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おすすめの経済書4冊

2014 APR 22 23:23:12 pm by 東 賢太郎

先週より経済書をまとめ読みしています。いくつか面白いものがありました。

1.経済は「競争」では繁栄しない (ポール・J・ザック著、ダイヤモンド社)

人類を繁栄に導くのは競争ではなく相互の「信頼」であるという主張です。同じことですが僕はある経営者のかたから「信用資本主義」という言葉を教わり深く共感していたのでこの本が目に留まりました。その会社の社員のかたが書いたレポートにたまたま「これからやろうとしているのはオキシトシンを分泌させること」とあったのですが、この本はその脳内物質が人間関係や社会にどういうプラス効果があるかを述べています。著者は経済学者ですが人間を動かす生化学的分析からのアプローチはなかなか説得力があり、日本文化に親和性のある説なので参考にできそうです。

2.スターバックスのライバルはリッツ・カールトンである。(角川書店)

岩田松雄氏(元スタバ・ジャパンCEO)と高野登氏(元リッツ・カールトン日本支社長)の対談の書です。サービスはいずれロボットにかわられる、ホスピタリティはマニュアル化できない、感性の筋トレ、「感動が生まれる接客」をする、悪いお客より社員が大事など新鮮でした。リッツは社員に2000ドルまで自分の判断で使える権限を与えていて、これを使って飛行機でお客様の忘れ物を届けた「空飛ぶドアボーイ」がいたそうです。これは感動を生みますね。スタバにはサービスマニュアルはなく「Just Say YES」という基本姿勢しかないそうです。僕の「ダメな人5か条」にある「いきなりNOを言う」の裏返し。得心いたしました。面白い本です。1~2時間で読めます。

3.アメリカの大変化を知らない日本人(日高義樹著、PHP)

安倍首相が今回の春季例大祭期間に靖国神社は参拝しないというニュースを見て、ああアメリカは失望ではなく本気で怒ったんだなと思いました。アメリカと中国の通貨財政同盟が成立したという本書の主張はあり得るでしょう。SWIFTを使って中国高官の賄賂や不正所得の情報を調査したアメリカが脅しをかけてドル-人民元のペッグを合意し、中国の持続的ドル資産買付によるドル防衛協力の見返りにアメリカは人民元の国際化を進める。事実ならそれを前提とした円-ドル、金価格などのシナリオを再考する必要があります。

4.国家の興亡 ‐人口から読み解く(スーザン・ヨシハラ他著、ビジネス社)

カソリック系家族と人権機関上級副社長、米海軍大学校戦略担当准教授、CIAや国防省の中国専門家など米国シンクタンク、軍部系の複数の著者リストが目を引きました。世界の人口動態データ分析から2020年の米欧中印露と日本での少子高齢化が世界のパワーバランスに何をもたらすのかを論じた書です。軍部の見解として日本の不可避的人口減少により自衛隊員確保すら困難になると予測しており、日米安保条約はいずれオーバーコミットメントになるとしています。これを読むと上記3.のシナリオも不可避的と思われてなりません。我々もいよいよ真剣に自分で資産防衛を考える時代になるでしょう。

Categories:______経済書, 読書録

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