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脱法ハーブと証券犯罪

2014 JUL 5 20:20:13 pm by 東 賢太郎

脱法ハーブが問題になっている。英語ではsynthetic cannabis(合成大麻)であり、大麻の薬理成分であるテトラヒドロカンナビノール (THC) の効果を模倣する合成カンナビノイドを含むハーブ製品である(Wikipediaなど複数のソースによる)。

渋谷でこれを禁止するデモが起きているのを知って不思議に思ったのは、「脱法」であるなら「違法」とすべく法改正すればいいではないかと疑問を持ったからだ。しかし、調べてみると、それができないから問題なのだということがわかった。

自然科学が関わる領域での法律制定というものには限界がありそうだ。素人考えではあるが、例えばグルタミン酸は「コンブチーズ緑茶などに大量に含まれるほか、シイタケトマト魚介類などにも比較的多く含まれていることが知られている。」が「致死量はLD50=20g/kgである。」(以上、出典Wikipedia)。これはうまみ成分なのか毒なのかはともかく、それを知ったとてコンブやお茶を販売禁止にできるわけでもないだろう。

また法律というのは禁止する対象をしっかり定義しないといけない。さもないと冤罪や医療目的利用の阻害など問題を呼ぶ。大麻取締法、覚せい剤取締法にある定義がそれだから、大麻の薬理成分に模擬した新薬は取り締まれない。だから脱法となる。厚生労働省は「合成カンナビノイド類」を指定薬物として包括指定(772物質)する省令を公布し、3月22日から施行されたが化学式に改変を加えた合法な新物質を作る(出典Wikipedia)という「いたちごっこ」になっているようだ。

「いたちごっこ」は証券犯罪の領域でも長年にわたって存在する。特にその代表的なものであるインサイダー取引規制がそうだ。インサイダー取引とは金融商品取引法(法166②)に列挙される「重要事実」なるものを公表前に知ってその株式を売買することである。だから「重要事実」にないものでその株式が上がる(下がる)という情報を知って売買してもそれには当たらない。では「重要事実」とは?ここで上記の脱法ハーブと同じ問題が発生するのである。

もうひとつに「風説の流布」というものがある。相場の変動を図る目的をもつて風説(虚偽の情報)を流すことである。明白に虚偽とは言えなくとも、合理的な根拠のない情報であれば罰せられるおそれが ある。包括規定であるため抵触する行為の範囲は広い。そのため必ずしも個々の案件で検察が捜査を行うとは限らないが、東京地検は企業買収に絡む株取り引きで風説の流布の疑いでインターネット関連企業ライブドア堀江貴文前社長らを逮捕(ライブドア事件)した(出典Wikipedia)。

これからも「重要事実」「風説認定」の外し方で続々と新手が開発されるだろう。元ネタが海外で作られると日本の当局には手が出しにくいという盲点をついたものが増えるのではないかというのが私見だ。アメリカから入ってくるのは脱法ハーブと同じだ。

 

 

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