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投手の難しさ

2013 MAY 2 23:23:46 pm by 東 賢太郎

きのうの阪神・広島戦です。阪神は榎田、カープは久々登板のマエケン。結果はカープが5-0の完封勝ちでした。榎田は2011年にプロ入り、新人でオールスターに選ばれた好投手。しかし僕が注目しているのが彼が2年間で105イニング投げ108三振奪取していることです。イニング数より三振が多いというのはなかなかできることではありません。彼は150km出せるのですが変化球が勝負球で、平均だと138km程度です。コントロールもキレもあり、だから三振が取れるわけです。

きのうはまずマエケンが凄かった。上腕筋のハリでしばらく投げていなかったのにストレートは140の後半。そのコントロールは今一つでしたが、スライダーがキレていて7回を4安打で押さえてしまった。それはいい。面白かったのは、調子は良かった榎田が、おそらくそのマエケンの復調ぶりを見て力が入ったのでしょう、3回に下位の石原にまさかの四球、バントとヒットと続いてまた丸に四球。満塁で広瀬に「置きにいった」外角ストレートを右中間2塁打された場面です。

置きにいくというのは、コントロールに自信がないときに腕を振らずにストライクを取りに行ってしまうことで、球速も伸びもないので往々にして痛打されます。榎田ほどのコントロールの投手がそうなったのは、相手(マエケン)の調子からして味方は点が取れない、だから1点もやってはいけないという心の声が聞こえたからだと思いました。

投手というのは孤独に耐えなくてはいけません。神経質です。唯我独尊です。そういう性格じゃないとできません。ちょっとの異変、不安、疑心暗鬼ですごく手元が狂ったりします。いくら内野がマウンドに集まって励ましてくれても、結局投げるのは自分です。だからどんな言葉も救いになりません。

前日11点とカープ投手陣をメッタ打ちした阪神打線が、マエケンが出ると4安打。打線はよく水物といわれます。しかし、投手の方も実はガラスのハートです。相手投手の方が歩幅が大きくて、投げる時に着地する足型が先の方にあるとそれだけでタマが浮いたりします。マウンドの傾斜も好き嫌いがあります。10勝する投手はそれを乗り越えているでしょうし、15勝以上する投手はもっと何か別なものを持っているのかなと推察します。球が速ければいい投手かというと、そうでもない。そこが野球の面白い所だと思います。

 

Categories:______プロ野球, 野球

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