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衆議院予算委員会は面白いですよ

2013 APR 11 9:09:59 am by 東 賢太郎

衆議院予算委員会の質疑を聞いておりました。このやりとりは金の取り合いですから本音も見え、けっこう面白いですよ。

公明党の浮島智子議員の質疑で「総理ご自身は自国の伝統文化にどう触れてこられましたか?」という質問に「総理になってからは忙しくて時間がないが、先日再開した歌舞伎座で勧進帳を見てきました」とさらりと答えたのはいいのですが、元バレリーナである浮嶋氏へのリップサービスか「モスクワでもくるみ割り人形を見ました」と余計なことも答え、何となく身内のやらせっぽい。文科省が100%国費負担でやる「伝統文化親子体験授業」の野党向け予算獲得セールスであったようです。

民主党政権で一時お茶の間の顔であった枝野議員です。

 

アベノミクスはミニバブルだ、2005-6年もそうだった、当時も賃金は下がり続け非正規雇用者数は増え続けた、株が上がってうれしいのは金持ちだけだ、企業は儲けても分配しなかったじゃないか、その時と今と何が違うんだと言う。「デフレは当時も進行していた、それを今回は治すのが根本的に違う」と首相が答えると、円安で輸入物価だけ上がってデフレ解消と言えるのか、国内物価が上がらなければ企業はものを作っても売れない、だから賃金も上げなければ金も借りないんだと言う。

与党のあげ足とりは野党の仕事だから大いに結構です。しかしこれは議論になっていない。枝野氏はデフレがよくわかっていないか、実はわかっているが大多数はよくわかっていない国民を誤解させようと思っているのか。おそらく後者でしょう。企業経営者は株主のために仕事をする、国民のためではない、法律に書いてある、と企業=金持ちの味方論をぶちながら一方で、国内物価が上がらないと企業は作っても誰も買ってくれないんです、困っているんです、と中小企業経営者(とは意図的にはっきり言わないが)を匂わせながら巧妙に弱者でもあると言ってみせもする。

彼が堂々と名乗るソーシャリストならOKです。議論として受け入れます。しかし彼らは政権担当時にそう主張していない。都合に応じてソーシャリスト的詭弁を弄するだけ。この人たちがいったい誰だったのか、僕にはよくわかりません。おそらく彼は本音でアベノミクスが当面成功と思っています。だから詭弁しか手がない弱みも知っている。そこで出てくる究極の一手が、「こんなにたくさんの人が困ってるんです!」という某元首相の漫才的パフォーマンスと同じというのも実に悲しいもので、民主党というのはある意味みごとに一枚岩だったんだなあと感慨すら感じてしまう質疑応答でした。株が上がって困っているのは彼らだけなんです。しかし株はずっとは上がりませんから、そこで首相がどう言うかはポイントです。二流の証券セールスみたいにならないことを祈ります。

ところで、当時の日銀総裁(福井氏)が景気回復半ばで緊縮策に転換したのがいけなかった、それを任命したのは自民党だろう、そうだあれは反省している、とあっさり福井氏を切り捨てて見せる首相もすごいが、後任にもっとアホなのをもってきて病を悪化させたのはお前らだろうと言わないのがボンボンの人の良さという感じもあり、この論点は引き分けといったところでしょう。

 

「意見の一致には危険が潜む。何についても特定の意見を持たない人々を満足させようと試みることになりかねない。党が何を望むかについてしっかりした信念に基づくことなく生き残る立派な政党などない」 (故マーガレット・サッチャー元首相)

 

 

 

 

 

 

 

Categories:政治に思うこと, 経済

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