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N響Cプロ、バボラークのモーツァルト

2015 JUN 14 2:02:44 am by 東 賢太郎

 

アンドリス・ポーガという指揮者は初めて知りましたが、好感を持ちました。まずモーツァルトの交響曲第1番。作曲者8才の曲です。プログラムには「モーツァルトも最初はこんな曲しか書けなかったのね」とあるが、僕にとっては「小学校2年生がこんな曲書けたのね」です。

調性は変ホ長調ですがこれはホルンがEs管だからで、ちなみに彼のホルンのための曲はホルン協奏曲第1番K.412がD管であるのを唯一の例外としてすべてEs管です。これは友人ロイトゲープのために書いたためで彼がEs管を使っていたと思います。当時はナチュラル・ホルンしかないのでEs管を使えばその曲は変ホ長調になってしまいます。

交響曲はD、G、C管を使って様々な調で書いていますが、ホルンのない曲はひとつもないので、41曲の交響曲の調性はホルンが何管かと一致します。ロンドンで書いたK16も何かの理由でEs管になったのでしょう。そのホルンが第2楽章の第7小節からE♭-F-A♭-Gと-A♭-Gという「ジュピター音型」を吹くのですが、2番目の音でE♭とFが長2度でぶつかるのはぎょっとします。これをライブで聴けたのは貴重な体験でした。

2曲目は名手ラデク・バボラークが上記のK.412とR・シュトラウスを演奏しました。以前にやはりN響でグリエールのホルン協奏曲をやって、これが名演でしたが今日のも良かった。聞き惚れました。それにN響も弦がチューンアップしてますね。コンマスの伊藤亮太郎さん、曲ごとにチューニングされてよろしいですね。Vnセクション、いい音してました。オケとしても、R・シュトラウスの出だしのトゥッティのEs-dur、ワールドクラスの見事な音でした。

後半も指揮者、オケとも熱演でした。大変申し訳ないのですが、僕はラフマニノフのこの最後の作品が苦手で、何度か実演も聴いたのですがだめでした。楽器の数も音符の数も膨大なのですが、何のためかよくわからないのはマーラー以上です。

アンドリス・ポーガは35才ですが音楽の流れをまとめるのが上手いですね。オケは弾きやすいのではないでしょうか。こういうのは才能だなあと感服。リーダーに年齢は関係なしですね、人をひっぱることができる人は何才でもできるのだと思いました。

なにより前半の選曲がいいですよ。これは知性とセンスを感じるし、モーツァルトの1番からオケの方々は楽しそうでしたからR・シュトラウスの名演につながったかもしれませんね。やっぱりモーツァルト効果はほんとうにあるかもしれない。バボラークがのびのびと吹いてくれたのも、そういう空気があったんでしょうか。楽しませていただきました。

 
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Categories:______モーツァルト, ______演奏会の感想

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