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どうして証券会社に入ったの?(その9)

2015 JAN 4 0:00:53 am by 東 賢太郎

 

<正月の大チョンボ>

この時期になると思いだすことがあります。当時、親父からもらったおんぼろのマークⅡに乗っていて、それで正月に八方尾根にスキーに行ったのです。まだ結婚前だった家内とその友人と僕の友人(別会社)の4人でした。八方尾根は入社前にろっ骨を折った鬼門ですが、それでもあの急斜面が気に入って懲りてませんでした。

1月4日は大発会といって証券取引所の初日であり、支店は営業を午前中で終わって午後は梅田のお初天神に全員で初詣というしきたりになっています。ですから1月3日の午前中には現地を出発する手はずでした。ところが、その3日は大雪の予報であり、朝に車を見るとすでに雪にうずもれた状態だったのです。

一応早めにと思って小ぶりの中をたしか昼前ごろ出発したと思います。でもかなり甘く見ていましたね。県道からもう相当に渋滞でしたし、さらに悪いことに関ヶ原あたりでいよいよ本降りとなり、チェーンを巻きましたがそれでもどんどん雪がつもったのと氷結とで走行はかなり危ない事態になってしまったのです。当然街道は上下線ともメチャクチャの大混乱で大阪方面はピクリとも進まず、あっという間に底冷えのする夜がやってきました。

結局、思いもよらぬ最悪の事態になり、徹夜運転でした。なんとか大阪にたどり着いたらもう明るくなってきて、1月4日朝の7時前です。屋根にスキーを積んだ車で独身寮のゲートにすべりこむと、初出勤のタクシー待ちで寮の玄関前にスーツ姿でずらっと並んだ先輩方の目の前にドンと駐車する間抜けなことになったわけです。

そこからやおら着替えて寮を飛び出しましたが、もちろん会社は初日から大遅刻であり気は焦るばかり。疲労と睡魔で意識はほぼなくて、どうやって会社にたどり着いたかはぜんぜん覚えてません。

よれよれになって支店にそっと入ると、しーんと張りつめた空気の中で支店長の新年の祝辞の真っ最中でした。皆さんの目つきから僕のチョンボはもう有名になっている様子であり、これはヤバい、支店長はこういうの厳しいしとその場で怒鳴られて大目玉をくらうことを覚悟しました。

そうしたら前回のヤクザ事件で救って下さったO次長が僕を見るなり小声で「おい、東こっちこい」と手招きします。「支店長はまだ知らんからな。お前はいいからここで寝てろ」と裏のほうのソファーに連れて行かれたのです。

ほっとしたのでしょう、そこで僕の意識は完全に途切れます。後で聞くとソファーに行きつく前にもう倒れていたそうで、人生ただ一度だけの気絶状態、それからお初天神やら食事やらはどうなったのかまったく記憶がありません。

はっと目が覚めたら、どういうことかそこはOさんのご自宅でした。ご夫妻でげらげら笑っていて、おなかすいたでしょと食事まで作って下さっていたのです。奥様いわく「ウチの人なんか、朝帰りして玄関はいったとこでバタッと倒れてね、そこでスーツのまま寝かしたんですよ」。そういういい会社だったのでお咎めはなしでした。

 

(つづく)

中国はどこへ行くか(1)

 

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