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やっぱりLPは音楽鑑賞の王道

2015 NOV 4 2:02:23 am by 東 賢太郎

最近ですが電車ですわるとすぐ寝てしまいます。いつ寝たかも覚えてない。乗り過ごすことはなくて眠りは浅いのですが、居眠りというよりブラックアウトという感じです。妙な話、そのまま覚めなきゃ昇天ということかなあ、そうやって逝けたら楽だなあなどと考えたりします。

家でCDをならしても、やっぱり寝てしまう。こんなことはなかったんですが、やっぱり仕事が追い込みでストレスがたまってます。

先日西室と飲んでから中古屋でLPを適当に5,6枚買って、なんせ酔ってたのでなんだったか記憶がないのですが、袋を開けてみて片っ端からかけました。新世界、未完成なんて1枚があって、何でこんなのを買ったか不明。案の定、かけながら熟睡。

2枚目はヘンデル。ハンス・プロハスカという昔懐かしい名の指揮者とアッピアといスイス人がウィーン国立歌劇場Oを振った「水上」と「王宮」の米エヴェレスト盤でした。昔は盤質粗悪とされたレーベルですね、ところがなんとしたことか、これがいいんですよ。

音に滋養があっておいしい。演奏も悪くない。一気に頭に血がめぐります。こういう音が鳴るならもうCDはいらん。ライブすらしょぼいオケなんかならこれのがずっと快感!

次に出てきたのがサファイアというドイツ・レーベル(当然もうない)のニュルンベルグ交響楽団のコリオランとエグモントの序曲。指揮者は全く無名。こういうのはたまらない。僕はドイツのオケはいろんな田舎で聴きまくりましたからC級グルメなんです。

楽器が安手の音で、演奏もなんら誇るものは無し。しかしこれ、田舎のおふくろ手料理みたいでいいなあ。芋の煮っころがしとナス田楽っていうか。ほっこりしますね、ベートーベンで・・・。

次。ショスタコーヴィチの15番、なんと初演した息子のマキシム・ショスタコーヴィチ指揮だ。盤面に傷があったがこいつはよかった。僕は15番、さいきん最高傑作じゃないかと思うようになっていて、この演奏はなかなか濃いですよ。おすすめです。

15番初演したのが72年で、すぐ同じオケ(モスクワ放送SO)をロジェストヴェンスキーが連れて大阪、東京で海外初演することになって、迷ったけど悲愴なんかの日を買っちゃいました。もったいないが、子供でした。

思えば僕らはショスタコーヴィチがまだ生きて交響曲を書いてた時代の人なんですね。彼の15曲は永遠に残りますから未来はそう記憶する。同時代人が彼の音楽をどう聴いてたか、書き残すのも一興かもしれません。マキシムのこのLP、音の良さも感涙ものです。

部屋には積んどく状態のLP、CDが山積みで、よしもう少しという気になってフンガロトンLPのバルトークの2台ピアノと打楽器があったんですが、あれっと思ってさがすとおんなじのをダブって買ってるではないですか。前にもありましたが、なんと中古を2回買ってる。7千枚ためるまでこんなことはあり得なかったんですが記憶力はかなり衰退してますね。自覚してつきあわないと・・・。

93491495最後にコリン・デービスがボストンSOを振ったシベリウス全集の蘭フィリップス盤。まだきいてなかった。とりあえず5番と7番を。うーん、いい音だ。ボストン・シンフォニーホールのいい席だ。やっぱりCDはいらんか。

思えばLP録音再生というシステムは70年代に完成していたんですね。高度なレベルで。それをCDがぶっこわした。ピアノの録音はたしかに良くなったけど、弦は僕は懐疑的です。ちゃんと再生したLPには絶対かないませんね。

SACDってのはCDよりいいというのがうたいです。たしかにそうだがLPより良くないのもそう。デジタル録音+CDで弦が悪くなっちゃって、その失地回復にすぎませんね。ホールの臨場感が増すって、AKBじゃないんだしクラシック鑑賞でそんなのが重要とは思いません。

デービスの7番、名演です。こんなに良かったっけ?彼の唸り声まできこえますが、終板の意味深いうねりは尋常じゃない。非常にmovingな、なにかを揺り動かされるような、忘れない聴体験ですね。

いやいや居眠りからはじまったリスニングでしたが、結局こうなりました。いい音楽はやっぱり人生の宝物です。

(こちらへどうぞ)

クラシック徒然草-ワルターのモーツァルトはLPで-

シベリウス交響曲第2番ニ長調 作品43

 
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