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プロの投手が本気を出すと凄い

2018 SEP 13 22:22:55 pm by 東 賢太郎

プロ野球に入れる人のしかも一軍選手のレベルにそう差があるわけではない。しかし公式戦はトーナメントではなく、選手は怪我したくないから限界まで全力で勝負しているとは思わない場面が多い。

僕は投手目線で観戦する(しかない)から、投手ー打者のガチンコの死闘が見たい。言ってしまえば相撲を観るのと同じ。チームの勝ち負けは二の次でそれに金を払っているといって過言ではない。

昨日東京ドームで観た巨人・ヤクルトは大詰めのペナントレースでセリーグ2位がかかり対戦成績ほぼ5分という「投手ー打者のガチンコの死闘」が演じられるに違いない好適なシチュエーションの試合だった。果たして延長12回1対1の引き分けとまさにそうなった。バットは4,5本へし折られた。絶対に勝たねばならない。そのミッションは投手にこそ乗り移る。投手が打者に襲いかかりねじ伏せる、この殺気は打席で怖い。この試合、14投手継投の総力戦になったが全投手に尋常じゃない気迫があり最高の大相撲となった。

5回まで両軍ノーヒットという異例の展開で始まり、両軍初安打が5回のマギーのソロだった。ブキャナン、吉川光両先発の直球の威力、切れ、コントロールは抜群。感嘆レベルでため息のみ。ブキャナンは一見投球術の人に見えるが最速151kmの球威、誰も手が出ないレベルの低めの球がいくつか。吉川は7回まで無安打。青木の内角高め速球、驚くべき球威であの青木が空振り。そこで次球の外角変化球を読まれて(たぶん)うまく左前ヒット。惜しい!+さすが!8回に畠に譲った。山口は抑えが慣れず3四死球の満塁。実績ない宮本に置きに行った1球が中犠飛。この日の全投手で唯一画竜点睛を欠いた。

出てきた投手ひとりとして苦情なし。全員が直球を全力で投げ、この投手はこんな剛球だったかと驚く。特に近藤、畠、中川、中尾。蛇足だがこれは気候もある、涼しくなってきたら投手はかわる。

10回裏、中澤が安打(田中)バント(小林)で秋吉に代わり、陽が三遊間を抜いて1死1,3塁。ここで代打阿部(投ゴロ)、石川(三振)の中尾は見事! 11回表は上原が出て引退かな写真撮ろうかなと思ったが強烈なテンションで圧倒し青木、山田、バレンティンを三振、中飛、二飛。失敬した。135kmであんなことできるか?凄い技術だ。二の句が継げず。

12回裏、またぎで石山。田中の一ゴロを武内が凡エラー、小林がバントのフライで助け陽は三振。ここで代打大城が左前ヒットで二死二三塁、代打宇佐美。この二ゴロを山田がお手玉したがかろうじてアウト、試合終了。緊迫の総力投手戦にバックが硬かった。石山の動じない美しい立ち姿はそれと対照的で、絵にかいたようなオーバースローのフォームに惚れ惚れ。歌舞伎の千両役者に見える。これぞ投手。

両軍打線も死力を尽くしたこと言うまでもなし。それを投手陣が上回った会心のゲーム。これだけのものはそうは見れない。両軍に感謝。ご苦労様。

 

PS

そして今日もドームでヤクルトが4-2で勝ち。星と田口のこれまた素晴らしい投手戦だった。田口は138km程度だが緩急と低めの制球で速く見える。うまい。圧巻は故障上がりで初先発のヤクルトの星だ。140後半が球威満点で、度胸も良く制球も良し。6回2安打で岡本の右中間本塁打の1点のみ(これは打った方が見事)。完成度の高いピッチャーだ。打者はバレンティンが天井に当てた。初めて見た。ドームのローカルルールでインプレーらしい。そして青木が中川から放った左翼本塁打。左へ流し打つ技術は超一流。上原は8日に登板、下位打線をひねる。さすがメジャーで活躍した人たち、光るものを見た。

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