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ロッシーニ 歌劇「ウィリアム・テル」序曲

2014 DEC 24 21:21:39 pm by 東 賢太郎

だいぶ前にアンタッチャブルのテーマを書きましたが、我が世代の方はこれもご存じでしょう。ローン・レンジャーです。日本では1958~62年に放映されていたようですが、さすがに7歳なので内容はハイヨー、シルバー!しか覚えてません。

しかし、その音楽は強烈に印象に残っていて、えらい格好いいなあと思ってました。

先日ネルロ・サンティさんの「どろぼうかささぎ」を聴いて、やっぱりロッシーニは凄いと思ったのです。あの単純さ、わかりやすさ、それでいてぐいぐいと心に入ってくる愉悦感、万人を有無をいわせず楽しくしてしまうパワーは無二のものです。

ローン・レンジャーがそのロッシーニの「ウィリアム・テル序曲」だと知ったのはずっと後です。同名のオペラ序曲なのですが、序曲といっても4部構成で演奏時間は12、3分、「夜明け」、「嵐」、「牧歌」ときて最後がこの「スイス軍の行進」となりますから小さな交響曲のようなものです。

このギャロップを聴いて心ときめかない人はおられないのでは。ストレスも憂さも吹っ飛びますね。7歳の僕でも心がワシづかみでしたから、胎教にもいいだろうし小さいお子さんをお持ちのかたはこれを聞かせてあげるといいでしょう。このVTRは「牧歌」からで、スイス軍は2分30秒から。若きクラウディオ・アバドの快演です。聴衆はロックのノリですね。

もうひとつ、こっちは古典的録音として神格化の域にあるアルトゥーロ・トスカニーニです。行進は2分47秒から。

これを含むロッシーニ序曲集としてお薦めできるものを挙げます。

 

アルトゥーロ・トスカニーニ / NBC交響楽団

41V6XP9DMHL音はモノーラルですがこの録音の価値は永遠です。「一家に一枚」もののクラシックのエヴァー・グリーンといえましょう。速いテンポ、ピンと張った緊張感、エッジの立った弦、小股の切れ上がったリズム、ツボを得た緩急とクレッシェンド、驚異的水準のアンサンブル、絶対の自信と権威のこもった棒。触れればはじき飛ばされるような勢いとパッションに満ち、僕にとってロッシーニといえばまずこういうものであり、ディファクト・スタンダードのようなものとなっています。

 

ヘルベルト・フォン・カラヤン / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

karajanカラヤンはウィリアム・テルを5回録音してますが、2度目の1971年盤が圧倒的に素晴らしく僕は最も好きです。このスピード感、質量感、強弱のメリハリ、固めのバチのティンパニによるアクセントはそれだけで音楽の快感であり、トスカニーニの路線をより徹底したもので軍の行進というイメージがぴったりの名演奏です。NBC SOに対抗できるのはこのベルリンフィルしかないでしょう。録音まで考えればこれをベストとすることもやぶさかではありません。

 

ネヴィル・マリナー / アカデミー室内管弦楽団

MI0001075849序曲が全部そろった3枚組です。音楽の品格という意味でこの演奏は大変にレベルが高いもので、トスカニーニのラテン的な明晰さ、カラヤンのゲルマン的な質量感とは全く違う、軽妙さをたたえた流動感は実に快いものです。ウィリアム・テルの快速テンポ、涼やかな表情、きびきびした弦、みずみずしい管楽器、どれも最高級の愉悦感を保証してくれます。できれば上記2枚とそろえて、3種類をもっていたいものです。youtubeよりマリナーのウィリアム・テル序曲を全曲です。

 

 

 

 

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