なぜ交流戦は毎年パリーグが圧勝なのか?
2015 JUN 20 0:00:10 am by 東 賢太郎
神宮でロッテとヤクルトの一戦を見ながら、どうしてパリーグが強いのかを考えました。もちろんその一戦だけの話でなく、今年だけのことでもなく、何十年も前から人気のセ、実力のパといわれ、オールスターや日本シリーズではパが強さを見せつけてきたのです。
昨今、その原因を巡っていろいろな議論がされています。DH制のあるなし、ドラフト戦略、若手育成の姿勢、投打ともに攻撃的なカルチャーの有無などです。しかしどれ一つでもこれだけ長年にわたってセが負け続ける要因としては弱くないでしょうか。例えばMLBでは1973年からDH制をアリーグだけが採用していますが、昨年まで42試合あったオールスターゲームの戦績はアリーグの22勝、ナリーグの19勝、引き分け1つと顕著な差はありません。
ロッテの攻撃を見ていて、相手の弱みがあると一気につけこんで倒してしまう野生の荒々しさを感じました。神宮の試合前のことです。ロッテの守備練習中でした。電光掲示板にヤクルトが2連勝した今年のロッテ戦のビデオが映し出され、活躍したヤクルト選手をたたえ、さあ今日もロッテを倒すぞー!と大声の場内アナウンスが入りました。
そのせいかどうか、サードの今江がバックホームをいつになく思い切り放り、キャッチャーミットがパーンと快音を立てたのです。まるでコノヤローといわんばかり。パリーグの選手も今はセより人気もメジャーの注目度もある人が多いですが、チームのカラーはそう変わるものでもなく昔からの思いを継いでるんじゃないかと思いました。
セリーグの投手は外角の出し入れ主体、かわしの投球にすぐれているように見えます。パはずばずば本気で内角を突いてくる。打者が踏み込んでパワフルに振ってくるからそうしないと打たれるのです。だから「ケンカ」になってる。セリーグは内角は見せ球で勝負は外角、きれいに打ちとる感じです。
セリーグは打者も全力で振り回す人はあまりなくて、形を作ってきれいに打つタイプが多いです。ソフトバンクの柳田や日ハムの中田、西武の中村のような殺気、豪気を感じる若い人がいない。日本人でザ・4番といったら筒香ぐらいしかいないのだからホームランバッターを指名もしてなければ育ててもいませんね。
長距離砲は当たりはずれがあって育てにくいそうです。そういうリスクをとるなら堅実なアベレージヒッターをドラフトで取っておいて、大きいのは外人にまかそうとなる。広島が好例ですが、その外人が怪我したり帰ってしまったりすると得点力は一気にダウンします。昔から強いチームは日本人のエースと4番が盤石でした。数年前までの巨人の強さは阿部という4番がどかっと座っていたからでしょう。
こういうこともあります。
「タニマチからの食事のお誘いや、OB会の接待など、阪神の選手は球場の外でも忙しい」(野村克也氏)ため、ちやほやされる若手は大なり小なり勘違いするそうです。こういう若手は才能があっても大して伸びないでしょう。ハングリーでないわけだから。するとその阪神と競って負けなければいい他チームだって、同じレベルの球団になっていくのです。
つまり、セリーグは巨人、阪神の人気と政治力におんぶに抱っこであぐらをかき、弱くてもスター気取りで食っていける「閉じたスモールワールド」を形成していると思われます。
ではなぜパの選手が野性味たっぷりになるのか?そこには昔から貫徹した不動の理由がなければなりません。さもなくば僕が子供のころからパリーグの圧勝という現象は確率的に起こりえないです。そしてそれこそが「人気のセ、実力のパ」である。これはパリーグには申し訳ないが「人気があるセ、人気がないパ」を、パに実力という花を持たせて言い換えたにすぎません。
つまり、パリーグからすると長年のコンプレックスに対する倍返しで、コノヤローと思って自然に相手を討ちのめしにいってしまう。今でもそういう空気が残ってるんではないでしょうか。こんなにシンプルで明快な理由が他に在りましょうか?
セリーグというのは「人気の巨人・阪神、実力のその他4つ」です。ということはその他4つだってパリーグなみに燃えて巨神を圧倒してしかるべきなのですが、そうはなってません。どうしてか?他の4つも巨神の人気に乗じて食っていける「閉じたスモールワールド」だからではないでしょうか。
人間、何事もモチベーションが大事です。
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Categories:______プロ野球, 野球
中島 龍之
6/20/2015 | 11:52 AM Permalink
交流戦でパリーグが強いことについては、よく議論されますが、昔からのパリーグ・ファンとしては、「人気のセ」に対する対抗心が一番かと思います。長きにわたる怨念(ハングリー精神より恨みに近いでしょう。)が原動力になってます。最近は人気も出てきてるのですがね。
東 賢太郎
6/20/2015 | 6:14 PM Permalink
まったくですね、でも怨念が人を成長させるからプロとしては勝ちですしいずれ人気は逆転すると思います。今年も交流戦はパリーグの大嵐にゆさぶられ、セリーグは木に葉っぱ(勝ち星)が残ってたのは巨人だけという恥ずかしい姿です。ほかは全チーム丸裸になってしまいました。その巨人だって勝率はパリーグだと4位の楽天と同じぐらいです。セリーグの総得点の1位は貧打にあえいでいた広島になってしまいましたがその広島の257点はパリーグだったら5位です。まあこういう風景は昔からのことでありセリーグはそれでも客が入るのだからハングリーにはならないでしょう。東京の野球ファンは日本のトップレベルのパリーグの試合が見られず、2流の試合を混んだ球場で見なくてはなりません。変な話ですね。
中村 順一
6/22/2015 | 2:41 PM Permalink
まったくおっしゃるとおりで、セは全球団、巨人、阪神におんぶしているんですよ。ハングリー精神が出るわけがないのです。反骨精神を中日、広島あたりに期待したいが、全然だめですね。そもそも交流戦についてもセは大反対しているんですよ。訳が分からん。再来年には交流戦廃止という話すらあるのです。12球団の所属リーグの入れ替えをやるべき時に来ている気がする。そもそも巨人中心にすべてが回りすぎ、腹が立ちます。
東 賢太郎
6/22/2015 | 4:28 PM Permalink
八百長相撲が問題になったころ「ガチンコ」という言葉がありました。パリーグはガチンコ相撲でセリーグは読売主催の花相撲です。広島はもうマツダとは切れていて支配者はオーナー家、宣伝部長は中国新聞ですがここは読売に弱い。ナベツネと堤が1リーグ制を言い出し焦った広島は全国区の東京六大学出身監督(山本浩二)たてて読売新聞売上貢献をアピールして急場をしのいだ。巨人の子会社なんですね。選手採用はドラフトで機会均等だから良い新人を採って育てて高く売りぬける経営戦略の株式会社です。唯一たてついてるのは中日新聞だけ、だから巨人の選手はガチンコの中日選手は怖がってるそうです。セリーグが交流戦をいやがるのも同じことでしょう。ぬるま湯にいる選手は退化します。パリーグがメジャーの配給元になっているのはそういうことの結果でしょう。