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カテゴリー: 政治に思うこと

小池の焦りの馬脚か

2017 OCT 9 17:17:15 pm by 東 賢太郎

前から書いてきたようにモリカケ問題の本質は小池が言う「しがらみ政治」でも「隠ぺい体質」でも「安倍一強政治」でもなんでもない。首相官邸が高級官僚の人事権を握ったことだ。これが幹ならそんなものは葉っぱにすぎないのである。葉っぱなど摘んでも何もリセットなんかしない。

人事権⇒ヒラメ官僚のソンタク大会開始(=出世のルール変更)⇒総理令夫人様とご友人様へのヨイショ合戦+宦官政治(総理は言えないから俺が言う)

こそが決定的な本質であり、行政府の変質なのだ。人事は生殺与奪権だからこのことで官僚を批判はできない。サラリーマン原理として当然の行動である。しかし変質が木っ端役人レベルですんでればよかったが最高ポストの事務次官が反旗を翻したのは官邸には大打撃だった。一般には事務次官がどのぐらい偉いかわからないだろうが知る者は知る。知る者たちの世論への影響は陰ひなたに大きいから「数」でなく「質」で利いてしまったのが政権支持率の暴落だ。本質は国民には分からないから野党は「葉っぱ」の連呼でごまかしてきたのである。

小池が「フェアウェーのど真ん中」などとオジサマ向けの比喩を飛ばしてくすぐる笑顔を見せる。どこかで既視感あるなあ。「知る者たち」の属性を見事に読んでいる、この人、ほんとはただの女優なんじゃないか。究極の狙いはその層の支持で新保守としての「質」を獲得することなのだろう。それさえ取れば初めはともかくいずれ政権担当能力を認められて保守連立で首相になれるという読みだ。これはそれなりに賢い。モリカケを当初あまりネタにしなかったのはカミツキガメやスピッツみたいな顔した、要は「知る者たち」が毛虫のように嫌うこわっぱと一線を画して質の差を見せたかったからと思われ、だから左を踏み絵で「排除」もした。それなのに公示前日にチープな「葉っぱ」を出してきた。焦りの馬脚が出た気がする。失敗じゃないかな。

仮に小池が衆議院に鞍替えして首相になっても、この「変質」した行政府にそのまま乗っかって「小池一強政治」のできあがりになるだけである。当面のところを観察する限りとお断りするが、僕にはそれが狙いなのだろうとしか見えない、やることはそこから考えればいい、だって閣僚も官僚もアタシに人事権があるのよ、みんなヨイショヨイショですり寄ってくるって。ということは彼女を幹として同じ葉っぱが出るだけなのだ。それなら政権交代のリスクだけ残るじゃないか、首相候補どころかロクな大臣候補者すらいないのに。まあおそらく「知る者たち」は一遍にそこまで見ぬいてしまっているだろう。

僕がこのブログを上梓してしばらく晒しておいたのは安倍首相続投にNOを言うためではない。

加計学園問題を注視すべき理由

官僚の忖度とヨイショを見分けろよと、やってることあまりにアホだよと言いたかったからだ。彼は第二次政権では所与の厳しい条件下で80点の結果を出したと評価している。誰でもできたとはまったく思わないし、あのまま民主党だったら日本国はおぞましい姿になっていた。首相が全部をハンズオンでできるはずはないしするべきでもない、正しく意図を忖度できる者に判断と執行を委ねるのはあまりに当然のことで、忖度できない者に頼むなどあり得ないのだ。しかし人事権が強大になればなるほど「おれの生活が第一」を唯一の人生の信条とするヒラメ・サラリーマンたちの盛大なヨイショ大会が始まって、実務執行に必要不可欠なキーマンであるソンタク・スナイパーと唐揚げにでもするしかない無用のヒラメの見分けがつきにくくなるのである。

多忙ゆえ愛する奥方が放し飼いになるのも仕方ない。それほど忙しいのだと同情するし誰にも他人に言えない家庭の事情はあろう。僕は海外赴任者の「日系大企業村」の多様なおつきあいの中で、旦那の役職=自分の地位と大きく勘違いした奥方をたくさん拝見してきたが、狭い村でそういう噂になってしまうと被害者は仕事に励むあまり家にいられなかった旦那でしたという可哀想な結末を迎えるのがほとんどであった。日本にいれば奥方は目立たなかったのだろうが、首相ほどになるとそうはいかないということは銘記したほうがいいということだ。

お友達の学校だろうがどこだろうがキャンディデートがなければ特区法案は通らないし、腑抜けの学校にやらせれば事後に批判されるだろう。文科行政が無意味の鉄板で風穴を開ける必要があったなら周到に「加計さんはたまたま友人だから、より厳しく審査してくれ」と文科省に事前に文書で厳命しておくべきだったのだ。それを受け取って、そう致しましたが合格しましたと忖度があれば何の問題もなかった。まあ今更もう遅いんだろうが。

 

(これを書いたのは9月28日)

世の中で大事なのはEQである

(これが9月30日)

若者のための政治用語辞典

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若者のための政治用語辞典

2017 SEP 30 0:00:40 am by 東 賢太郎

「すのまた城」

豊臣秀吉が一夜にして完成した希望の城。すぐ使われなくなった。

 

「名を捨てて実をとる」

捨てる名がまだあるという印象操作。何も捨てずにウソをつくの意味である

 

「アウフヘーベン」

持参金を差し出して対等合併を偽装するという意味のドイツ語

 

「リベラル派は排除する」

バリバリの保守宣言をされた蓮舫さんいらっしゃいの意味

 

「先に離党していった人の股をくぐる気はまったくない」

後に離党した人の股なら喜んでくぐろうじゃないかという意思表示

 

「総理経験者はだめよ」

私が総理だからですわの意味。都政は投げ出すわの意味でもある。

 

「当選ファーストの党」

「日本野合の会」とも。もう北朝鮮のミサイルに頼れない官邸の攻撃用語。

 

「保守二大政党」

リベラル=反日って国際的に見て変だからやめようね、踏み絵で落ちた人はわかりやすく「大日本反日党」を作ってねという意味。「新党サウスポー」でもいい。先祖返りの「社会党」、はたまた懐かしい「民主党」もありだ。全部おんなじだが。

 

「パンドラの箱」

男ばかりだった世界でパンドラは女性第一号である。神に「開けてはだめ」と持たされた箱をこらえきれずに開けてしまうと、ありとあらゆる厄災が出て世の中が滅茶苦茶になる。希望も入っていたが、結局最後まで箱の底に残って出てこなかった。

 

「シビリアンコントロール」

この稿を参照されたし。

読売巨人軍のシビリアンコントロール

 

「三都物語」

チャールズ・ディケンズの二都物語は「ロンドンとパリ」だから確かに二都だが東京・名古屋・大阪は一都じゃないか、おかしいだろ?と大阪都構想を画策するスパイ映画(主演男優・松井一郎)。『プリンセス・トヨトミ』に出るわと主演女優の小池百合子が中途でキャンセルし不発に終わる。

 

「実質経済成長率」

名目経済成長率からデフレーターを引いた数字。デフレーターがマイナスだとデフレであり「名目<実質」となる。こうなると物価が下がって賃金も下がり失業も増えるので世界の中央銀行が恐れる。恐れないのは「安倍政権の成長率<民主党政権の成長率」だったというトリックに使えて国民を騙せると思っている旧民主党出身者だけである。

 

「一都物語」

小池百合子が大村秀章を食って三都物語が二都物語になる計画が発覚し、身の危険を察知した大村は逃げる。松井一郎はおれはなんだったんだと怒り、結局『プリンセス・トヨトミ』出演はポーズだった小池百合子だけ残る「一都物語」でしたという大ドンデン返しのミステリー巨編。哀愁のエンディングで小池がつぶやく「そうよ、東京は都だもの」が有名。

 

「モリ・カケ問題」

客の注文がモリそば、カケそばに偏る傾向があると蕎麦屋が危機感をつのらせる問題。62%に達したというデータも出てきた。モリ・カケだけでは儲からないため「天ぷらそばの海老を大きくします」「鍋焼きうどんは正統派メニューだ」など水を向けるが「モリ・カケ隠し」と批判される。

 

「好景気の実感はない」

株高になってアベノミクスに追い風が吹くのを食い止めようという野合の衆の合言葉。野合の衆=烏合の衆とされる。「株高の実感はある」と言っているわけだが好景気と株高の関係は実は誰もわかっていない。「株高⇒追い風⇒安倍が儲かる」=「風が吹けば桶屋が儲かる」=「やばい」が彼らのロジックである。

 

「ピンチはチャンス」

「チャンスはピンチ」ともいう。ピンチをチャンスと言わざるを得ない自分はピンチであるというトートロジー。浮気がばれた際の自虐的表現によく使われる。

 

「踏み絵」

お調子者、なりすまし者を選別する効果的なシステム。日和見で主君を裏切る者がこれを用いて同類を集めるために多用される。

 

逐次追加します。

 

 

(付録・こちらへどうぞ)

新党「おれの生活が第一」

新党「ねこの生活が第一」

日本の財政事情と若者の未来について

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金正恩のさらなる高笑い

2017 SEP 13 2:02:28 am by 東 賢太郎

これを書いたのは去る5月22日、母の病室でのことだった。お読みいただくと、そこから情勢が何も変わっていないのに驚かれるだろう。

ソナー・アドバイザーズ株式会社 | 金正恩の高笑いが聞こえる

国連安保理で中露が制裁決議に反対はせず、米国案をやや軽くしたものが通った。これが米国の一手前進だとか最後通牒だとか議論されるが、関係ない。プーチンの言うように彼らは雑草を食ってでも核開発はやめない。いまさらやめる理由がないからだ。

一縷の望みは雑草を食ってるうちに軍部で空腹に耐えられずクーデターが起きることだが、オウンゴールを期待するのもいささかむなしい。思えばオバマの8年は民主党の3年以上に罪深いものだったのだ。リベラル路線で黒人が来て次は女性という見せかけの平等とグローバリズム。それがトランプの登場でひっくりかえった途端に北朝鮮の火薬庫に着火してしまった。

最悪なのは米国がプライドと国益を担保しつつ雑草魂に屈して条件付き対話路線に寄ってしまい、朝鮮半島が北によって統一されることだ。これは日本国民にとって永遠の悪夢である。のんびりモーツァルトなどきけなくなる。対馬から目視できるところに核保有国が出現するリスクをヘッジするには核保有で対抗する以外に手段はない。隣家のおっさんはライフルをぶっ放す癖があるけど本当はいい人なんです、ウチはセコム(注・別名を日米安全保障条約ともいう)入ってるし、銃なんて危険なものはいりませんでは済まなくなるだろう。

フランス人経済学者で欧州復興開発銀行初代総裁でもあったジャック・アタリの「21世紀の歴史」を読みかえした。大統領だったサルゴジが評価した本だ。個人の自由は人類最大限の価値としながら市場民主主義を経て利他愛に基づく超民主主義へという予測は、当時は面白かったが、今やどこの星の話だという感じだ。同書は2008年刊行だが、たった9年で世界は大きく反転してしまったわけだ。

上掲ブログに皮肉ったが、将軍様はかつての日本軍プロパガンダを踏襲しているとさえ思える。ABCD包囲網ができたらやっぱり踏襲するのだろうか?白人の作った国際秩序が地球の正義であるのか?昭和27年の我が国の独立が70年の時を経てどういう着地を迎え得るのか、退路を断たれた選択の時期が近づいてきている。

 

 

(こちらへどうぞ)

西表島(いりおもてじま)紀行

噛まないライオン(米中もし戦わば)

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僕の人生哲学(イギリス経験論)の起源

2017 AUG 5 17:17:37 pm by 東 賢太郎

「リヴァイアサン」を書いたトマス・ホッブズ(1588 -1679)の政治哲学は気に入っており、去年だったかこういうブログを書いた。

いや~、そうはいっても、オカマもいますからね

東大は文Ⅰに入ると駒場の教養学部でまず法学概論という必修科目があって、定年退官する教授が後進に法とは何ぞやを説くことになっている。僕らの先生は国際法の高野雄一(1916 -2004) で、だからだろうか国際法の起源となる自然法の法理のようなものから習った。法学にはさっぱり興味がわかなかったのは僕の罪で先生には申し訳なかったが、読んでみた書物ではホッブズの人間(ミクロ)の悪しき習性を人工的な国家(マクロ)で統御する原子論的、理系的な考え方だけは大いに気に入り、影響を受けることになった。

リヴァイアサンは国家とは何ぞやを論じる。簡単に書けば、人間の自己保存欲は本能と認めよう(自然権)。すると生存に必要な物の奪いあいで喧嘩(暴力、戦争)がおきる。そこでみんなで自然権を我慢して(自然法)、一人に主権を委ねることを契約して国家を作ろうよというものだ。近代国家理論のルーツだ。自然法はオランダ人のグロチウス(1583 -1645)が基礎を作ったがこれは現代の国際法のルーツである。ローマ法に起源のある欧州の法理が神学と政治を断ち切ったのはほぼ江戸時代初期にあたる。

この自然権、国家(社会)契約説、ミクロの人間の平等主義が啓蒙思想の底流を成し、絶対君主制を突き崩してフランス革命、アメリカ独立など市民革命、英国の責任内閣制という政治制度に至るのは言うまでもない。革命というのは市民による権力者の大量虐殺の美名だが、それだけ血を流しても是とされた(消去法的ではあるが)のが近代以降の西洋の政治システムなのである。日本国はそれを採用しているのだから、妙なことがおきたら粛々と血で血を洗った基本原理に立ち帰ってモノを考えればいい。

政治家は我々国民が契約して主権を委ねているだけだ。馬鹿なことをしたら契約を解除する、要は即刻クビにすべきである。その仕組み(法律)と馬鹿かどうかの監視、情報開示機能こそが国民の平和で自由な生活ために必要なのである。日本の政治システム(法制)の最大の問題はそれがないことであるというのが僕の強い主張であり、法律を作る唯一の機関である国会にそれのできる議員をどう送り込むか、つまりそれをやるという人を当選させないとモリカケ事件は繰り返し、国家による隠ぺいや筋違いの国民監視社会化はだれが首相になろうが永遠に避けらないだろう。

1697年(65才)のジョン・ロック

トマス・ホッブズの路線にいたのがフランシス・ベーコン(1561- 1626)とジョン・ロック(1632-1704)だ。ロックのイギリス経験論(人間は生まれたときは白紙である)は僕の人生哲学のルーツといえる。人間は経験してないことはわからない(わかるはずがない)。よって軽々に語ったり判断してはいけないが、それでは社会で生きられないから、経験のない物事に対しては「類推」をするのだ。類推力は科学的思考力で補うのが合理的だが、そうする知力(インテリジェンス)を持てばよい。ロックはそこまで言ってないが、より良く人生を生きたいならばそうすべしがだんだんに僕の独断流となっていった。

だから大学や学部なんかなんでもいい。要諦は何かを本気で深く、徹底的にやるかどうかである。学問であれスポーツであれアートであれ何であれ、人並みでない深さ、例えば地面に100メートルの地下まで「穴」を掘ってみることを想像してみていただきたい。すると、その深さに到達しないと知り得ない温度、気圧、匂い、地層、音響、閉塞感、恐怖感などの未知なる発見があるだろう。あらゆる苦労と創意工夫をしてでも掘るという行為自体にも忍耐力にも替え難い経験があるし、大事を成し遂げた達成感が壮大なことはイメージできるだろう。それは10メートルしか掘ってない人には絶対にわからない。10メートルの穴を10個掘ってもわからない(イギリス経験論)。ジャンルは問わず、そこまで何かをやった人たちだけの特別なセレブ・ソサエティ「100メートル会」があると思ったらいい。学生時代はその会員になることを目指せばいい。

社会に出ると深い穴を掘る日々になる(それを世間は仕事と呼ぶ)。100メートルの経験がある人は、別な場所に穴を掘らされても、つまりその仕事に経験がなくても10メートルの人よりは「類推力」があるから20,30,40メートルではどうか、その先ではこうなるだろうとヨミが働く。だから失敗にも競争にも強いのだ。そこに、事例の個性を削ぎ取って一般化して論考する(そういう頭脳回路を作ってくれる)数学という「類推の最強の武器」があればさらにいい、若い人は徹底的に勉強することをお薦めする。

私事でいえば僕は野球と数学だけは自分の限界を見るまでやった。2つを比べれば野球であり、猛練習を死ぬかと思う寸前までやったのは僕の持って生まれた素材としては100メートル経験だった。その経験による類推によって、今度は証券業で100メートル掘った。そして今は、そこからの類推でアドバイザーをやっている。「仕事と野球と何の関係があるんだ?」という声が10メートル会から聞こえてくるのは自然なことだ。だから「100メートル会」の入会をお薦めするのである。

ちなみに音楽は好きだが経験がない。だから楽譜を読みピアノを下手でも弾いてみることで作曲家、演奏家について類推の小さな手がかりを作ってみる。聴くだけというのはどんなに高尚を気取ろうが印象という感覚的で皮相な理解しか導かないので、それを書物や評論やブログで文字にしたところで料理屋の食べ歩き記程度のものだ。英国人の本格的な音楽評論に比べると、日本のそれは哲学不在のサブカルチャーの域を出ない。

万事そうやって徹底してイギリス経験論的に生きているから、僕の思い込みだけのことかもしれないが、自分の思想はうわべのものではない体に染みついたものだと自信をもって言えることは言える。「それが政治的な大人の意見というものさ」とはロンドン時代に僕に「穴掘り」の話を教えてくれた二回り年上のファンドマネージャー氏の言葉だ。オックスフォード卒。ちなみにベーコンはケンブリッジ、ホッブズとロックはオックスフォードに学んだが、彼によると英国のエリートにその思想は当たり前ということだった。

フランシス・ベーコン

ホッブズはフランシス・ベーコンの助手だったことがある。ベーコンは「知は力なり」の言葉で有名だが、彼がシェークスピアだったというそれなりに有力な説がある。シェークスピア氏は実在したが名前を貸しただけで、真の作者は何らかの理由で名乗れなかったと考える「シェイクスピア別人説」で、ベーコンのほかにクリストファー・マーロー(劇作家)、オックスフォード伯爵が候補とされる。知識人が寄ってたかって血眼に論争しているのは九州か畿内かの邪馬台国論議を思わせるが、こっちは4通りの仮説があるということだ。

このベーコンこそがイギリス経験論の開祖だ。経験論とは演繹法(一般論)の否定である。法則と信じられるものにはウソがあるかもしれない。だから観察と実験で確かめなさい、ひとつでもそうでない例が見つかれば法則なんかじゃない、単なるウソだ、捨てなさいということだ(帰納法)。それで正しかったら、それを法則と見る。それが論拠のある「類推」だ。ところが日本人は演繹に弱い、低学歴の人は世界的に弱いがそれを勘案しても先進国では世界最弱クラスだというのは、長いものに巻かれる社会性に加え、科学的(数学的)思考を重視しない(むしろ積極的に嫌う)国民性によると思う。

「常識」「井の中の蛙(かわず)」「昔からそうだ」「テレビでやってた」「みんな言ってる」「偉い先生の意見だ」でコロッと思考停止に陥る。科学的論拠より偉い先生を信用する(学歴詐称かもしれないのに)。テレビが解説に専門家やエセ科学者を呼んでくるのはそれにつけこもうとする計略だ。だいぶ前のこのブログに僕がイギリス経験論者である証拠がある(NHKスペシャル「STAP細胞不正の深層」の感想)。株の世界に40年いるので僕は人の言うことはまずは全部ウソかもしれないと思っている。帰納法で自分の中で観察と実験によって証明して初めて信じる。嫌な奴だが人生哲学は好かれるために持つのではない。

ベーコンは細密にロジカルで慎重な人で、信じるための観察と実験にだって誤解、先入観、偏見がつきまとうことも否定できないことを指摘した。それを「イドラ(idola)」と呼ぶ。英語だとアイドル(idol)だ。人間の認識の誤謬の元でそれににまどわされると思い込みや偏見ができてしまい、帰納法によっても真理や法則にたどり着くことは難しい。しかしそれを排することができれば科学は自然を支配することができるとしたのである

イドラは4つある。①種族のイドラ(人類一般に共通してある誤り。地平線にある太陽や月は「大きい」など)②洞窟のイドラ(個人の性癖、教育、狭い経験からくる見方の歪み)③市場のイドラ(社会の中で伝聞によりできる偏見、噂)④劇場のイドラ(権威や伝統を無批判に信じることから生じる偏見)である。これらがあれば帰納法もワークしない。詐欺師は全部を計略に使い、つけこむプロだ。政治家とテレビCMは②③④、いや最近の政治家は③(印象操作)か。マスコミは④文春砲は③を有効に使っている。ベーコンの類型化はイドラに騙されないための賢人の知恵だ。自分の判断に①-④が忍び込んでいないか考えるためのレファレンスであり、ちなみにこれがないという自信の持てない人は少なくとも株には手を出さないことをお薦めする。

ウィリアム・シェークスピア

「シェイクスピア別人説」の候補者3人の提唱者による議論(論拠)はwikipediaに詳しくあるのでご興味があれば読まれるといいが、さすがインテリ連中の議論で証拠らしきものもそれぞれあって説得力がある。しかし、確実なことは、そのうち2人、あるいは3人全員が偽物で論拠は大嘘なのだ。どれにイドラがあるか不明ということだから、結局はベーコンのイドラ論も実用性は疑問になってしまう。僕はシェークスピア=ベーコン説に惹かれるが、そうなると「彼ほどの頭脳の持ち主だ、何か暗号を残しているに違いない」と思ってしまう。これと一緒だ(エルガー「エニグマ変奏曲」の謎)。僕も②(洞窟のイドラ)の餌食になっているのかもしれない。

 

(こちらへどうぞ)

なんでもいいから井戸は深く掘れ(僕の教育法・その2)

脳は寝ない

脳内アルゴリズムを盗め

 

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読売巨人軍のシビリアンコントロール

2017 JUL 28 12:12:17 pm by 東 賢太郎

広島カープの独走はけっこうなことだが、巨人が戦犯だという声が高い。優勝経験があり打線は貧弱だが勝ち方は知っている。菅野、マイコラス、田口と盤石な先発3人がいて、抑えもマシソン、カミネロの剛球は昨日のカープすら手も足も出ない。それで対カープ戦績が4勝13敗はないよね、というのは至極ごもっともだ。

高橋由伸の監督力よりフロントの問題だろう。高橋と井端を無理やり引退させる。監督は社長だ、出世は嬉しいはずだ。ここからして上から目線で読売のサラリーマンと思ってる。おそらく、まだ全然枯れてない選手生命に忸怩たるものがあった二人が今いればスタメンだ(笑)。フロントの勘違いド素人ぶりはそれに留まらない。「FA制度を効率的かつ機動的に活用し、他球団のスター選手をなるべく高値で獲得して制度への参入障壁を確立し、球団の繁栄と競争力を盤石にする」というポリシーが巨人軍の輝かしい伝統となりつつあるのである。

ざっと見ても、陽はケガで斜陽に、山口は泥酔暴行、森福は億万ワンポイント・リリーバーに。弱いセカンドにと採った片岡、クルーズはハズレと判断し、ご同類のマギーを二塁に回したら守備ド下手で投手がブチ切れて負ける。ご賞味期限切れ選手の掃き溜め状態であり、二塁で余ったクルーズを在庫整理で楽天に売ったらパリーグ首位チームで即日に試合に出て大活躍だ。この凄まじいほどの人を見る目のなさ。日ハムに出したらレギュラーで10ホーマー打ってしまった太田だけじゃない、もうここまで見事に戦略が逆噴射するとマンガである。

人を見る目がないのは選手だけの話じゃない。聞くところによるとこのチームは試合開始直前にフロントのトップでいわば会社の巨人軍担当大臣である球団社長が選手をロッカー裏に集めて訓示をたれるらしい。それがなんと読売新聞の売上げ部数低迷の話で、君らが弱いのがいかん、いま親会社は危機なんだぞ、頑張ってくれ、らしい。難攻不落である相手エースのフォークボール攻略法を必死に考えていた選手たちは、これに目が点になってのけぞって、13連敗の記録樹立まで負けてしまう。

試合開始直前の選手というのはまさに戦場に赴く兵士であり投手はブルペンで血がたぎり、マウンドにのぼると足が震えたりもする。野手は殺気立っている。そこにわけのわかってない背広のおっさんが革靴のまま寄ってきて・・・。

「シビリアン・コントロール」(文民統制)は読売本社のお好みの方針らしく誠に結構だが、選手は子供の時からグラウンドは神聖だ、出入りする時は一礼しろと厳しく躾けられ、しないと殴られてきた連中である。聖地に土足で侵入してきたら誰であれ殴ったろかとなるのは想像に難くない。

まさか殴れないのでプレーが散漫になる、そして、やる気満々の広島カープにコテンパンに負けてきたのが今年の巨人軍なのである。それで弱いと怒るのは筋違いであって、何もわかってない巨人軍担当大臣を任命した本社の社長の方が大きく「ああ勘違い」なのである。

本社=首相官邸、巨人軍=防衛省と置き換えれば、稲田氏が巨人軍担当大臣であることは言うまでもない。ファッションにご執心で軍艦にハイヒールで現れたりしてはまかりならないのである。巨人がいくら弱くても我々は関係ないが、防衛相ひいては自衛隊の現場(=巨人の選手)が士気をそがれてしまえば国民は生命の危機にさらされることとなる。

安倍首相、ミサイルをぶっ放す敵軍を政権支持率の浮力に利用する作戦はよろしいだろう。「カープを倒せ」作戦だ。しかしである。それならどうしてこの担当大臣なんだ?左翼を黙らせるための女性起用、その理屈としてのシビリアン・コントロールは結構だが、そこを「モリカケと同様のネポティズムだ」(モリ=奥方、カケ=お友達、防衛相=お気に入りの部下)と、一般国民にもわかりやすい図式で批判されてしまう人選はまったく脇が甘いとしか言いようもない。

人事=経営力は常識なのであり、首相のリーダーとしての資質に関わる問題と見られてしまっている。この類の人事を惰性で長年やってきた重厚長大企業が次々と瓦解している。その経営の腐臭を嗅ぎ取っているのは一般国民というよりも「経験、教養、常識のある保守層」であって、まさしく、漢字も読めない首相に愛想をつかして自民党の政権たらいまわしにお灸を据えようと2009年に民主党を大勝させてしまった有権者たちなのである。

稲田氏の問題は国民、常識ある保守のみならず一般国民にこういう風に想像されてしまった。

「カープ戦は激戦だったらしいな、選手にけが人が出たというのは本当か、報告は受けてるのか?」「はい、監督から受けました、でもファンにはなしとウソ言ってますが」。「困ったな、スポーツ新聞が騒いでるぞ、どうするんだ?」「はい、ウソはつき通すしかございません。私はいつでも球団社長を辞任して、いち社員に戻る覚悟でおります」「そうか、いつも苦労をかけるな、まあそうなっても可愛い君だ、後は面倒見るから心配するな」。

 

 

加計学園問題を注視すべき理由

2017 MAY 26 19:19:51 pm by 東 賢太郎

加計学園問題での文科省と官邸の騒動ですが、前事務次官のかような発言は前代未聞です。かつて官僚主導といわれた時代は政治家が役所の判断を忖度して意思決定したのでこういうことは起きなかったのだと思われ、「官邸主導」という政治力学に移行したことに起因するいち事象と理解しております。

官邸が国策運営の意思決定において前面に出だしたのは小泉内閣からと思われます。安倍内閣が同様に高い支持率を得てその路線にある。このことの是非がまず第一にことの本質ですが、安倍政権が盤石であるのは対立軸の野党が弱すぎる外的要素もあり、国民が全権をもって主導させたい現況にあるかどうかは疑問である。そのきわめて重要な前提をふまえた上で、あえて私見では、それは少なくとも非ではなく、是に近いだろうと考えます。

政治は全員が賛成するわけではない国策を「決める」のが仕事であって、速くて概ね正しい決断をするのであればそれがトップダウンでも合議制でもかまいません。世界情勢が急転している現状で意思決定の速度は必須ですから、三権分立が堅持されている限りにおいてはそれは行政府の組織論に過ぎず、官邸主導(=トップダウン)が一概にいかんという理屈は立たないと考えるからです。

ではトップが意思決定を下せば実行が速いかというと、ことはそう簡単ではなく、形式的に速いというのは危険なだけであるし、反対者は必ずいるし、稟議ではどこかで滞るし、酸いも甘いもかみ分けた中間管理職が「忖度」してくれることは思うに必要条件であります。

つまり国民的に「忖度」はいかんということになってるが、大企業で組織の長をやった人なら誰でもわかると思いますがそれなしにトップダウンなど絵空事なのです。また官僚は国民のために仕事をするのが建前ですが、会社員なら株主と上司どっちが大事ですかという質問と同じであり、人事権を実質掌握する官邸を見るな、赤を青というなといってもサラリーマンですから無理です。

結論を官邸が推した。それこそがトップダウンであり、文科省が忖度して意思決定を迅速にした。何もおかしくない。それを不当な圧力と批判するなら、本稿の冒頭に立ち返って「トップダウンはおかしい」とまず議論すべきなのです。誰もそれをしないのなら上司の普通の命令をパワハラだと騒ぐに等しい。

いずれにせよ、そのようなものは組織論であってそもそも加計学園問題とは関係ありません。また前事務次官が出会い系バーに通ったとか地位にしがみついたとか、それはそれで職務上の適格性の議論はあろうがそれなら官邸は事務次官にしなければよかったわけで、本件とは関係ありません。

すなわち、事の本質は、「なぜ加計学園だったのか」に尽きるのです。それとて安倍首相が加計孝太郎氏のお友達でさえなければ俎上に上がることもなく、本件は何の問題でもなかったでしょう。

国民は官僚を選挙できないし事務次官を選ぶ権限もありません。国会議員に選挙でゆだねてそれを代行してもらうしかないですから、議院内閣制とはいえ官邸主導政治の権力構造は大統領制に接近します。しかも、大統領権限は明文化されているが、議院内閣制の中では接近の度合いがルール化されていない。これが大きな問題なのです。

朴大統領は側近の不法な関与が発覚して失脚したがトランプ大統領は娘婿を側近においています。これはお友達以上に何かあるだろうと外見的には見えるわけですが、不法な「何か」がなければ問題ではないということです。大統領という個人の資質にそこまでは行政を委ねる仕組みであり、弾劾し暴挙は抑止する予防線がある。現実に朴は弾劾罷免され、ニクソンは訴追され辞任しました。

周知の通り日本国憲法に首相弾劾の定めはなく、辞めさせる方法は内閣不信任決議のみであるから、実は三権分立と言っても司法の関与がありません。しかも決議は衆議院本会議で出席過半数によるため与党議席数過半の現状でクビになる可能性は限りなくゼロに近い。つまり安倍政権はトランプ政権より法的には安定しており、やりたい放題に見える米国大統領よりもっとやりたい放題できるということを国民は自覚しておくべきです。

かような一党支配状況においても戦後の日本国が道を大きくは誤らずに来たのは、官僚が実質的に政策関与してきたからだと僕は考えております。政治家がぜんぶ馬鹿だとは言わないが、大臣とて著しく資質に欠ける者もおり選挙はポピュリズムの傾向を増している。それをポピュリズムの火元である国民にわかれというのは無意味だから官僚の資質というものは政治家の暴走への抑止力です。

官僚がぜんぶ賢いとは言わないが、人材プールとしての質の高さはまぎれもなく世界でトップレベルであり、これだけの人材がこぞって役所に入って安月給で徹夜で働いてくれるなど米国では考えられないことです。2014年の内閣人事局設置で官邸が官僚人事を実質的に全面掌握したことがプールの質的低下をもたらすか否かはまだ不明ですが、出世競争のルールが変わったのは明らかであり、志望者の質を左右する種が既に撒かれているのは事実でしょう。

では加計学園に「何か」はあったのか?国民の視点としてこれを国会で追及するのは当然のことである。しかし官邸に首根っこを押さえられた現役官僚は人質に等しい中でどこまで物証があがるかは甚だ疑問だ。そこで法的抑止力はない、マスコミも人質だ、野党は無能力だでは話にならない。この問題は日本国のガバナンスを揺るがしかねない重大事案として注視したいと思います。

 

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理系の増員なくして日本は滅ぶ

2017 MAY 23 18:18:33 pm by 東 賢太郎

大航海時代まで世界の覇権はスペインにありました。海を支配し、新大陸を含む植民地、銀の産出という当時として絶対の利権を握り神聖ローマ帝国のハプスブルク家と姻戚を結んだというのは宗教的にも世俗的にも並ぶ者のない権力を持った、陸海を制しまさに日が沈むことがなかったということで、今の米国よりずっと優位だったのです。

これを島国の英国がひっくり返した。一気の戦争によるKO勝ちではないが、市民革命の時代までには判定ポイントで優勢となり産業革命に至って恒久的勝利が確定した。野球なら5回までに10点取られてノーヒットだったチームが勝ってしまった感じでしょう。世界史で空前の大逆転といえば僕はこれを挙げます。

スペインの敗因は複数ありますが、膨大な利権に甘んじてフロンティア、辺境で競り負けアメリカを取られたのが逆転満塁ホームランになったという見立ては衆目の一致する所。当時のフロンティア開拓はイコール海軍力であり、もともと海賊の英国は生命線としてその得意技に徹したのに対し、スペインは陸地の経営でも楽に食えてしまった。これがまずかったと思うのです。

つまり持てる者である大株主、地主となった。配当、家賃というキャッシュフローは安泰だから「攻め」の必要なし。防御型の人生観が支配的になります。かたや持たざる者はフロンティアで攻撃型にならなくては生きられません。そのどちらが強いか。自然界でいうなら無限に生える草(=キャッシュフロー)を消化できる草食獣は多産で個体数が確保できる限り牙も爪も必要なく、攻撃力は進化してません。三百年ほどで徐々に防御型となり草食化したスペインを、航海で牙と爪を研いだ攻撃型肉食獣の英国が食った、僕にはそういう光景と映ります。

現代において国力のフロンティアと目されているのはIT、AIの技術力です。軍事、情報、金融、生活関連産業すべての興隆がこれからそれに大きく依存するからです。70余年前、我が国は石油供給を止められて開戦に至りましたが、今や石油がないどころか国民が餓死していてもIT技術を磨いて核ミサイルを持てば攻撃はされない時代になったことがその証拠です。

IT技術のフロンティアで我が国がどこにいるか。これが不安です。日本は欧米が基礎研究した技術を民生用に汎用化するアプリケーションテクノロジーで筆頭の勝ち組でした。高度経済成長による国力興隆の背景はそれであり、その仕上げがいよいよIT技術に及んでIBM-日立事件が起きた80年代はそのピークだった。

80年代はバブル時代だとネガテイブに語る人もいるが、自虐史観の洗脳ここに至れりであって、日本人が我が世の春を謳歌し欧米を震え上がらせて何が悪いのだろうか。あれは敗戦で焦土と化し地にまみれた屈辱からフロンティアを攻めまくって勝ち取った大戦果なのです。

ところが今やそのIBMすら影は薄く、投資の神であるウォーレン・バフェットが「唯一の失敗はIBMを買ってアマゾンを買わなかったことだ」と認めるほどITの時代も急転回しています。我が世の春だった日本がITのアプリケーションにおいて "スペインの轍" をふみ、フロンティアを中国、台湾、韓国に猛攻撃されて主要な要塞はすでに陥落してしまったと感じるのは僕だけではないでしょう。

日経の記事によると米国シリコンバレーには三百万の住民がいますがうち40%が外国人で、インド、中国、韓国に比べ4万4千人の邦人は存在感が低い。世界のIT基本ソフト、ブラウザー、クラウドで二大巨頭であるマイクロソフトとグーグルのCEOはどちらも40才台のインド人であり、ペンタゴンが恐れるハッカー集団は中国人です。

フランスのマクロン新大統領は「経済成長と起業は不可分」とし、創業期の負担を減らす政策を強調しています。16年までの20年間、米国の成長が年平均2%に対しフランスは1%であるのは、起業家の成人人口に対する割合(TEA)が米国の12%に対しフランスは5%であることが原因であると危惧している、それは皆さんもう忘れたでしょうが、あのピケティという学者の講義を思い起こせば納得のいくことです。そして、これもご想像に難くないでしょうが、わが日本国も同じく5%であり、中国、韓国の半分以下であるのです。

(出所:野村総合研究所、平成28年3月)

日本人の特性として元来そうかどうかは議論がありますが、少なくとも徳川時代以降は「農耕民的防御型」で「キャッシュフロー安泰志向型」が国民の多数を占め、「フロンティア攻撃型」は少数派といえるでしょう。防御型=地主型=草食系がフロンティア攻撃型=肉食系に食われるのはすでに見た通り歴史に実例は枚挙がなく、かつて高度成長の牽引車であったエレクトロニクス産業が韓国、台湾に食い荒らされれている真因はここにある、すなわち防御型優勢でなくフロンティ攻撃型の起業家を増やさなくては国力に関わると考えるのはマクロン大統領だけではありません。

城の本丸が落ちようとしている危機に頼るよすがは優秀な頭脳と教育であり、大学こそが防御型に生まれついた人材を導いて世界のフロンティア攻撃型人材との戦い方を教えねばなりません。その人個人のためでもあるが、優秀な一握りの個人は国の助けなどいらず日本の大学を捨てて米国へ出ていく(頭脳流出)道がある。米国どころかヘタすると数年でシンガポール大学、香港大学、北京大学のほうが東大より起業に有利という時代になるのは、そこに関わる金融、証券の実務をしていると肌で感じることです。

だからこれは何より日本国の経済成長と雇用の継続のための問題であります。我が国の学校における起業家教育は世界最低レベルという事実があるからです。日本という「農耕民的防御型」で「キャッシュフロー安泰志向型」の土壌にはそういう教育概念すら存在せず、教えられる教師は実業界にしかいないという事情が背景にあります。

(同上)

はっきり言うが、日本の大学の経済学部は草食獣の学生に100年前の教科書を教えることが唯一の仕事である草食獣の先生の職場である。ここからは100年たってもノーベル経済学賞受賞者は出ないことは賭けてもいいでしょう。そんなものはもうフロンティアではなく、学問であれ実業であれそこでの戦争には無用だからです。もしそれを学んで卒業した学生が世の中で成功したとしたら、それはその人がもともと優秀だったというまぎれもない証左としては高い価値があるだろう。

本丸が落ちたS社とT社において、研究員、技術者、職工が無能であったと考える日本人は少ないはずです。だからこそ台湾のH社はSを買ったし、Tの半導体事業に海外からビッドが入るわけです。失敗の本質は100年前の教科書しか知らない先生に学び、高度成長期の国家的浮力に助けられた成功体験のみで育った、肉食獣の本能と生態系を良く知らない草食系経営陣(その多くは経済学部など文系)のまいた種によるのは衆目の合致するところです。

そしてそれを見た新聞の社説に「外資の傘下に入るのは決して悪いことではない」などと、これまた100年前の教科書の草食獣である論説委員が書く。ばかとしか思えない。マイクロソフトとグーグルのCEOはインド人でもガバナンスは米国にある。本社が日本にあって日本人が雇用されれば経営者は台湾人でもいいというのは奴隷国家の考え方だ。経済学部の先生は彼らにガバナンスと株式支配の意味を教えていないのだろう。

安倍内閣は大学まで授業料無償化というが、まったくの無駄です。高等教育は国家戦略であり、幼稚園の「みんな仲良く」の世界など存在しないのです。自身がそれが何の役に立っているか自覚できない(早い話がどうでもいい)文系学科卒である政治家の発想だろう。100%の子が大卒になれるならそんな教育はそもそも大学教育ではないから中学までで履修できるはずなのです。言ってることが自己矛盾だ。そんな金を使うなら東大、京大、国立理系大学(東工大、電通大)等の収容人員と実験等教育予算を倍増したほうがよほどいい。優秀な才能に国家の計で教育をする。留学生の頭脳も集める。シリコンバレーもすべてのIT産業も牽引車は最先端理系教育を受けた技術者なのであり、100年前の経済理論や帳簿の管理術やお金集めやセールスマンなど国家が教育しなくても商人道だから誰でもできるし、そこを台湾に譲っても日本は失うものはなしです。

文系はいらんという御仁もいますし僕も結果的にはそれに近くなります。近年の中国共産党中央政治局常務委員の指導者の学歴を調べると習近平(清華大学化学工程学部)、胡錦濤(清華大学水利エンジニア学部)、温家宝(中国地質大学)、朱鎔基(清華大学電機製造学科)、江沢民(上海交通大学電気機械学部)、賈慶林(河北工学院電力学部)、李長春(ハルビン工業大学電機学部)、曽慶紅(北京工業学院自動制御系)、羅幹(北京鉄鋼工業学院圧力加工学部)、周永康(北京石油学院)、賀国強(北京化学工業学院無機化学工業学部)、呉邦国(清華大学無線電子学科真空トランジスタ学部)と驚くべき理系王国であり、文系は北京大学法学部卒の李克強ぐらいです。

問題はこの中国共産党がどういう思考回路を持っているかということです。我が国の政治家の平均的プロフィールとは良くも悪くもかけ離れていることは間違いなく、どちらがいいということではないものの、文系頭では想像もつかない戦略を練ってくる不気味さを感じるのです。彼らはもちろん孫氏の兵法、三国志に通暁しており自己の生存のためには恩人も殺す曹操のようなことを平気でやるだろう。そのトップにある連中がサイエンス、エンジニアリングを自分で理解して国家戦略を練ってくる。数学・物理音痴の文系が理系を従える日本の行政と産業の支配構造は、楽譜も読めない指揮者が振っているオーケストラみたいなものです。中国共産党幹部は若い才能の発掘と教育に国運をかけるだろう。フロンティアでの攻撃型競争が才能を開花させることを当然の如く知っているだろう。

我が国が明治時代なみの理系文系なる無意味な区分のまま大学教育を改革せず、だから学生の知能指数で30位ということはまずない東大が大学世界ランキングで35位にしかなれない現実に目をつぶり、実社会で何の役にも立たないから留学生が来ない100年前の学問を先生の権威のために温存していけば、50年後には科学技術はもちろんITの関わるすべての産業でアメリカと対等のパートナーとなる中国に確実にぼこぼこにされるだろう。それしか優位性のない我が国は、したがって実質的に滅びるのです。新聞の論説委員おすすめの奴隷国家になるのです。そんなはずはない、モノづくり、匠の技は凌駕などできない。そう思う方はスペインと英国の覇権の歴史をもう一度勉強されるといいと思います。

そうならないための絶対の妙案はありませんし、もう遅いかもしれないと半分は思っていますが、私案として、全大学の学部を是々非々で要不要を検討し、予算総額は限りがあるので国家の百年の大計に添ったお金と教師と生徒数の再配分を決めるというのが最も合理的でしょう。この趣旨を説けば、高額所得者増税には反対の超富裕層は名誉と引き換えに大学に多額の寄付をしてくれるだろう。文科省天下りがいかんというのも一概にそうはせず、大学教員は派閥や各界余剰経営者の受け皿というサプライサイドの考えをまず一掃し、国に必要な学生を育てる能力があれば天下りでも外人でも何でもよしというディマンドサイドのポリシーから合目的的に改革をすればいいと思料いたします。

 

(ご参考)

脳内アルゴリズムを盗め

 

小保方氏に見るリケジョとAO入試

 

 

 

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将軍様はカネの臭いがわかる男である

2017 MAR 3 12:12:36 pm by 東 賢太郎

きのう12才下の後輩が来て、新しいことに手を出しちゃだめだという話になった。証券出身はつぶしが効いて全33業種を相応に知っている。しかしそれは耳学問で丁稚(でっち)からしてはいない。30代で小売業で起業して十余年、ちゃんと成功している彼にしてそういう言葉が出る。

彼も高校球児でホームランを何本か打ってる。でも最近始めた草野球でストライクが入らないとか2塁牽制はどっち回りでしたっけとかきいてくるのは内野手だったからだ。同じ野球でも丁稚からやっていないポジションだとそんなものなのだ。

運動なら丁稚はせいぜい15才までだろう。ハタチは遅い。わりと似ているといってゴルフも無理だ。「だったらまた野球やれよ、こっち7で本業3ぐらいで人にやらせてさ」という結論に至った。野球とは証券ビジネスのことだ。「なるほどですね」。体でわかってる人に説明はいらない。

かたや政治となると33業種ですらなく、何もわからない。友人が出馬したので09年に民主党を応援してしまった。衆議院議員さまとなったので教わって元大臣と食事までしたがやはりよくわからない。野党の田舎のプロレスは愉快な出し物だが、国会自体がプロレスの側面もあるだろう。お仕事の実況中継は与野党全員の晴れ舞台だ。特権階級共同体で役を演じている。

英国の議員さまのプレイはもう少し品よく、ドルリー・レーン劇場のお芝居であって、観客に階級があるから役柄がより見えやすい。かたや米国はそれがない建前だがロビイングがおおっぴらで族議員だらけ。見え見えの嘘の羅列で真意はとても見えないが国民性は単純だから落としどころはけっこう見えたりする。

そういうものだから政治家の言葉というのはエスペラント語みたいに意味不明なのだ。そしてその意味不明にうまいこと隠れて食ってる人間がたくさんいる図式は万国共通である。そこに運悪く出現してしまったのがトランプ大将軍さまだ。ツイッター直撃ミサイルの炸裂で、そういう連中のスポークスマンであるマスコミの嘘っぱちがばれてしまった。

大将軍は誰でもわかる言葉を吐く人類初の政治家である。あれを馬鹿だわからないと平気で言ってしまう日本のマスコミほど米国のマスコミは馬鹿ではない。徹底毀誉褒貶戦略で陥落できないとなると逆にすり寄るだろう。そうなったとき他国の将軍さまの品格がどうのとか、ヒマつぶし未満に完璧にどうでもいい発言で尻馬に乗っている連中は実は自分が失業の危機なのだ。

丁稚からやってる政治家が政治を語るなら嘘半分でもまだ聞くが、選手と焼き肉を食っただけのスポーツ新聞の記者がプロ野球の解説者という恥ずかしい図式はいい加減にご勘弁願いたい。まして英語もできないのがメジャーリーグの解説だ。それじゃ嘘がばれるので「専門家」なる者を連れてくるとソフトボールの選手だったりする。

歯に衣着せる必要のないネット民はましだが彼らの情報は国内に限った話で米国のことなど誰もわからない。僕もわからない。ニューヨークの友人に電話できいたって、じゃあ彼が僕に安倍政権の今後をきいて日本がわかるかってことだ。意味ない。つまり、その彼が米国通だろうと専門家だろうと個人の意見などウチの隣のボブがこう言ってました程度の話にすぎない。そんなものを信じてはいけないのである。

我ながら言ってる意味が不明になるが、しかしながら僕はトランプ将軍の言ってることだけは痛快なほどよくわかる。オバマやヒラリーの裏ありげで空虚なエスペラント語や嘘っぱちのマスコミの10倍ぐらい。彼が我々証券マンと同じほどカネの流れを基軸にものを考えてるなら説明がつく。自身の丁稚時代からの経験値がそうさせるのかゴールドマンが入れ知恵してるか。「ビジネスマンだから」と人はいうがビジネスマンは資金移動表など見ないことを彼らは知らない。

こういうことは投資判断に関わるのでソナー・アドバイザーズのブログにしか書かないが(トランプの噂も七十五日 )、自分の頭がその時点のベストな情報でどう反応したか復習するのは自分のリスク管理に大事で、さかのぼって自分の書いたものを時々読んでみるが、去年の6月、大統領選の5か月前に書いたこれが気になるソナー・ファイル No38(これから世界で起きること)

ここにいみじくもこう書いている。

根本的に世界をおかしくするのはヒト、モノ、カネの velocity の低下だ。私見ではこれが最大のリスクである。それを忌避するなら EU に参加料を払う意味がないし、脱退が続くし、EU の存在意義も消える。それはグローバリズムの配当がないということであり、世界は保護主義により狭隘化する。関税で貿易量が減り企業収益は低下して金融収益は減りマネーの需要は低下し、ひいては税収も減る。velocity の低下は国家も殺す。このことは米国でトランプの出現で示唆、予言されていたが、Brexit で確認されてしまった。

将軍さまはこの世界経済の危機を救ったスーパーマンであることを米国の民もマスコミも気づいてはいないだろう。とりあえずだけのことになる危険はまだあるが。将軍さまは知っている。経済のうえにのみ政治は成り立っている。彼なしで米国もEUももたないし、中国もロシアも破滅することだって。

突如として1兆ドルのインフラ投資なんかがでてくる。議会もマスコミも面食らってわけがわからない。日本のセンセイがたなどもうお手上げでダンマリである。それがなぜ唐突に出てきたか?僕がどう読んでいるかは上記の抜粋部分からおわかりだろうか。将軍は America First! を吠えながら世界の資金移動表を見ている。彼が「カネの臭いをかぎ分ける能力のある男」であることはほぼ確実である。なぜなら丁稚からやっていないポジションのことは野球部にいてもわからないからだ。

 
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マイケル・フリンが突如辞任

2017 FEB 15 18:18:53 pm by 東 賢太郎

これはトランプ・安倍会談の直前に書いたもの。

このシナリオでうまくいくはずだった、そうしたらマイケル・フリンが突如辞任してしまった。民間人の外交政策関与を禁止する法律に違反。これはまずい。フリン氏が有能だ無能だどうのではなく、嘘をついて盗聴でばれて法律違反だった、これは即死である。ウソはFBIに訴追される可能性がある。トランプが知っていたかどうかが論点になると非常にまずい。

ロシアが弱みを云々はマスコミのおためごかしだ。米マスコミはトランプを引きずり下ろしたい。日本の大多数のマスコミはその受け売りだから同じ路線で非難する。ハニートラップなんかどうでもいい、大統領執務室でセックスしてもクビにならない国だ。

ねらいは法律違反、これである。

フリンが法律を知らなかったとも思えないが、盗聴は知らなかったから嘘をついている。元国防情報局長官とは信じがたいわきの甘さだが、こういう人が要職を占める政権だとするとそこから足をすくおうと策を練ってくる可能性が高い。個人的にはファミリー、側近が火元の経済法規違反が危ないと思料。この世界、これが狙われるだろう。

トランプ・ラリーで彼の一言で為替も株価も何%も動く。twitterの言語分析でアルゴリズムを組めば彼のつぶやきで儲けられると思う連中も出てくるだろう、しかしもっと危ないのは彼の「寝言」をきいてしまうこと。夜中の3時にフリンに「ドル高とドル安と、米国にいいのはどっちだ?」なんて質問をしたらしい。フリンは専門外なのでと答えなかったらしいが。

それにしても北朝鮮の暗殺事件といい奇怪である。経済がシュリンクすると民は飢え、政権は自己保身衝動に走る。中国が富を吸い取ったので世界中の国でそれがおきる。しかもこれからもっと激しく。ロシアは事実上独裁、フィリピン、北朝鮮もそう、中国自身はわからない、だから自己保身の方法は違う。もうジョークでなく、殺っちまえがあるし米国もお得意だ。

トランプが一発中国にパンチをかますことは期待できなくなってきたかもしれない。中国は外憂を演じて延命を図るだろう。すると、大変まずいのは日本だ。

 
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噛まないライオン(米中もし戦わば)

2017 FEB 2 22:22:57 pm by 東 賢太郎

トランプのブラフ戦略は続きます。最大の敵である中国とはチキンゲームになるため、張子の虎ではないぞのデモンストレーションが必要です。敵ではないがそこそこ存在感のある日本、豪州は格好のたたきのターゲットでしょう。それに一喜一憂する必要はないと思料いたします。

中国は中国で同じく示威を行います。昨年末の空母・遼寧の太平洋航行は記憶に新しいところです。

ryounei

遼寧が第一列島線(地図の左のライン)を越え、西太平洋で訓練するのは初めてです。ウクライナ船のお古で大したことないという声もありますが、上海でも三隻目の空母を建設しているとされ、遠洋航海と訓練、装備検査の役割を分担できるため、中国の戦略的運用能力が拡大するといわれます。

china

遼寧が第一列島線をクロスしたのは宮古島と沖縄本島の中間です。危機感を懐きます(西表島(いりおもてじま)紀行)

ここに登場したトランプですが、きっと正義の味方だ月光仮面だスーパーマンだとそこはかとなく期待されている空気もございます。本当にそうでしょうか?我が国が懸念すべき究極のリスクはここに記しました(トランプに想定する最大のリスク)。万一こうなると、日本経済はおろか、国防上の不安は戦後最大警戒域となるでしょう。

そう、我が国は『嚙まないライオン』なのですね。かつては北方の白熊を倒した百獣の王でしたが、いまや捕獲され牙をぬかれ爪も切られ、「大丈夫です、噛みませんから」がサーカスのウリになってる。図に乗って頭を2,3発なぐって逃げる「ヒーローごっこ」が最近は近所のガキのブームとなっているようです。

lion

「少しは野生に返してやったらどうだ」なんて声もあがりますが、なんとライオンに食わせてもらってるサーカス団員のピエロや猿回しにライオン嫌いがたくさんいて、そんな声をつぶしにかかるのです。

まあサーカスで芸達者になってエサが増えたのはいいんですけどね、でかい虎が見下ろしてるのにこれはないんじゃないでしょうかね。

lion1

tiger推薦図書

「米中もし戦わば」

非常に面白い。著者はトランプが国家通商会議(対中政策の目玉として新設)の代表に選んだカリフォルニア大学アーバイン校のピーター・ナヴァロ教授。ちなみに本書の原題は、

Crouching Tiger

(うずくまった虎)

もちろん中国のことです。

 

 

(こちらへどうぞ)

金正恩のさらなる高笑い

 

金正恩の高笑いが聞こえる

 

 

 

 

 

 

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