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アベノミクスは成功するか

2013 JUL 10 17:17:54 pm by 東 賢太郎

いよいよ参院選です。アベノミクスが大きな争点ですね。SMCは政治プロパンガンダ禁止ですのでそれをわきまえつつ私見を述べさせていただきます。

アベノミクスの真価は第3の矢にかかっていると言われています。第2までは概ね成功(それでも第1段階ではありますが・・・)というのが世論と考えてよろしいかと思います。この辺の事情は経済の鏡である株式市場に反映されています(僕の5月17日付ブログこれから日本株はどうなるか?をご参照ください)。そこに書きましたが、金融現象としての株高と実際の経済成長に根ざした株高は別物です。デフレ解消は手段であり、やがて経済成長に結びつくのでなければ意味のないインフレをもたらすのみという野党の主張は正しいといえます。

ただ忘れてはいけないのはデフレ経済で政府が何をやっても経済は成長しないことです。他人の資本を借りた「梃(てこ)の原理」で成長する企業というものがなくして資本主義は成り立ちませんし、それをミクロ現象としてトータルにいわばマクロ的に見たものが経済成長と世の中が言っているもののほぼ実体です。もちろん企業が絶対に必要というわけではないですが、それを否定して国家計画経済だけで生き残った国家が世界に幾つあるかご覧になれば、結果論的にではありますが、企業がレバレッジをかけて成長することが国家経済を繁栄させる近道だという間接的な証明はされていると考えていいのではないでしょうか。実質金利が高くて企業がお金を調達しない、借金をした者が苦労するという世の中では資本主義はワークしないのです。

ですからデフレ根絶という大目標を掲げたアベノミクスは合理的理由があります。参議院の存在意義や国家体制や憲法改正の是非を論じる以前に、まずデフレはいけないのです。その手段として金融緩和という策が日銀から提唱されました。これが貨幣の増量を暗示して円安、株高を誘発したのですが、これが政策目標ではないのですから「庶民は恩恵がない」と政策批判する根拠がありません。企業の労働分配率問題にすり替える根拠もありません。デフレ経済では貯蓄こそ王道です。企業はセオリー通り内部留保しているだけであり、分配させるにはデフレを退治するしかないからです。

第3の矢は難しいですね。規制緩和は効くでしょうがTPP、原発再稼働の舵取りをしながらですし。日本国は成長原資(非効率)をたくさん持っている国です。医療、教育、農業など。規制緩和はそれを活かす唯一の道ですがそれをするには既得権益集団との対立が不可避です。官僚はその代表ですが議員定数問題を見るまでもなく政治家も集団の一部です。だから彼らに本格的な規制緩和は期待できないでしょう。現在の規制環境の下で成長することはもちろん可能ですが、それを推進する主体である企業セクターにおいても社内既得権益闘争があり、株主利益など一顧だにせぬ社長解任劇が演じられたりしています。株主総会でなら健全なのですが。

今回の選挙はそういう考慮とは関係なく、大方の予想通りの結果になるのではないでしょうか。ねじれ国会がそんなにいけないなら憲法改正と一緒に参議院は潰した方がいいのですが、そういう本質的な議論は一切なく。アベノミクスの最大の価値はデフレ対策である以上、少なくともそれだけは完遂してもらいたい。そこから先は企業経営者に頑張っていただきたい。今申し上げられるのはそこまでです。

Categories:______国内経済, ______株式市場展望, SMCについて, 政治に思うこと

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