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③私の好きな本・ベスト3 (東)

2012 NOV 5 18:18:26 pm by 東 賢太郎

本は乱読なので気が向けばなんでも片っ端から読みます。座右の、というものはありません。みなさん本当にそんなのがあるんだろうか、どうも嘘くさいと思ってます。座右というからには繰り返して読んでるという意味だろう。文学作品と私小説は気が向いたことが一度もなく、従って有名なものもあまり読んでないぐらいだから読みかえすはずもなく、以下、物理的に3回以上読んだものというスクリーニングをするしかありません。するとこうなります。

第一位   論語 (孔子)

第二位   箴言集 (フランソワ・ド・ラ・ロシュフコー)

第三位   ローマ帝国衰亡史 (エドワード・ギボン)

(番外)   伊賀の影丸 (横山光輝)

 

「論語」

もともと漢文は弱いので現代語で読んで、それでもよくわからなかった。弟子たちが先生をサカナにした「ブログ集」のようなものだろうと軽いタッチで読んでみてやっと少しピンとくるようになって、飛ばし読みとつまみ食いで3回ぐらいは読んだ。日本では古来より経典のように崇められていますがちっとも体系的と思いませんし、現代的には意味が分からず明らかにどうでもいい部分もありますね。こんなのを真面目に暗唱などして守ってたら現代社会で経営などできるはずもないとむしろ否定的です。**界の重鎮などと気取るときにないと格好悪い「座右の銘」のネタ本というところが大方のホンネと推察。ということはほとんどの人は「いいとこ取り」なのではないでしょうか。僕なら有名なこれ、

これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを 楽しむ者に如かず。

2500年前 から人間の真理だったんだと、むしろ考古学的関心をもって「座右の銘的」な位置に置いてはいます。孔子は只者じゃないことはこういうリアルな証拠を自分の目で確認して納得するし、これは人間の本質、真理を鋭く突いていて僕ら泡沫のごとき人間が抗えるものではないとも思う。難しい仕事ほど楽しんで処していこうと思います。

 

「箴言集」(岩波文庫)

論語と違うアングルで人間の真理をどきりとするほど短く鋭利な切れ味の文章で突いている名著です。僕はこういうスナップのきいた速球派が昔から大好きで、これにはたぶん思想的影響を受けています。

・頭が良くて馬鹿だということは時々あるが、分別があって馬鹿だということは絶えてない 

・何人も悪人になる強さを持たない限り善良さを称えられるに値しない。それ以外のあらゆる善良さは、おおむね、怠惰か意思の無力に過ぎない。

まあこういう感じです。鋭いですねえ。「頭が良くて馬鹿」、時々どころか東大に行けば掃いて捨てるほどいます。「悪人になる強さを持たない善人」、経営や政治には向いてないですね。国会には悪人で怠惰、無力なのがたくさんいますが税金の無駄なのはたたき出す法律を作るべきです。ロシュフコーは三国志読めば間違いなく曹操派でしょう。あっという間に読めてけっこう笑えます。

 

「ローマ帝国衰亡史」

ローマには4回行きました。そのぐらい好きな都市です。足を踏み入れれば誰もが眼前に物的証拠として突きつけられるあの高度な文明、意思、知力、武力、政治力。それを謳歌した国が滅びたという厳然たる事実には、いつ行っても慄然とします。この書を読み(ローマ本としては非常に読みやすいです)フォロ・ロマーノで夕暮れまで空想に耽って一人でボーっとしているのが人生最高の至福のときの一つです。またやりたくなります。

 

「伊賀の影丸」

小学校1-2年ごろ少年サンデーを創刊号から愛読、精読。これで日本語読解を覚えたと言ってよく、毎週火曜日が待ち遠しくて日曜日からそわそわしていました。お目当てがこれ。巨人が嫌いになったのと軌を一にして影丸の「木の葉隠れ」は物理的に無理と見限り、もともと合理性を超越した不思議な妖術、幻術をもちいる端役の忍者たちの戦いに熱中。最強無敵と信じた忍者が意外な敵の術にはまって倒されてしまうという世の不条理を習得。三国志と並び厳しい世の掟、男の世界を学んだ教科書的作品。僕がゴッド・ファザーに惹かれる原点はここにあります。マエストロ横山光輝に深い敬意を表します。

 

男の子のカン違いの効用 (2)

Categories:______歴史書, 徒然に, 読書録

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