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カテゴリー: ______プロ野球

13年に1度しかないお粗末な試合

2019 AUG 10 9:09:08 am by 東 賢太郎

試合をして強いなと思ったのは守備がうまいチームである。投球の質、飛距離、足だけは生まれつきでどうしようもないが、守備は鍛えればある程度までは何とかなる。それが下手というのはチームとして何かがおかしい。

昨日の東京ドームの巨人・ヤクルト戦。モノ申すべき試合だった。

初回にヤクルト山田の打ち上げたものすごく高い1塁後方のフライを2塁手若林が深追いして触れもせずバウンド。なんじゃこりゃ?ドームだろ、風ないだろ?お前らプロか。重信(ライト)がとれよ。しかも、こんなのが記録はヒットである。打率が欲しい山田は助かったがああいうのはピッチャーがかなわない。巨人の先発・今村はこれで調子が狂い6失点。3回途中KOで二線級の堀岡が救援した時点で巨人は捨て試合のムードが濃厚に漂い、4回に1点入って7-0となった時点で僕は20点入るかなと考えた。かたやヤクルト先発・小川は、はっきり言って良かった。ストレート148キロだけでほとんどの打者を押し込んでおり、あの3番・丸を2三振、とくに4回のストレート空振り三振が物語る。

驚いたのが、3回途中、今村を替えたときにサードのビヤヌエバをひっこめてレフトの岡本をサードに回し、レフトにゲレーロを入れたことだ。ビヤヌエバのほうが守備はましだが攻撃チャージ型陣形に変えたんだろう。そのゲレーロと岡本がその後2ホーマーずつ放って試合をひっくり返すことになる。ゲレーロの1発目は5回、小川の喫した2安打目であった。初安打は4回の坂本のホームランだったがこれは変化球であり「あ~あ、完全試合もったいねえな」と言った程度のダメージだった。次打者・丸を前述の三振にとったストレートで球威健在を示したし他の打者はまったく打てていない。それだけに、高めのストレートを打ったこのゲレーロの1発目は非常に僕の印象に残ったのである。つまり「こいつ、ストレート、ヤバいな」という感じだ。

ゲレーロの1発目は伏線があって、代打・増田のセンター・ライナーを山崎が後逸してあわやランニングホームランというみっともないのがあった。芯を食った当たりで、見ていて曲がるぞと思ったら案の定フックしたのだが、触れもしないという守備はお粗末としか書きようがない。ああいうのはピッチャーにこたえるのである。これはちゃんと失策と記録されたが、そうなんだったら1回の若林、重信はもっとエラーだよ。ただ原監督はさすがで、その5回でライト重信をひっこめて、快心の一打がエラーになったが芯を食った増田をセカンドに入れて若林をライトに回した。ともあれこれが2死からのゲレーロの1発目(2ラン)の呼び水になった。

結局小川は7回まで投げて被安打3、それが全部ホームランである。これだけ球威がありながら・・・。2年前の神宮で6点差をひっくり返されたカープ戦「七夕の悲劇」、あれもバティスタと新井の一発で轟沈だったのだ。

8回でスコアは9-5、小川に代わってハフがマウンドに立った。7回を小川が三者凡退に収めており、まだまだ東京ドームにはヤクルトの楽勝ムードはあった。先頭打者は問題のゲレーロ。2打席目である。「ここでこいつに絶対に打たせちゃいけない、巨人が乗っちまう」と僕は隣席につぶやいた。初球。なんのことないストレートをごっつぁんのホームランである。信じ難い。キャッチャーの中村である。スタンドで観ていても「こいつ、ストレート、ヤバいな」のホームラン狙い見え見えの奴にあれはねえだろ。緒方監督ならビンタものだぜ。やられて当然だよ。

こんな馬鹿なリードする奴がプロ野球の正捕手というのはまさしく信じ難い。動揺したハフは二軍なみの石川をなんと歩かせ、2番坂本。いやなムードが高まる。入った、やばいと思った大飛球はレフト渡邉が捕って、セカンドを回っていた石川はアウトに取れるタイミングだった。ところがレフトの返球がお粗末で弱い。なんだこいつは。中継から一塁に送球。このファースト村上の捕球、ぜんぜん伸びてない。ミットがあと30センチ伸びてりゃアウトだよ。やっつけの守備練習みたいにベースで構えて待ってるだけだ。おい小川監督、なんだよこのニイチャン?八百長でもやっとんか?僕はヤクルトファンでも何でもないが、金払って見てる客として許し難く完全に切れた。このプレーは11時からのプロ野球ニュースで高木豊も指摘してたが当然である、緒方監督ならビンタ10発もんだ。こんなのが記録上はエラーではないのである。

こんな守備陣でハフも気の毒であったが、それにしてもこいつは予定通りの8回だろう、ちゃんと準備しとんかいな?つづく3番・丸にライト前ヒット。ここでKO。予定外に引っぱり出された近藤が4番・岡本にライトにスリーランをぶち込まれて、あっという間に同点になってしまうのである。村上が普通の一塁手であと30センチ伸びてりゃ、普通にやってりゃヤクルトは勝ってただろう。

10回に登場した抑えの巨人デラロサ。ハフ、マクガフも153キロは出たが小川の148の方が速い。親の仇みたいに投げるデラロサの158は凄味があり、渡邊、廣岡、山崎では大人と子供だ。10打席あっても打てないだろう。8回までの楽勝ムードで主軸をひっこめたヤクルトは完全に二軍戦みたいにひ弱な布陣になっており、スタメンでさえ上位と下位の落差がでかい上に控えはソフトバンクなら育成の試合しか出れないレベルである。10回まで亀井を置いておけた巨人が押し潰すのは時間の問題というムードとなっており、その亀井が代打で出てきて余裕の犠飛。延長10回についにトドメを刺した。

7点差をひっくり返したのは13年ぶりらしい。ひっくり返された方の守備の問題であったが、13年に1度しかないのは納得のひどさである。ヤクルトの借金21。まあ当然だよねとしか言いようもない。小川があのストレートを投げて10敗というのが不思議だったが謎が解けた。

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ソフトバンクの強さここに見たり

2019 JUN 22 2:02:35 am by 東 賢太郎

凄い試合を見てしまった。ソフトバンク・ホークスが強いのはわかっていたが、現在ケガ人だらけで、主力選手である柳田、長谷川、中村、今宮、サファテ、森、石川を欠いている。電光掲示板を見れば1番上林、2番明石の打率は1割台だ。3番内川も2割台である。絶好調で全カード勝ち越しの巨人には分が悪かろうというのが戦前の大方の予想だったと思う。ところがスコアは御覧とおり。目の前でこんな壮絶なゲームをされるともうセリーグの日本一は永遠にないなと思わざるを得ない。ケガ人が帰ってきたら?この球団は2チームできる。その弱いほうをセリーグに入れても巨人より強い。

ホークスが千賀、巨人がメルセデスの先発だ。いよいよ初めて千賀が見られる。初球から157キロで度肝を抜かれた。フォームにぜんぜん凄みはないけれどやっぱりめちゃくちゃ速い、素晴らしいピッチャーだ。

千賀と丸の対決

しかし丸、阿部、大城が打ち、特に大城が156キロを引っ張って一二塁間を抜いた。あの次の回から変化球主体の組み立てに変わった。あんまり調子は良くなかったと思われる。丸、阿部のスイングの速さは強烈だ。特に40才になろうという阿部、千賀に振り遅れてない。鳥肌がたつ凄いバッターである。巨人の勢いを感じる前半となる。特に千賀からホームランを打った丸は本当に素晴らしい打者だ。五回までメルセデスが好投し、ホークスはわずか3安打に封じられている。球数も少なくひょっとして楽勝の完投か?さすがのホークスも巨人の餌食になるのか?とさえ考えた。

ところが、6回に大波乱が起きる。まず上林が泳ぎながら右翼へホームラン。さらに満塁になって甲斐が打席に入った。2アウトである。なんとここで0-1からサードへのセーフティバント!これは唖然とした。甲斐は勇猛に1塁にヘッドスライディングしてセーフ。1点。ここで原監督が出る。投手交代。左の代打、福田が出ていたから高木あたりかと思ったら、なんとなんと、もう一軍に影も形もないと思っていたもとホークスの森福ではないか!!

見ものの対決だった。福田のバットが一閃すると球は右翼席上段に飛び込んだ。満塁ホームラン。森福の球威がない、仕方ないことだが、ここでホームランを決めてしまう福田が勝負強い。そして8回には、クローザーだったはずのクックがマウンドに。なんだこの投手は?これなら宮国のほうがましだよ。そう言ってたら案の定、熱男の松田がバックスクリーンの上部に特大アーチをかける。このホームランの打球の凄さは、僕がかつて見た中で5本の指に入る。かたや、巨人の主砲・坂本はプロ野球タイ記録である5打席連続三振を喫する。

このホークスの強さというと、晩年で膝を痛めながらも付け入るスキを与えなかった横綱北の湖を引き合いに出すしかないだろう。勢いのある力士に土俵際まで押し込まれても、まわしを取って上手投げで決めてしまう盤石の強さだった。甲斐の意表を突いたセーフティバントは本来は広島カープがやる野球だ。しかし緒方はリスクをとらない。当たり前の定石で勝つのが横綱相撲と思いこんでいるのだろうが、勝てない力士が何をしようと横綱相撲とは誰も呼ばない。カープよりはるかに強い力士であるホークスは奇襲でもなんでもやる。それで勝てると思ってるなら完璧な無能と呼ぶしかない。

何度も書いてきたが、野球は実に残酷なスポーツだ。3年前に中島さん、故中村順一と楽しんだ福岡ドーム。あれは8月のオリックス戦だったが柳田の劇的なサヨナラホームランで幕切れとなる大興奮のゲームだった。打たれた佐藤投手、そして今回は古巣の同期に満塁ホームランを打たれた森福投手。ご愁傷様だが仕方ない。原監督は自分がとってきた丸が大活躍なので気を良くしたんだろう、森福、大竹という「巨人軍2大高値づかみ銘柄」を登板させた。大失敗のクックとあわせて「3大」か。資金力にあかせていながら本当にヘタクソである。エージョンとのいいカモになっているのだろう、他人のカネだがこういうものは仕事柄か唾棄したくなる。

終了後のインタビュー、福田の森福への思いやりある即興コメントはこのゲームで最もすがすがしいものだった。福田くん、君は優秀だなあ、サラリーマンになっていても間違いなく出世したぞ。

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げにプロ野球は恐ろしき

2019 MAY 25 12:12:47 pm by 東 賢太郎

「苦手意識がある。不気味さ、構えとかオーラを感じるし、存在感を感じるものもある。気にしないというのは難しいので、意識した中で抑えていきたい」

これは阪神の大山三塁手に対する横浜DeNAの今永投手の昨日の敗戦コメントだ。今永は大山に試合前まで通算打率・500、2本塁打と相性が悪い。

新人の大山は僕がキャンプで感じた通りだ、構えが不敵で見逃がし方も思い切りもいい。投手目線ですごく怖い」

これはうちのスタイルに合わないに2年前に書いた僕のコメントだ。つい最近にも書いた。

サードが4番打者の大山というのもまたいい。大山は打席の構えがいいよ、なんともいえず、天性のもんだろうな、ピッチャー目線でね、打たれそうな雰囲気感じるよ僕が好きな若武者たち

僕は大山に絶対打たれる気がする。相手がプロだからというわけじゃない。この「気」というのはわかる人しかわかんない。サムライ同士だったら?僕はすぐ逃げるね。

今永くんに苦言。君のファンだから言うが、それを言わないほうがいいぞ。このライン嫌だなあと言ったらそのパット絶対にはずすよ。独りごとでも。まして人前でいうなど言語道断。その気真面目さが大好きだけどね。

昨日見たのはその試合じゃない、東京ドームで広島・巨人だ。カープ先発の床田。前回の巨人戦でこういうことがあり、かわいそうだった。野球だけはどうしても感情移入して見てしまう。やっぱりこのブログだ(僕が好きな若武者たち

完全ゲッツーのセカンドゴロを菊池がエラーでダブルセーフ。おまけにサード真正面のゴロを安部が鮮やかなトンネルで3失点。そこで踏ん張れなかった自分が・・」と言った床田くん、君は大物だ。

カープ野手陣がそれを忘れるはずない。絶対に床田を勝たせるという執念だったろう。初回、簡単に三者凡退。巨人先発ヤングマンの球威はまずまずである。その裏。床田が坂本に一発食らった。にわかに暗雲たちこめる。

その直後の二回表だった。先頭の鈴木誠也が初球を軽々と右中間にホームラン。これだ、これ。これぞ4番である。他の打者は相手投手の具合をそれで見ているんだ。4番が三振食うとやばいなと感じる。打つと俺もとなる。

東京ドームのムードががらりと変わった。もうひとつ。3番手の一岡が代打・中島の頭にあてた。故意には見えなかったが中島が怒ってマウンドに向かった。両軍が出てきて場内騒然となる。

見てほしい。真ん中の97番。なんと真っ先にブルペンからすっ飛んできたフランスアである。この野郎、一岡に手出ししてみろ、である。いい奴だなあ、オトコだなあ。

昨今のクソつまんない世の中、こんなものがどこにある?ああこわ、おれ関係ねーし巻き込まれてケガしちゃあね、クニのお母ちゃん悲しむし、ちょっとちょっと、暴力はいけませんよ、それって傷害罪になりますよ、民事訴訟ということもありえますからね。ああくだらねー

一岡が危険球退場となって、おそらくフランスアの肩を作るべくであったろう、急遽マウンドに立った九里をほめたい。投球練習のストレートの気迫が半端なく、難なく田中を討ち取った。オトコだな。そしてマウンドに立った怒れるフランスア。床田から2本塁打した坂本をストレートで押し込んで中飛、2安打で凄く振れている亀井を空振り三振に取った高めストレート156キロ。ほとんどストレート。これを打てる者は誰もいないという鬼神のごとき投球であった。

そして、なんといっても、原・巨人を粉砕したのは3番バティスタの2発であった。かつて人生で目撃した最も壮絶なホームランは2年前のヤクルト戦、七夕の大逆転でのバティスタの左中間弾丸ライナーであった。何度も申しわけないが、バティスタのそれもここに書いたんだ(僕が好きな若武者たち)。

それは更新された。一発目、神宮とほぼ同じ場所、同じ弾道。二発目、これは全英オープンで見た全盛期のタイガーウッズのドライバーショットとしか形容のしようがない。ライナーで左翼天井近くのビールの広告看板を直撃。あれに当てた打者はいるが、打球は放物線だった。”ライナー” なんである。ああいうのを打たれるとピッチャーはどうなるんだろう。心配になる。アダメス、がんばれよ。

二人のドミニカンと4番鈴木誠也。ブルドーザーのような超ど級のパワーで原・巨人は粉砕された。看板直撃の賞金100万円は「お母さんにあげます」のバティスタ。うれしいね。4タコだった3番・丸は話題にもならなかったが、丸が出て行ったおかげで3番バティスタが育った、ありがとうという声はきこえる。

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こちらもショックだった菅野の10失点

2019 MAY 16 11:11:07 am by 東 賢太郎

久しぶりに東京ドームへ。今年は覇気があって若々しい阪神を見たいのと、対する巨人の先発がエース菅野というので出かけたのでした。結果は31安打(うち7本塁打)という壮絶な打ち合いになり、帰りの感想は「花火大会を見終わった感じだね」でした。いや、阪神応援団とファンの轟音は凄まじいものでした。去年からずっと巨人に連敗してたし、たまりにたまったものがあったのでしょう、こちらもカープが負けこんでからの8連勝でしたから気持ちがわかります。

しかしながら、カープは離れていち野球ファンとして大変ショックであったのは菅野投手が4被弾し、5回2死でKOされて10失点したことでした。去年の神の如きピッチングが目に焼きついていて、「あんな球はもはや誰も打てないだろう」と何回もブログで称賛したからです。

阪神打線が振れている印象はありましたが、菅野の球が「行ってない」。それに尽きます。去年よりちょっと手投げ感があるせいかストレートに凄みがなく、打たれたのは総じて高かったのですが、去年はそれで空振りが取れていた。だから本人も捕手の小林もそのつもりで投げたら軽々と芯で打ち返されてわけがわからなくなったというところではないでしょうか。故障でもあるのかと心配になるほどのメッタ打ちでした。

特に、1回に出合い頭の低め(スライダー?)を糸井が簡単に打った右翼へのライナー性ホームラン、2回の新人の近本に内寄りの高め速球を快心のジャストミートされた右中間2ベース。あの2本は菅野はショックだったんじゃないか。変化球を勝負球に立ち直りかけた5回にまた直球を福留に一発、そして6回にはまだ1本塁打しか打ってない新人の木浪に変化球を右翼席上段にぶちこまれ、追い打ちのように、ゲッツーと思った二塁手正面のゴロを山本がお手玉で一塁までセーフ。ここでプッツンしたんでしょうか、大山に左翼二階席へ問答無用の美しい「4番の一発」を叩きこまれてついに不沈空母撃沈。全く信じ難いものを見てしまいました。

打った阪神をほめるべきでしょうか。やはりセンター(近本)、ショート(木浪)の有力新人加入が絶対的に大きい。これでセカンド(糸原)キャッチャー(梅野)と生え抜き4人でセンターラインが固まった観があり、タナキクマルと曾澤の4人が台頭した2015年のカープと非常に似た雰囲気がある。阪神は昨年のドラフトで藤原、辰巳のクジ引きに敗れ、外れ外れ1位で近本を指名したが、あのドラフト会議では敗色濃厚なイメージでした。どうしてどうして、こうなるのだったら近本は1位競合の逸材でしたね。まあ巨人も根尾、辰巳をはずしての高橋優貴投手が当たりだったので似た者同士ですが。あと、きのう阪神が二番手で起用した守屋投手でしょう。14年のドラ4で実績はないですが、勝負度胸と気合が乗ったいいタマです。凄く印象に残った。どこのチームであれ伸び盛りの若手は応援したくなりますね。

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僕が好きな若武者たち

2019 MAY 4 19:19:48 pm by 東 賢太郎

プロ野球編です。

オリックス・バッファローズの山本由伸投手(20才)

オリックス山本投手

逸材だ。ソフトバンク戦先発して8回1アウトまでノーヒットノーランの快投。で、味方もゼロで勝てなかった。前回3日の対戦でも七回までノーヒットの9回1安打でも白星は付かなかった。ソフトバンク相手にトータル17回被安打2というのは、もうお化けのレベルである。でも勝てず!仮にこれが20才の僕だったら?考えるも怖いが最低ベンチの扇風機の1、2個ぐらいは壊したろう。ところが山本くん、僕とは人間のモノが違う、「令和1戦目の目標はノーヒットノーランです」と目標を高く掲げた。応援するよ!

 

広島東洋カープの床田寛樹投手(24才)

昨日の巨人戦、完封ペースの好投をしてをいた。コントロールも右打者インサイドのスライダーもカットも一級品。三振が取れる。ところが、完全ゲッツーのセカンドゴロを菊池がエラーでダブルセーフ。おまけにサード真正面のゴロを安部が鮮やかなトンネルで3失点。ここで「エラーは仕方ない、そこで踏ん張れなかった自分が・・」と言った床田くん、君は大物だ。ほとんど動じてなかった。ちなみに僕もある。セカンドがショートのトスをポロリとやって楽勝のゲッツーがダブルセーフ。1年坊主の分際で僕はマウンドで怒ってたらしい。それから34年の歳月がたった。50才の高校クラス会で三菱地所の偉いさんになっていたセカンドの彼と卒業以来初めて会った。開口一番、「東、あの秋季大会のエラーごめんな」ときた。ぽかんとしてたら、「ほら、あんときよー・・・」と説明してくれて、それが34年間も気になってたんだとわかって、「おい、おれ覚えてねえぞ、認知症やばいのかな」と笑いでごまかしながら、涙がぽろぽろ出てきた。でもあの時はガキだった。床田、もう故障だけはするなよ、きっと大物投手になるよ。

 

東京ヤクルト・スワローズの村上宗隆内野手(19才)

止まらん令和の大砲!球団新10代でホームラン9発!!スイングに大物感漂うね。打撃のことはわからんけど岡本、筒香の路線で4番は射程圏にはいっただろう。なんたって19だ、19。しかもああ勘違いの生意気なクソガキじゃない、インタビューがしっかりしてるし先輩を立ててる。ああ俺の19のころなんて恥ずかしくて比べられない。この素直さはすくすく伸びるよ、先輩が引き立ててくれるからね、クソガキはだめだ、どんなに才能あっても可愛がられない、日本は怖いぜ、30こえたらつぶされるよ。村上くん、期待してるけど、カープ戦は打つなよ。

 

阪神タイガースの近本光司外野手(24才)

去年のドラフトで藤原、辰己のはずれはずれ1位だろ。しかも辰巳は同じ高校の2年後輩だ。こりゃ燃えたんだろうな。まず顔つきがいいね。敵も上司も飲んじまってるぜ。自信満々で明るいから叩かれないな。赤星を抜く新人連続試合ヒット記録を早や達成してるしね。盗塁もできるしセンターもうまい。しかもカープ戦、カモ状態で打ちまくって、野村のクセ盗んで楽勝の2盗3盗。あの3盗は相手にこたえたね。僕は2014年の菊池涼介の出現を思い出してる。彼の守備、打撃、足の超人ぶりが丸と田中を覚醒させてカープは強くなったんだ。おんなじものを阪神に感じるよ。なんと言っても大事なセンターラインだ。ショート木浪、セカンド糸原、キャッチャー梅野ときみでばっちりだ。サードが4番打者の大山というのもまたいい。大山は打席の構えがいいよ、なんともいえず、天性のもんだろうな、ピッチャー目線でね、打たれそうな雰囲気感じるよ。何よりみんな若い、はやく福留と糸井を追い出してレフト、ライトも若くなれば相当強くなるな、ピッチャーも青柳がいいし。でもカープ戦は負けろよ。

 

読売巨人軍の吉川尚輝内野手(24才)

セカンドの守備はカープ菊池のゴールデングラブ賞をおびやかす存在になるだろう。打撃も抜群のセンスでホームランも打て、左打ちで俊足である。ショートもできる。つまり運動神経が図抜けたお化け級のプレーヤで巨人の死角だったセカンドにそれがはまる意味はとてつもなくでかい。センター丸、ショート坂本、キャッチャー小林と彼でセンターラインが固まるなら巨人の野手陣は強い。弱点はケガが多いことだが練習方法を考えれば大丈夫ではないか。

 

広島東洋カープのサビエル・バティスタ内野手(27才)

飛距離というのはどうしようもない。練習して出せるものではない。この男、170メートル飛ばしたらしいが、ゴルフなら400ヤードものだろう。膠着した投手戦で、相手を一発で粉砕できるのはホームランしかない。バティスタの一軍デビューは2年前、2017年6月3日だ。忘れもしない、我が母のお葬式の日だったよ。初打席(代打)でいきなり一発。翌日も代打で一発。ありがとう、うれしかった。そして七夕の日、神宮で観戦したあの世紀の大逆転劇。狼煙となる君の一発は僕がかつて目撃した最も衝撃的な、バズーカ砲をぶちこんだみたいなまっすぐな当たりだった。50年もウルトラ弱小球団だったカープを応援してね、ひ弱な超貧打の選手たちを応援して期待を裏切られつづけると、打球が外野を超えただけでおおっとうれしいものなの。カープ女子にはこの辛酸、わからねえだろうなあ。カープにホームランなんてものはね、昭和30年代のビフテキみたいなもんなの(ビーフ・ステーキのことね)。庶民は食えなかったの。エルドレッドも何度も留飲を下げてくれたが、いまはバティスタだ。丸ショックでおかしくなったカープ打線の3番に座った。そして打った。好きな日本食は焼き肉らしい。そうか、店の肉ぜんぶ、いや牛一頭おごってあげたい。ホームラン50本頼んだぜ。

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投手の本分「完全試合、最低が完封でしょ」

2019 APR 13 9:09:52 am by 東 賢太郎

広島カープが5連敗。昨日はDeNAの今永投手に屈辱の1安打完封を食らった。手も足も出ず、ノーヒットノーランじゃなくてほんとによかったねというもの。これで1イニング12失点の究極の投壊に次いで打壊も極限に達していることが判明した。「どうも投打の歯車がかみ合いませんね」と解説者はいうが、氷河の彼方で見事にかみ合ってきた現状を良かったねという人は一人もいないだろう。昨年OPS2位である鈴木誠也まで20打席ノーヒット。統計値どおりに活躍しているOPS1位の丸に比べ、広島にはそれを崩すほどの強い外的要素があると考えるしかない。

DeNAは先日の浜口投手に続いて1安打完封である。これはやった人しか絶対わからない。やった者として書かせてもらうが男の快感、天上天下唯我独尊でありドラえもんでいえば完璧なジャイアン状態である。平時ではありえないことだがその時だけはそこにいる数十人がそんな思い上がりを許してくれる竜宮城だと言っていい。プロという頂点の野球で1週間にその境地の投手が2人も現れるDeNAも異常だ。ここに昨年の新人王・東投手が戻ってきたら、彼も巨人相手にあわやノーヒットノーランを演じた男だ、投手王国まちがいなく優勝があり得る。1安打やったら人生安泰というわけではないが、チーム内で見る目が変わるのはまちがいない。

メジャーで「オープナー」なんてのが出てきてアメリカかぶれのアホが褒めてる。先発が2回まで抑えて代わる(これがオープナーだ)。そこからブルペン陣が毎回ひとりづつ投げる。先発は名投手でも立ち上がりがふらつきやすいから、そこだけ全力で投げて抑える専門家がいてもいい。その先も毎イニング目先が変わるから打者は嫌がる。完投できるエース級一人の給料でブルペン級は5人雇えるから安上がりだ。この作戦は先発が一人しかいないタンパベイ・レイズがあみだしそこそこはうまくいったようだ。僕は「クローザー」には敬意を持つ。勝敗を一手に背負う激務だろう。三者三振がのぞましいから剛球投手である。しかしオープナーに三者三振は不要だし、そんな能力があればクローザーだろう。要は、投手としてのクオリフィケーションが訳が分からないの一言に尽き、そんなのを僕はとうてい尊敬などできない。

そもそも「先発だ。2回まででいいぞ」なんて言われたら前の日はどんな心構えで居たらいいんだろう。仮に2回を6人で抑えたら、「おお今日は完全試合できるかもしれない」と舌なめずりするのが投手の習性だ。プロだから、お仕事だからといって、ブルペンの彼らも高校時代はエースであってその習性だったはずだ。解説者・江本さんの「投手は完投でしょ」は当たり前、というか彼なりに抑えた表現であって、プロから少年野球に至るまで投手の本分は「完全試合、最低が完封でしょ」が鉄則なのである。そうじゃない奴はできないしさせてももらえない。勝利投手の権利なんてけち臭い話でない、「2回まででいいぞ」は「所詮おまえはその程度のピッチャーよ」にきこえる屈辱の響きなのである。

日ハムがやっているが、その程度のピッチャー未満であるハンカチ王子を使えと上に言われて困った国立大学卒の栗山があみだしたのが、メジャーというと黙る日本人を手玉に取る「オープナーの逆利用」だろう。先発がそこそこいるあの球団がそんなことをやる必要などない。投手の本分vs投手生命(=生涯所得)を賢く天秤にかけて移籍してくれた金子という名投手が「3回からロングでいいですよ」とたぶん大人の解決をしたので、5回までは絶対もたないハンカチ用のきれいな「ポスト」ができた。札幌空港限定販売品のパンダで客を呼んでおいて大量失点する前に堂々とひっこめて波風たたない。「名オープナー」などともてはやせば彼は将来は監督パンダもありだろう。広島のプリンス堂林やカープ女子戦略と同様に、経営の視点からはメーク・センスである。

しかし僕は選手の本分を曲げてまで芸能事務所まがいの選手や監督の人選で集客するのは嫌いだ。カープ女子で埋ずまった神宮球場内野席も勘弁してほしい。それなら札びら戦略の巨人のほうがよほど選手の本分からはすっきりしている。丸はカープでたぶん水が合わなかったろうが我慢して本分を磨き、それを時価で評価してくれた巨人で開花している風に見える。つまり、いきなり巨人に入って潰されるより、広島のような球団にドラフトされてレギュラーにのし上がって、オールスターチームを作ろうとしている原監督のお眼鏡にかなって30億円でFA採用してもらうのが今後の球界のエリートコースになるのではないか。それで結構。東京人である僕はドームで日本最高レベルの野球が見られるようになる。身内選手だけどへたくそ、でもかわいいなんて野球を金を払って見ようという趣味はない。

しかしここ数試合、負けるのは仕方ないが許せない。打つ気がまるでない投手を四球で歩かせた広島カープの島内、野村、岡田。おまえらなにやってんの?毎日野球しかやってねえんだろ?なに練習してんの?丸だ新井だ地元だ新人だ、そんなもの関係ねえよ。投手の本分「完全試合、最低が完封でしょ」の浜口、今永とはキミたちは別な人類だよ。オープナーにでもなれや。

 

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OPSで見る今年のセリーグ予想

2019 MAR 27 19:19:23 pm by 東 賢太郎

今年のセリーグ、もちろんカープ4連覇と書きたいところですがオープン戦で気になったのは、やっぱり丸の穴です。丸は2018年NPBのOPSランキングでパリーグを入れても1位の選手です。日本一ですから年俸5億はふつうと思いますし、金満選手でもなければ巨人が特に金まみれ球団とも思いません。しかし悔しいのは、この引き抜きはOPSなる統計数値を見ると効果があるのではということです。OPSになじみのない方もおられるのでwikipediaから引用しましょう。

「OPS=出塁率+長打率」であり、2004年のMLBのデータを基にすると、各指標の(チームの)得点との相関係数は打率が0.849、出塁率が0.910、長打率が0.913なのに対し、OPSは0.955にも達する。日本でも1980年から2010年のデータで(チームの)得点と打率との相関係数が0.776なのに対し、OPSとの相関係数は0.941に達している。

OPSは長打が打てれば高く(いわゆるスラッガー)、その選手は当然クリーンアップだから得点貢献が高いのはあたりまえであるなど万能のデータではないという批判もありますが、スラッガーだけど出塁率が高いのは選球眼が良い証ですから投手としては最も嫌な打者です。かつては王貞治がそうでした。1位(丸)と2位(鈴木)が3・4番で並んでいるということは全プロ野球選手で最も嫌な1,2位が連続して打席に入るということで、この連続という乗数効果が大きいのです。鈴木誠也は2度に1度は丸(出塁率約5割)が塁にいる状況で打席に入っており、しかも初回に必ずその可能性があるということです。長打を打たれても歩かせても、相手の先発投手は立ち上がりから窮地に追い込まれ、5番以下が打てば簡単に得点されてしまう。2番・菊池が2割3分の絶不調でも3・4番の並びの破壊力がそれをもみ消し、それがカープの打線のつながりとなり、逆転のカープのかなめでもあったということです。

丸が抜けたことでカープはそれを失います。「丸の穴を埋める」と簡単に言いますが、OPSの高い選手は即席で作ることはできませんから3番に少なくとも昨年のOPS上位選手を置くということです。ではそれは誰かということですが、カープにはいません。昨年のOPS3位以下10位までの選手をご覧下さい。

3・山田、4・ソト、5・筒香、6・ビシエド、7・坂本、8・岡本、9・バレンティン、10・糸井

カープの選手は松山が16位、田中が22位、野間が23位、菊池が30位で、規定打席に達しなかった候補者の昨年のランキングにあてはめると、安部は29位、西川は18位、バティスタが15位、期待の長野はNPB9年の平均値で21位(.783)、2011年のキャリアハイ(.847)でも15位です。唯一高いのは曾澤捕手の12位(.893)ですが、彼が8番にいたからあった打線の繋がりの減殺であいこです。つまり、長野を含め、「3番・丸」の穴をすぐ埋められる人はいないということです。ということは鈴木誠也の責任とプレッシャーが増しますし、相手はもちろん彼を徹底マークしてくるし、それで調子を落とせばさらに得点力は削がれます。穴を埋めようと皆でもがけばけが人が出やすく、厚みがなくなることもリスクです。

一方で、巨人は岡本(8位)が4番におり、今年は彼がOPSでもっと上位に行くとすると、カープの丸・鈴木とほぼ同じ得点力のある3,4番ができることになります。当初、原監督は「丸2番」構想でしたが、先日「丸3番」を発表し、その方針が確定したようでカープファンとしてはとてもまずい。しかも丸の前に2番坂本がいるとなると、(7位)×(1位)×(8位)の「3連ちゃん連鎖」ができて脅威となる。7と8のカンチャンに1がスッポリはまった効果は非常に大きいと思います。つまり得点力においてカープが落ち巨人が上がるプラマイ効果は統計値の裏づけから確度が高く、丸の引き抜きは悔しいがお見事な戦術であったと言うしかありません。

ではそれで巨人がカープに代わって優勝できるかどうか?ゲーム差が縮まる、あるいは逆転する可能性も投手力次第であるでしょう。ただ、カープの力を削ぐことには成功しても他チームに対してはどうか?台風の目になるのはDeNAベイスターズかもしれないと思います。なぜなら、丸が広島にいようが巨人にいようがDeNAは当事者でなく中立的であり、お客さんだった巨人に多少取りこぼしても得意としているハマスタでの広島戦をもっと有利に戦えれば浮上機会になります。OPS上位打者、ソト、宮崎、筒香、ロペスが2~5番に並ぶと

(4位)×(11位)×(5位)×(17位)

となり、4連続OPS上位の打線の得点力は12球団でもトップクラスである上に広島戦だと元気な捕手の嶺井などがいてカモ意識を持たれているように感じます。同時にヤクルトの青木、山田、バレンティンの、

(12位)×(3位)×(9位)

もあなどれない。広島は二大お客さんだった巨人、ヤクルトと拮抗して星を潰しあってしまうと漁夫の利で投手力もうしろが盤石なDeNAが有利です。DeNAは今永、浜口、東の左投手が復調してカープ戦で勝ち越すような事態になると、優勝してもおかしくないと思います。

最も気になるのはカープ先発投手陣です。打力が落ちる分は投手力でカバーするしかありませんが、大瀬良は良しとして野村は去年から読めないし、ジョンソンがどこか故障していたら暗雲がたちこめます。岡田、九里、アドゥアは安定感なし、結局、新戦力の床田と島内とローレンス次第となるとフランスアを回すしかなくなり、8回が不安になるのです。得点力が落ちますから先発投手のプレッシャーが増すのは確実であることを考えるとここが鬼門。

投手陣は「黒田効果」がすでにはげ落ちてます。野村、岡田の凋落、15勝もした薮田が消えてしまうなど尋常ではなく、いかに黒田が精神的支柱だったかということです。その意味で新井の引退も大きいですね、しかもそこで支柱役を期待された菊池があっさりメジャー宣言してしまう。守備はともかく彼の打撃はメジャー級ではなく、あれはFAの布石とみんな思ってます。男気はもう消えたわけで、丸を見て曾澤、田中もというムードがチームに出ているとしたら瓦解のシグナルかもしれず、とても心配です。

唯一明るい話題の小園ですが田中がいるのは痛しかゆしで、サードで使う手はないでしょうか。候補だった堂林ですがOPSが新人時代の.718がピークで年々着実に低下し、キープしているのは外角のくそボールを振って三振する姿だけ。昨年の.559は客観的にもう一軍選手の数字ではないですね。ということで結論としては、バティスタ、メヒアの大化け、新加入の外人投手の想定外の活躍でもないと4連覇は不安があります。

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日ハム・金子の芸術的な快投

2019 MAR 19 20:20:06 pm by 東 賢太郎

アスレチックスの打撃練習風景

日曜日に東京ドームでアスレチックス対日本ハムのプレシーズンゲームを、試合開始2時間前に入場して打撃練習から見ました。メジャーがドームで打つとこうなるのかという凄いホームランの連発でしたが、2年前に神宮の七夕の奇跡で見たカープ・バティスタの左中間の弾丸ライナーの一発のほうが上だな、なんてことも思うのです。試合は5-1のスコアでメジャーの完勝、あんまり見るものがないゲームでしたが、唯一、金子の4イニング9奪三振は美しかった。

先発の有原は157キロでましたがカンカン打たれて4失点です。それより金子の140キロが速く見えた、これぞ野球の謎ですね。縦横に自在に曲がる変化球も速くて空振りがとれ、最後はコーナーぎりぎりのストレートに手がでず見逃しが何度かありました。メジャーを手玉にとったのは見事です。

金子はプロとしては体も細身でフォームに威圧感もなし。一見何でもないピッチャーで、腕の振りも速さを感じないのにキャッチャーミットの音が半端なく、たぶん打席ではすぐ球が手元に来てる感じでしょう。それでコントロールがいいのだから打てるイメージがないです。

選手百人いれば百種類の球があります。僕は常にそれを楽しみに野球場に行くのです。試合前のキャッチボールから真剣に見て、いいなと思った野手は背番号から名前を確認します(投手じゃない、野手です)。河原の草野球だって、中学ぐらいの投手が、遅いけど回転のいい球でミットがパーンと鳴ったりすると、ちょっと高めはいやだななんて思ったりして、バッターの反応が見たくて2イニング見物してしまったり。やってた人ならわかってくれると思うのですが。

バッターの反応。打席に立つのでなければ、それしか判断材料はございません。自分のだけは打席で見られないからマウンドからじっとそれを観察して、その日の調子を知りました。振り遅れてると「今日は行ってるな」と思う。行ってるは投手目線、来てるは打者目線の言葉です。だから反応(特に見逃し方)でいい打者かどうかもわかります。それがいいと、おぬしやるなとなって、胸元を攻めとくかなんて捕手と目くばせしてました。

金子の球は、打者がほとんど想定外という反応。芸術の域ですね、うまいなあとため息つくばかりです。打者は150キロに見えてるだろう。彼ぐらいになると前の球の反応でどこに投げるかが直観的にわかるのではないでしょうか。僕が当たった元プロの投手の、打席に立ってみた印象もそうでした。打てない所ばかりに来るのです。

ケガさえなければ金子は10勝はするでしょう。彼のピッチングはネット裏から初めてみましたが、それだけでも来た甲斐がありました。オリックスはどうしてだしちゃったのかな?もう一つ謎が残りました。

日ハム・金子の芸術的な快投

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長野選手が人的補償で広島に移籍

2019 JAN 8 1:01:20 am by 東 賢太郎

長野選手が丸の人的補償で広島に移籍。これは驚きました。外野は丸、陽、ゲレーロ、長野、亀井、重信。4億円複数年契約のゲレーロを使う必要があり、陽か長野かで落選したとすれば、昨年にマギーをとって村田を落としたのと重なる気もします。実力社会というなら芸能界もそうですが、あちらは64才になっても紅白で歌える。アスリートに円熟という言葉はなく、あるなら旬です。

内海のケースもあったわけですから、プロテクトから外したということは巨人には「未必の故意」(まあそうなってもいいんじゃね、というきもち)があった。旬は過ぎたと判断されたのでしょう。3年浪人するほど惚れた球団のその故意をどう心の中で消化するかですね。いいじゃないですか長野も内海も、これで日本中から大注目されるし、なにくそと活躍すれば一気に全国区で男をあげますね。日本人はそういう人を応援するのです。

一方で、自ら出て行った丸への広島ファンの喪失感よりも、功労者2人を引き抜かれた巨人ファンの心のダメージのほうが大きいでしょう。炭谷と丸への視線も内外で厳しめに変わってくるでしょう。丸はそれをはね返すプレッシャーに耐えなくてはいけませんが、逆に長野は広島では大歓迎されるはずです。カープファンはあったかいし、緒方監督と同郷だし。新井のような立場になって4連覇でもすれば、今やカープは黒字球団だし野球人としては巨人でフェードアウトするより絶対に幸福になれます。大チャンスです、心からおめでとうと言いたい。

経済的なことは忘れてFAが誘因となったトレードと見れば、巨人は

丸佳浩外野手(広島からFA)
炭谷銀仁朗捕手(西武からFA)
中島宏之内野手(オリックス自由契約)
岩隈久志投手(マリナーズ退団)

を得て、重鎮クラスの内海と長野を失った。あんまり成功には見えないですね。

捕手は小林を左打ちの大城と宇佐美が追っていて、去年の印象として大城は他球団ならレギュラー、宇佐美は育てば阿部並の素材ですよ。そこにおじさん阿部も最後は捕手で終えたいなどとわがままいってかぶさってきて、これは紅白歌合戦で大物がトリやりたがるのといっしょ、実に巨人軍的であって若手は本当に不幸です。さらにそこに炭谷って、本音は二人はFA補償で指名されたかったんじゃないか。

中島、岩隈はどうでもいいです。多少はやるだろうが大きな要因ではないです。すると丸と長野のプラスマイナスがポイントですね。才能はいい勝負、長野は5才トシをとってる。ドームの広島戦は熱くなるでしょうね、楽しみです。

 

(PS)

きのう、長野移籍のニュースに興奮さめやらぬ我が家で何げなくついていたTV。日テレジータスの「徳光和夫の週刊ジャイアンツ」がはじまります。

大のジャイアンツファンである女優・中原ひとみがゲストでした(この方、女性にしては凄く詳しい)。話の流れからどうやら丸選手の移籍が決まる前の録画のようだ。中原さん、巨人をほんとに愛してるみたい。そこで一抹の懸念が走り、僕がこう言いました。

「おい、これ、大丈夫か、中原さん長野のファンだったりして」

「録画だからカットできないよ」

「でもまさかね」

なんて盛り上がっていきます。

TV

「巨人の外野は大変ね、丸さんが来てくれたらどうなるんでしょうね」(中原)

「そうですよね、長野なんかどこ守るんでしょうね(余裕の笑い)」(徳光)

ウチ

「カープのセンターです」(爆笑)

TV

「ところで中原さん、誰のファンなんですか?」

「私、イケメン好きなんですのよ、石川君とかいいわね」

「ほお、坂本は?」

「若い人好みのイケメンね」

「小林とか」

「ええ、ちょっと昭和のイケメンって感じ」

「とすると・・・?」

「実はわたくし、長野選手の大ファンなの、ずっと!」

ウチ(激震が走る)

TV(長野の大アップが映る)

 

「やばい、本当に出てしまった」(大爆笑)

 

ここで長野選手の活躍シーンのダイジェスト版が延々と流れTVは大いに盛り上がる。ウチは「よりによって今日これ流すか?」「中原さん、今ごろ寝込んでるね」と、一応東京ドームで見せていただいている身として巨人ファンに同情の気分になっている。

 

週刊ジャイアンツ」は様々な角度から楽しめる素晴らしい番組です。

 

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カープ丸選手のFA移籍について

2018 NOV 18 19:19:37 pm by 東 賢太郎

FA宣言したカープの丸の去就が注目されている。カープファンとしては複雑だがここまで努力した丸を応援してやりたいし、何人も主力選手を引き抜かれても強くなるシステムを確立したカープ球団の経営努力も応援したい。

まずFA制度についてひとこと。僕はドラフトという制度は基本的人権である職業選択の自由を侵害する憲法違反だと考えている。プロ志望届を出してNPBで働く資格を得るのはいい。それでNPBと契約して給料をもらうなら何の問題もない。どの球団に所属するかは新人の赴任地の振り分けに過ぎないからだ。

ところが実態は契約するのは球団であり、NPBは単なる業界団体なんです、12社どこに就職できるかは会社がくじ引きで決めますというのだ。全社の処遇が一律ならまだしも、本店所在地も初任給も出世や退職後の人生航路の期待値もぜんぜんちがう。このリスクを一方的に選手に取らせる仕組みは、どこから選択権が選手から球団に移るのか理論的に明確でない。

NPBは戦力の均衡を図って興行を盛り立てたいからくじ引きという偶然性の要素を求める。それが嫌なら選手はプロ野球はあきらめるしかないという別個の不均衡を生む。かような場合は経済的な補完手段しかないのが通常である。例えばドラフト会議の場において、その枠組みの中で、競合した選手は契約金をオークションにするのだ。根尾選手、巨人が3億円で落札!という風に。

かつてはそれを裏でこそこそやっていた。それでできたドラフトだろうという声も出よう。しかし3億円払ってもポスティングでメジャーに売れば20億円入るから金を借りてでも投資しようという球団もあろう。それを堂々と表でやれということ。すれば選手は職業選択の自由は放棄しても経済的に報われるからフェアだ。要するに「セリ」はいかんというなら「くじ引き」はどうなんだ、目くそ鼻くそじゃないの?という意見である。

FAという制度は、「セリ」をしないドラフトの不均衡を時間差で金銭的に解決するものだ。子供のセリはいかんが大人になればいいだろうというわけのわからないものともいえる。戦力の均衡を図るNPBの意図に反するが、球団の経営力の差で「均衡化」に反旗を翻す余地は残そう(まあ巨人のためだが)、そして選手の基本的人権を尊重したということにもしようというおためごかしだが。であるからして、選手は誰に気兼ねなく金銭重視でFA権を行使してよいという結論になるのだ。

カープファンとしては丸がそうしては困る。しかし僕は「理」で突き詰めた結論に感情で逆らわない人間だ。丸は巨人、ロッテに行ってよい(もしアフターケアを入れて最高条件ならばだが)。カープはお金でなく男気スピリットで帰って来た黒田、新井という求心力で3連覇した。それを中心で支えた丸はもう十分にいい仕事をしたし、球団は丸の引き留めで従来のポリシーを変えるリスクを冒すべきでない。丸が抜けても必ずあとは育てる実績があるが、スピリットというものは変質すると容易に元に戻らないからそのリスクは巨大なのである。

私事で恐縮だが、今になって自分の来た人生航路を振り返ると、野村をやめた2004年に他社からオファーが3つ来て、つい「他球団の評価を聞いてみたい」と魔がさした。あのとき野村では若手の台頭で居場所がなくなってきており、君が必要だという声は甘く響いた。それに乗ってしまった決断がどうだったのか、残る道を選ばなかったのだから知りようがないが、まだ選手で行けると思ったので東証1部上場企業役員の肩書だった2つはお断りして部長のオファーをとった。だから金銭ではなく仕事をとった。

丸選手は迷うだろうなと思う。でも僕らと違いプロ野球選手の実働年数は少ない。年金もない。実績なんて済んだことであって、力が落ちればご苦労さんで戦力外通告だ。だから金銭的価値での評価を絶対に優先すべきと思う。新井は居場所がなかったし黒田はすでに超富裕層だったのだ。男気は関係ない。お金は天から降っては来ません。男は稼いでなんぼの世界でプライドをかけて戦っているのです。君が必要だという甘い声は無視。金があればそこから先はどうにでもなる。もちろんカープも含めてドライにクールに条件だけで決められたらいい。

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