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ポンペイ島ナンマダール遺跡を見る

2013 JUN 23 20:20:04 pm by 東 賢太郎

ポンペイ島に20年居住してホテルやガイドをされている茂田さんの案内で、この島の最大のツーリスト・スポットであるナンマダール遺跡へ。場所は島の南南東。ホテルは最北端なので一時間以上かかります。道路は日米のODAでほとんどは舗装されていますが、遺跡に近づくとそこは未開のジャングル。道もデコボコです。車は密林の中をゆっくりと進みます。031

この地域はある部族の支配地で、遺跡見物は酋長への支払と許可がいります。顔見知りのガイドなくして入ることは無理のようです。下が酋長のお宅です。昔よりここに来ると神が雨で出迎えるそうですが、そのとおり降られました。茂田さんが交渉しましたが、今日は潮が高いのでボートは出せない、歩いてくれと言われました。030

歩く道には別な地主(下の家)がいて、そっちに料金を払いました。関所みたいなものです。満潮でないと儲からない地主ですね。皆さん雨合羽姿で黙々と歩きます。

 

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ナンマドール遺跡は5世紀ごろから王の墓として海上に石を積んで造られ、その後は祭祀の場となったようですが、ポンペイはスペインが征服するまで文字がなかったそうです。米西戦争の賠償金捻出のためドイツに売られましたが、発掘した遺物を持ち帰ろうとしたドイツ船が難破したためここの歴史をたどる道筋はとぎれてしまいました。

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熱帯には何度か行きましたが、こんなジャングルを歩くのは初めてです。木々や植物の霊気を感じます。虫除けスプレーのせいかもしれませんが、蚊やアブはぜんぜん現れませんでした。千年?はたっていようかという巨木の前で。

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海辺になると森はマングローブになってきます。お顔が見えるのが茂田さんです。木の橋を渡っています。

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お待たせしました、これが遺跡です。こういう小島のようなものが16あり、これが代表的なもののようです。石が雨で滑って歩くのがとても大変でした。

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目の前の浅瀬を全員が歩いて渡りました。深さはひざの少し上まで。海水はまったく冷たくなくて、そのまますぐ泳いでもいい程度の温度でした。

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副葬者の墳墓は破壊されたように見えますが、何百年の間に木の根が石を動かしたそうです。

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下は島民の主食であるパンの実です。どこの家の庭にもあるそうです。これと椰子の実が生活を支えています。椰子の呼び名は成長に応じて10種類ほどあるようです。出世魚でもそんなにありませんから、いかに島民が椰子の実を大事に関心をもって扱っているかわかりますね。

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遺跡の壁面の高さは5~6メートルはありました。大きな石は4トンもあるそうです。5世紀の人がこんな巨石をどうやって積み上げたのか、エジプトのピラミッドもそうですが謎です。下の写真のアングルだとどこか日本のお城を思わせます。

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人っ子一人いない中を闊歩するのは気持ちよかったです。

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これは何かおわかりですか?バナナの花です。野性でいくらでもあります。上の方にバナナが見えますね。

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これはテレビでよく見るマングローブです。マングローブという植物があるのではなく、海上に群生する木を総称してそう呼びます。日本のテレビ局がときどきロケに来るそうで、元読売の記者だった茂田さんが解説されるのがお決まりだそうです。

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同じ道を戻ってふたたび酋長の家の庭です。あひる、にわとり、犬、ねこ、ぶた、うなぎ・・・いろいろいます。世のうさを忘れるのどかさでした。島一周が車で約4時間。我々が宿をとっているポンペイの州都コロニアもミクロネシア連邦の首都パリキールも島の最北端で、商店も病院もそこにかたまってありますから2時間近くかかります。ここは文明とほぼ隔絶された場所といっていいでしょう。

 

078 大うなぎです。神聖な生き物とされ、食べることはありません。といっても、なまずのようであまりおいしそうにも見えませんが・・・。

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これでおしまい。なかなか強烈な体験でした。こういうものを見てしまうと我々が普段に観光、見学といっているのはディズニーランドのなんとかアドベンチャーと変わらないなと思います。電気と車があるぐらいで、あとはたぶん何百年まえとそうちがわない生活をしている人たち。そして彼らを取り巻く、たぶん何万年まえと同じ景色であろうジャングルの木々。地球という星のいとなみが永久不変であり、我々人間はそのわずかな一部分でしかなく、我々の人生はほんの一瞬の出来事でしかありません。産業革命以来、人間は文明という名のもとに世界中の自然を破壊してきましたが、結局それは天に唾するものであるをここの空気を吸って身にしみて味わうことになりました。

 

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