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菅野の神投球に感動(東京ドーム)

2018 APR 29 1:01:04 am by 東 賢太郎

東京ドームのシーズンシートを買ったので今年は巨人戦ばかり見ることになるが、接待・福利厚生用だからゲームはなんでもよかった。ちなみに僕はアンチ巨人という巨人ファンですらない。しかしGW9連戦の初戦、先発・菅野のピッチングを目のあたりにして、これはラッキーだったと思うようになった。

僕にとって野球観戦とは投手を見ることである。好投手が投げないなら興味ないしあんな雑踏と騒音に紛れるなどめんどうくさいだけだ。しかも多少食指の延びるカープ戦は神宮、横浜がカープ女子などというものの出現で当日券が買えなくなってしまった。迷惑な限りである。ところが、今年のカープにはどうしても見たい投手は一人もいない。世の中は難しいものだ。そこに実に刺激的な菅野くんが立ちはだかってくれた。いよ、日本一!救世主だ。

菅野は無四球で2安打完封。三振は5つであったがヒットは一二塁間(2回・雄平)と三遊間(8回・坂口)で2本とも詰まったゴロであり、外野フライは中飛が3つだけで内2本はふらふらの打球。ちゃんと外野に飛んだ、つまり、ちゃんとバットに当たったのは27アウトのうち4回のバレンティンの1本だけで、3人がバットをへし折られた。

家でyoutubeで確認したが、あのストレートの球威はビデオではわからない。過去に観たうちでも最上位に入るし、青木と山田の空振り三振の仕方が尋常ではなく、ヤクルト打線はあれを打席で見れば打てる気がしなかったろう。まともなスイングすらさせてもらえなかった。160キロ出たり切れの良さでバットをかわすようなボールであれば、出あい頭で当たればホームランがあるが、今日の菅野は球が鉛のように重く、伸びはというと捕手がとらなければそのまま地を這ってバックネットに突き刺さるありえないイメージであり、スタンドにいても芯で打って外野に飛ばない感じがした。完全試合でもぜんぜんおかしくなかった。

投手は味方の攻撃中にベンチ前で捕手とキャッチボールする。肩を冷やさないための手投げの低速のアイドリング投球だがいいピッチャーはその球が「いく」。「いく」「いってる」と野球人が表現するのは軽く投げても生きた球がミットに向けて糸を引いたようにぐ~んと伸びてる、なんとも言えず気持ちのいい感じで、ああ野球をやっててよかった、幸せだ、と快感物質で頭が満ちる瞬間である。捕手は試合中で頭がテンパってる投手を少しでも乗せて気持ち良くしようとわざとパーンと音をさせて捕ってくれる。これは忖度(そんたく)だ。

菅野のベンチ前の球がこれまたいいのだ。こっちまで快感物質で満ちる。思い出したのは2001年にヤンキースタジアムで目撃したロジャー・クレメンスの剛球だ。新人だったイチローがミートしたと思ったらふらふらのセカンドフライだった。打っても外野に届かない重い球というのは手も足も出ないから三振もいらない。三振はけっこう疲れるのだ。

菅野は腕力とスナップが強そうで、球離れが早めの比較的立ち投げである。球持ちがいいのが理想というがそれは4シーム礼賛の日本流で、メジャーにそれがあるとは思えない。体格が良ければ立ち投げで球は「いき」、打たれず、そのほうが疲れないからいいに決まってる。それができるのはNPBでは菅野とロッテの涌井ぐらい。見ていたら涌井は90メートルほどの遠投を手だけで伸びる球で届いており、菅野は見てないが間違いなくそうだろう(注)。だから悲壮感が出るほど一所懸命投げなくていい。ベンツとカローラの違い。投手の理想形である。

(注)後日、5月18日のDeNA戦の試合前、ライトのポール前あたりから巨人ベンチ前の捕手に向けてほぼ手投げでいい球が届いているのを確認した。

 

凄い投球を見てしまった。感動。菅野に延々とスタンディングオベーションである。おそらくヤクルトのベンチですらそうだろう、野球人なのだから。こういうのを前にすると巨人だろうが広島だろうが関係ない、ピュアな気持ちになって合掌(ありがとう)、自分は野球というスポーツのファンなのだと再確認する。タオルをぐるぐる回してる巨人ファンの99%には多分わからないだろうが、今日の3万人は凄いものを目撃したのだ。

野球を発明してくれたアメリカ人に感謝するしかない。以上縷々説明したようなことを街角を行くオバちゃんでも当たり前のようにわかってくれるのはアメリカだ。日本はラッパや太鼓がうるさくてベンチ前のパーンなんか聞こえない。菅野もきっと早くメジャーに行きたいだろうし、確実に大谷並みに活躍できるし、ぜひ行ってほしい。それまで何回東京ドームでみられるかな。

 

PS

ヤクルト先発・ブキャナンにひとこと。初めて見たがいいピッチャーだ。菅野と比べると球威がやや劣るが、菅野が凄すぎたのであって、それでも150キロは出るし、なにより小さく変化して低めのコントロールも良い。7回2失点で負け投手は本当に気の毒だ。ソフトバンクか広島なら軽く12,3勝は行く感じである。クローザーのカラシティも出てきたが、今日を見る限り落ちる。速きゃいいってもんじゃない。ブキャナンのほうが2枚ぐらい格が上。

 

 

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Categories:______プロ野球

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