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今年最後の野球観戦(やっぱりプロは凄い)

2023 SEP 15 9:09:24 am by 東 賢太郎

神宮球場の一塁側スタンドにいた。カープがヤクルトに先に負けると、甲子園の巨人・阪神の結果を待たずしてマジック1である阪神の優勝が決まる。そろそろかなと思っていたら「甲子園終わったね」と後ろの席で女性の声が聞こえた。こっちはまだ7回ぐらいだった。

神宮は久しぶりだ。表参道駅に球場用のエスカレーターができており、いつも寄っていた立ち食い蕎麦屋が消えていた。東京が再開発だらけなのか、こっちがコロナで出なかったせいなのか、日本橋、渋谷、自由が丘で昔なじみの光景が気がついたら消えており、上海料理屋では池袋西口もそうなると聞いた。神宮球場もあの五輪で危なかったがどうなるんだろう。ここはスタンドの蕎麦ひとつだって思い出が詰まっている。東京の歴史も野球もわかってない田舎政治家の一声で消えるなんてことは勘弁してほしい。

このカード、第1戦も来たが2-1で負け。第2戦は静岡に出張だったが、第3戦はカープの神宮最終戦なのでまた来たのが昨日だ。とにかく今期の阪神は強かった。先日、甲子園の直接対決をスィープされて優勝の望みは絶たれたから勝敗はもういい。仕事が一段落したし、最後の意地を見ようというところだった。

広島は第2戦も完敗して大失速の連敗中、しかもぜんぶ1得点以下という情けない記録が更新中でもあった。この日も先発・高橋奎二を打ちあぐみ7回まで5-2と敗色濃厚、僕も完全にあきらめていた。それをひっくり返したのが8回。小園(本当にこの選手はモノが違う、カープの宝)そして堂林がお膳立てした満塁に代打・磯村のセンター前で勝ち越した。左腕高橋に対して右打者を先発で使い果たし、相手は救援の左腕・山本。彼しかいなかった。第3の捕手であまり出番がないがここ一番で打てる勝負強さは折り紙つきだ。彼は2010年春の甲子園で優勝した中京大中京の正捕手で5番打者。準々決勝、準決勝の土壇場でホームランを打っており、先発投手で4番が堂林だった。第3戦はこの2人の打棒で逆転勝ちしたと言っていい。しかしそんな人が第3の捕手ってのもねえ、プロのレベルは僕らごときには想像もつかない。

やっぱり球場はいい。画面ではわからない。第1戦は三塁側ベンチ上第16列で、打者目線で観られたのがとても大きい。サイスニードはテレビ画面では大したことないと思っていたが、150km台の速球が石みたいに重い。中村のミットの音が凄まじい。外野フライがやっと。あれをベンチから見ていたら怖気づくだろうなというパワフルな球で好調だと打てる人間は日本ではなかなかいないだろう。坂倉が本塁打を打ったが家でTVを観たらスライダーだ。カープは完全に力で封じられた。ヒューストン・アストロズが出したのはきっとコントロールだろう。カープ新人益田の150km台も惚れた。いいの採ったねえ、これはエース候補だ。大道は更に一段と速くて凄みがある。高め、あれは前に飛ばないな。カープ田村がプロ入り初安打。いいものを見た。センターから山田に返球、山田はちょっと考えカープベンチにふんわり投げる。わかってるんだ、業界人としての思いやり。

プロのピッチャーの速球を久々に見て感動した。みんな速いけどサイスニード、益田、大道は図抜けて球威があり、目と耳に焼き付いた。ホンモノ。これだ。俺もプロとしてこういう仕事をしなくっちゃ。身が引き締まった。

第3戦は4番に座った堂林の第1打席のホームラン。左翼中段にやや低めの弾道、物凄い当たりであれは高校野球ではあり得ないプロのあかし。あとでTVで確認したが速球だ、素晴らしい。堂林はホームランバッターになっている。山田のホームランも焼き付いた。体の回転で引っぱった技ありの一発。そして村上が2者連続で右翼にライナーで突き刺す。後ろの席の女性たちのキャー(歓喜の叫び)で耳がつんざかれ、傘の上げ下げの大嵐に襲われる(ここはヤクルト側)。第1戦も流してレフトに入れたがこれは高い弾道。今年はWBCでおかしくなったが、やっぱり只者じゃないね。この回はヤクルト圧勝の形勢であり周囲は絶叫の嵐。傘を振ってないのは僕だけであり居づらかったがヤクルトファンは東京の人だ、寛容なものである。新人の河野が5回を2三振で抑えた。彼も150km出て村上から三振を取った、楽しみである。田村もセンターにあわやホームランの2ベースを放った。 愛工大名電高、いいのが出てきたぞ、将来クリーンナップは間違いない。逆転した8,9回は島内、栗林が3人づつで締めた。どっちも生で見たのは初めて。島内の速球はぜんぶ150km越えである。この日の席は29列目で比べられないが第1戦の3人並の剛球またはそれ以上の物凄いストレートと思われる。疲れた頃は打たれたがこの日の調子なら真ん中でも打たれないよ。栗林は手の円弧が大きいオーバースローと見えた。150越の剛球に140台、130台の変化球(なんだかは横からはわからない)とたまに120台(これはカーブ)。速いし緩急もありで打てるわけないレベル。これもテレビじゃわからない。青木、塩見、オスナをあっさり抑えて試合終了。感動あるのみ。ヤクルトが9回に投げさせた坂口も154km、いい速球で2三振。ナイスピッチ。

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Categories:______広島カープ

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