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コリジョン・ルールは野球を滅ぼす

2016 JUN 16 2:02:17 am by 東 賢太郎

先日の広島・西武戦のこと。本塁に突入した菊池がアウトという判定だったが、ビデオ判定によるコリジョン適用によってセーフ、広島のサヨナラ勝ちという信じがたい場面があった。

この阪神・巨人戦もそう。

どっちも「捕手があらかじめ走路をふさいだら適用」ってことが明々白々であり、そんなら最初っからセーフにしろよだ。しかし主審はアウトのコールしてるし金本は怒ってるから監督にもそういう了解はないらしい。

あっ緒方さん怒ってる、やばいやばいそういえばそんなのあったよなという感じで主審は緒方をいなし、緒方は察してすぐ引き下がる。審判団は雁首そろえて西武ベンチに仁義を切りに行く。ごめん、怒んないでねだ。この時点でもうセーフは見えている。長々とビデオ判定があって(そんなの見なくても一目瞭然だ)、ごめん、やっぱりセーフでした、さようならだ。

審判団が西武ベンチへいった時点で観衆は「何があったんだ?」と、関心は一気にそっちへ行ってしまう。球場は静まり返り、ついさっきのホームベース上のきわどいタッチプレーの興奮などふっとんでしまう。

ゲーム中でも思いっきりしらけるが、それで勝敗が決まる、しかも最も劇的な「サヨナラ」という幕切れシーンでそれが起きてしまった悲劇的な事件ということで、あの広島・西武戦は永遠に記憶されるだろう。

審判も監督も選手も解説者も、よくわかってない。

送球がそれて捕手の足がラインを超えたらどうなんの?走路はふさいでるが股の間があいてれば危険なブロックじゃないからいい?僕もまったくわからない。

審判は「条件反射」でアウトをコールしてしまう。それはプロの鍛錬のたまもので決して批判できることでもない。捕手がどっからどう見ても素晴らしいタッチプレーを眼前でやっている。それを「お前知らないの?それ違反なんだよ」と切符を切る、そんなことできないというものかもしれない。

つまりコリジョンは野球の大事なワザとして選手も審判もプロフェッショナル達が鍛え上げ、見せ場とし、それを目の当たりにする観衆も大興奮するホームベース上のタッチプレーという「華」を摘んでしまう。ルール変わりました程度で変わり切れない野球の神髄、体に染みついている大事なものを殺してしまう。

挙句の果てにコリジョンじゃないプレーまで監督はビデオ判定を要求するのが当たり前、というかダメっぽいのも要求しないと怠慢みたいになってきた。実にばからしい。

その間、わけのわからんブレークで白けさせられた上に我々観客は長々と待たされる。上のビデオみたいに、ルール上は明らかにセーフという「誤診」までポーズだけのビデオ判定で待たされる。客はまだいい、投手は肩が冷えるしセーフに覆れば怒り倍増だ。試合をぶち壊してしまいかねない。

特にかわいそうなのは捕手で、世が世ならみんなフィンプレーで、これをやるために少年野球から営々とブロックの技を磨いてきている。ところがそれに警告なんかが出てしまう。人生の全否定みたいなもんだ、なんてこった。

アメリカで決まったわけであっちがどう運用してるのか知らないが、まったくどっちらけであり野球の醍醐味を削いでしまう愚策としか言いようがない。こんなバカなことをやっていたら野球は下火になりかねない。

 
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Categories:______プロ野球

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