スーパームーンと地震
2013 JUN 27 0:00:35 am by 東 賢太郎
6月23日はスーパームーンだった。楕円軌道を回る月が地球に最接近する満月日だ。だから月の引力の影響、例えば潮汐力は相対的に強い。ただ太陽との位置関係により最強とは限らない。一般的にスーパームーンと地震とは統計的に有意な相関性は見られないとされている。2005年1月のスーパームーンの2週間前(2004年12月)にスマトラ沖大地震、前回のスーパームーンが2011年 3月20日だったこと。これも偶発事象だったことになる。
満月では太陽が月と反対にある。だから月と太陽の潮汐力は相殺されそうに思えるがそうではない。太陽を公転する地球は重心(ほぼ中心)で太陽引力と遠心力が釣り合っているから、太陽と反対側(遠心力が勝っている)でも大潮になる。今回、そこに近日点(近地点)に来る月の潮汐力が加わるから少なくとも合算した潮汐力は近時的にはピークになる。6月21日は夏至であり、太陽の北半球への露出時間が長いから影響度も大きい。
僕が6月23日に投稿したブログ「ポンペイ島ナンマダール遺跡を見る」には「今日は潮が高いのでボートは出せない、歩いてくれ」と酋長に言われたくだりがある。この時、それがこれだなと思った。ナンマダールへ行ったのは19日だから夏至の2日前でまだ月が高くない午前中だ。「統計的に有意な相関性は見られない」という頭はあったが、そこから数日間は「嫌だな」という意識があった。
グアムで6月22日の朝方、まだベッドにいたのだがミシッという音がしてホテルが揺れたような気がした。寝ぼけていたし、すぐ忘れてしまった。ところがさっき調べると案の定、こういうのが見つかった。今思えば人生初の「海外で経験する地震」だったわけだが、これもやはり偶発事象なのだろうか。
M5.3 | |
発生時刻 | 2013-06-22 07:19:05 (日本時間 – JST) 2013-06-21 22:19:05 (世界時間 – UTC) |
---|---|
震源地 | グアム地域 ( Guam region ) |
緯度 | 北緯12.5653度 |
経度 | 東経143.7578度 |
震源の深さ | 10.80km |
詳細情報 | アメリカ地質調査所 |
震源地図 | googleマップ |
地震は平時のムーンでもおきているから因果関係はない、という人がいる。それは「肥料をやらなくても育つ稲はあるから肥料の効果はない」というに等しい。何も起きないスーパームーンがあったからない、というのは「羊が無事だった日があるから狼は羊を食べない」というに等しい。地震の予知はおろか原因すら厳密には特定できていないのだから、この因果関係の証明は現代には無理だ。ただしそれは「因果関係がある」という証明だ。「因果関係がない」という証明だって同じぐらい難しいだろう。「統計的に有意な相関性は見られない」はその証明にはなっていない。
ただし、1000年後は知らない。
Categories:______サイエンス, 徒然に