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二重国籍問題について(追記あり、11月2日)

2016 OCT 6 20:20:11 pm by 東 賢太郎

(1)二つのアウエー感

国籍というものをちゃんと意識したのは海外に住んでからです。それまでは空気みたいにあって当たり前のもので、日本人なんだと強く意識するのは旅行先の空港の入国審査でパスポートを見せるときぐらい、おそらく多くの日本人の皆さんにとってもそんなものではないでしょうか。

海外に行って、そこに住んでしまうと、しかし様相は変わってきます。僕はこれを「二つのアウエー感」と呼んでいます。第一に、母国や家族や日本語がなくなってさびしい(喪失感)。第二に、有無を言わせぬ周囲の自分に向けられた冷徹な目線と態度(孤立感)、です。僕は5つの外国でこれを味わいましたが、5者5様のちがいはあるものの基本は同じです。

第一と第二の間には大きな差があって、ハワイに旅行で1週間いたって喪失感は出てきます。ああWifi弱いなあ、あの番組見たいなあ、ネコ元気してるかなあ、おいしいお寿司つまみたいなあなどですね。いっぽう、孤立感はその国の社会に入らないと出ません。そこでは「あんた誰?」という冷たい目線にさらされますが、旅行者はある意味「お客さん」だからそれは飛んでこないんです。

「あんた誰?」とくれば必要なのは、まずアイデンティティー(ID)です。そこでマイ・ネーム・イズ***なんてやったってそんなのはIDにならない、ジス・イズ・ア・ペンって言うようなもの、ハア??ってなもんです。何より先にくるべきはアイ・アム・ジャパニーズなのです。名前がIDなのはもちろんですが、それより前に国というIDがくる。日本ではありえないそんな経験をしてみると、「日本人」のありがたみがじわっと身にしみてきます。

(2)日本はすでに超一流国である

それは「日本」という国のイメージのおかげです。それが決して悪くない、というより、僕は40か国以上で仕事ですからアイ・アム・ジャパニーズをやりましたが、その経験からして日本のイメージは世界でも最上級のランクにあるといえます。国内ではなかなか実感がわかないのは「強い円」の恩恵が海外で買い物でもしないと実感できないのと似ています。外国から見ると日本はあこがれの国であり、できれば日本人になりたいという人はいくらでもいるのです。

でもワタシ海外なんて行かないし関係ないわという人もおられるでしょうが、日本製品が高く評価されて世界中に輸出でき、日本に爆買いにまで来てくれる。その経済的恩恵は莫大で、日本に住んでいても気がつきませんが、めぐりめぐって誰もが享受しているのです。中国人が自国の茅台酒(マオタイ)を成田空港でお土産に買って帰るので不思議に思って聞いたら「我々中国人は中国人を信用しないんです。ここにある品物の取り扱いは間に日本人しか入ってません、だから絶対にニセモノがないんです」といわれびっくりしました。

このエピソードは、日本製品が品質で売れているばかりではないという点で注目されます。日本製、日本人が作った(メード・イン・ジャパン、メード・バイ・ジャパン)ですらない、「ボート(bought)・イン・ジャパン」(日本で買いました)に価値があるというのです。もはや品質の問題でなく、中国製品でも日本人から買えばウソがない、騙されないと中国人が考えているということです。これは凄いことだ。僕が海外にいた頃からその兆候はありましたが、まだ品質への信頼が主で日本人への信頼は従だった。しかし昨今は「日本人」は信頼のブランドになった気がします。格段に一流国、一流国民へとグレードアップしていると感じます。

(3)どうやってここまで来たか?

そんなイメージが一朝一夕にできるものではありません。江戸末期の開国、明治の近代化以来、150年もかけて先祖代々営々と築いてきたものです。10年やそこらの猿まねで追いつけるなどおこがましいも甚だしい。思えば僕がロンドンで株式営業をしていた1980年代、日本も猿まね(コピー・キャット)と蔑まれたものです。しかし日本がまねを乗り越えたのは古来日本だけにある物づくりへの執念、匠のこだわり、誇り、技の伝承といった「根っこ」があったからです。それがない国がうわべの「なりすまし」をいくら巧みに作ったところで、即刻お里は知れてしまうのです。

日本が中国、ロシアと戦争して勝利し、最後は米国と無謀な大戦に挑み敗戦国、被爆国となったぐらいは世界は知ってます。しかし凶暴、危険な暴徒と思ってる人はもはやなく、まじめに働いて経済一流国として復興し、トヨタやソニーをつくり、ドラえもんを楽しむ平和な国だというのが平均像でしょう。日本人が永遠に凶暴、危険な暴徒であってもらいたい国は困ってそこに慰安婦像をぶつけてみたりしますが、そんなことでびくともしないほどこの平均像はもう立派に確立されています。

(4)とんでもない自虐史観

僕は日本の近代史の教え方、文科省はもちろん司馬遼太郎らの腰抜けの史観に大反対で、「明治の日本は素晴らしかった、大正で曲がり、昭和で滅んだ」という見方はおかしいと思います。ましてGHQのおしつけた自虐史観プログラムによる洗脳計画など論外も甚だしい。教室でほぼ無視され入試にも出ない昭和史は細部から見るとたしかに内政がひどいのですが、国民国家になってたかが半世紀後の揺籃期の出来事と思えばいい。二・二六事件など千年後の日本人が教科書で読めば大化の改新よりはよっぽどわかりやすい、普通のことでしょう。

国民国家の日本は単に2勝1敗なのであり、最後の負けは多くの血を流した大敗、無謀な大失敗であったのですが、その犠牲があってより一層強くなりつつある、そう思えてなりません。誤解のないように申しておくと、それは軍事においてではありませんし僕は軍国主義者でも右翼でもありません。正規軍すらない丸腰状態なのに強い、こういう強さを有した国家は世界史上いまだかつて存在したことはないという事実に驚き、日本人はそれに自信と誇りを持ち、そのパワーをどんどん使うべきだと考えているのです。

(5)国籍を持つとはどういうことか?

国籍というのは、そうした国家の歴史や遺産を背負ったものです。アイ・アム・ジャパニーズと名乗ることは、相手の外国人からすれば「あの日本人か」ということなのです。それを背負う覚悟があれば外国の方が帰化して日本人を名乗ってもまったく構わないでしょうし、政治家でない方々が二重国籍であることは日本国だけが排除できるものではない方向でより明確な法整備がなされるのでしょう。しかし僕自身は16年間に5か国に住んでみて、そこの国民になりたいと思ったことは一度もありません。どこの国も好きになったし多少の税金もお支払いしましたが、だからといって参政権を得たり国籍を取得したいとは思いませんでした。

なぜなら、僕はアメリカやイギリスやドイツやスイスや香港の生活や文化遺産は大いに楽しませてもらったが、歴史は背負えません。それを外国から守る兵隊になろうとも思いません。国籍取得とはそこに住んで仕事をして税金を納めることだけじゃない、その国を愛してるかどうかなどでもない、そういう重たい権利・義務がくっついているんです。特に国や国益を守るという義務ですね、僕自身が戦後生まれだから兵役という観点に実感が薄く、永世中立国のスイスの政治家が国を守るという強い意識で結ばれているのを見てその意識においては「我々は特別な国の国民なんだ」と痛感しました。

だから、他人事ではなく、日本人にはそもそも国籍というものの重み、実感、意識が薄いということを我々は良く自覚しておかないと行く末を間違うのです。兵役がない特別な国だからこそ、国を守るのは政治家に委ねられた重たい仕事になってくるのです。国家にあって地方自治体にないのは外務省と防衛省です。その二つだけは国家でしかできない、国家であることの証しであります。薩摩や長州が勝手に英国と戦争したり、こっそり留学生を派遣して外交、貿易もしていた、そうなったらもはや国家は骨抜きであって、その通りに徳川幕府は倒されました。

その外務、防衛を司る総理大臣が二重国籍者であっていい。現状の日本国の法体系がそうであるなら、それはそもそも国というものを否定した奇想天外な骨組みです。違法でないからいいでしょと許すべきものではない、即刻に法改正をすべきです。中途入社の社員が優秀だからと社長にしてみたら実はライバル会社の社員でした?そんなものはジョークにもならない、世界中のどこであれ、あり得るはずもないのです。

僕は二つの祖国を持つ方々の気持ちはある程度はわかっているつもりです。16年も海外で生活しましたし、ハーフの友人や部下もおり、子供時代の苦労も気持ちも、ある時は涙も、いろいろありましたし察することぐらいはできていると思います。そういう個人的な思いは、しかし国という共同体、法律という国のフレームワークの議論とは別の物です。愛があれば、かわいそうであれば、何でも許されるという韓流ドラマみたいなものではないのです。

(6)日本人はいい人だから危険

ほんとうにそう思います。涙が出るくらい。旅先で出会う若者もご老人も、お店や食堂のおばちゃんも、駅員さんも、いや自分の両親や親せきだって、16年たってすっかり浦島太郎で日本に帰ってきて、ああなんてやさしくていい人たちなんだろう、こんな人たちは世界中どこにもいない、このままでいてほしいと思ったのをありありと覚えています。カルチャーショックでした。

東日本大震災での必死の救出、助け合い、おもいやり、心の絆のやさしさといった、我が身をも省みない美談の数々は世界の、隣の韓国の人々をさえ驚かせ、その外国の反応がひるがえって日本人を驚かせました。それが日本なのです。どうして被災地のそこらじゅうで犯罪がおきないんだ、が世界の通常の反応でしょう、それがいい悪いではなく、世界はそんなものなのです。こんないい国はふたつとありません。

こんないい国を守りたい。あたりまえのことです。僕は怖くて仕方ないのです。こんな警戒心のない、いい人だけの国!田舎は鍵もかけないし、落とした財布はそのまま返って来るし、借りたお金は必ず返すし、いい人同士だからすぐ信用するし、ガイジンが日本語をしゃべればすぐ「いい人仲間」にいれちゃうし。めちゃくちゃ危ない。オレオレ詐欺はそこにつけこみましたが、あれは日本語がうまくないとできない、「日本語」、これがポイントです。それさえうまければ、容貌はともかく、いくらでもダマすことができるだろう。

今の日本人が凶暴、危険な暴徒などとんでもない話で、我々は大戦まではそうだったかもしれないという歴史は負う必要がありますが、だからこそ二度と戦争をしない国でありたいし、矛盾するようですが、このままの日本であってほしいと願うのです。矛盾というのは、このままだと安全保障はほんとうに大丈夫かという懸念を僕は持つ者だからです。いい人がいい人のまま生きられるユートピアでは世界はない、それを見てきてしまったのでそう思うのです。

ライバル会社に籍があるまま役員やってた者が「社長を狙います」だ。二重だったんでしょと追及されると、いえあの会社はもう潰れましたんでだ。もう笑ってしまうしかないが、この人は国籍をどう思っているんだろう?歴史をどう思っているんだろう?これからのご発言はお笑い番組として楽しめる。この政党が政権に在った3年3か月があっても日本国の屋台骨は大丈夫だったというのは実に有益なストレステストでした。日本はもう充分に強いのであるという。昭和で、敗戦で、だめになってしまった日本史ではなく、それがあって繁栄した国という新たな、類例のない歴史を築く入り口に我々は立っていると思います。

 

(追記)「極めて個人的な件」なので戸籍は開示しない(蓮舫議員)

ははあ、蓮舫さんは日本語が巧みですね。中国語もネイティブ並みと聞きましたが。いつも感心しますが日本語力、なかなかいけてますよ。なるほど「個人的な件」には「極めて」と「そうじゃないの」があるんですね?ということは、そんなに「物凄く」まずいことでも書いてあるんですね、戸籍に?首相になろうという公人が国民に開示できない「物凄く」まずいことが履歴として公文書に書いてあっちゃあ、それこそ物凄くまずいでしょ? いえ、「個人的な件」ですからね、蓮舫さん個人のこととしてはいいんですよ、ぜんぜん興味ありませんし。でも民進党は党の存否を争う大問題じゃないですか、こういう人を首相候補にしているシャドウ・キャビネットじゃあ党ごと不適格ということになります、自動的に。しかし自民の独走、一人勝ちは、これまた健全でないのは東京都政を見ての通りで、強くしっかりしたリベラルは民主主義国家には絶対に必要です。

 

 

(追記、10月17日)

「台湾籍離脱手続き不受理なので相談したら、強く選択の宣言をするよう行政指導された」(蓮舫議員)

ははあ、「強く」指導されたんですね、弱くじゃなくってね。なるほど、「行政手続きに則ってやりました」って風に聞こえますよね、本当に日本語がお上手ですね。

そんなことはどうでもいいでしょう?「受けつけてくださいませんでした」なんてことはぜんぜんあなたの事件には関係ないのです。あなたは「戸籍法104条で国籍選択宣言したのが今年10月7日でした」、要するに、「今月初めて日本国籍を選択しました」って白状したんです。「国籍法違反」はどうでもいい、こっちの犯罪が問題なんです。この意見に抗議するなら戸籍を示せば済みます。

示さないならこういうことになります。つまりあなたは1985年に国籍を取得してから31年9ヶ月間、日本国籍を選択しない「二重国籍」のまま、参議院議員に3回当選したというのが事実なんです。2004年の選挙公報で「1985年 台湾籍から帰化」と大ウソをついて、国民を騙して国会議員になった罪がこれで発覚したわけです。

公職選挙法(虚偽事項の公表罪)

第二百三十五条  当選を得又は得させる目的をもつて公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者の身分、職業若しくは経歴、その者の政党その他の団体への所属、その者に係る候補者届出政党の候補者の届出、その者に係る参議院名簿届出政党等の届出又はその者に対する人若しくは政党その他の団体の推薦若しくは支持に関し虚偽の事項を公にした者は、二年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。

国会は立法府で、議員は法律を作る人です。「私は作るだけです、自分では守りませんけど」なんてのは申しわけないが日本では通用しないんです。経歴詐称をしたショーンKとかいう人がいましたが、ことは芸能界ではない、日本国の将来の命運を決める国政の場にホラッチョがいてはならないんです。こんなのを見逃し、なあなあで済ませたら「蓮舫はOKでなんで私はだめなんですか?」という輩が無限に出ます。未来の日本国民に重大な禍根を残すことになります。我が国は法治国家です。政府与党および司法に対し厳正な法の適用を要求いたします。

 

(追記、10月30日)

上記の罪状で市民団体が蓮舫議員を刑事告発しました。まったくもって正当なことですね。

台湾籍は抜いたと思っていました、父の言葉がわからなかったので、それで22才での国籍選択をせず20数年放置しましたが「故意」はなかったんです、だから「帰化」と選挙公報に書いたんです。

近々にパスポート使用歴が出れば即死ですね。故意が証明されますから。これは法治国家の法律問題です。逃がしてはいかんのです。

次に、法律違反ではありませんが、ウソはいかんですねウソは。二重国籍も台湾籍も僕は一般論としては全くかまわないが、公の場でこれだけ大嘘を軽々とついて平気な人は性根からのほら吹きなのであって、芸能人ならともかく人の上に立つ仕事が務まる道理などあるわけないだろう。党代表どころか議員資格剥奪に至る問題である。日本国民をなめるのもいい加減にしていただきたい。

 

(追記、11月1日)

公職選挙法違反は時効ですなどという記事が出ている。こんなものが出ること自体、事実であった証拠がこれから出てしまうことを前提としていよう。しかし、ウソをついても相手を長くだませば罪が消えるとは初耳だ。どうせつくなら大ウソをつきましょうキャンペーンだろうか。

 

 

 
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