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若者は空気なんか読むな

2013 JUL 22 20:20:14 pm by 東 賢太郎

海外でゴルフをすると、コースによって「マーシャル」というのがいてとてもうるさいというご経験のある方もいらっしゃるでしょう。僕は香港時代に香港ゴルフクラブ(粉嶺)のメンバーでした。1889年に英国人が設立した名門クラブで、今年の全英オープンの舞台でその歴史を謳われるミュアフィールドでも設立は1891年です。

ここは万事英国流で、18ホールの途中に3か所タイム・キーパーがいてプレー時間に厳しいので有名です。スタート時刻からそこまで何分と決まっていて、たしか3分遅れでイエローカード(警告)、5分でレッドカード(除名だったかとにかくそれに近いペナルティー)が宣告され、目立って遅いプレーヤーにはマーシャルという見回りがやってきてその場で宣告されます。ハンディ20ぐらいではないと楽しめないペースというイメージでした。

今回のオープン、3日目の17番ホールで松山英樹がスロープレーで1打罰を受けました。納得できないと言っていましたがゴルフは本来プロもアマもなくそういうものだということを覚えないといけません。その17番もクラブを振れる振れない(結局振れた)をゴタゴタやっていてあれを取られた。それもいかんですがそもそもラフに打ち込んだのがいかんと思わないと。ショックだったようで18番はボギー。2打損しました。

しかし立派だったのはそれを最終日に引きずらなかったことです。久々に気持ちの強い若者を見たと思いました。日本人初のメジャー2大会10位以内、これは本当にすごい。選挙のせいもあって国内であまり騒がれてないのがまたいいですね。彼は記者対応がぶっきらぼうでマスコミうけが良くないそうですが、世界で真剣勝負している者が女子アナのくだらない質問などにまじめに答えようもないでしょう。空気を読んでマスコミにうける必要などさらさらありません。まして力もないのに甘やかされてCMなんかにチャラチャラ出ていれば世の中を勘違いして没落するのも当然です。

16年海外の金融最前線で仕事をしてきて、空気を読んだりする者が世界で戦って勝てるはずがないと僕は断言します。読んで何がしかの意味があるのは日本村の中だけです。それは付和雷同であって外国では尊敬はおろか好感もされません。どうすればいいかは簡単なことで、日本人は日本人らしく謙虚であればいいのです。ただし、「自分」というものがない謙虚はただの卑屈(slavishness)にとられます。主語を省く言語習慣のある日本人は「自分」を抑える癖がついています。自分がないことを平常とするから付和雷同(空気読む)が安心となる。だからたいがいの空気を読む者は卑屈に見られるのが怖くて謙虚になれません。虚勢を張ったりする。本当の意味で謙虚になれる者は真に強い者だけです。

松山は強いゴルフができるように思います。謙虚な人になって世界で尊敬され、メジャーのトロフィーを手にできる逸材ではないかと期待いたします。

 

若者は空気なんか読むな(2)

(追記、8Oct 2017)

本稿を書いた4年間の時点では彼が世界ランク第3位のゴルファーにまでなろうとは思わなかったが、「空気を読まない」という片鱗はあったということだ。ぜひメジャーをと願うしかない。テニスの錦織圭が最高第4位で現在14位だが、この二人は歴史を変えた。

Categories:ゴルフ, 徒然に, 若者に教えたいこと

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