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選手に金を払うのは球団ではなく観客

2018 DEC 23 23:23:44 pm by 東 賢太郎

内海投手のFA人的補償での西武移籍は衝撃でした。そもそも人的補償ってコトバがいやですねえ、補償とは損失を埋め合わせるという意味でふつうは金銭ですがここでは「ヒト」でオッケーですっていちいち「人的」とつけてる。選手を物か奴隷みたいに見ている語感があり不快です。一番ショックだったのはエースを張っていた内海でしょう。しかしTVで観ていた彼の清々としたふるまいは立派ですね。学ぶものがありました。

このニュースでFAで巨人に移籍した丸選手の話題は下火になった感じです。よかったね。「もっと上でやってみたい」は「もっと評価とお金が連動する世界に身を置いてみたい」という意味だと僕なりに解釈をしています。これをプロだから当たり前といってしまっては思考停止なので、少し考えてみます。

まず評価はどうやったら上がるのでしょうか。すべての野球少年のなかで勝ち上がっていくしかありません。頂点はNPBですが野球は日本だけの競技ではありません。メジャーが明らかに頂点です。なぜなら最も高額の報酬がもらえるからです。こう書くと「すぐお金で計るのはいかがなものか」とご批判もありそうですが、シンプルな事実です。なぜなら興行において選手に金を払うのは観客だからです。

たとえば相撲で、お客は十両より横綱や三役の土俵のほうが見たい。だから懸賞の本数も多いのです。客はスターが見たいし、常人にはできない超人的な技能が見たいのであって、それには納得して足を運んで金を払うのです。プロの「評価」とはお客さんにいくら払ってもらえるかで決まるのが本質であって、はえぬき、男気、お世話になってるみたいな球団事情で決まるものではありません。

だから「金満主義の巨人がけしからん」という批判はおかしい。読売巨人軍という会社は35億円出しても諸々を勘案するとペイすると算盤をはじいたから丸選手をとったわけで、なぜペイするかというと、丸選手の直接、間接の貢献で客がたくさん入ると思ったからです。ということは、丸選手は巨人軍の利益を上乗せした金額、つまり35億円以上をお客さんから支払ってもらえる選手だという評価になります。

それがけしからんというならプロ野球という興行がいかんということになってしまいます。そんなことはカープファンも言わないでしょう。つまり、丸の移籍というのは、広島カープ球団は35億を払ったらペイしない。巨人はペイする。だから巨人を選んだ。それだけのことです。それが嫌ならカープ球団はマツダスタジアムの入場チケットを値上げして35億払っても利益が出せるようになればいい。それだけのことです。

僕はチケット代の2割は選手を指名して直接あげられる仕組みにしたらどうかと思います。1万円の席なら8千円はカープ球団に、2千円は毎試合後に投票して活躍した選手にあげる。売上188億円の内100億円がチケット代として20億円が「ふるさと納税」のように選手勘定になる。それで去年の年俸総額と同額です。投手と野手の調整は必要だけど年間通して大活躍すればひとりで10億円もっていくことも可能。金を払うお客が試合を見て「あげたい」というなら当然勝利に貢献度が高いわけで、プロなんだからフェアな仕組みだしモチベーションは凄く上がってチームも強くなると思うのです。

僕は丸を応援したいのですが、一つだけ不満なのは、「もっと評価とお金が連動する世界に身を置いてみたい」というモチベーションがあるという仮定をするならば「メジャーに行きたい」こそが結論になるはずです。巨人に5年もいたらそれはないんでしょう。ということはその仮定は違っていますかね。単に巨人に行きたかったんですかね。

まあ高校生がドラフトで広島に指名されて大成した、しかし、だからといって一生広島に住みたいかどうかは別の話でしょう。エルドレッドは市民に溶けこみ愛されてずっと居たかったかもしれないが、力が落ちれば「ご苦労さん」で戦力外でバイバイだ。そういう世界です。そんなリスクをとっているのだから、リターンが目の前にあればゲットしてあまりにあたりまえでございます。

 

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Categories:______広島カープ

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