ベンチャーズ 「10番街の殺人」
2015 MAY 11 2:02:53 am by 東 賢太郎
キャラヴァンが脳天直撃のショックであったのはやはりメル・テイラーのドラムスの威力でした。もうひとつ小4ぐらいだった僕を打ちのめしたのは「10番街の殺人」です。
いきなりDim(減七)の恐ろしげな和音で始まると、2つ目の音のバックで鳴るボブ・ボーグルのベースの下方グリッサンド!まずこれに直撃パンチを食らいました。そしてマフィアの非情なダンディズムみたいにパンチのきいたドラムソロ。このイントロの音響に漂う黒い邪気!伊賀の影丸にはまっていた僕にはもうたまらないものでした。
邪気?そうか、殺人だもんな(当時はなんだか全然わかってない)と思うと、その最後(7秒)に再度右チャンネルに聞こえるベース!電気に痺れたみたいに格好いい!この4つの音に血がたぎった(いや今もたぎる)のは何故なのか?不明です。これが聴きたくてEP盤を擦り切れるほど聴いたのだから麻薬的効果としか言いようもありません。
そしていよいよ14秒から入るノーキーのリードギターですが、これがなんとも清澄で穢れのない「きれいな波形の音」で意外感が素晴らしい。ディスト―ションのかかったバスとの対比、バックのリズムの緻密さはキャラヴァンと同質です。D⇒F#のコード進行も新鮮。そこに多重録音で入るテケテケテケ!これがまた予想外なピタピタ系の音!この部分は「ダイヤモンドヘッド」の音響世界なんです。
最初の減七コードからここまでの妖気をはらんだ白熱はすべての音楽のうちで最も僕を興奮させるもので、今でもそうであります。
そこから第2主題部分になりますが、残念ながら緊張感が落ちてしまう。ハモンド・オルガンが入りますがこの音はあまり好きになれません。半音ずつ2度上がって(こういうのは転調とはいえませんね)フェードアウト。後半がこういう安易なポップス仕上げになってしまっているのですが、それを百歩譲っても前半の45秒は衝撃的に素晴らしい。
ちなみに30年後の同じ人たちのこれと比べてみて下さい(ドラマーはかわっている)。
これだったら僕はベンチャーズを2度と聴くことはなかったでしょう。65年の来日での演奏もテンポが速く、もう別な曲です。
オリジナル・バージョンは一回だけの奇跡のようなものだったんでしょうか。9歳の時にそれに出会えたのは僕の音楽人生において事件でしたし、それなしで今はなかったと思っています。
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Categories:______ベンチャーズ, クラシック音楽
中島 龍之
5/11/2015 | 1:40 PM Permalink
衝撃的なスタートの和音でしたね。不吉な感じがでて、タイトルに合ってました。それが、オルガンでのんきな雰囲気になってるのは確かに合わない。他の「十番街の殺人」は演奏に迫力欠けてますね。東さんが出会ったのは、いい演奏でよかったですね。
東 賢太郎
5/11/2015 | 7:46 PM Permalink
中島さんありがとうございます。このころのベンチャーズは輝いてましたね。
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