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秘書への御礼

2015 MAR 3 23:23:14 pm by 東 賢太郎

最近、懐かしい顔が何人か会社にたずねてきてくれて、聞いてみると昔の会社の同僚や部下がずいぶんブログを読んでくれていることがわかりました。どうして?ときいたら名前でググると履歴なんかがまだのっていて、そこからたぐれるようですね。

皆さんそれぞれ思い出深く、エピソードが山ほどありますがプライバシーだからこういう所に書くわけにはいかないのが残念です。

こっちはというと上場企業は有価証券報告書が出て役員のプライバシーなんかないのは仕方ないのですが、それはその時点での話であってむしろ消してもらいたいですね。今は違う人間なので過去は引きずりたくない。ネットは功罪があります。

ただ、つごう3つの大企業に勤めさせていただきましたが、そこでできた多くの知己には頑張ってもらいたいという気持ちが強いです。さらに、これは中でもごく大事なことなのですが、もし元秘書の方が読んでくださっていたらと思いこれを書くことにしました。

全部むなしい言い訳になりますが、飽きるとおもちゃはそのまま出しっぱなしという癖があり、毎回こっぴどく叱られてもついに治らずここまできてしまいました。「競馬の馬といっしょ。走り出すと他が目に入らない」と親にいわれたままでした。

社会人になって自分でそれをコントロールしなくてはならなくなって「片づけ癖」をつけようと一生懸命やったのですが独身寮の部屋すらままならず、片づけうんぬん以前に忘れ癖があって、出社してみたら髭を剃ってないネクタイやベルトをしてないが日常茶飯事でした。

これはいま思うと習性というか病気で、昔から傘は年に5-6本は忘れてくる、他人のコートを着て帰ってくる、高校時代は開校記念日を忘れて登校して校門で気がついたことがあるし、野球部の練習ネットを立てる2mの鉄柱を小田急線の車内に忘れてきて、学生運動と間違えられて大騒ぎになったこともあります。

入社して半年ぐらいして親父が心配になったんでしょう、独身寮に電話してきて、仕事は順調かじゃなくて、ひとことだけ「ちゃんとネクタイしめていってるか?」です。そういう人間が宮仕えしていることが変だし、慣れない片づけに精を出しても馬の起爆力もなくなってしまうんだと開き直って、更生の道は放棄してしまいました。

結局、海外を転勤したり会社を移ったりして今日に至るまで秘書に助けていただきました。さっき数えてみたら外人2人を含む14人がおられて、皆さん大変に優秀な方々だったことは人生最大の福音でした。こういうだらしない人間が会社生活をのりきれたのは彼女たちのおかげであるといって全く過言ではありません。

特に殺人的に忙しかったのはチューリヒと東京です。ランチ、ディナー、宴会、二次会で10件ぐらいのアポという日もざらにありました。本人不在の中でアポ依頼の電話がどんどん秘書にかかってきますが、全部うけたら体が参ってしまいます。そうでなくてもスイス時代の発行体テークケアで急増した体重と腹は今も変わってません。

だから重要度によって断るものは断り、外出・出張は行程をやりくりし、体調を見て会食やゴルフをとすべて仕切っていたのは秘書です。仕事内容、社内の力関係、義理や貸し借りをつかんでいないとできません。夕方会社に戻って「こうなりました」と見せられて初めて明日のスケジュールを知るということもしばしばでした。

秘書というと日本的にはお茶だしの女性みたいなイメージがありますがとんでもない。マネジメントチームの一員であり、経営に関する情報にどうしてもふれてしまいますから最もしっかりした忠誠心の高い人でなければ勤まりません。会社によっては社長秘書に男性社員を充てますが、エリートコースです。

秘書の適性は営業や企画や総務のそれとは全く違うように思います。そういう仕事のトップは、その仕事なりに優秀であれば誰でも勤まります。ボーナスが安いとか仕事が合わないとかですぐやめてしまうような人でも。しかしそういう人は秘書は絶対に無理です。

米国でsecretaryというと大臣や次官をも意味するのは、知識や経験も大事だがシークレットを共有するだけ信頼できるか裏切らないかのほうが百倍も大事ということだと僕は思っています。それは努力ではなかなか難しく、人柄というか、せんじ詰めれば性格ということに行きつきます。

付いていただいた14人の皆さんには例外なく大変なご面倒をおかけしてお世話になったのですが、ボスがあまりにいい加減だといって退社された方はなく、逆に異動の時に張り合いがありましたと送り出していただいたこともありました。

昔の同僚と話していて、なぜか当時のオフィスの光景と一緒にまっさきに思い出すのは秘書の皆さんです。いつか何かでお会いして罪滅ぼしのお礼でもしたいものです。本当にありがとうございました。

 

 

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