Sonar Members Club No.1

since September 2012

「クラシック徒然草」カテゴリーの創設について

2015 MAR 9 23:23:15 pm by 東 賢太郎

SMCをスタートしてちょうど2年半になりました。僕のブログ投稿数は926で総訪問件数が約28万8千なので、いちブログ当たり310件のアクセスをいただいています。929のうち320(35%)がクラシック音楽  のカテゴリーです。残りの65%は徒然に (28%)、野球 (14%)、若者に教えたいこと (12%)、 自分について (10%)、経済 (7%)などとなっており、徐々に本業の「経済」をご認知いただきバランスは良くなってきました。

クラシック音楽  の約半分は「作品タイトルのブログ」で、Google、Yahooで「作品名だけ」から検索できます。「プロコフィエフ交響曲第3番」のようなレアな作品で1位にあるのはわかりますが、「ベートーベン ピアノソナタ第18番」や「モーツァルトピアノ協奏曲第20番」や「同25番」という天下のど真ん中の名曲で検索して1頁目にあるというのは大変に光栄なことです。タイトルで書くのは勇気がいりますし、疲れますが・・・。

その点、「ベートーベン交響曲第X番の名演」シリーズはタイトルブログではないので気楽です。ですが、第2、4番以外は1-2頁にあり、特に第8番がトップ、第9番がトップ頁にあるのはうれしいことで、ネタ元のベートーベン様とお読みいただいた皆様に心より感謝申し上げます。しかしこのシリーズはたまたまの企画であって、ベートーベンの9曲のタイトルブログはまだ1曲も書いていないということです。書くにはまだ力不足、曲の理解不足なのです。

僕はCDのおすすめを書くのはあまり気が進みません。誰かのおすすめ盤を買ってみて良かった記憶があまりないからです。だから手当たり次第に自分で聴くしかなく、LP、CDの倉庫部屋が必要になってしまいました。あいかわらず大量に買って聴いてますからもう1万枚は超えているでしょう。そうして一枚一枚、聴いた印象をこまめに日記に書いて記憶に焼きつけてきた結果として今があるということは確かです。

とはいえ相手の趣味を知ることなく不特定多数に向けてお気に召すCDをお薦めするのはそもそも無理です。高いワインなんだからおいしくて当たり前でしょと押し売りしたり権威主義を振りかざすのはいやなので、自分の趣味と個性をカミングアウトして、それを参考にご自分の趣味を作っていいただきたいと願っています。それこそ耳の肥えた聴き手になる王道ではないかと信じているからです。

僕はブラームスの4番を気になる指揮者の演奏は全部聴いてます。94年にカルロス・クライバーを聴きにベルリンに飛んだのは彼ではなく彼の4番を聴きに行ったのです。第1楽章は自分の手でピアノで弾いてもみたしシンセで自分バージョンまでMIDI録音しましたがそれでもどういう音楽かまだよくわからない。だから4番の録音は111枚持っていますが僕はコレクターでも何でもなく、期待外れが続いた残骸が貯まっているだけです。全部捨ててもいいのです。

まず、この状態で4番のタイトルブログを書こうという蛮勇はなく、書かないで人生が終わるかもしれないのはベートーベンの9曲も同じです。ブラームスの1番はタイトルで書いてしまいましたが今読むと軽卒で、これは書きなおさなくてはなりません。シューマンの3番を楽章ごとに書きましたが、あのぐらいのdensityで書かなければ「作品タイトル」でブログを書くのは不遜だし、作曲家への不敬罪になるでしょう。

畢竟、作品を深く理解していない人のおすすめは読書感想文だと僕自身が思いますからあんまり書きたくないのです。そういうものをお読みになる時間があるならyoutubeで片っ端からいろんな人の演奏を自分の耳で制覇していった方がコストもかからないし、今後の人生の愉しみが増すでしょう。好きな寿司屋があればそれがミシュランで星があろうがどうだろうが気にはならないでしょう。

そして、そういう聴き方を志される方は音楽そのものの方をよく知っていたほうがいいのです。これはロマン性の高い解釈だのカラヤン風のスマートな演奏だなどのという類の文学的な修辞は、そう思えるようになったところで客観性のないふわふわした評価にすぎません。カラヤン風ではない演奏を聴いたときにどうなのかという判断はつきません。それより4番のどこが聴きどころかを知っていた方がいい。ご自分のお好きなところでいいです。そういう定点観測ができるようになって初めて自分で吟味ができます。

タイトルブログは自分史なので「聴きどころ」をお示ししようという配慮はしていません。ただ僕も単なる趣味人であって専門家しかわからない作曲の奥義に感動するわけではありません。あくまで耳で聴いて面白いものを書いていますからたぶん子供でも聴けばわかります。文学的修辞、衒学的まやかし、文科省ご推薦的色彩を一切排した「実証主義的」なものになっているのは、僕自身が仕事や受験勉強でそれ以外は世の中であんまり役に立たないことを経験しているからです。

ということで、タイトルブログは僕のライフワークです。これが全部Google、Yahooの上位に来たら満足だし、作品は1000年でも確実に残るのだから僕のも永く読んでいただけるだろうとコバンザメを狙っています。ただ良い物を書くには充分な楽譜への理解と、曲への深い愛情の再確認と、そうしたいという心の熟する時間が必要です。みっともないコバンザメはしたくないというささやかなこだわりです。

ベートーベン交響曲シリーズの予想外の人気を見て、世の中には利害関係ぬきの客観的コメントやセカンドオピニオンへのニーズがあるように感じました。1万枚聴いての聴後感を日記からいくらでも転写可能ですが、あまり社会的意義があるとも思わないので書くなら特に良い物と悪い物ぐらいでしょうか。やがて認知症になってみんな忘れてしまったら生きた甲斐もないので面白いと思ったものを書くことにします。

それも含めて、「タイトルブログ以外」は「クラシック徒然草」というカテゴリーで書くことに決めました。その方が皆さんにバックナンバーを検索していただきやすくなるからです。「演奏会の感想」「僕が聴いた名演奏家たち」のように別なカテゴリーとして括っていないものは全部そこに入れます。現在のバックナンバーで、自分ではとても愛着のあるブログがあんまり読まれていないという残念なケースがあり、これで多くの皆さんの目に触れれば幸いです。

残すために書いているのですべてのバックナンバーを適時書き換えたり、書き加えたり、アップデートしたりしています。「改訂済み」とはいちいち書きませんが、ご参考のCDも後で聴いていいと思ったものは追加していくつもりです。

 

 

______クラシック徒然草 (79)

Yahoo、Googleからお入りの皆様。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

Categories:______クラシック徒然草, SMCについて, クラシック音楽

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

ライフLife Documentary_banner
加地卓
金巻芳俊