの一種のマスカレードであった。うまいまずいにトシも男女もない。仕事に関わるにおいが一切ない方々と、別に人生を左右するわけでもない酒の味を2時間もあれこれするなんてのは最高に贅沢な時間と思った。

これも後で知ったがお会いした主催者エピキュリアンの米澤多恵さんは雑誌「GOETHE(ゲーテ)」の副編集長をした方である。検索すると「自分が楽しめるものを、周りを気にせず自分の気持ちに素直に体験することが、人としての成熟であり、人生の多様性だと私は思います。そんな成熟した大人が増えることが、その国の文化を成熟させるのだと信じています」といいことが書いてある。僕は成熟した大人なんて立派なものではなく、毎日面白ければ万事オッケーという子供がそのまんま大人になっているだけだ。この日は面白かった。Nさんに感謝だ。

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