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今年の演奏会ベスト3(今月のテーマ・振返り)

2015 DEC 30 18:18:25 pm by 東 賢太郎

今年のコンサートベスト3です。

1位 オッコ・カム / フィンランド・ラハティ交響楽団のシベリウス交響曲全曲

2位 カンブルラン / 読響のワーグナー「トリスタンとイゾルデ」全曲

3位 ラザレフ / 日フィルのショスタコーヴィチ交響曲第11番

番外がポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場の「魔笛」、ハンヌ・リントゥ / フィンランド放送交響楽団のシベリウス5番、ネヴィル・マリナー / N響のブラームス4番、シャルル・デュトワ / N響のバルトーク「中国の不思議な役人」、下野 竜也 / 読響のアダムズ「ハルモニーレーレ」です。去年はデュトワ / N響のドビッシー「ペレアスとメリザンド」という傑作がありましたが、トータルには今年は豊作でした。

それにしてもハンヌ・リントゥ(1,5,6,7番)、オッコ・カム(1-7番、Vn協)、オスモ・ヴァンスカ(2,5,6,7番)、尾高忠明(5,6,7番)、パーヴォ・ヤルヴィ(Vn協)という名匠たちでシベリウスを聴きまくれたのは有難かった。これだけ短期間にまとめて聴くのは稀有のことです。

このシベリウス体験には屋久島の千年杉を見たあのずっしりした充実感と似たものを感じています。去年の真冬でしたから、タピオラやテンペストや4番などイメージが違和感なく重なります。5時間も死ぬ思いをして登って、とうとう霧のかなたに千年杉が荘厳な姿を見せた感動の瞬間、あれは7番のトロンボーンがぴったりです。今年は行けませんでしたが、その気分になれました。

ショスタコーヴィチ交響曲第11番、殺伐とした銃撃シーンが出てきますが、ビジネスで駆け回っている心象風景はあんなものです。シベリウスの自然に根ざした音楽と対極ですね。僕を戦闘モードにしてくれる最右翼はベートーベンなのですが、ショスタコーヴィチもいい。マーラーの盲目的自己愛は苦手ですが、彼はその影響を受けながらも知的でシニカル。政権への強烈な皮肉と反抗心が僕には推進力を与えてくれます。

ワーグナーの楽劇はとにかく5時間も食うんで僕のような職業の者には向いてません。ドイツにいた2年半は地の利を生かしてどっぷりつかってましたからもういいやという飽食感すらございます。でもこうして一流の演奏に出会うと、やっぱり聞き惚れてしまい、ちゃんとたたきのめされてしまう。困ったもんです。

願わくば今年のシベリウスのように一流の演奏を「まとめ聴き」できる機会が毎年あると嬉しいですが、ではそうして聴きたい作曲家がそんなにいるかと問われるとハタと考えます。誰が好きかを客観的に見るなら、「カテゴリー」にある作曲家別のブログタイトル数をご覧いただけばモーツァルト(65)、ブラームス(54)、ベートーベン(49)に次いでシベリウス(30)となってます。4番目に好きな作曲家のようです。

そして最後に、今年の締め括りとなったチョン・ミュンフン指揮の日韓合同オーケストラによる感動的なベートーベン第9を、演奏の是非とは異なる視点から加えたいと思います。岸田大臣の訪韓直前に行われ多くの政財官関係者が参加したこのイベントが、未来に開けた隣国関係への序曲として開催されたことはご招待いただいた際に感じておりました。子や孫の世代にはどんな展開になるのか予断は許しませんが、僕は良い関係構築に賛成票を投じる者のひとりです。

 

 

 

 

 
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Categories:______演奏会の感想, クラシック音楽

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