知らなかったという危険な弁明
2013 JUN 15 23:23:09 pm by 東 賢太郎
「知らなかった」 (コミッショナー) 「知らない事はないでしょう。てか知らない方が問題でしょ。名前まで入れて中身知りませんはなぁ」 (ダルビッシュ)
知らなかった、部下がやったことだ、だから不祥事ではない、だから辞めない。こういう論理だ。トカゲのしっぽ切りと呼ぶ。英語も a lizard’s casting off of its tail というから国際的に行われているが、今やこれが国際的に通用しない世の中になってきている。
「私の仕事は世間に迷惑をかけたら部下の首をすげ替えることなんです」 (弁明) 「あっそう、首切り役人ね。それなら誰でもできるでしょ。キミみたいに給料の高い人でなくても。ご苦労さんでした」 (審判)
こうなる。それならば、「世間の喝采はキミだけのものだ」、そう言われてこの仕事を引き受けたんだ。シロウトの俺に反発係数のことなんかわかるわけないだろう。こういう醜聞シナリオは俺の晩節の筋書きにはなかったんだ。だから不祥事ではない。あってはならないんだ。こう説明すれば、よほどわかりやすいし万人が納得して3割ぐらいが同情までしてくれるかもしれない。じゃあ、そんなシロウトを誰が連れてきたんだという問題が次に出てくるだろうけど。
駐米大使までされた方がこういうことになるのは悲しい。彼はメジャーリーグを知る野球好きかもしれないが、いくら詳しくても「観る者」と「やる者」は公家と武士ぐらい違うということぐらいは知るべきだった。ボールはやる者には命だ。武士の刀が戦の朝になって勝手に入れ替わっていたら怒るに決まっているだろう。この憤慨を利用する法曹が出てくると労使問題、金銭闘争という、およそ「観る者」にとってはどっちらけの問題に転化していく。結局、このツケを払うのはファンになるような気がしてならない。
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中島 龍之
6/17/2013 | 5:26 PM Permalink
ダルビッシュのコメントを見て、アメリカではどう見てるかと思ってしまいます。これだから、日本のやってるのはベースボールではなく、野球と言われるのでしょう。WBCで選手が頑張っても次元の異なるスポーツと言われても何も言えなくなりそうです。