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カテゴリー: ______プロ野球

今年のプロ野球、選手にも球団にもNPBにも深謝

2020 NOV 7 12:12:43 pm by 東 賢太郎

今年は開催すらどうなるかと思ったプロ野球。いよいよ大詰めですが、客も満足に入らないのによくぞここまでやってくれました。選手にも球団にもNPBにも深謝です。贔屓の勝ち負けもありますが、僕にとってはプロの野球を観られる喜びだけでも代えがたく、たくさん力をもらいました。

昨日は西武と楽天の試合です。まず岸投手のストレート。あれは誰だったかな、顔の高さを空振りさせたあの直球、一見美しいけれど、完全に崩れて無残に振らされた打者の姿ですさまじい威力があったとわかるあれを投げられる人がこの世に何人いるか。変な話ですが、150キロも出てないからこそいいんです。出てたらつまらない、僕は全然興味ない。これは美学の問題です。ぞくぞくします。その直球で押しまくって5回で9奪三振、CSがかかって気合十分の西武打線をねじ伏せてしまう(同じ立場にあるロッテも手も足も出なかった)。いなせで格好いいですねえ。

これはなかなか伝えにくいのですが、まあ眠狂四郎の円月殺法というところでしょう。チャンバラは勝てばいいじゃ面白くない。同じ1対1の勝負でも西部劇ならズドンでおしまいでしょ、あれアメリカですね、わかりやすいですね、でも日本人は円月なんてどうでもいいお作法を求めて感動する。美しく勝たないとだめなんでね。野球で円月殺法的に完全に自分のペースで「美しく」の余地があるのはピッチャーだけです。他はぜんぶ受動の瞬間芸で無理なんで、あえて野手がやったのは長嶋茂雄の送球の腕の見せ方だけですね、美しいというより珍しいから彼のトレードマークになりましたが。

美しく勝たないとなんてのはメジャーにない。岸みたいな投手はいないんです。なぜならいても馬鹿力で打たれるから不経済です。よってみんな100マイル出すか球を動かしたほうがいいとなる。従って、岸のような投手は打者との力関係であれが通用するぎりぎりの狭いゾーンにだけ生存します、つまり、あれで飯が食える「ハビタブルゾーン」はNPBにだけ存在します。これが僕の結論。だから、メジャーの方がレベルが高いのはわかってますが、そういう投手がいないのだからNPBしか見ないのです。ところが昨今はNPBでも賞味の対象が米国化していて、アマでも150キロ出たのフォークがお化けだと技とスペックを競う世界に変容。まるで体操かフィギュアスケートだ。僕はストレートが美しくないとピッチャーじゃないと思ってるんで難しい時代になってきました。

次に、引退試合となった楽天の渡辺直人。この人、どのプレーというのはないですが名前が強烈に焼きついてます。なぜかって、いい所で打つわ守備はうまいわ足は速いわクレバーだわで嫌だなあということで。野球がうまい人ってのはいるんです。プロだからもちろんうまいわけですが、彼は三拍子そろって全面的に格別にうまい。そういうものは記録には現れないし見た目にも地味なんですが、性格的なものも含めてショートにいるだけで安心だろうなという感じ。見送るナインの表情に現れてました。尊敬の念しかございません。CSがかかってる西武は手加減なしでそれで4打数2安打。今季初安打だったレフト線2塁打、あの見事な振りはなんだ!カープに来てやってくれとお願いしたい。

そして中日の吉見投手も引退試合。そうか・・とにかくカープは彼にやられましたね、谷繁とつるんで。とにかく嫌なところを絶妙に突かれてタナキクマルが手玉に取られてましたっけ。横で見ていてそう速さはないが打席で何もさせてもらえない投手。吉見はそれの全国最高峰、偏差値80の人という感じでしょうか。プロのように同じ人と何度も対戦という世界は想像がつきませんが、こういう投手にひねられて味をしめられると何度やってもヘビとカエルでやられる気がします。それを打って飯を食うって、投げる方も打つ方も実に凄い事であります。生まれつきの才能としか見えないコントロールとクレバーさで頂上レベルというと、僕の中では桑田と吉見ですね。

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安田、ひるんだら負けやぞ

2020 OCT 5 18:18:50 pm by 東 賢太郎

今年は野球観戦はもっぱらテレビですが、1度だけ東京ドームに行きました。阪神戦です。巨人は田口で、遠投を見ていて今日はいいなと予感しました。案の定、138キロぐらいの直球でぐいぐい差し込んで楽勝の完封かなという展開に。7回1失点で替わりましたが、唯一の先頭打者ヒットを打たれていた近本を見逃し三振に取った外角低め、これも138なんですが、観衆5千人のドームに響き渡ったミットの音は雷鳴の如き凄まじさで、プロの球はあんな音がするのかと絶句したのです。遠投はリアルに実感できますが、あの音は人生このかた聞いたことがない。グラウンドにいたら怯(ひる)んで凍ったでしょう。田口を速球投手という人はいません。138は素人でも出るし、後ろを守ってる野手の方がひょっとして速いでしょう。でも彼らが投げれば打たれます。ピッチャーしか投げられないストレートというものがあるのです。

ロッテに移籍した澤村がいい投球をしています。以前に東京ドームで何度か観た彼は150は軽く出ていましたが、一生忘れない田口の138に比べたら全然印象がありません。それが今は様変わりで鬼気迫るものがある。157出る上に、フォークかスプリットか、とにかく変化球が150(!)。あんなものを打てる人間がこの世にいるかと思っていたら、先日テレビで日ハムの渡邊との対戦があって、これが凄かった。全球150超え、全球ファール。フォークも当てる。渡邊は澤村に微塵も怯んでない。ファールが5、6球続いて、明らかに、澤村が追い込まれてる。そういうのはピッチャーの端くれだからわかります。結局、渾身の157を完璧な当たりで三遊間を割られました。ハブにマングース。記憶に残る稀代の名勝負でした。日ハムファンが「直球破壊王子」と書いた紙を振ってるではないか。なるほど、そうなのか。東海大甲府か。一皮むけたらどうしようもない打者になるなあ。でもあそこで120のカーブで三振だったな。澤村はないんだなあ。

ロッテは福田の復帰が大きいように思います。彼は182㎝ですが細身だからか打席でデカく見えます。インコースは引きつけて真芯に乗せて軽く右翼中段まで運ぶ懐が深いスイングで、ホークスにいた時に嫌だなあと思ってました。先日の10月2日、3-2で負けた日ハム戦のことです。21才の若さで4番を任されている安田が、二死満塁で宮西の真ん中低め直球を見逃し三振してゲームセットになった。「この馬鹿、振れよ」と怒鳴って僕もテレビを消したあれ、全ロッテファンがっかりのシーンだったのです。それが祟(たた)ったか翌日も西武のニールに抑え込まれ0-0で延長になだれ込み、10回に澤村がメヒアに一発打たれてロッテは1-0の完封負け。最悪のムードになりました。これはいかん、ホークスはしぶとく負けないしずるずる後退かと思ったのです。

しかし、この試合、一縷の望みがあって、わずか2安打だったロッテの9回、安田がクローザーの増田からセンターフェンス直撃、あわやサヨナラ本塁打という2ベースを打った。彼はこの試合、4の1で三振もありましたが、ぜんぶ振ってました。そしてその翌日の西武第2戦、劇的なことがおきます。安田は3回の二死満塁でまた凡退します。そのまま3-0の嫌なムードで負けていた6回、まず、福田がスリーランで同点。そして、7回。二死一二塁と再度の好機にまた安田。すると福田が近づいてきて二言三言。あとで報道で「怯(ひる)んだら負けやぞ」と檄を飛ばしたと知りました。そして、その安田がスリーランで逆転。漫画でも出来すぎのストーリーで逆転勝ちをおさめるのです。第3戦でも2ベースを打ってお立ち台の安田は、あの日ハム戦の見逃し三振でビビッて考えこんでたら打てなかったろうと思います。失敗はめげずに吹っ切ってやれば、若者は必ず成長できます。

先週たまたま野村の副社長だった大先輩が来社され、ひょんなことからあんまり思い出したくない若気の至りの昔話になりました。海外のディールで僕は本社の課長として国内の営業体に300億円の株の販売予約をさせました。これは営業への僕の信用でやったことです。ところが、あらんことか急にその株の引受がロンドンでキャンセルになってしまい、なんだこれはと大問題になったのです。夜も眠れず、完全にクビを覚悟しました。翌日がっくりしていると、常務が席に来られ「東、一緒に来い」と肩をたたかれます。向かったのは社長室でした。「社長、この件は東の責任ではありません。引受の判断として一切間違ってもおりません。おかしいと言われるなら、私は引受担当常務を辞めます」とおっしゃった。びっくりしました。僕が無罪放免だったのは言うまでもありません。「ひるんだら負けやぞ」は、僕はこうやって叩きこまれました。

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巨人・澤村投手のロッテ電撃移籍

2020 SEP 8 22:22:38 pm by 東 賢太郎

巨人・澤村投手のロッテ移籍が昨日7日(月)の午後に発表され、球界に衝撃が走った。詳しくは書けないが、5日(土)に息子とあるところでそれを聞いてびっくりしていた。そうしたら今日8日(火)に澤村が借り物のユニフォームで早くもマリンスタジアムの日ハム戦に登板してきて再度びっくりだ。しかも三者連続三振のおまけつきである。

ロッテがソフトバンクに強いのは去年もそうだが、ちょっとした理由がある。だから選手が気合が入っていて自信も持ってるのである。荻野がケガしたと思えば韋駄天の和田が出てくるし、お寿司のレアードが帰ったと思えばマーティンが出てくる。鈴木大地が楽天に行ってもサードに入れた安田が4番に成長している。誰といってスーパースターではないが、ちゃんと穴埋めする選手が現れて、相手が嫌がるしつこい野球をして接戦を勝っている。

井口監督は会ったことはないが、とてもプロフェッショナルな感じがするし勝ち運も持ってると思う。だから選手時代からファンであり、ロッテの監督になってから色紙に僕の名前と社名入りでサインをいただき、我が社の会議室に大切に飾ってある。勝負事は運が大事と思ってるので、運が強い人と付きあいたいのだ。澤村が首位争いが佳境に入るこの時期に取れたのも運じゃないかな。

澤村は三軍に落ちるなど何があったかは知らないが、まだ老け込むには早い。ロッテは8回を任せていたジャクソンが退団になり、いまは僕が好きな唐川が見事に穴を埋めてるが、澤村次第ではどっちか先発という線もある。ともあれ、人間、必要とされ乞われる時が人生の華である。大チャンスと思うので頑張ってほしい。

いま楽しみにしてるのは、昨年世間を沸かせた大船渡高の佐々木朗希投手である。ロッテ球団は某医大と提携して選手の筋肉の科学的コンディションチェックをしている。それが通れば、一軍デビューすると聞いている。オープン戦の中継で捕手の後ろからの映像を見たが、いよいよと思うとぞくぞくする。何をおいても球場で生で観たい。

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原監督の〝投手・増田大〟を支持する

2020 AUG 9 14:14:52 pm by 東 賢太郎

巨人、原監督が阪神戦で野手の増田大を登板させた。11-0で最終回あとふたりの場面であり、前の若手投手はストライクが入らずめろめろであったらしい(試合は見てなかった)。

ビデオがある。なんとアナウンサーも解説者も、近本の打席で3,4球投げてるのにピッチャーが何者か気がついてない。それほど想定外の事だったのだろう。増田は近本を二ゴロ、江越は四球、大山を右飛で終えた。マウンドさばきは落ち着いており、コントロールは良くスライダーも交え、江越の2球目、3球目は外角、内角ぎりぎりに136、138kmが散っており、これは素人では打てない。近本は強振し微妙に差し込まれたか芯を外れ、4番大山の初球外角低め138kmは見事であり結局いい当たりだが引っ張れていない。

調べたら小松島高校(徳島)で3年時の夏の県大会で準決勝まで全試合完投した投手だった。なるほど。

これに対して巨人OBなどが批判の声をあげている。試合を投げるとは何事か、巨人の伝統に反する、相手に失礼、投手に失礼、ファンに失礼、などだ。

プロからすればそうだろうが、巨人の伝統なんか広島ファンには関係ない。マウンドは投手の聖域だみたいな人もいるが、ならば打席は打者の聖域でないのか、そこに投手が入るのはいいのか。相手に失礼ってのは、ホームラン打ってから言ってほしい。投手に失礼って、前にボカスカ打たれて7失点もしたのは本業の投手だろう、こいつのがよっぽど失礼だ。

この投手交代は、打てない打者がピッチャーを代打に送られたに匹敵する屈辱で、その意図もあったかもしれない。しかし、11-0で出されたならその投手にとっても屈辱なのだ。残っていた中川、大竹ら4投手を使いたくなかったのは、疲労させたくないのはもちろんだが、11-0で出されると4人の内で最低順位だよという意志表示になるからではないか。ピッチャーはプライドで生きている。そうだとしたら原は大監督になったと思う。

僕は野球ファンとして増田の少年のような笑顔にとっても癒された。なんたって甲子園のマウンドだ、うれしくないはずがないではないか。きっと緊張しているが喜びが顔に出てしまう。野球が好きなんだ!それでも勝負は勝負である。打たれてへらへらとは違う。阪神の手強い中軸を見事に討ち取った。あっぱれとしか言いようがない。

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プロ野球開幕。来た、見た、うれしかった!

2020 JUN 20 12:12:26 pm by 東 賢太郎

3月はじめ、斉藤惇プロ野球コミッショナーと食事して「開幕だいじょうぶですか?」「いやオリンピックだって危ないぞ」なんてたぐいの話があり、その翌週あたりにNPBの延期が発表され、オリ・パラのほうも24日に延期の発表がありました。

絶対にしゃべれない話をきいてしまうと人間はストレスになるんです。ブログ履歴を調べたら、それを聞いてしまった日の夜中、眠れなくなってこれを書いていたようです。

ありがとうバティスタ(僕の永遠の4発)

彼の話が出たっけ?酔っ払っていて覚えてませんが、「いかん、こりゃしばらく野球がおあずけだ」のショックだったのでしょう。

あれから3か月。開幕にあたっての斉藤さんの「コロナ禍で疲弊した国民を元気づけ、社会に明るさを取り戻す一助となれれば、これ以上の喜びはありません」のご発声。まさしくコミッショナーのお言葉。心に響きました。

ロッテーソフトバンクは見ごたえありましたね、0-0で8回にカープでいまいちだったジャクソンが出てきて嫌な予感がしたら1点取られ、9回は森が出てきてツーアウト1塁。万事休すと思ったら育成上がりで初出場の代走和田が甲斐キャノンをものともせず二盗。これがいかに凄いことか、シリーズで6回走って全敗だったカープファンは知ってるのです。そこで中村がヒットを打って同点。

結局サヨナラ負けでしたがロッテいいなあ。ホークス、中島さん、めちゃくちゃ強いですね、内川、デスパイネ、グラシアルいなくてもわからんです。延長10回に高橋礼を出せてしまう。余裕というか、どうしてこんなチームに西武は勝ったんだろう。先発の石川、東浜。本当にすばらしいストレート!TVで充分です、これ見るだけで感動です、おかね払います。

オリックス山岡。あの体格であのきっぷのいい球。いいピッチャーです。しかしオリックス打線、則本相手とはいえ3回の送りバントが内野安打になって結局それ1本で終わりかあ。楽天はサブローがいったので応援します。さっきおめでとうメールしたらすぐ返信くれて今年は手ごたえあるようです。

西武-日ハムはあんまり見てないけど西武先発ニール。6回を1安打、18アウトを11個のゴロでというのは実にいやらしい、魔術の域ですね。スパンジェンバーグは打ちそうだ、秋山いなくなったけど。日ハムも2安打じゃ有原が気の毒。ということでパリーグは初日はホームランなし、投高打低。というか試合してなくてあの球なげられたら打てんというピッチャーのレベルの高さ。

セリーグは大瀬良でした。雨の中で4安打1失点で完投。ホームランも打って3打点の独り舞台でした。まあしかし、打線は迫力ないね。ピレラはいいかもしれないけどメヒアがね、当たりゃでかいけど外角に速いの曲げたらほぼ打てんですねあれは、堂林もそう、何年も前からおんなじ欠点がまだ治らない、まだいるのね信じられんですね。西武、ソフトバンクで二軍レベル未満です。

巨人は菅野が7回2失点。おととしの凄みはまったくなくなりましたね。なんたってピッチャーの西にツーベースとホームランだからね。西はパリーグでご無沙汰なのにあのバッティングはすごい。大谷みたいにでかいわけじゃなく、松坂、マエケンと三羽ガラスと称したい。3人ともショートができるだろうし打者なら坂本級もあり。こういう人はマウンドにいたら手玉に取られるオーラがあるんでしょうね。天才です。

ヤクルトー中日は最後までやってたので。8回で7-7。好ゲームと思ったらそうじゃなく平凡な犠牲フライがお立ち台。石川みたいなピッチャーは雨は気の毒。開幕戦勝利の記録、コールドだったらできてたね。石山のストレートは先発させたいなあ。延長10回二死満塁で期待の19才、4番村上。面構えは良かったけどね、空振り三振は持ってねえなあ。まあ岡田の高め145キロはすばらしかったですけどね、なめられてるね。

ということでセリーグはホームラン5本、うちピッチャーが2本。それはともかくです、ロッテーソフトバンク見ちゃいましたんでね、セリーグずっこけですね。誰がどのプレーがって次元じゃなく、もう直観的に野球のレベルが違う気がする。どうしてこういうことになるんだか選手の母集団は変わらないんでね、まったくわかりません。毎年交流戦もシリーズもコテンパンにやられてるわけで、なんらかの理由があるはずなんで、セリーグは屈辱と思って奮起してください。

120試合、どこが勝ってもいいです、今年は野球が見られるだけで幸せです。6試合、どれも、やっぱりプロだなあ、うまいなあというのがありました。選手の皆さん、きっと我々ファンよりこの日をずっと待ち焦がれていたでしょう。高校球児の分まで思いっきり野球をやってください。球団経営は大変でしょうが、おかげさまで球音を楽しみながら静かにウィスキーなんて最高の贅沢をさせていただけます。感謝します。

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2007年、佐賀北が勝った甲子園

2020 MAY 3 13:13:33 pm by 東 賢太郎

ロッテのサブローさんから体調を心配してメールをいただいた。今は楽天イーグルスだから仙台に缶詰め状態とのこと。「絶対に感染しないように気をつけてください!」。プロ野球界ってのはこうなんだな、なんともありがたい。

彼も1994年、PL学園の1番センターでセンバツに出てベスト4になっている。1学年上に松井稼頭央、1学年下に福留孝介がいた。

今年のセンバツの選手たち、本当に気の毒だ。夏はせめて無観客でやらせてあげられないだろうか。そして秋に春の出場校でもう一回なんてどうだろう。プロを無観客でやるなら考えてあげてほしいが・・無理なのかな。

2007年の夏の佐賀北と広陵の決勝戦をBSでやっていた。8回に逆転満塁ホームランで佐賀北が勝った試合だ。広陵はバッテリーがカープの野村と巨人の小林、ショートはカープの上本、サードも元カープの土生、控え投手にカープの中田廉がいた。対する佐賀北は大会前はノーマークの県立高校であった。

当時多忙であったとみえこの試合は見ていない。色々発見して面白い。打順は7番野村、8番小林だ。野村はこの大会20打数10安打でこの試合も左中間2塁打で2打点、PLの4番だったマエケンを思わせる打撃センスもある。

野村の球速は135だが質が良く、切れ抜群の変化球が4種類あり7回まで1安打10奪三振ですいすい、打たれる気配まるでなしだ。前日完投しててこれか、すばらしいピッチャーだ。なんでこれで打たれたの?そういう目線で見る魔の8回、スコアは4-0である。

まず三振(4者連続だったかな)。次ぎ、微妙に高めに抜ける感じあり。満を持した快心かつ細心の外角低め直球をボールと判定される。ここで野村、小林のがっくりが顔に出る。これだったのか・・・

13年も前のビデオだけど、結果も知っているのだけど、手に汗握る。こんなシーンは日常にそうはない。野村も小林も、その後プロで数々の活躍を見せてくれているが、やっぱりあの満塁ホームランはずっしり残る。

悔しいシーンをこうやって末代も見られてしまうけど、あのまま野村が完封してたらここまで人々の記憶に残ったろうか?公立校をプロ予備軍が潰して悪役として記憶されたんじゃないか?

佐賀北の選手はどうなったんだろう?

調べてみると打った副島は佐賀で指導者になっている。あの場面で打った、それだけでも球史に残る打者と思う。野村に投げ勝った優勝投手の久保は筑波大に進んだが、明大に進んだ野村を「すごい投手。僕とは全然レベルが違う。プロなんて実力的に考えていない」と言ったそうだ。その後やはり指導者になった。

http://「3人が甲子園に集まることはない」あの夏の佐賀北OBが語った …

プロに行く人はいなくても頂点に立った、これを見ると高校野球は技術論だけで語れない、選手、指導者の方々の入魂の、一個の完成した世界であることが見えてくる。

ひょっとして今年もこういうドラマがあったかと思うと、つくづくコロナが憎い。

 

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無観客試合で聞こえたもの

2020 MAR 1 18:18:07 pm by 東 賢太郎

無観客試合は初めてだ。球場に冴え冴えと音が響きわたるのが心地よい。客がいない僕らの練習試合はいつもこういう感じだった。普段は歓声やラッパにかき消されてるミットの音。ビシエド選手のホームランの打球音。そしてなにより、選手が一球ごとにあげるベンチからの大音声である。かつてプロ野球でこんなものが聞こえたことはない。

思い出したのは、外野を守ったらやたら静かだったことだ。なんと視界の半分は空である。野球は遥か遠くでやっていて、まるで隣り村のお祭りだ。たまにフライが飛んできて、風を切るシューっという音で我に返る。

侍ジャパンの外野シートノック

マウンドで空が気になることはない。視界はキャッチャーミットだけだ。同じスポーツとは思えない、ラグビーみたいなワンチームはないのだ。

しかし、ベンチで大声を出していると、ひとつな気になる。上級生も下級生もない。相手投手のミット音が気になる。それを味方が打つとベンチがどっと沸く。野球は半分はベンチで座ってる怠慢なスポーツだとサッカー部の奴は思ってるがそうじゃない、ベンチでも競技してるのだ。

慣れない無観客試合はいろんなことを思い出させてくれる。全部それでもいいぐらい音が心地よい。でもプロの選手は張り合いがないだろう。

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野村克也さんに感謝

2020 FEB 11 16:16:07 pm by 東 賢太郎

野村克也さんのプレー姿は実はあまり記憶にない。20も年上であり、当時は巨人戦しか放送がなかったからだろう、テレビの白黒録画のホームランシーンしか浮かんでこない。プロ野球史上初の捕手による三冠王でデータ野球の開祖でもあるから知将の印象があるが、現役時代は捕手として三味線(打席に入った打者にごちゃごちゃ話しかけて混乱させること)が有名であった。

ヤクルトの監督時代にオリックスとの日本シリーズで「首位打者のイチローを押さえることがカギだ。徹底マークして内角を攻める」と事前にマスコミで放言して意識させ、内角はボールばかり投げて外角勝負を仕掛け、2割ぐらいしか打たせずに勝った。それも「壮大な三味線」だったわけである。データ野球といってもチマチマした小技などでなく、武田信玄の啄木鳥戦法のごとき大技ができる大物監督であられた。

探すと野村さんの本は家に2冊あった。激務の中の乱読だったのでいつ読んだか覚えがなく、出版年を見てみると「負けに不思議の負けなし」は1987年だからロンドン時代、「野村の眼」(弱者の戦い)は2008年でみずほ時代だったらしい。

日本プロ野球で通算本塁打数歴代2位、通算安打数歴代2位、通算打点数歴代2位、通算打席数1位の人がテスト生で南海に入団したブルペン捕手だったのも信じられないが、しかも1年で解雇通知を受けた。そこで球団マネージャーに言い放った言葉が「もしクビなら帰りに南海電鉄に飛び込みます」だ。もちろんはったりとはいえ、そんな言葉はそうそう吐けるものではない。母子家庭でなんとか病身の母を助けたい、絶対金持ちになってやるとプロ野球に飛び込み、「野球への凄まじい執念を今日まで持ち続けたという自負」を「私が唯一誇れるもの」と書かれている。命を懸ける(懸命)とはこういうことだろう。

僕も長年懸命にビジネスマンをしてきた自負はあるし、何度かここぞという大勝負の場面はあった。たとえばロンドン時代にお客さんに「間違ったら首をやる」(I will eat my hat if I am wrong.)と何度か体を張った緊迫の場面があった。今流なら「わたし失敗しないので」であるが、英語では「だめなら帽子食います」というのだ。それが見事に失敗し、ついにお客さんに How many hats do you have? (君、帽子いくつあるの?)と失笑を買ってしまった。野村さんの身体を張ったプロフェッショナリズムに比べたらこんな懸命は甘ちゃんなものだが、英国のプロ相手に株を売る商売は日々がそれなりに勝負の場ではあって、野村さんの箴言がビシビシと体感できる6年を送れたのは有難かった。

だからだろう、いま2冊の目次を見返してみて驚いた。「エースと4番の条件は」「不真面目な優等生が大成する」「指揮官とは説得業である」「一流が一流を育てる」「天才は妥協しない」「主力に休日はない」「人の良さはプロではくせもの」「大投手の条件は打者を見下ろして投げること」「鈍感人間は最悪」「滅多に褒めない人に褒められたら嬉しい」など、何のことはない俺のポリシーだと職場で偉そうに言明していたのと同じ趣旨のことが書いてあるではないか。日々の業務の中で自然に血肉になってしまったようで、いま見返すと何やら師匠の言葉という感じがする。

引退後に住友金属で講演して1時間の予定が半分で終わってしまい冷や汗をかいたくだりがある。評論家の草柳大蔵氏に「君の経営の話なんか誰が聞きたい?なんで野球の話をしないんだ」と諭されて目がさめたそうだ。僕には野村さんの野球の話が即、人間学、心理学、経営学の話にきこえる。たいした実戦経験もない人の吹けば飛ぶような教訓話としてではなく、ドラッカーの経営学の本よりも身にこたえる。僕の野球歴は力不足と失敗のオンパレードだが、肌で感じることのできる道の頂点の方の言葉はどんな天才や偉人の言葉より重い。

「野村の眼」の最後にこうある。

自己コントロールとは、欲から入っていかに欲から離れるかにある。沈まないとジャンプできない―それが謙虚さであり、素直さである。それがなければ進歩がない。「感謝」というのは、人間形成の基本中の基本である。これが無形の力―すなわち考える力、感じる力、備える力に発展していく基である。傲慢な人間には、現状維持も伸び率もない。ただ下降線を辿っていくのみである。そしてどん底に落ちきって、気付くのである。人間の悲しい性である。

いま、僕はやっとこの言葉が理解できる年になっているようだ。

お会いしたことのない方が亡くなってこんなに涙したことはない。若い頃ぜんぜんぱっとしない人間だった僕にとって2冊のご著書は羅針盤であり、テスト生からあそこまで昇られた野村さんの言葉にそれほど頼っていたことにいま初めて気がついた。苦しい時に勇気づけていただき、心よりの感謝の気持ちしかございません。

天国で奥様とご一緒に、どうぞ安らかにお休みください。

 

雲ひとつない快晴の日

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サブロー氏が楽天2軍統括に就任

2020 JAN 8 11:11:44 am by 東 賢太郎

楽天2軍統括にサブロー氏 石井GM直下で連携強化

https://www.nikkansports.com/baseball/news/202001070000719.html

 

 

新年早々にビッグニュースだ。「おめでとう!」と送ったら「壁にブチ当たった時アドバイスお願いします」だ。このレスポンスの早さ、君は本当にすばらしい。アドバイスはむりだがウナギをおごってあげることはできる。

石井GM。神宮に息子と行ったその昔、球場の外ですれちがって「おっ、石井だ」と声をあげたら自転車の上から見ず知らずのオヤジにウスと野球部挨拶してくれた。それだけのことだが、それ以来ずっとこいついい奴だなと思ってる。

今年はロッテがとても楽しみだがサブロー氏の楽天も楽しみだ。パリーグが熱い!

 

イチローもいいがサブローも好き

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あっぱれ、美馬と福田がロッテ入団

2019 NOV 26 23:23:26 pm by 東 賢太郎

千葉ロッテマリーンズが大変なことになってる。

プレミア12は優勝、あとはFAだ

ここにホークスの福田が来たら・・・などと戯言を書いたら、ほんとうになってしまった。美馬と福田がロッテにFA移籍!そんな時代になったのか!

僕は福田選手の大ファンである。その理由はここに書いた。

 

ソフトバンクの強さここに見たり

(終了後のインタビュー、福田の森福への思いやりある即興コメントはこのゲームで最もすがすがしいものだった。福田くん、君は優秀だなあ、サラリーマンになっていても間違いなく出世したぞ。)

 

これだ。こちとら60余年も生きてるのだ、会ったことないがわかってしまうよ。なんたって謙虚ないい奴に決まってる。もし性格悪ければね、きっとレギュラー取れてるな。でもそれはぜんぜん損したわけじゃない、弱っちい奴は謙虚になれないからね、実は強いということだ。ほんとうに良い選択をしたと思う、いよいよ実力発揮してロッテで大成してください。

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