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ブログは名刺

2015 DEC 16 23:23:39 pm by 東 賢太郎

 

ビジネスという環境に身を置いていると名刺がたまる。数年でなん百枚にもなるだろう。仮に僕が楽隠居かプー太郎でもしてたら自分の名刺もいらないし、出さなければ相手もくれないからたまることはない。

何が違うんだろう?それはビジネスマン、商売人というのはお互い様でお金をもうけるという共通利益をベースに動いているからだ。僕に名刺を差し出す人は、なにか利益がありそうだからそうするのであって友達になりたいわけではない。個人というより会社に何かを期待するのだ。

いつも格好いいと思うのは仰々しい肩書のない名刺だ。「弁護士」とか「作曲家」とか「建築家」とか、職名だけのも素敵だ。俳優など有名人になればどうするんだろう。「俳優」もいらないから名前だけかな。でも高倉健が「高倉健」と書いた名刺を出す姿は想像できない。だから名刺なしがいちばん偉いのかもしれない。

最近僕はブログを名刺代わり使うことを覚えた。初対面の人に「ここにブログがあります」とSMCのアドレスをお教えする。そうすると、読んでくれる人とそうでない人があとでわかる。そうでない人というのは、すべからく僕個人でなく会社やお金だけに興味がある人だと判断している。

こっちもビジネスなので構わない。お互い様であって、そうであるなら僕の方も彼・彼女の個人には興味を持たない。ただ、相手がどうあろうと僕は自分を明明白白に晒して、こういう人間ですよ、あなたには嫌な奴かもしれませんよ、こういう妙な?主張を持ってますよ、という風なことをお示しする。

それは営業や交渉ごとでは不利だという人もいる。しかし僕は自分を隠したりお化粧したりして有利になったり好かれたりしても、やがてうまくいかなくなることをたくさん経験している。明かしてうまくいかない人とは所詮うまくいかないから何か期待して始めるだけ無駄なのだ。相手に時間の浪費をさせては悪い。

それで、読みました、はい、やめときますという人とは今のところお会いしていない。いや、もっと正確に言うと、やめようと思うほどまじめに読んだ形跡の感じられる人はほとんどいない。そんなものだ。名刺をもらって家に帰って、この人は珍しい名字だなどこの出身だろうと調べる人はあまりいない。

ところがブログの検索履歴を見ると、例えば日本シリーズで神宮球場ではヤクルトが有利だろうという噂がネットやTVで拡散したが、それは神宮のマウンドが今年から変わったせいだなどと言われる。僕はそのことを9月20日付のブログに詳しく書いたが、するとその記事の検索数が静かに増えた。オタクっぽい内容なので当初はあまり読まれなかったのに。

こういうのがとても嬉しい。想像するにヤクルトに肩入れはじめたあたりで野球好きの方のご訪問がちょっと増えたと思われる。関心を持って下さった方はバックナンバーを検索して読んでくださり、たまたま話題になっている「神宮のマウンド」の記事を見つけて下さったのではないか。お互い、名乗る必要はない。名刺交換よりずっと意味のある交流だと思う。

 

(追記、16年1月24日)

ブログをやめたらかえってアクセスが増えてます。恐縮です。野球や音楽においては僕は単なる外野席の観衆でしかありませんが仕事だと選手でいられます。仕事に専念するには断捨離が必要なのです。

 

(同、1月30日)

断捨離といえば、今のお客様はすべて起業してからのご縁の方です。サラリーマンの自分というものは、生きるために仕方なく作った虚像を含んでおり、その虚像で作った関係を無理に維持する精神的コストは高いのです。それを払うなら一から作り直した方が楽で早いでしょう。

そうだろうかと思う方も多いでしょう。ではサラリーマンしながら僕みたいにブログで自分をさらけ出せますか?まず無理です。それをしちゃあお終いよと「自画像を断捨離」したところに成り立つ地位が、宮仕え、サラリーマンというものの実体だと思います。

僕が断ったものは重いです。ところが新たなご縁が今になって開花しつつあって、去年の最後に向けて信じられない勢いで大ブレークをはじめました。すべては偶然の結果とはいえ断つということの威力を知りました。だからブログも断ったのです。

断つと失います。更地になります。だから何かを得よう、建てようと、強いエネルギーが出ます。これを僕は断食で経験しました。そして、少しだけ自信を得ました。捨てることは怖くないということにです。断捨離はもっと必要と思っております。

 

 

 

 

 

 

 

 

Categories:______気づき, SMCについて, 徒然に

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