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2007年、佐賀北が勝った甲子園

2020 MAY 3 13:13:33 pm by 東 賢太郎

ロッテのサブローさんから体調を心配してメールをいただいた。今は楽天イーグルスだから仙台に缶詰め状態とのこと。「絶対に感染しないように気をつけてください!」。プロ野球界ってのはこうなんだな、なんともありがたい。

彼も1994年、PL学園の1番センターでセンバツに出てベスト4になっている。1学年上に松井稼頭央、1学年下に福留孝介がいた。

今年のセンバツの選手たち、本当に気の毒だ。夏はせめて無観客でやらせてあげられないだろうか。そして秋に春の出場校でもう一回なんてどうだろう。プロを無観客でやるなら考えてあげてほしいが・・無理なのかな。

2007年の夏の佐賀北と広陵の決勝戦をBSでやっていた。8回に逆転満塁ホームランで佐賀北が勝った試合だ。広陵はバッテリーがカープの野村と巨人の小林、ショートはカープの上本、サードも元カープの土生、控え投手にカープの中田廉がいた。対する佐賀北は大会前はノーマークの県立高校であった。

当時多忙であったとみえこの試合は見ていない。色々発見して面白い。打順は7番野村、8番小林だ。野村はこの大会20打数10安打でこの試合も左中間2塁打で2打点、PLの4番だったマエケンを思わせる打撃センスもある。

野村の球速は135だが質が良く、切れ抜群の変化球が4種類あり7回まで1安打10奪三振ですいすい、打たれる気配まるでなしだ。前日完投しててこれか、すばらしいピッチャーだ。なんでこれで打たれたの?そういう目線で見る魔の8回、スコアは4-0である。

まず三振(4者連続だったかな)。次ぎ、微妙に高めに抜ける感じあり。満を持した快心かつ細心の外角低め直球をボールと判定される。ここで野村、小林のがっくりが顔に出る。これだったのか・・・

13年も前のビデオだけど、結果も知っているのだけど、手に汗握る。こんなシーンは日常にそうはない。野村も小林も、その後プロで数々の活躍を見せてくれているが、やっぱりあの満塁ホームランはずっしり残る。

悔しいシーンをこうやって末代も見られてしまうけど、あのまま野村が完封してたらここまで人々の記憶に残ったろうか?公立校をプロ予備軍が潰して悪役として記憶されたんじゃないか?

佐賀北の選手はどうなったんだろう?

調べてみると打った副島は佐賀で指導者になっている。あの場面で打った、それだけでも球史に残る打者と思う。野村に投げ勝った優勝投手の久保は筑波大に進んだが、明大に進んだ野村を「すごい投手。僕とは全然レベルが違う。プロなんて実力的に考えていない」と言ったそうだ。その後やはり指導者になった。

http://「3人が甲子園に集まることはない」あの夏の佐賀北OBが語った …

プロに行く人はいなくても頂点に立った、これを見ると高校野球は技術論だけで語れない、選手、指導者の方々の入魂の、一個の完成した世界であることが見えてくる。

ひょっとして今年もこういうドラマがあったかと思うと、つくづくコロナが憎い。

 

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