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ストラヴィンスキー バレエ音楽 「春の祭典」

2012 SEP 29 23:23:53 pm by 東 賢太郎

高1のとき、これに出会った。

ピエール・ブーレーズ指揮クリーブランド管弦楽団のLPレコードである。1969年録音。この曲だけにかかわらず、クラシック音楽の演奏史に永遠に名を刻まれる名盤中の名盤である。

この曲は1913年パリのシャンゼリゼ劇場で初演のおり、その前衛性に反対派などから怒号や口笛が飛びかって会場が大騒ぎとなり、20世紀音楽史上のスキャンダルとして記録されている。

この演奏はそういう人間界の俗臭さとは完璧に無縁である。不細工かつ膨大な計算量を伴う解き方しかなかった数学の難問を、わずか数行で美しく解いてしまった答案用紙を見る気分だ。E=mc²のように。ブーレーズ自身、本当に数学を学んでいたが。この美しいジャケットも見事に曲の雰囲気を描写している。

ブージー・アンド・ホークスのスコア(右)は表紙がボロボロになってしまった。 アルトフルート、ピッコロクラリネット、ピッコロトランペット、バストランペット、ピッコロティンパ二など耳慣れない楽器が出てくる。僕はそれらを耳を凝らしてマニアックに聴いていたが、この演奏はそれがちゃんと聴こえる。聴こえるように演奏され、録音されている感じだ。そんなニッチな所に焦点を当てて商売になるだろうかなどという下世話な頭は微塵もない指揮者にオケも録音技師も全身全霊で奉仕している奇跡的な録音なのである。

「いけにえの踊り」のティンパニでこんなに短3度音程が明確にわかる演奏はない。ティンパニと大太鼓の音色をこれほど差別化した例もない。第1部冒頭部分での木管楽器の倍音までとらえた録音センスの良さは本当に本当にすごい。第2部冒頭(序奏)練習番号80でp(ピアノ)で入る大太鼓(皮はゆるめに張られている感じ)の意味深さは筆舌に尽くしがたい。音楽的にどうでもいいと言われそうだが、このスコアにストラヴィンスキーが封じ込めた信じがたい美の一部であることは誰も否定できまい。

テンポはやや遅めであり、すべての音は完璧に磨かれた、正確極まりないピッチの楽器音でじっくりと丹念に刻み込まれていく。スコアが30段ある室内楽と言って過言ではない(1か所だけトランペットがミスしているが)。では生気に欠けるかというとそうではない。第2部の最後に向けて鉄の塊が徐々に熱していくようにじわじわと過熱してくる。そう演奏しているのではなく、スコアがそう書かれており、それを忠実に抉り出してそうなっているという絶対の説得力を感じる唯一の演奏である。

リズムに関しては鉄槌を打ち込むかのような強靭な理性によるコントロールを知覚する。音や和音の鳴り始めと終結(つまり音価)が厳格な意志で統率され、いい加減に放置された音は最初から最後まで皆無といっていい。練習番号139、pで22発打ち鳴らされるシンバルの最後から4発目がやや野放図に鳴りすぎたのが玉に傷で耳に残ってしまうほど全曲にわたって精密なのであって驚くばかりだ。だからこそ「生贄の踊り」同144の直前の16分の3拍子が16分の2に近いのが昔から気になっていて、生前にお尋ねしたかったことの一つだった。

録音は楽器に近接したマイクの多重録音と思われ練習番号38のドとシのティンパニは位置が左と中央に離れて聞こえる。同22-23ではイングリッシュホルンの裏でティンパニストがシ♭の音合わせをしているのが聞こえる。それをマイクが拾っているのを放置しておりミキシングが徹底した精度であるとはいえない。ティンパニの音程と皮の質感をここまで拾う録音が木管の倍音までも拾うのは納得であり、こういうことは指揮者と録音技師のセンスが合致した幸福な結果だろう。最後の方でブーレーズのオケを追い込むような声が聞こえる部分がありびっくりするが、そこはリハーサルの方を採用したかもしれない。

発売当時「スコアにレントゲンをかけたような」という形容があった。実演では聴こえない音まで聴こえることの比喩だ。そう、これはレコード芸術そのものだ。全音符をこれで刷り込まれた僕には、実演はすべて「いい加減」な演奏に聴こえるので困る。必ず欲求不満になる。だからなるべく聴かない。聴くならティンパニの後ろの席で「ピッコロTim」の高いB(シ)が聴き分けられるかどうか実験の目的だ。何故かこれだけはブーレーズ盤でもわからない。他盤もだめだ。入りにくいのか僕の耳の問題なのか。だから近くで実物を聴きたいのだ。

これは1970年に買った、まさに僕にとって神であるLPから録音したもの。そのあとに出たフォーマットもすべて聴いてみたが、この初出のヴィニールレコードが最も倍音が豊富でありベストで、再発を重ねるほどそれが消えて行っている。SACDになれば音がいいという単純なものでは全くない。第1部の春のロンドまでの木管合奏など、この倍音が演奏の特性を決しているのである。

(レファレンス )

クラシック徒然草―レイボヴィッツの春の祭典―

ブーレーズの春の祭典は実演を2度聴いた。最初は1974年9月5日にNHKホールでニューヨーク・フィルハーモニーと。次は1993年にフランクフルトのアルテ・オーパーでロンドン交響楽団と。当たり前だがレコードと同じ音楽、同じフレージングだったが情報量はプア。前者はベートーベンの2番が前半プロだったが意外に普通だった。面白かったのはむしろエーリヒ・ラインスドルフが1984年にファイラデルフィア管弦楽団を振ったもの。ぎくしゃくした棒でいがらっぽかったが、骨太の演奏で説得力があった。香港で聴いたフェドセーエフ/モスクワ放送交響楽団はティンパニが間違えて一瞬オケがバラバラになりこっちも心臓に悪かったが香港の聴衆は気がついてない感じだった。

この曲は一般にハルサイと呼ばれる。春祭だ。夏祭りみたいなので僕は絶対に使わない。ブーレーズの前衛性などどこ吹く風で、最近は若手指揮者が暗譜で振るとカッコいい「のだめ」流ミーハー曲に堕落してしまった観がある。若い子はラプソディ・イン・ブルーの姉妹曲ぐらいに思っているのだろうか。オジサンたちは若い頃こういうのを大真面目にピリピリ緊張してやっていたんだ。

当時クラスメートと「ブーレーズがブルックナーなんかやったら世も末だね」とジョークを言っていた。そしたら10年ぐらい前に本当にやられてしまった。DGの商売にのせられたのか。ともあれ、これはカラヤンが越後獅子を振ったのと同じぐらいのマグニチュードがある事件だ。センセイどうしちゃったんですか?いや、これも堕落と言ったら失礼だ。世も末ということにしておこう。

最後に、僕の69種類ある春の祭典音源集から:

マイケル・ティルソン・トーマス/ボストン交響楽団

とにかく音がいい。僕はオーディオチェックに使っている。ボストン・シンフォニーホールのいい席はまさにこの音と残響のブレンドである。演奏も凛々しい。若々しい。管楽器がうまい。ティンパニも健闘している。MTトーマスはピアノ連弾でも録音している(これも悪くない)。好きなんだろう。新録音もあるが断然これ。見つけたら即買いです。

小沢征爾/シカゴ交響楽団

リズム感の良さとオケのやる気満々なノリが素晴らしい。ロック、ジャズの感覚。若造の分際で大シカゴSOをここまでドライブしたオザワの青春譜。やっぱり只者じゃなかったんだ。ただし第2部は定番のブージー67年版ではなくアンセルメ盤と同じ部分があり、初めてこれを覚える人には薦められない。通におススメ。

アンタール・ドラティ/ミネアポリス交響楽団

速い。とにかく速い。疾風のごとし。軽い。とにかく軽い。このお茶漬け風味は捨て難い。ハイドン風ストラヴィンスキーの逸品である。買い。デトロイト交響楽団との新盤はフツーのテンポになっている。初めての人はこっちのほうがいい。

イーゴル・マルケヴィッチ/フィルハーモニア管弦楽団

セラフィム盤。一つのスタンダードを作った演奏。もしブーレーズ盤がなければ似たような位置づけに鎮座しただろう。おっかない切れ者指揮者のドライブ力は圧倒的。聴くと疲れるが曲の本質をワシづかみにしている。音もまあまあ。おススメできる。

コリン・デービス/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

コンセルトヘボウの正面特等席の音響がする。うれしい。そのまま理想的なベートーベンができる音による春の祭典というバリューは絶大。オケは非常にうまい。デービスにしては意外なほど燃えてもいる。出た時に「いけにえの踊りで」妙な繰り返しがありのけぞったが修正された。誰でも安心して聴ける。

クラウディオ・アバド/ロンドン交響楽団

76年大学時代にLP新譜発表プロモーション会場で抽選に当たりもらった。懐かしい。しかし演奏も録音も平板で実につまらない。アバドの名前にだまされて買わないこと。

ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団

ウサイン・ボルトが予選でテキトーに流して10秒09という感じのお仕事。大味で細部はええ加減である。ショルティの名前にだまされて買わないこと。

ズビン・メータ/ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団

インドの星だった若きメータ。春の兆しのスピード感に「ほほう、これは速い」と柴田南雄さんがラジオでつぶやいたのを覚えている。最期まで勢いがありオケがのっている。打楽器のリズム感、とてもいい。おじさんも若返る快感あり。おススメ。

ピエール・ブーレーズ/フランス国立放送管弦楽団

63年録音。音が古い。 オケの精度は高くない。勢いで押す部分があり熱さもあるのはまだ若い感じ。69年盤があれば不要。

ピエール・ブーレーズ/クリーブランド管弦楽団

DGの91年録音盤。これだけ聴けば名演。音は69年盤よりまったりして角が取れている。しかしあれを知ってしまうと指揮は好々爺にしか聞こえない。ブルックナー路線はこの辺から引かれていたかもしれない。69年盤があれば不要。

エルネスト・アンセルメ / スイス・ロマンド管弦楽団

ストラビンスキーの1歳下だったアンセルメは1883年生まれ。ローザンヌ大学数学科の教授から転身した。彼らが生まれた頃に亡くなったボロディンは有機窒素の定量法を発見した化学者で、作曲は余技だった。この時代の音楽家は音大卒の専門家ではない。そういう時代の息吹を感じるオケ。とても下手である。アンセルメの録音は2種類あるが、どちらもトモダチだった作曲家に意見してスコアを直させたものが聴ける。作曲家はそれをまた直して現行版になった。火の鳥組曲1919年版のように著作権料狙いだったかどうかは知らない。これはフォロ・ロマーノだ。遺跡として訪問価値がある。

ストラヴィンスキー / コロンビア交響楽団

60年録音。先ほどじっくり聴いて、ブーレーズ69年盤はこれを下敷きにしたと聴こえた。ほぼ間違いないと思う。当たり前だが秀でたスコアリーディングであり、このスコアを音にすればこうなり、ブーレーズのようになるのだ(練習番号144の直前の16分の3拍子が16分の2に近い!)。違いはオケの運動神経ということになるが、アマチュアの指揮なのだから仕方ない。大変耳をそばだてるものを含む演奏であり、なるほどそうなのかと目から鱗の部分が続出するが、それらを圧倒的高みで洗練させ厚みを増しストリームラインしたのがブーレーズ/ クリーブランド盤の実体であるといっていい。これをつまらないと思う人は要するにこの曲がよくわかっていないのであり、よりわかりやすいブーレーズ盤をじっくり聴くことをお薦めする。

ヴァレリー・ゲルギエフ / ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団

96年録音。この曲がポップ化し始めた頃を象徴する演奏で、指揮者は人口に膾炙する部分の誇張、拡大解釈につとめ、それがあたかも何か新時代の息吹を革新的な感性で表現したかのようにふるまう。その感性がじっとりとロマン的なものだから曲の神秘的な本質を逸脱していくばかりなのは悲劇的ですらある。聴きとおすのに苦労した。

エヴゲニ・スヴェトラーノフ/ ソビエト国立交響楽団

66年録音。録音はクラリティが高く木管の色気は好感が持てる。「ブーレーズ以前」にしてこのスコアリーディングはレベルが高く、オケの運動能力もすぐれている。ただ金管の咆哮があまりにうるさい。ロシアを去りパリで初演を目論んだ時点で作曲家の頭にこのロシアの下品極まる金管があったとは思わない。練習番号84のミュート・トランペットはまるでジャズの音色で笑ってしまう。第2部前半の神秘感はまるでないが生贄の踊りのリズムは録音当時としては見事である。

ユージン・オーマンディ / フィラデルフィア管弦楽団

55年モノラル録音。最も早い時期であり、オーマンディーの読譜力の凄さを見る。作曲家は貶したらしいがディズニーが使ったストコフスキー盤の印税はどうだったのだろう。彼は火の鳥1919年盤をそれで作ったくらいカネにうるさかった。まあ「春のロンド」はなんぼなんでも速すぎるし純粋に解釈が気に食わなかった可能性もある。味もそっけもないがこの演奏能力は文句なし。こんな国と戦争してはいけない。

ヘルベルト・フォン・カラヤン / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

77年録音(2回目)。冒頭のファゴットとホルンのリズムからいい加減。バスが効き木管は歌いまくり、総じて和声的、歌謡的要素に感応度が高い。速い部分のメカニックは高度ながらBPOのホルンが音を外す珍しい場面も。第2部序奏は異様にロマン的だ。87-88は和音が異質に聞こえ気持ちが悪く、11連打の減速はマゼールに近い。生贄の踊りの固めのティンパニはなかなか良い。174以降でピッコロ・ティンパニのパートをこれほど強く叩くのも珍しい。僕の耳にはレア物として面白いが一般には色モノの部類だろう。

(補遺)

この音楽は1909年に作曲され1912年9月3日(春の祭典の初演前年)にロンドンで初演された。アーノルド・シェーンベルクの「管弦楽のための5つの小品」(作品16)である。ストラヴィンスキーがこれを聴いていた可能性はないだろうか。

第3曲「色彩」を特徴づける要素を祭典のスコアから引き出したのがブーレーズだ。

 

(演奏・補遺 2月15日~)

ウィリアム・ファン・オッテルロー /  シドニー交響楽団

R-5148349-1385867416-2766_jpegyoutubeで一聴して惹きつけられた。オケの性能はA+クラスだが何よりオッテルローのスコアリーディングが深い。指揮者の耳の良さは音楽に聴き捨てならぬオーラを与えるのである。この曲の野性的側面を充足する運動神経の良さと多彩な楽器の倍音を含むカラリングがうまく調合された魅力的な演奏だ。ティンパニひとつとってもそれが明確。78年録音。彼は同年にメルボルンで事故死したが、シドニーオペラで振った最後の作品が春の祭典だった。

 

ハンス・シュミット・イッセルシュテット / 北ドイツ放送交響楽団

02469年ハンブルグでのライブ(ステレオ)。ブーレーズ前の演奏だが、ティンパニ11連打が遅いぐらいでほとんど全曲違和感がない。ドイツもののイメージのイッセルシュテットだがストラヴィンスキーとは友人で得意としていたらしい。生贄の踊りで一ヵ所バスドラにミスか覚え違いがあるが、これだけできれば当時としては立派としかいえない。彼の手によると三楽章の交響曲(名演だ)が春の祭典と同質の音楽に聞こえるのが面白い。

 

ネーメ・ヤルヴィ / スイス・ロマンド管弦楽団

MI0000968548SROの管による第1部序奏の木管の協奏は良し。春の兆し、なんぼなんでも遅すぎ減点。ロンドのクラの装飾音符が全音低い。バスドラは全然聞こえず減点。第2部の序奏は速めであっさり進行、クラリネットの上昇アルペジオにフルート和音が乗る部分は印象派風で美しい。11連打になんとアッチェレランドがかかり唖然とすると選ばれた乙女は快速でぶっ飛ばす。いけにえはティンパニがいきなり妙な所に鳴り驚くが、大いに暴れまくり大迫力だ。バスドラが欠落したりするが追い込みは盛り上がる。このCDはこれより次のカンティクム・サクルムがききものだ。第2曲はストラヴィンスキーが初めて音列作法で作った楽章で抜群に面白い。ヤルヴィの強烈なオケの統率力がわかる。

 

ズデニェック・コシュラー / チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

a0dd73b9-9802-48ae-b23b-fdd4ac9793b1これは僕の知る音源でトップ5入に入る名演である。まずCPOがCPOの音で鳴っている。冒頭のファゴットをはじめ歌う木管、金管は強力だがブラッシーにすぎず節度があり弦はくすんで木質であり、プラハの芸術家の家であたかもベートーベンをやるかのような美しいマストーンと残響で録音されている。そうかと思えば、細部に耳を凝らすとティンパニの音程にこんなに神経を使ったのはブーレーズCBSと双璧であり、春のロンドと第2部序奏のグランカッサの扱いもブーレーズCBSのコンセプトに似る。演奏は概して速めでドラティ旧盤に近く、慣れてない金管がやや危ない(第1部終結)が、この胃にもたれないアレグロの軽さは好ましい。練習番号114のティンパニがこんなに聞こえるのはなく、生贄の踊りの明瞭な短3度などもはや感涙ものだ。繰り返しで半音下がるが、明らかに違う太鼓を叩いておりもちろん音質も違うわけで、eの太鼓の皮の質感が微妙にやわらかいところなどマニア垂涎のご馳走である。この演奏の唯一のリザベーションは練習番号121が遅いことだが良しとしたい。生贄の踊りのリズムが最近の物に比べると弦楽器奏者一人ひとりレベルでまだぎこちないが、1979年時点のチェコ・フィルでここまでの整然としたアンサンブルを構築したコシュラーの指揮技術は高い。これをヘッドホンでじっと聴くのは最高の楽しみだ。

(補遺、10 June17)

エーリヒ・ラインスドルフ / ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

ラインスドルフがフィラデルフィア管弦楽団を振ったのは1983年だった。音楽よりも彼の両肘を張ったぎくしゃくしたロボットのような指揮姿の方が印象に残っている。LPOとのレコードは「20chマルチ録音を4トラックに収録するフェイズ4ステレオ録音」というふれこみであり、期待して買ったが音としては別に大したことはなかった。それがこれだ。

 

ルドルフ・アルベルト / チェント・ソリ管弦楽団780

この1956年、パリのサレ・ワグラムで行われた録音を聴きなおして、やはりブーレーズCBS盤のコンセプトに非常に近似していることに気づいた。全曲の演奏時間は50秒しか違わない。アルベルトはフランクフルト生まれのドイツ人だがイヴォンヌ・ロリオ、ドメーヌ・ムジークと録音を多くしておりメシアン、ブーレーズのフレンチ・スクールと近かった。チェント・ソリ管はパリ音楽院管あるいはラムルー管のメンバーが主となりパリ・オペラ座等、他の楽団員が加わった臨時編成のオーケストラであり、バレエ・ルッスの本拠地でストラヴィンスキーも交えて直伝の解釈をベースに共有された当曲の楽曲解釈が1956年には既に整えられており、そこから現れたのが上掲のレイボヴィッツ盤であり、集大成としてのブーレーズCBS盤であったと推測する。当曲のフランスの管による色彩は異色で興味深く、演奏のインパクトも強烈だ。アルベルトは古典派、ロマン派と録音を残したがどれも一聴に値する解釈であり、当盤も春の祭典マニアたる者必携であろう。

 

(こちらへどうぞ)

僕が聴いた名演奏家たち(ピエール・ブーレーズ追悼)

ストラヴィンスキー バレエ・カンタータ 「結婚」

「都をどり」とストラヴィンスキー(Kyoto-Sado-Russia)

シェーンベルク 「月に憑かれたピエロ」

クラシック徒然草-舞台のヤバい!は面白い?-(追記あり)

クラシック徒然草-僕が聴いた名演奏家たち-

Categories:______ストラヴィンスキー, ______ブーレーズ, ______音楽と自分, クラシック音楽

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